【超丁寧解説】OBDとは|OBDとOBD2の違い|車載式故障診断装置|車検に導入

OBDとは・OBD2・違い・車検・診断機・スキャンツール

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車やバイクはコンピュータの塊だと言われています。

あらゆる場所がコンピュータで制御されています。

エンジン・トランスミッション・排気まわり・自動ブレーキ・レーンキープ機能・横滑り防止装置などなど数十箇所にマイクロコンピュータが埋め込まれています。

このように重要な役割を担うコンピュータなのですが、見た目は小さなチップに過ぎないので、故障しても目視による発見が困難です。

そこで、もしも故障や不具合が発生した場合はコンピュータ自身がそれを発見し、どの部分のどのような不具合であるかを故障コード化して記憶するだけでなく、メーターパネルの警告灯などでドライバーに知らせます。

こうした一連の自己診断装置のことをOBD(オー・ビー・ディー)と呼びます。

車やバイクに搭載されているコンピュータにはみなこのOBDが最初から組み込まれています。

国土交通省は車検時にOBD検査を導入する方針をすでに2014年の10月に発表していて、実際の導入時期は2021年~2024年あたりになる見込みです。

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2023年1月26日
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OBDとは

 

OBDとは、On-Board Diagnostics(オン・ボード・ダイアグノーシス)の略で、「車載式故障診断装置」あるいは「車上自己診断機」などと訳されています。

車やバイクに搭載されるコンピュータはECU(Electronic Control Unit)と呼ばれますが、OBDはECUの内部にあらかじめ内蔵されています。

故障、断線、劣化などが発生した場合、その部分を制御しているECU内部のOBDがそれをいち早く発見し、どのパーツにどんな内容の不具合が発生したかを故障コード化して記憶します。

この故障コードのことをDTC(Diagnostic Trouble Code)と呼びます。

同時に、OBDは不具合の発生をメーターパネルの警告灯などによりドライバーに知らせます。

警告灯に気づいたドライバーはディーラーや修理工場などに車を入庫させます。

ディーラーや修理工場では、スキャンツールと呼ばれる診断機を、通常ダッシュボードの下に配置されているOBDポート(コネクタのこと)と接続します。

OBDポート2

OBDポート 画像:Wikipedia

OBDポートにスキャンツールをつなげたところ

OBDポートにスキャンツールをつなげたところ                   画像:Wikipedia

スキャンツールはOBDに記憶されている故障コード=DTCを読み込みます。

すると、たとえば下記のような画面が表示されます。

DTCが表示された画面

DTCが表示された画面 画像:国土交通省

これにより、ディーラーや修理工場では、上記の例で言うと「エンジンのセンサー回路の電圧が低下している」というように具体的な故障箇所をピンポイントで把握できます。

あとは、不具合の箇所を修理し、修理が完了したらOBDのDTCを消去し、そこで終了です。

法規制:アメリカの場合:OBD1とOBD2

 

OBDとはここまで解説したようにECU内部に組み込まれている自己診断装置のことを言います。

これに対して、OBD1とかOBD2と呼ばれるのは、自己診断装置であるOBDの規格を定めた法規制の呼び名です。

法規制はまずアメリカで始まりました。

OBD1と呼ばれる法規制は、1988年にカリフォルニア州で導入されました。

OBD2と呼ばれる法規制は、1996年からほぼ全米で導入されました。

法規制:日本の場合:J-OBD1とJ-OBD2

 

日本にOBDの法規制が導入されたきっかけは2000年の排出ガス規制です。

日本のOBD規制の内容はアメリカのものと内容が異なるので、区別する意味でJ-OBDと呼ばれることがあります。

J-OBD1は、原則2000年10月以降に生産される車の排ガス規制のために導入されました。

J-OBD2は、原則2008年10月以降に生産される車の排ガス規制のために導入され、J-OBD1より内容が厳しいものになっています。

アメリカの法規制も日本の法規制も、1より2の方がより共通化がなされた規制内容となっていますが、全ての規格が統一化されているものではなく、各メーカー独自の故障コードなどがまだ残っています。

メーカーごとのバラつき、あるいは日本とアメリカ、EU、その他地域との完全な統一規格化にはまだ時間がかかるようです。

2021年からOBD検査が車検に導入

 

国土交通省では「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方検討会」においてOBD検査を車検時に義務付ける方向性を議論してきました。

2019年3月13日の報告において、OBD車検の導入時期について方向性が示されました。

以下の内容になります。

車検でのOBD検査の義務化新型車:2021年から / 輸入車:2022年から。ただし、車検時に「DTC(故障コード)」が読み取られた場合に不合格とする取扱を開始する時期については、検査実施機関における準備や実証のための期間を考慮し、新型車は2024年(輸入車は2025年)以降とする。
対象車種乗用車・バス・トラック・型式指定自動車又は多仕様自動車

わたしたち自動車ユーザーの立場で言うと、この車検へのOBD検査導入というのは、あまり関係ないことではないかと思います。

関係するのは車検を実施するディーラーや修理工場です。

とは言え、ディーラーや修理工場はすでにOBDによる車の整備等は行っているので、まったく新たに何かを導入するという話とも違うようです。

ただし、本格的にOBD車検が始まる予定の2024年以降は、故障コードであるDTCが検出されている間は車検が通らないことになり、放置したり無視したりできないことになるので、その点は何かと大変なのだと思います。

OBD車検の導入は自動運転への布石

 

自動車は自動運転化に向けて様々な運転支援機構が開発され、順次新型車に搭載されています。

たとえば自動ブレーキ・車線維持装置・アダブティブクルーズコントロールなどが代表的なものですが、こうした機器には高度なセンサーや高度な情報処理が不可欠です。

高度なセンサーや高度な情報処理はECUと呼ばれる電子制御装置でコントロールされているので、目視等によるアナログ的な検査手法では故障や不具合が発見できません。

そこで各メーカーではECU内部にOBDと呼ばれる自己診断装置を組み込み、不具合箇所を自己診断できる体制を整えています。

これまでは各メーカーとディーラー・修理工場の取り組みに任せていたOBD検査ですが、今後自動運転に向けた先進技術のさらなる進化を見越して、法定検査の際にECUの不具合を確実に消去しておかなければ重大な事故が多発する恐れがあります。

車検にOBD検査が義務化される流れは、こうした背景によるものです。

下記の記事も参考になさってください。

ご覧いただきありがとうございました。