車両保険 全損の支払い方|全損なら全額|免責の適用なし

車両保険の支払い方・全損は全額・免責は適用ナシ

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車両保険には必ず免責金額が付いて回ります。

一般的には「0-10」「5-10」「10-10」のいずれかのパターンで契約します。

最初の数字が初回の事故時に適用される免責です。

ところが車の損害が「全損」と認定された場合は免責は適用外になり自己負担は発生しません。

つまり車両保険金額は全額が支払われます。

このページでは車が全損になった場合の車両保険の支払い方について詳しく解説しています。

しばらくお付き合いいただけると幸いです。

免責の扱い:原則

免責の原則について・車両保険の支払い方・全損は全額・免責は適用ナシ

車両保険は自動車保険の特約の1つです。

車両保険を付ける場合、まず車両保険金額を設定します。

車両保険金額とは支払い限度額のことです。

たとえば200万円と設定します。

次に免責金額を設定します。

免責金額とは自己負担額のことです。

多くの保険会社でほぼ共通しているのは次の3つのパターンです。

0-10
5-10
10-10

単位は万円です。

左側がその年度の1回目の事故時に適用される免責です。

右側がその年度の2回目以降の事故時に適用される免責です。

たとえば、3つ目の「10-10」のパターンで免責を設定したとします。

車両保険金額は200万円です。

1回目の事故で80万円の損害が発生した場合、車両保険からの支払いは70万円になります。

80万円ー10万円(免責)=70万円

このように損害額が全額支払われるのではなく、損害額から免責金額を差し引いた額が支払われます。

これが免責の原則的な扱いです。

しかし、この原則が当てはまらないケースがあります。

次の項目で詳しく解説します。

「全損」と「相手がある車両事故」:免責金額を0以外に設定しても全額が支払われるケース

全損と相手がある車両事故・車両保険の支払い方・全損は全額・免責は適用ナシ

事故で車に損害が発生した場合、免責金額の扱いは原則として次のようになります。

損害額ー免責金額=支払額

もしも免責金額が「10-10」で設定されている契約で、100万円の損害額が出た場合は、

100万円ー10万円=90万円

という計算になります。

これが原則です。

しかし、免責金額の扱いは、事故の内容によって変わってきます。

つまり、免責金額が0以外に設定された契約でも免責金額が適用されない(自己負担額が発生しない)ケースが2つあります。

次の2つのケースです。

免責金額を0以外に設定している契約でも免責金額が適用されないケース
<1>全損の事故
<2>相手がある車両事故※相手がある事故で必ず免責が適用されないというわけではないが、ほとんどのケースで適用されない

まず<1>の全損事故のケースですが、「全損ぜんそん」とは「修理費が車両保険金額を超えた場合」あるいは「修理できないほど損傷した場合」のことをいいます。

たとえば、車両保険金額200万円で車両保険に加入していて、全損の事故が発生した場合、保険からの支払額を「200万ー免責金額」とするのではなく、免責金額がいくらに設定されていてもそれは適用せず、200万円をそっくりそのままお支払いする、というものです。

これに対して、修理費が車両保険金額を下回る場合を「分損ぶんそん」と呼びますが、この分損のケースでは、「損害額ー免責金額=支払額」という原則どおりの支払い方になります。


つぎに<2>の相手がある車両事故のケースです。※バイクとの事故も含む

通常、車同士の事故の場合は両者に「過失割合かしつわりあい」が発生します。

過失割合とは、事故の結果発生した損害を100とした場合、事故の当事者がそれぞれ負うべき責任の割合です。

50:50であれば、両者が半分ずつ責任を負うことになります。

責任を負うとは、責任分だけお金を払うということを意味します。

下の事例でご説明します。

車両保険に車両保険金額200万円で加入しているAさんの事例です。

免責金額は「10-10」です。

AさんとBさんが車同士の衝突事故を起こし、次のような過失割合・損害認定がなされました。

AさんBさん
過失割合 50 50
車の損害 100万円 80万円

ここは車両保険の話なので、Bさんの損害のことは割愛し、Aさんの100万円の損害に対してどういう支払い方がなされるかをお話します。

この場合、BさんはAさんの100万円の損害額に対して50%の50万円を支払います。

すると、Aさんが加入している保険会社は、Bさんが支払った50万円を、まずAさんの免責金額の穴埋めに充当します。

これにより、Aさんの契約で設定されていた免責金額「10-10」の「10」は穴埋めされ、なかったものとみなされます

Aさんの損害額100万円

穴埋めされた免責金額(10万円) Bさんの支払った50万のうち免責金額の穴埋めをした残りの40万円 不足分50万円

最終的に、Aさんが加入している保険会社は、車両保険から上の図の「不足分50万円」を支払い、これにより、Aさんの損害額100万円は自己負担額なしで全額まかなわれることになります。

