【違反注意】車庫飛ばしになる?「実家のまま」で車庫証明を取る場合の事例検証

車庫飛ばし・実家・車庫証明

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さまざまな事情から車の保管場所を「実家のまま」とすることで車庫証明を取るケースがあると思います。

もちろん、この場合、実際に「実家」に居住しているのではなく、別の場所に住んでいます。

こうしたやり方をした場合、いわゆる「車庫飛ばし」に該当するかどうか、気になる方は多いと思います。

このページでは、具体的な事例を踏まえてこの問題を見ていきたいと思います。

しばらくお付き合いいただければ幸いです。

そもそも「車庫飛ばし」とは?

そもそも車庫飛ばしとは

車庫証明を取る場合、3つの要素が絡み合って証明書が発行されます。

車庫証明の3要素
車の保管場所住所・駐車場のこと
使用の本拠地・車を使用する際の出発地であり帰還地である場所で、通常、「申請者の住所」と同じ
申請者の住所・車庫証明を申請する人が居住している場所で、通常、「使用の本拠地」と同じ

警察署で車庫証明の申請をする際、書類を提出しますが、警察としては、「車の保管場所」に関しては実際にその場所に行って実地調査を行いますが、それ以外の2つは書類で判断するしかありません。

書類上不備がなければ、車庫証明は交付されます。

ところが、いったん車庫証明が交付された後に、提出した書類の内容と矛盾しない生活を申請者が送るかどうかは、また別問題です

提出した書類と矛盾した生活を送る場合、「車庫飛ばし」と呼ばれる違法行為が生まれることになります。

「実家のまま」で車庫証明を取る:「車庫飛ばし」事例1

実家で車庫証明1

社会人3年目のAさんは東京都練馬区に住んでいます。

賃貸アパートです。

仕事にも慣れてきた頃で、以前から欲しかったマツダ・デミオを新車で購入することになりました。

燃費は優秀で、低速トルクたっぷりのディーゼルエンジンのデミオです。

しかし駐車場が必要です。

月極駐車場を探したところ、最安で8,000円前後のところが見つかりました。

ただ、車のローンもあるため、8,000円はちょっとつらいところです。

何か方法はないかとネットで調べ、いい方法を探し当てました。

まず、社会人になったときに東京都練馬区に移していた住民票を埼玉県所沢市の実家に戻しました。

住民票は所沢に戻しましたが、実際の居住地は今まで通り練馬のアパートです

そして次のような内容で所沢警察署に車庫証明の申請をしました。

車の保管場所の住所 実家
使用の本拠地 実家
申請者の住所 実家

晴れて、デミオには「所沢」のナンバープレートがつき、実家の駐車場に納車されました。

デミオは常時実家の駐車場に駐車されています

練馬のアパートと所沢の実家とは、直線距離で8キロほどです。

Aさんは、休日になると電車で実家に戻り、ピカピカのデミオでドライブに出かけます。

楽しいカーライフのスタートです。

なお、何かと差しさわりがあるので、その後住民票は練馬区に戻してあります。


さて、いかがでしょう?

Aさんは悪党でしょうか?

それとも善人でしょうか?

まず、誰かに迷惑をかけているか、という視点で見ると、別に車を道路とかその辺の空き地に駐車しているのではありませんから、人様に迷惑はかけていないように思えます。

そういう意味ではAさんは悪党ではないと思います。

では、法に触れているか、という視点で見るとどうでしょう?

これは問題だと思います。

そもそもAさんは虚偽の申請を行うことで車庫証明を取得しています。

実態上の居住地は練馬のアパートですが、それを所沢の実家に仕立て上げ(住民票を移動)、それで車庫証明を取っています。

つまり、Aさんは嘘つきです。

確かに、その辺の道路を駐車場代わりにして近隣の住民に迷惑をかけているというのではありません。

その意味では、大悪党とは言えません。

でも、虚偽の申請を行って車庫証明を取得したことで何が起こっているかと言うと、この場合、本来なら「練馬ナンバー」でなければならないデミオが「所沢ナンバー」を取得したことで、Aさんは今後ずっと埼玉県に自動車税を納め続けることになるのです。

※自動車税は都道府県税なので、Aさんの納付した自動車税は埼玉県の税収となります

生活の基盤である社会インフラは東京都のお世話になっておきながら、自動車税は、距離が近いとは言え、生活の拠点になっていない埼玉県に収めることになり、これは理不尽です。

つまり、Aさんは大悪党ではないけれど、小悪党だと言っていいと思います。

これぞ車庫飛ばしです。

※もっとも、東京都はお金持ちだからちょっとくらいいいじゃないかと言う気持ちもややしますが、いえ、そういう話ではないですね(汗)

