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目次
【記事丸わかり】
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【プチ調査】神棚にお供えしてはいけないもの|仏壇に供えてはいけないもの
自宅に仏壇や神棚がある場合、日常的にお供えをしますよね。不幸があって弔問する時にも仏壇へお供え物を持参します。
実はお供え物にはマナーやルールがあり、お供えしてはいけないものがあります。この記事では神棚や仏壇に供えてはいけないもの、適さない理由を詳しく解説します。
神道や仏教による考え方が反映されているので、ぜひ、この記事を参考にして正しいお供え物を用意しましょう。
神棚とは?
神棚とは、神社で受けたお神札(おふだ)をお祀りする神聖な場所です。仏壇は故人やご先祖様を祀るのに対し、神棚には伊勢神宮のお神札、地域の氏神様や崇敬している神社のお神礼を飾ります。
自宅やオフィスに神棚を設置し、家族の健康や安全、繁栄を願います。
神棚にお供えするもの
神棚のお供え物は、神饌(しんせん)と呼ばれており、神様へ捧げるお食事を指しています。神棚にお供えする物は、水、米、塩が一般的です。
- 水…その日に使う最初の水、つまり最初に蛇口から出てくる「初水(はつみず)」を供えます。
- 米…日本の主食であるお米を供え、感謝の意を示します。お米は洗米もしくは炊いたご飯を供えます。(参考:宗教法人 東京都神社庁)
- 塩…生命の源とされている塩もお供え物に欠かせません。神道では、海水を火で煮詰めた粗塩は、水と火の関係から生命につながるという考え方があります。
水、米、塩の配置の仕方
米を中央に置き、右手に塩、左側に水を置き横一列に並べるのが一般的です。米と塩は土器や白い小皿に山形にして盛り、水は水器に初水を入れて供えます。
お供え物は毎日交換し、一度神棚にお供えした物は神さまの御霊(みたま)がこもるので、お下げした後は家族でいただきます。
1日・15日には榊やお酒をお供えする
毎月1日と15日は月次祭(つきなみのまつり)の祭礼の日にあたるため、榊やお酒、その月々の新鮮な野菜、果物を神様にお供えします。
- 榊(さかき)…榊は神の木という字の通り、神様が宿ると考えられています。ツバキ科に属する樹木で、「尽きることなく栄える木」の意味を込めて「さかき」を祀ります。
- お酒…神棚にお供えするお酒はお神酒(おみき)と呼ばれています。米から作られる日本酒は、お下がりとしていただくことで、穢れ(けがれ)を払うご利益があります。
日本酒が一般的ですが、その土地で作られている焼酎やワインを供える地域もあります。(※お下がりとは、神さまへお供えしたものを食べる=神様の力を授かるといった意味があります。)
野菜や果物のお供えも可能
季節の果物や旬の野菜、頂き物も神棚にお供えできます。お正月や特別な祝い事(誕生日、入学祝、記念日)がある時は、いただく前に神棚にお供えすると神さまに喜ばれます。
お祝い事で炊いたお赤飯、お正月の鏡餅、地元の祭りで用意した郷土料理などを取り分けて、お供えしましょう。
神棚にお供えしてはいけないもの
神様をお祀りする特別な場所には、お供え物としてふさわしくないものがあります。神棚にお供えしてはいけないもの、お供えする時の注意点について解説します。
匂いの強い野菜
野菜や果物のお供えは可能ですが、ニンニク、ネギといったニオイの強い野菜は避けましょう。また、鮮度が落ちている野菜も神さまに対して失礼になるので、注意が必要です。
洗っていないお米
神様のお供えは汚れていないものが基本です。洗っていないお米は神棚にお供えしてはいけないものとされているため、お米は必ず洗米してからお供えしましょう。
動物のお肉
四つ足の動物のお肉も、神棚にお供えしてはいけないもの。神道では仏教における「不殺生」の考えの影響を受け、四つ足動物がタブーとされています。
肉類全てがダメというわけではなく、二本足の鶏肉を供えることは問題ありません。牛肉や豚肉は神饌として不適切なので、炊き込みご飯やお祝い事の料理に入っていないか注意しましょう。
人が使用した器
人が使用した食器を神棚に使用するのは控えましょう。神棚は神聖な場所であり、神さまに失礼がないように、神さま専用の器を揃えることが大切です。
宝くじや預金通帳
