【プチ調査】ノウゼンカズラは植えてはいけない?毒性がある?

ノウゼンカズラ・植えてはいけない・毒性




【プチ調査】ノウゼンカズラは植えてはいけない?毒性がある?

※トップ画像はノウゼンカズラの花(by Wikipedia)

今では日本全国の一般家庭の庭にごく普通に植えられているノウゼンカズラですが、一時期は神社仏閣等のごく限られた場所をのぞき、ほとんど目にすることがない植物だったようです。

それは、今では迷信あるいは誤った言い伝えであることが認識されるようになっていますが、ノウゼンカズラには毒性があって、花の蜜に手を触れると手がかぶれ、鼻を近づけると脳がやられ、花に触れた手で目をこすると失明する、だからこの植物は植えてはいけない、と言われていたのです。※花の蜜に含まれるのは「ラパコール」という成分のようです

また、ノウゼンカズラを植えてはいけないと言われ続けた理由にはもう一つの要因があって、それはつる性の植物であるノウゼンカズラの圧倒的な生命力の強さです。

とにかくちょっと気を抜いて剪定を怠ると、つるの節から気根きこんを出し、その辺にある木や壁や塀などにどんどんからみついて、横にも上にもはびこっていき、からみついた木を枯らすこともありますし、いったん家の壁にはわせると、後からそれを引きはがした際に壁に跡が残ってしまうこともあります。

また、手に負えなくてノウゼンカズラを処分しようと根を引き抜いても、あっちこっちでひこばえ(伐った木の切り株などから新たに出てくる芽のこと)が芽生えてきていたちごっこのようになります。本気でお終いにするにはある程度広い範囲に除草剤をまく必要があり、他の草木にも影響を与える恐れがあります。

このように、「ノウゼンカズラを植えてはいけない」と古くから言い伝えられてきた要因を辿ると、毒性に関する迷信と誤解、そして生命力の強さからくる手入れの大変さ、この2つの要素が浮かび上がってきました。

けれども、現在では日本全国の一般家庭から公共の場にいたるまで、ハイビスカスのようなトロピカルな雰囲気をもつノウゼンカズラは幅広く愛されていて、むしろ人気の高い植物です。札幌の大通公園でも7月下旬~9月中旬には赤、黄色、オレンジといった鮮やかな花々が咲き誇っています(と自分で見てきたように書いていますが、そうですよね、札幌の皆さん?)。

「毒性」の起源を辿ると

「ノウゼンカズラを植えてはいけない」というテーマでプチ調査した結果、あくまでも私のリサーチした範囲ではありますが、<起源>と言えそうな資料に出会いました。

それは、江戸時代の本草学者・儒学者である貝原益軒かいばらえきけん(1630-1714)の著書『花譜かふ』に出てくる次の記述です。

凌霄花りょうしょうか(ノウゼンカズラのこと):其つる長数尺のとき、木を得てよぢのぼり、松の木に多くははゝしむ。藤かづらのごとし。花黄赤色なり。夏秋花ひらく。花を鼻にあてゝかぐべからず。脳をやぶる。花上の露目に入れば、目くらくなる。

上記の赤字部分の記述が長らく日本では言い伝えられてきて、その結果、一般の人の口にも「花のにおいをかぐと頭がおかしくなり、花が目に触れると失明する」と言われ続け、そしてここが重要ですが、Wikipediaによると、ノウゼンカズラは「実際は無毒であるにも関わらず1970代頃までの古い植物図鑑や百科事典などでは有毒と記されていたものが多く存在した」のだそうです。

植物図鑑や百科事典に「有毒」と記載されていれば、普通の人は誰だって危ない植物だと思うのは当たり前ですよね。

私のようなブロガーでも、そうした書物に危険だと書いてあれば、プチ調査の結果として「ノウゼンカズラには毒性があって危険です」と自信をもって書くと思います。つまり、誤った情報を拡大再生産する手先に結果としてなってしまうわけです。

でも、現在では修正されているようです。ネットの記載に関しても、「昔は毒性について言われたけれど今はそんなことないですよ」という文言がほとんどです。

ただ、大方はそうなのですが、全くの無毒だと断定しているページがないのも事実です。どのページにも「花に手を触れるとかぶれることがあり、またその手で目を擦ると腫れあがることがあるので、剪定をしたりする際は手袋をしたほうがいい」といった記述が添えられているものがほとんどです。

結局のところ、ノウゼンカズラには昔から言われて来たような強い毒性はなく、むやみに恐れる必要はないけれど、やや取り扱いに注意したほうがいい植物ですよ、という結論に現在のところなっているようです。

