目次
第1章:車両保険の金額は自分で決められる?「選べる範囲」の仕組み
自動車保険に加入するとき、自分の車の車両保険をいくらにするか悩む人は多いです。
結論からお伝えすると、車両保険の金額は完全に自由には決められません。
たとえば、100万円で買った車に「心配だから300万円の保険をかけたい」と思っても、それはできない仕組みになっています。
なぜなら、車両保険の金額には、保険会社があらかじめ決めた「選べる範囲」があるからです。
この選べる範囲のことを、専門用語では「協定設定範囲(きょうていせっていはんい)」と呼びます。
保険会社が提示する「協定設定範囲」とは?
保険会社は、あなたの車の「型式(車種の詳しい種類)」や「初度登録年月(その車が初めて登録された年と月)」を調べます。
国が認めた基準である「自動車保険車両標準価格表」などを使って、その車の現在の価値を計算します。
その結果として、保険会社から「あなたの車の保険金額は、160万円から210万円の間で決めてください」というように、価格の幅が提示されます。
この提示された幅の中であれば、あなたが自分の意思でいくらにするかを自由に決めることができます。
完全に自由ではないものの、決められた枠の中であれば自分でコントロールできる、というのが正しい仕組みです。
なぜ金額に「幅」があるのか?
同じ車種で同じ年式の車であっても、購入するときの金額は人によって異なります。
カーナビを豪華にしたり、高級なシートにしたり、オプションをたくさんつける人がいるからです。
このような個別の違いに対応するために、保険会社は金額に数十万円の「幅」を持たせています。
提示された範囲の中で、上限に近い金額を選ぶか、下限に近い金額を選ぶかは、契約者が選ぶことができます。
金額を高く設定すれば、事故で車が壊れたときにもらえる保険金は多くなりますが、毎月の保険料は高くなります。
金額を低く設定すれば、もらえる保険金は減りますが、毎月の保険料を安く抑えることができます。
まずは、保険会社から提示される「協定設定範囲」の枠の中で自分で選ぶ、という基本を押さえておきましょう。
第1章の要点まとめ
| 項目 | 車両保険の金額設定のルール |
|---|---|
| 金額の決定権 | 完全に自由ではなく、保険会社が提示した幅の中で自分で決める |
| 価格の幅の名前 | 協定設定範囲(きょうていせっていはんい) |
| 幅が決まる基準 | 車の「型式」や「初度登録年月(年式)」をベースに計算される |
| 金額による違い | 高くすると補償は手厚くなるが、毎月の保険料は高くなる |
| 引用元・参照元一覧(外部サイト) |
|---|
| ソニー損保「車両保険の保険金額(契約金額)はどのように決めればよいですか?」 |
| 損保ジャパン「車両保険金額はどのように決めればよいですか?」 |
| アクサダイレクト「車両保険金額(ご契約金額)の決め方について」 |
| 日本損害保険協会「自動車保険 契約・付帯時の注意点」 |
第2章:【ケース別】車両保険金額の具体的な目安と計算方法
車両保険の金額がいくらになるかは、あなたの車が「新車」か「中古車」かによって大きく変わります。
また、2年目以降の「更新(継続)」のときにも金額は変化します。
それぞれのケースで、どのように金額の目安が計算されるのかを具体的に見ていきましょう。
新車(購入から1年未満)の場合
新車を買った場合の車両保険金額は、とてもシンプルです。
実際にあなたがお店に支払った「購入価格」がそのまま基準になります。
具体的には、車の本体価格だけでなく、カーナビなどのオプション代や消費税をすべて足した金額です。
たとえば、総額250万円で購入した新車であれば、車両保険の金額も「250万円」を中心とした範囲で設定することになります。
新車の場合は、万が一のときに再び同じ車を買い直せるだけの金額を設定するのが一般的です。
中古車の場合
中古車の場合は、少し注意が必要です。
中古車の車両保険金額は、あなたが実際に「お店で買った金額」とは一致しないことがよくあります。
なぜなら、中古車の価格は、お店の利益や車の状態(傷の有無など)によってバラバラだからです。
そのため保険会社は、その車と「同じ車種・型式・年式・グレード」の車が、今の市場でいくらで売られているかという「市場販売価格相当額(時価)」を基準にします。
たとえば、知り合いから10万円で譲ってもらった中古車であっても、市場での価値が50万円であれば、50万円をベースにした範囲で保険をかけることができます。
逆に、プレミアがついて相場より高く買った車であっても、保険会社が定める基準の範囲内でしか金額を設定できないケースもあります。
継続契約(2年目以降)の場合
車の保険を毎年更新していると、車両保険の金額が毎年少しずつ下がっていくことに気づくはずです。
これは、車が時間が経つにつれて古くなり、価値が下がっていくためです。
この仕組みを、専門用語で「減価償却(げんかしょうきゃく)」と呼びます。
一般的には、前の年の保険金額から、およそ10%から20%ほど下がった金額が新しい年の「選べる範囲」として提示されます。
去年は200万円までかけられた車でも、今年は170万円が上限になる、というように自動的に枠が下がっていきます。
自分の車の価値に合わせて、保険の補償額も毎年見直されていくのが自動車保険のルールです。
第2章の要点まとめ
| 車の状態 | 車両保険金額の計算ベース |
|---|---|