※また、車庫法と地方税法の話が混在していますが、車庫飛ばしは車庫法に関わっています、念の為

「実家のまま」で車庫証明を取る:「車庫飛ばし」事例2

実家で車庫証明・車庫飛ばし・事例2

Bさんは転勤族です。

しかも2年~3年という短いサイクルで転勤を繰り返しています。

エリアは東海エリアです。

静岡県、愛知県、岐阜県、三重県といったあたりで引越しを繰り返しています。

Bさんの実家は岐阜県です。

夏暑いことで有名なところですが、そんなことはここではどうでもいいことです。

名古屋で学生生活を送ったBさんは、瀬戸市の会社に就職し、車を購入しました。

Bさんの車は現在12年目になりますが、エンジンもサスペンションもいたって快調です。

5年目くらいに買い替えを検討しましたが、またローンを組むのが億劫で、そのうちに買い替えのことはすっかり忘れて、今はもう12年目です。

したがって、ナンバープレートは最初に車庫証明をとった「尾張小牧ナンバー」のままです。

その間、転勤の辞令は容赦なくやってきました。

三重県鈴鹿市に始まり、静岡県三島市、愛知県岡崎市、三重県伊勢市、岐阜県飛騨市と移り住んできました。

Aさんは独身です。

戸建ての家を所有しているわけではなく、その点では身軽に引越しを繰り返しています。

ただし、いつも気にかかっていることがあって、それは、どこへ行っても契約している賃貸駐車場に「尾張小牧ナンバー」のマイカーが駐まっている光景です。

ネットで調べると、それは違法だ、車庫飛ばしだ、と書いてあります。

本来なら、転勤で住所が変わるたびに、引越し先の警察署で車庫証明を取り、陸運支局で車検証の住所変更をし、ナンバープレートも現地のものに変えなければいけないのです

しかし、面倒なのでついそのままにしてきました。

つい最近、近くのスーパーで買い物して駐車場に戻ると、そこを通りかかった飛騨市の子供数名が、

「これなんて読むのかなあ・・・」

とBさんの「尾張小牧」のナンバープレートを眺めながら話し込んでいるのを目にしました。

Bさんは、日頃から気にかかっていたことなので、はっとしました。

子供たちに非難されているような気持ちになったのです

数日後、Bさんは行動に出ました。

なんと新車を購入することにしたのです。

しかも、車の所有者・使用者は岐阜県の実家に住む父親の名義にし、車庫証明も実家で取り、ナンバープレートも「岐阜ナンバー」です。

お金はBさんが出しました(ローンですが)。

現在、Bさんの新車は、現在の赴任地である岐阜県飛騨市の月極駐車場に駐まっています

飛騨市を走るほとんどの車は「飛騨ナンバー」で、Bさんの車は「岐阜ナンバー」ですが、同じ県内の話なので、もう後ろめたい気持ちはありません。

そして、今後他県に転勤で移り住む場合も、「父親の車を息子が借りて使用している」という大義名分・・・になるかどうかわかりませんが、少なくとBさんのなかでは抵抗の少ない大儀の元で車に乗ることが出来ます。

また、自動車税も生まれ故郷の岐阜県に収め続けることになり、愛知県に納め続けていたこれまでよりも、心理的な後ろめたさはすっかり軽くなったのでした。


さて、Bさんは悪党でしょうか?

それとも善人でしょうか?

まず、車はちゃんと現在の居住地である飛騨市の賃貸駐車場に保管されていて、その辺の道路に違法駐車しているわけではないので、誰かに迷惑をかけているとは決して言えないと思います。

また、「父親の車を息子が借りて使用している」のは一応その通りであり、確かに悪党の所業と言えるほどではなく、問題はないように見えます。

ただし、一時的に借りるのならともかく、実態としては、父親は名前だけ貸している状態であって、常時Bさんが使用しているのですから、ここは問題ありでしょう

ある意味、Bさんは、日本中に数多存在している転勤族のみなさんを代表しているようにも受け取れますが、悩ましい転勤族の車事情の解決策としては、あまり褒められたものではないと思います。

また、どうせ納める自動車税なら、いっそのこと生まれ故郷に納めたいという気持ちは、ふるさと納税みたいで微笑ましい感じはしますが、ちょっと「操作」し過ぎています。

どうせなら「尾張小牧ナンバー」のままで過ごすほうが、警察から見れば、単に面倒だから手続きを放置しているだけ、という受け止めになるはずなのに、あろうことか、実家の父親を巻き込んで登録上の書類操作をするなんて、「意図的」な側面が際立ってしまい、何かの折に発覚したら、けっこう罪は重いと思います。

Bさんの人柄が悪党だとは思いませんが、やっていることはそれなりに悪党っぽいと思います。

余計な事をし過ぎです。


そもそも転勤族のみなさんにとって、車の手続きは悩みの種だと思います。

車庫証明や車検証やナンバープレートに関する法律を条文通りに読み取るなら、引っ越ししたら15日以内にこれら一連の手続きを完了させなければなりません。

けれども、お金がかかりますし、手間暇もかかります。

警察も運輸支局も平日は対応していません。

会社を休み、お金をかけて、引っ越しの度に100パーセント完璧に車の手続きをしなさいと言うのでしょうか?

ただ、Bさんのやっていることは違法です。

車庫飛ばしです。

書類と実態がかけ離れています

とはいえ、実際のところ、警察も杓子定規な法の運用はしていません。

きちんと駐車場に車を駐車している限り、法の名の元に、車の手続きを怠っている転勤族のみなさんが裁かれる場面は殆どないと思います

ただし、Bさんは、何かの折に発覚したら、それなりの処罰を受ける可能性はあると思います。

「意図的に」父親を巻き込んではいけないと思います。

「車庫飛ばし」の罰則について

車庫飛ばし・罰則

ここで警視庁のホームページに掲載されている罰則一覧を見てみましょう。

自動車の保管場所の確保等に関する法律
違反内容罰則
虚偽の保管場所証明申請20万円以下の罰金
保管場所の不届け、虚偽届出10万円以下の罰金
道路の車庫代わり使用3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金

・違反点数3点

道路における長時間駐車20万円以下の罰金

・違反点数2点

このページでご紹介しているAさんとBさんの事例ですが、いずれも表の一番上「虚偽の保管場所証明申請」にあたると思います。

けっこう重い罰金になります。

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ご覧いただきありがとうございました。