「過去の迷信」とも言えないご近所トラブルの例

「ノウゼンカズラを植えてはいけない」という言い伝えは、少なくとも毒性に関してはすでに疑いが晴れていると言っていいと思います。

けれども、Wikipediaの記述にあるように、過去の一時期に植物図鑑や百科事典に「毒性アリ」と記されていたという事実は、1世代や2世代では消せない記憶として残ってしまうもののようです。

2007年の事例になりますが、「教えて!Goo」に下記のような相談が寄せられています。

家の庭にのうぜんかずらを植えて大きくなりました。とてもきれいな花が咲きますが、近所のおばさんが毒があるから切れと。それを近所に触れ回っています・・・

近所のおばさんは図鑑を持ってきて「一説に毒性があるとも言われている」という記述を示し、また相談者の両隣の住人にも毒性のことを伝えていたので、両隣の住人もノウゼンカズラのことを気にかけていたようだ、とのこと。

このケース、「近所のおばさん」が実際に自分の近所のおばさんであったら、けっこう困った状況だと思います。昔の図鑑や辞典を今でも本棚に飾っている人は大勢いますから、毒性があると記載してある本は、その本の所有者にとっては「今現在の正しい情報」として受け取る可能性大です。

それをさらに近所の別の住人に言い触らせば、言われた方も不安になるでしょう。自分でネットを調べても全くの無毒だという記述はなくて、手がかぶれたり眼が腫れたりするという記述もありますから、小さなお子さんがいる家庭なら、庭で遊んでいる子供が花に触れて、後遺症になるような眼の障害を負ったらどうしよう、と心配になる気持ちもわかります。

この相談者は結局ノウゼンカズラを庭師に頼んで切ってしまったようです。

2022年の今現在でも、これと類似のご近所トラブルが発生しても全然不思議ではないと思います。

そんな時は、「近所のおばさん」にスマホの画面を見せて、毒性はないという最新の見解が載った複数のページを読んでもらうか、あるいは、最新の植物図鑑等を持参して、毒性を否定しているページを読んでもらうか、そうした方法しかないのかもしれません。

自分の近所の話として受けとめると、けっこう悩ましい事案だと思います。

「ノウゼンカズラは植えてはいけない」という言い伝えは、この事例を見れば明らかなように、今現在でも一定の信ぴょう性を持って生き続けていると言うべきかもしれません。

研究者のどなたか、シュッ、と決着をつけていただけないでしょうか?

ですが、今では広く愛されているノウゼンカズラの特徴

毒性と呼べるほどの危険はないものの、それでもモヤっとした部分が残るノウゼンカズラですが、今では日本全国広くそこら中に行き渡っている花で、とても「植えてはいけない」と認識されている植物ではないと思います。

実際、このページのトップ画像にあるオレンジ色の花を皆さんもいろんな場所で目にした記憶がおありではないでしょうか?

ノウゼンカズラの花は、大きいものだと10センチはあるので、派手な発色と相まって、けっこう目立ちます。熱帯風のテイストを持ち、自己主張が強くてよくしゃべる人のような印象で、決して「可憐な」花ではないですね。

