1998年に始まったバイクの排ガス規制ですが、2008年、2012年、2016年とより厳しい内容に改定され、いよいよ2020年からEURO5相当の規制内容になります。
この2020年の排ガス規制が決定されたのが2018年6月です。
そこで2020年の新たな排ガス規制ですが、これまで同様に全て一律に適用されるのではなく、新型車は2020年末から、継続車は2022年末からの適用になります。
また、メーカーだけでなく多くのユーザーも懸念していた原付一種(50cc以下)への適用は2025年末からになり、ひとまず安心といったところです。
2016年の規制内容はEURO4に準拠
1998年に始まったバイクの排ガス規制は、規制項目や規制方法が常に同一のやり方で行われてきたものではありません。
ただ、その変遷に触れるとかなり混み入った話になるので、このページでは2016年の規制内容と2020年の規制内容に限定してお話します。
まずは2016年規制ですが、その前に、規制が適用される3つのクラスと、規制対象となる検査物質について。
- クラス1:50cc~150ccかつ最高速度100km/h未満
- クラス2:150cc未満かつ最高速度130km/h未満または150cc以上かつ最高速度130km/h未満
- クラス3:最高速度130km/h以上
- CO(一酸化炭素)
- HC(炭化水素)
- NOX(窒素酸化物)
では、2016年の排ガス規制の内容です。
クラス1 | クラス2 | クラス3 | |
CO値 | 1.14 | 1.14 | 1.14 |
HC値 | 0.30 | 0.20 | 0.17 |
NOX値 | 0.21 | 0.17 | 0.09 |
(g/km)
EURO4という国際基準に準拠した内容になり、結果として、バイクメーカーは国内仕様・国外仕様といった区別を付けずに生産可能になり、メリットも生まれました。
上記の数値以外に、OBD(車載式故障診断装置)が義務化され、燃料蒸発ガス規制も適用されることになりました。
OBD(車載式故障診断装置)とはOn-Board Diagnosticsの略で、排ガス関連の装置に断線や異常がないかを監視する装置のことです。
また、燃料蒸発ガス規制とは、燃料タンクのキャップに付いている空気抜きの穴から外に漏れる気化ガソリンに関する規制です。
2020年の規制内容はEURO5に準拠
次に、2020年の排ガス規制の内容です。
クラス1 | クラス2 | クラス3 | |
CO値 | 1.00 | ||
NOX値 | 0.06 |
(g/km)
EURO5に準拠した内容です。
規制対象となる物質ですが、上記COとNOXは2016年と同じでそれぞれより厳しい内容になっていますが、これ以外にTHC・NMHC・PMが規制対象に加わりました。
OBD(車載式故障診断装置)もより内容の進化が求められ、単に異常を知らせるだけでなく、性能劣化やトルク低下も検知し、さらに規制値に満たない違法マフラーの取り付けを防止する機能なども担うことになります。
2020年規制が適用されるのは新型車も継続生産車も一律ではなく、導入時期には移行期間(猶予期間)を設けています。
新型車 | 2020年末から |
継続生産車 | 2022年末から |
なお、原付一種(50cc以下)への適用は2025年末からに決定されました。
排ガス規制の度にカタログ落ちするバイクが発生する
1998年から始まったバイクの排ガス規制ですが、これまでの経過を振り返ると、規制が適用される度に数多くのバイクが生産終了に追い込まれています。
とりわけ、空冷エンジンで比較的排気量が少ないバイクは、機構上、排ガス浄化装置による負担が過重になるため、市場から消えていく車種が数多く発生しました。
また、設計段階から排ガス規制に適合させる新型車に較べて、継続生産車に新基準の排ガス装置を追加することは、車重を増やすだけでなく、コストも割高になって、結局は生産の継続が不可能という事態に陥ります。
2020年の新基準では、とりあえず原付一種への適用時期が5年間先延ばしにされました。
原付一種のような小排気量・軽重量・低価格のバイクにとって、排ガス浄化装置の取り付けは死活問題です。
車両重量が増えたり値段が高くなってもかまわないのであれば、そうしたバイクを製造することは簡単です。
でも、そんなバイクは誰も買わないでしょう。
一時は、
「原付は絶滅する」
と言われていたほどです。
ただし、近い将来は現在の原付一種は全て電動バイクに移行していくかもしれません。※出川さんの番組見てるとバッテリーの持ちが心もとないですが・・・
中古車購入と車検と排ガス規制の関係について
たとえば、2016年の排ガス規制の場合、実際に規制が適用されたのは、新車の場合2016年10月1日からでした。
2019年の今バイクショップで2016年8月新規登録したバイクを購入する場合は、このバイクは2016年排ガス規制の対象外のバイクなので、いずれやってくる車検の際にも2016年排ガス規制の数値をクリアしなくても車検は通ります。
今後2020年の排ガス規制が導入された後も、考え方は同じです。
最初の排ガス規制が導入された1998年より前に生産されていたバイクを中古で購入した場合、全ての排ガス規制の対象外になります。
その他のマフラー・排ガス関連の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。