このように、免責金額が0以外に設定されている車両保険でも、相手がある車両事故の場合は免責金額が適用されないケースが出てきます。

上のケースのように免責金額が10万円の場合、相手からの支払額が10万円以上あれば、すべて免責金額はなかったものとみなされます。

免責金額が5万円の場合は、相手からの支払額が5万円以上で、すべて免責金額はなかったものとみなされます。

実際のところ、車同士の衝突・接触事故の場合は、ほとんどのケースで免責金額はなかったものとみなされます※なぜなら過失割合が両者に生じるから

<2>に関する免責金額の扱いと保険金の支払い方は、各保険会社の約款やっかんに記載されています。

※約款とは、不特定多数の利用者との契約を定型的に処理するためにあらかじめ作成した契約条項のこと(by Wikipedia)

※上の例でBさんから支払われるお金のことを、各社の約款では「回収金かいしゅうきん」と呼んでいます

SBI損保 「車両条項」第11条3(保険金の支払額)
三井ダイレクト損保 「車両条項」第11条3(支払い保険金の計算)
損保ジャパン日本興亜 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算)
ソニー損保 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算)
アクサダイレクト 「車両条項」第10条3(車両保険金支払額の計算)
おとなの自動車保険 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算)

保険料の節約には免責の調整は大変有効

保険料の節約に免責の調節は有効・車両保険の支払い方・全損は全額・免責は適用ナシ

ここまでの説明でお分かりのように、車両保険を付ける際、免責金額を0以外に設定したからといって、保険金の支払いの際に必ず免責分が差し引かれるわけではありません。

「分損」の場合は免責が適用されますが、「全損」では損害額の全額が支払われますし、「相手がある車両事故」でもほとんどのケースで損害額の全額が支払われます。

こうしたことから、保険料の節約のために自動車保険の補償内容を見直す機会があったら、免責金額の調整は大変有効な方法だと思います。

これまで「0-10」だったものを「5-10」や「10-10」に変更すると、それぞれ数千円単位で保険料が安くなっていくはずです。

しかも、そのように免責を設定したとしても、「全損」や「相手がある車両事故」では免責が適用されず損害額が全額支払われます。

補償内容が大きく狭まることにはなりません。

もちろん、「0-10」のパターンがベストであることは当然です。

しかし、保険料の負担感が大きいと感じる場合は、免責金額の調整は最初に手を付けてもいい見直し項目だと思います。

その際、もしもいままで一般条件であれば、それをエコノミー+Aに変更することで、保険料は大胆に節約可能です。

けれども、そのやり方はおすすめできません。

一般条件をいきなりエコノミー+Aに変えるのではなく、まず免責金額を調整すべきです。

一般条件・「0-10」というのがこれまでの契約であったら、一般条件・「5-10」あるいは一般条件・「10ー10」に変更するだけで、保険料はかなり節約になります。

これでも保険料の負担感が大きいという場合にだけ、一般条件からエコノミー+Aに変更すべきだと思います。

免責の調整なしに、いきなりエコノミー+Aに格下げするのはおすすめできません。

なぜなら、下記の表でお分かりのように、エコノミー+Aにすると単独の自損事故当て逃げが対象外になってしまうからです。

補償内容 エコノミー+A 一般条件
車同士の衝突 〇 〇
盗難 〇 〇
台風・竜巻・洪水・高潮 〇 〇
火災・爆発 〇 〇
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 〇 〇
飛来中・落下中の他物との衝突 〇 〇
2輪自動車・原付バイクとの衝突 〇 〇
単独の自損事故 × 〇
当て逃げ × 〇

この2項目があるかないかは大きな違いなので、できるだけ一般条件にしておくことが望ましいと思います。


ご覧いただきありがとうございます。