金運のご利益欲しさに、宝くじや預金通帳を神棚に置いている人はいませんか?神棚は神さまが願いを叶えてくれる場所ではありません。
平穏に暮らせることを感謝するために祈る場所なので、ご利益を得るための供え物はふさわしくありません。
神棚にお供えする時の注意点
ここまでは神棚にお供えしてはいけないものについて、解説しました。神棚にお供えする時は次のような注意点があります。
お下がりができない場合は白い紙に包んでから処分
お供え物はお下がりとしていただくのが基本ですが、お供えを神饌としていただけない場合、白い紙に包んでから処分しましょう。お供え物は必ず口にしなくてはいけないといったルールはなく、お水は観葉植物にあげてもいいですし、お酒はお風呂に入れて酒風呂にしても問題ありません。
神棚封じをしている時はお供え物を下げる
神道の考えでは、「死」は穢れに結びつくとされ、家族や親族が亡くなった場合、神棚の扉を閉めて正面を隠すように白い半紙を貼り付けて神棚封じをします。そのため、神棚を封印している間は、お供え物を用意しません。
仏壇にお供えするもの
以上、ここまでは「神棚にお供えしてはいけないもの」を中心に解説してきました。
神棚の次は仏壇です。
法事や法要、お盆の時期にお供え物を持参する機会がありますよね。この章では仏教の教えに基づいて、仏壇にお供えするものを説明します。
仏壇には、香、花、灯明、水、飲食の五供(ごく・ごくう)と呼ばれる5種類のお供え物を用意します。
【香】
お通夜の夜は、線香を絶やしてはいけないと言われますよね。「香」はお線香を指し、身を清らかにすると言われています。
仏教の考えでは、よい香りのお線香をたくことで、故人が供養できると伝えられています。
【花】
仏壇やお墓にお花を供えることを供花(くげ)と言います。お花は亡くなった方の心を癒す意味があり、花屋で仏花(ぶっか)を購入してお供えするのが一般的。
仏花には、菊、ユリ、カーネーション、リンドウといった花もちが良いお花が使われます。自宅の庭に咲いている花や、故人が好きだったお花も可能です。
【灯明(とうみょう)】
灯明は、明かりを灯せるロウソクや灯火を示しています。不浄を払い清める力があり、故人の供養につながります。
お彼岸の時は、先祖や故人が現世に返ってくる目印となっており、あの世とこの世の架け橋とされています。
【水】
仏壇にお水やお茶を供えることを、仏教では「浄水」と言います。亡くなった方は喉が渇くとされており、死者の喉を潤す目的で水を供えます。
また、水の力で心が洗われ清められると言われています。水は、1日の最初に汲み上げられた一番水を準備しましょう。
お茶の場合は、その年の最初に新芽を摘み取って作られた一番茶(新茶)を使用します。
【飲食】
「日々美味しいご飯をいただいて感謝しています」という感謝の気持ちを故人に伝えるため、家族の食べるご飯をお供えします。仏教では仏飯(ぶっぱん)と呼ばれ、ご飯の香りをいただく意味がこめられています。
家族が食べる前にご飯をお供えするのが一般的。お彼岸や命日は、故人の好物や料理を準備して故人をしのびます。
仏壇に供えてはいけないもの
仏教には古くから伝えられているしきたりがあります。仏壇に供えてはいけないものを、理由とともに解説します。
五辛(ごしん)
五辛(ごしん)とは、
- にんにく
- にら
- ねぎ
- らっきょう
- はじかみ(しょうが・さんしょう)
の5種の辛味や臭みのある野菜のこと。興奮や情欲を促す作用があり、仏教においては修行の妨げになると考えられています。
そのため、このような強い匂いや辛いものは、仏壇に供えてはいけないものになります。
肉や魚
生命を宿す動物に対して、無益な殺生をしてはいけないという仏教の考えから、肉や魚、毛皮はお供え物として禁忌されています。肉の味噌漬けや貝類などの海鮮、高級品の魚介の缶詰もお供えに最適だと思われがちですが、加工品も含めて肉や魚は仏壇に供えてはいけないものとして覚えておきましょう。
浄土真宗は水のお供えはNG
浄土真宗では、死者は喉が渇くという考えはありません。人が亡くなってから向かう極楽浄土では、飢えや渇き、寒さなど人間が感じる苦痛が一切存在しないと言われています。
そのため、喉の潤いを満たすためのお水は、浄土真宗ではタブーです。
曹洞宗では「桃」がNG
曹洞宗では、桃は尊い天界の食べ物とされています。先祖の霊があの世から現世に戻ってくるお盆の時期に仏壇に桃があると、故人をあの世から呼び寄せられないと言い伝えられています。
