ディーラー提供ローンとは

車購入の際に考慮すべき一つの方法として、「ディーラー提供ローン」があります。

ディーラー提供ローンとは、車を販売している新車・中古車ディーラーが仲介業者として提供しているローンのことです。

自動車メーカーの子会社・信販会社のローン

たとえば、トヨタのディーラーなら、トヨタの子会社であるトヨタファイナンスのローンを提供しています。

また、ほとんどの中古車ディーラーでは、オリコジャックスなどの信販会社のローンを扱っています。

メリット

ディーラー提供ローンの大きな特徴の一つは、車の購入と融資が一体化されていることです。

顧客は、車を購入すると同時に、その購入資金をディーラーから融資してもらう、という方式です。

車を買う側からすると、購入資金を別途自分で用立てる手間が省けます。自分で信販会社や銀行と交渉して、手続きを進める手間がなく、すべてディーラーの担当者に丸投げできるのです。

また、車を購入する際に、今乗っている車をディーラーに下取りに出す人もいるでしょう。

そうなると、下取り⇒⇒購入⇒⇒ローン組み、これらすべてをディーラーに「お任せ」でやってもらえます。

手間いらずで、簡単で、お気楽です。

このお気楽さこそ、ディーラー提供ローンの最大のメリットです

デメリット

ディーラー提供ローンは、たとえばトヨタファイナンスなどの自動車メーカー子会社の信販会社、あるいはオリコやジャックスなどの独立した信販会社が扱うローンです。

こうした信販系のローンの特徴は、金利が高いことです。

金利が高い

トヨタディーラーが扱うローンでは、残価設定ローンの場合は実質年率は6.8%程度、通常ローンの場合は実質年率8.8%言われています。(カルモマガジン

日産の場合はもう少し低くて、残価設定ローンの実質年率は4.9%程度、通常ローンの実質年率は6%程度のようです。(カルモマガジン

いっぽう、中古車大手のネクステージの場合、実質年率は9.8%が基本で、交渉により6%前後まで引き下げ可能とのこと。(中古車情報BOX

ガリバーの場合は、実質年率9%台という情報があります。(やさしいお金の借り方ガイド

いずれにしても、こうした情報から言えることは、新車ディーラーも中古車ディーラーもローン金利は高めである、という事実です。

銀行の金利は低い

いっぽうで、たとえば、価格コムの銀行カーローン・ベスト3は以下の3行です。

  1. 損保ジャパン ジャパンダ・ネットマイカーローン(固定金利):実質年率1.400%~3.950%
  2. 三菱UFJ銀行 ネットDEマイカーローン:実質年率1.500%~2.450%
  3. 横浜銀行マイカーローン:実質年率0.900%~2.400%

上記のように、ランキング上位にある銀行のカーローン金利は、0.9%~3.95%のあいだです。

ディーラー提供ローンである信販系の4.9%~9.8%と比較すると、かなりの差があることがわかります。

⇒⇒信販系ローンと銀行ローンの金利差4.0%~5.85%

※上記数値はすべて2023年7月時点。数値は変動します。

メリット・デメリットのまとめ

ディーラー提供ローンのメリット・デメリットをもう一度わかりやすくまとめてみます。上記説明で漏れている部分もあるので、それも含めてまとめます。

分類詳細
メリット貯金がなくても高額な車を購入することが可能
車の購入とローンの手続きを一度に行えるため、手続きが簡単
審査が比較的ゆるい
デメリット銀行ローンに比べて利息が高い
車の所有者が最初はローン会社またはディーラーになる

【事例】ディーラーローンと銀行ローンの比較

ディーラー提供ローンと銀行カーローンを実例によって比較してみます。

【ディーラー提供ローン】
  • 融資額:300万
  • 返済期間:6年(72回)
  • 実質年率:9.8%

⇒⇒トータルの返済額:398万円

【銀行カーローン】
  • 融資額:300万
  • 返済期間:6年(72回)
  • 実質年率:2.28%

⇒⇒トータルの返済額:321万円

398万-321万=77万

上記のように、ディーラー提供ローンと銀行カーローンのトータルの返済額の差額は、

77万円

となります。

このように、金利差というのは、返済額が大きくなり、返済期間が長くなればなるほど、トータルの差額は非常に大きなものになります。

逆に、融資の額が50万で、返済期間が1年(12回)程度であれば、多少金利差があっても、あまり差は付きません。

額が大きく期間が長いローンは金利を最優先

上記の比較例からわかるように、融資の額が大きく、返済期間が長い場合は、少しでも金利が低いローンを選択すべきだという結論になります。

上記の例では77万円の差額が付きました。

これだけの差額が付くと、

ディーラーローンは全てお任せで手間いらずでお気楽だからいい

などと言っていられないと思います。

実際のところ、たとえば、銀行のカーローンを自分で手続してローン組みする手間は、それほど大したものではありません。

今では、全ての手続きがネットで完結します。

また、以前ほど銀行の審査は厳しくありません。※ゼロ金利政策の元、銀行もお金を貸さないと商売が成り立ちませんから。

そういうわけで、ある程度の額を比較的長期で返済するローンをくる場合は、お気楽なディーラー提供ローンでなく、ちょっとだけ手間をかけて銀行カーローンにすべきです。

⇒⇒銀行のカーローンの詳細

ディーラー提供ローンを利用すべき時がある:超低金利キャンペーン

たとえば、アウディジャパンでは、高級セダンA6の購入にあたって「頭金サポート11万円+低金利1.99%(実質年率)」というのを実施しています。※2023年7月時点

アウディでは、新車だけでなく認定中古車にも「Audi 認定中古車Sローン 1.99%(実質年率)」というキャンペーンを実施しています。※2023年7月時点

あなたが車を購入する予定のディーラーで、こうした低金利キャンペーンを行っていたら、ぜひともディーラーのローンを活用すべきです!

銀行カーローンは常に他のローンより金利が低いのが特徴ですが、さすがにこうした低金利キャンペーンには敵いません。

ディーラーが低金利キャンペーンを展開していたら、迷いなく、躊躇なく、ディーラーローンを利用してください。

逆に言うと、そうしたキャンペーン以外では、終始一貫して、銀行カーローンの方が有利です。

⇒⇒銀行のカーローンの詳細