でも、そこがいいところかもしれません。可憐で消え入るような花ばかりだと脳がシャキッとしないと思います。

さて、ムダ口はこのくらいにして、以下にノウゼンカズラの特徴をご紹介します。

  • ノウゼンカズラは中国原産のノウゼンカズラ科・ノウゼンカズラ属のつる性落葉樹です。
  • 漢字では「凌霄花」と書き、りょうしょうか、と読みます。英語名はどうでもいいのですが、わかりやすいのでご紹介すると、Chinese trumpet vineです。中国原産のトランペット型のつる植物(vine)というわけです。もう1つの英語名はChinese trumpet creeperで、vineがcreeperに変わっただけで、creeperも同じくつる植物の意味です。
  • ノウゼンカズラは暑さにも寒さにも強く、とくにマダム・ガレンとういう品種は寒さに強いことで有名です。植えるには日当たりと水はけのよい場所が適していて、土の質はたいていのものに適応するようです。
  • 園芸店やホームセンターなどで販売されているノウゼンカズラのポット苗は1,000円くらいから入手できます。最初はただの1本に過ぎませんが、これがやがて長く伸びていって、庭の広い面積を覆うまでに成長します。
  • ノウゼンカズラの苗を植える時期は3月~4月が最適です。土質は選びませんが、最初は土に堆肥をよく混ぜ、苗に生えている根を四方に広げて植えてください。そして苗には支柱を取り付け、つるが伸びる方向を誘導するようにしてください。
  • ノウゼンカズラの植え付けは、庭の地面だけでなく、鉢植えも容易です。鉢植えの場合も支柱を取り付け、鉢の大きさに合わせたオベリスクを組み合わせると、場所を取らずに育てることができます。
  • ノウゼンカズラにはバラのような棘はなく、とても扱いやすい木で、ほとんど失敗なく誰でも育てることができます。育てることにエネルギーを注ぐのではなく、育ちすぎて暴れるのをコントロールすることに大きなエネルギーが必要になる植物です。
  • ノウゼンカズラの花は7月~10月頃に開花します。トランペットのような形の花で、遠目には朝顔と間違われることがありますが、近づいて見れば朝顔のように可憐なはかなさはなく、肉厚でけっこうしぶとそうな様子です。まあ、きれいですけど。
  • ノウゼンカズラはいろんな面で耐性が強い植物なので、そうとうな大木になっても丸ごとの植え替えが容易にできます。植え替え時期は春が適しています。
  • ノウゼンカズラの樹高(幹の部分の高さ)は3~10mほどになります。木は1本でも、そこからつるが長く伸び、つるの節のところから気根(地中ではなく空気中に出てくる根っこのこと)を出して、つぎつぎと他の物に吸着して這い広がっていきます。放っておくとフェンスや壁や他の樹木などを覆いつくすまでに成長するので、そうならないように定期的な剪定によりコントロールする必要が大いにあります。逆に、庭先のしっかりコントロールされたノウゼンカズラの姿は、庭の主の品格やセンスを広く周囲に知らしめることになります。主が自分で作業するには気力体力が必要ですが、庭師にやってもらうにはお金が必要です。
  • ノウゼンカズラは生命力が強い植物ですが、特に根は極めて丈夫で、もう育てるのを止めにして根を引き抜いたつもりでいても、そのうちにあちこちからひこばえが顔を出します。本気で根絶やしにするには除草剤の力を借りる必要があると思います。その際は他の植物への影響が最小限になるよう注意してください。
  • ノウゼンカズラは、根絶やしの反対に増やしたい場合はとても容易です。いわゆる「根挿ねざし」で増やすことができます。根の5cm程度の太さのところを切り取って、それを増やしたい場所に植えると、そのうちに芽を出して、その後はどんどん成長していきます。
  • ノウゼンカズラにつきやすい虫はアブラムシで、春先のまだ芽が柔らかい時期に集まってきます。
  • ノウゼンカズラの種類:ノウゼンカズラは、花の色はオレンジまたは朱色。アメリカノウゼンカズラまたはコノウゼンカズラは、小型で、花の径は3cm~4cmていど、花の色は橙紅色とうこうしょく・・・つまりオレンジまたは朱色?開花時期は7月~9月までで、花数が多いのが特徴。マダム・ガレンはノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラの交配種で、花の径は5cm~6cmていど、開花時期は8月~10月まで。ヒメノウゼンカズラは、花の色は黄色または赤、つるが短めなのが特徴。ただし、上記の種類と特徴に関しては参考程度にしてください。ノウゼンカズラの種類に関しては、調査したページごとに記述がバラバラで何かしら統一した定義のようなものは存在しないようです。ほとんど言いたい放題の状態です。園芸に携わる皆さんは頭が混乱しないのだろうかと心配になるほどです。とにかく記述がバラバラ。頭クラクラです。
  • ノウゼンカズラの花言葉は「名誉」「栄光」「名声」といったカッコいいものばかり。一説には、花の形がトランペットのようであり、栄誉を祝して吹き鳴らすファンファーレを連想させるから、といった説明があります。花の盛りの時期は、けっこう重量がありそうなのに、確かに斜め上を向いて咲き誇っているので、ここは素直にそうした説を受け入れたいと私は思いますが、みなさんはいかがですか?

まとめ

このページでは「ノウゼンカズラは植えてはいけない?毒性がある?」というテーマで私がプチ調査した結果をご報告しました。

とにかく生命力が強い植物で、いったん根付き、成長を始めると、その後は庭の主の適応力とかバイタリティーを試すかのように、勢いよくどんどん無秩序に成長していく性質を持つので、いつしか「ノウゼンカズラは植えてはいけない」と言い伝えられるようになったと思われます。

そして、もう一つの要因は毒性で、古来より(というか、たぶん江戸時代あたりから)、この花には脳や目に重篤な損傷を与える毒性があると言い伝えられ、それが一時期は百科事典や植物図鑑に記載されるまでになって、一般の人々にも広く伝わっていくにつれて、「ノウゼンカズラは植えてはいけない」と言われるようになったようです。

やがて、近年になってそうした言い伝えは根拠のない迷信として退けられるようになりつつありますが、それでも「無害」という記述は見当たらず、危険なほどの毒性はないけれどある程度は人体に悪さをする性質を持つ植物、といった記載内容に落ち着いているようです。

以上、あまりパッとしない結論で恐縮ですが、これが今回の私のプチ調査の結果です。

ご覧いただきありがとうございました。

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