お盆の時期に手土産を持って行く際は、果物の種類にも気を付けましょう。
仏壇を汚す可能性のあるもの
汁の多い果物や傷みやすい野菜は仏壇を汚す可能性があるため、仏壇に供えてはいけないもののひとつ。特にいちごやバナナは、暑い時期は傷みやすいので注意が必要です。
メロン、りんご、パイナップルは匂いも出にくい果物なのでおすすめです。
お供えに向かないお花
親戚の法事や法要でお花を持参する人も多いでしょう。実は、お花の種類にも仏壇に供えてはいけないものがあります。
お供えに向かないお花
お花の特徴 | 適さない理由 | お花の種類 |
匂いが強い花 | 匂いがきついと不快になる | カサブランカ オミナエシ |
毒性のある花 | 毒は死を連想させる | 水仙 スズラン 紫陽花 |
トゲのある花 | 殺生や怪我を連想させる | バラ カラタチ |
人が食する花 | 人が口にするお花はよくないとされている | あわ、きびなどの五穀 オクラ |
名前が良くない花 | 死を連想して縁起が良くない | 彼岸花(死人花)と言われている |
ツルに咲く花 | 他のものに絡みつく | 朝顔 |
傷みやすい花 | 無常を感じさせる | むくげ(一日花) ※一日で枯れてしまう花 |
鉢植え | 根っこがついているので不幸が根付くといわれている |
仏教の考え方によって上記のようなお花は、仏壇に供えてはいけないもの、という扱いになります。
花の本数は奇数が良いとされています。半分に割れない奇数は「喜数」とも言われ、不思議な力が宿る縁起の良い数と考えられています。
お花は、3本、5本、7本といった奇数で購入しましょう。
仏壇に供えるときの注意点
「仏壇に供えてはいけないもの」についてご案内していますが、たとえ供えていいものであっても、仏壇に供えるときは、以下の点に気を付けましょう。
お供えする向きに注意
仏壇は、朝日が昇る東側に仏様がいると言われています。準備に手間がかかるお茶を東側に、水を西側に置くようにしましょう。
ご飯の盛り方は宗派によって異なる
仏壇に供えるご飯の盛り方は、宗派によって異なります。例えば、
- 浄土真宗本願寺派…蓮の花の蕾をイメージして円錐状に盛る
- 真宗大谷派…蓮の実をイメージした円筒状
としています。ご飯を盛る時は、盛糟(もっそう)と呼ばれる専門の道具が必要になる場合もあります。
宗派によって線香の数や供え方が違う
線香の数は、地域や宗派の決まりがあります。浄土真宗では線香1本を2つに折り、香炉の上に寝かせてお供えします。
宗派によってルールが違うので、弔問や法事の際にはご遺族に確認しましょう。
息をふきかけて火を消してはいけない
筆者は実家にいた頃、仏様に息を吹きかけて怒られた覚えがあります。ロウソクの火は、息を吹きかけて消してはいけません。
人間の息には穢れが溜まりやすく、口から直接息を吹きかける行為は不浄とされています。ロウソクの火は、手で仰いで消しましょう。
「おばあちゃんの知恵袋」
お墓参りとか仏壇にお参りをするときに、ろうそくやお線香をつけると思うけど、火を消すときはバチが当たるから息を吹き掛けないで手で風を送って消しなさいって教えられました。#おおまえチャン#おばあちゃんの知恵袋— デラナリ (@deranari_radio) September 19, 2022
まとめ
神棚にお供えしてはいけないもの、仏壇に供えてはいけないものについて解説しました。神棚にお供えしてはいけないものは、以下になります。
- 匂いの強い野菜
- 洗っていないお米
- 動物のお肉
- 人が使用した器
- 宝くじや預金通帳
神道の考え方によりふさわしくない供え物があるので、注意が必要です。ついつい神頼みしたくなりますが、ご利益を得るために宝くじや通帳をお供えしてはいけません。
仏教の考え方にも、供えてはいけないものや決まりがあります。
- 五辛(ごしん)
- 仏壇を汚す可能性のあるもの
- お供えに向かないお花
このように、不浄とされるものや、死を連想させる縁起の悪いものはお供え物には向いていません。また、宗派によっても仏壇に供えてはいけないものがあるので気を付けましょう。
神道や仏教の教えを理解して、ルールを守り適切にお供えをしましょう。
ご覧いただきありがとうございます。
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