| 新車(1年未満) | 実際の購入価格(本体+オプション+消費税) |
| 中古車 | 市場での価値である市場販売価格相当額(時価) |
| 継続(2年目以降) | 年数経過(減価償却)により前年より10%〜20%下がる |
| 引用元・参照元一覧(外部サイト) |
|---|
| SBI損保「新車・中古車の場合の車両保険金額の決め方」 |
| チューリッヒ保険会社「中古車の車両保険金額の決め方と市場販売価格相当額とは」 |
| 三井ダイレクト損保「2年目以降の継続契約における車両保険金額について」 |
| 東京海上日動火災保険「車両保険の概要と価格の減価償却について」 |
第3章:車両保険の金額に「含まれるもの」と「含まれないもの」
車を買うときには、車両本体の代金以外にも、さまざまな費用を支払います。
しかし、支払った総額のすべてを車両保険の金額にできるわけではありません。
何が保険の対象になり、何が対象にならないのか、その境界線を詳しく解説します。
車両保険の金額に「含まれるもの」
車両保険の金額に含めることができるのは、原則として「車と一体になっているもの」です。
具体的には、以下のようなアイテムが対象となります。
まず、自動車の車両本体価格です。
次に、メーカーオプションやディーラーオプションのパーツです。
たとえば、車体にネジやボルトでしっかりと固定されている純正カーナビやカーステレオがこれに該当します。
そのほか、フロアマットやサイドバイザー, ETC車載器なども含めることができます。
これらの購入にかかった消費税も、保険金額に含めて計算して大丈夫です。
車両保険の金額に「含まれないもの」
一方で、車を買うときに支払っていても、車両保険の金額に含めてはいけない費用があります。
それは、車そのものの価値とは関係がない「手続きの費用」や「税金」などです。
具体的には、自動車税や重量税、環境性能割などの税金が挙げられます。
法律で加入が義務づけられている自賠責保険料も含まれません。
さらに、ディーラーに支払う検査・登録代行費用や、車庫証明の申請費用などの諸費用も対象外です。
また、パーツの取り付けにかかった工賃や、納車整備費用なども含めることはできません。
これらは「書類上の手続き」や「作業の手間」に対して支払うお金だからです。
勘違いしやすい「後付けのカー用品」
購入したあとに自分で買ったカー用品にも、注意が必要です。
工具を使わずに、手で簡単に取り外して持ち出せるものは、車両保険の対象になりません。
たとえば、シガーソケットに挿すだけのポータブルナビや、ドライブレコーダーがこれにあたります。
車内に置いてあるクッションや、洗車グッズ、ボディカバーなども含まれません。
車両保険の金額を決めるときは、お店からもらった見積書の「合計金額」をそのまま入れるのではなく、諸費用を引いた金額をベースに考える必要があります。
第3章の要点まとめ
| 区分 | 具体的な費用の例 |
|---|---|
| 金額に含めてよいもの | 車両本体、固定されたナビ、オプションパーツ、消費税 |
| 金額に含めてはいけないもの | 自動車税、自賠責保険料、登録諸費用、取付工賃 |
| 補償の対象外となるもの | 簡単に外せるポータブルナビ、車内の私物、洗車用品 |
| 引用元・参照元一覧(外部サイト) |
|---|
| 損保ジャパン「車両保険の対象となる「定着物」や「積載物」とは何ですか?」 |
| ソニー損保「車両保険金額に各種の諸費用や税金を含めることはできますか?」 |
| セゾン自動車火災保険「おとなの自動車保険:車両保険金額の決め方の注意点」 |
| イーデザイン損保「車両保険の補償範囲に含まれる付属品の定義について」 |
第4章:保険料を安く抑えたい!自分で調整できる2つのポイント
車両保険をつけると、どうしても自動車保険の保険料は高くなってしまいます。
しかし、保険会社から提示された設定のなかで、自分で工夫して保険料を安くする方法があります。
賢く固定費を抑えるための、2つの具体的な調整ポイントを解説します。
1. 設定範囲の「下限」を選ぶ
第1章でお話しした通り、保険会社からは「160万円〜210万円」というように、金額の幅が提示されます。
この幅の一番低い金額である「下限」を選ぶことで、保険料を安くすることができます。
金額を低くすると、万が一のときにもらえる保険金の最高額は減ってしまいます。
しかし、車が少し傷ついたときの修理代などは、上限を選んでいても下限を選んでいても、同じように全額補償されます。
「大きな事故のときの手厚さよりも、毎月の支払いを減らす方を優先したい」という場合は、下限を選ぶのがおすすめです。
2. 「免責金額(自己負担額)」を高くする
もうひとつの強力な方法が、「免責金額(めんせききんがく)」を高く設定することです。
免責金額とは、簡単に言うと「事故で車を修理するときに、自分で最初に支払う自己負担の金額」のことです。
たとえば、免責金額を「10万円」に設定したとします。
車の修理代が30万円かかった場合、最初の10万円は自分が支払い、残りの20万円を保険会社が支払ってくれます。
この自己負担の金額を、「0円」ではなく「5万円」や「10万円」というように高く設定するほど、毎月の保険料は安くなります。
保険会社が支払う金額が少なくて済むようになるため、その分だけ保険料の割引率が大きくなる仕組みです。
損害保険会社によっては、0万円から20万円の間で、複数のパターンから自分の予算に合わせて選ぶことができます。
知っておきたい全損時のルール
免責金額を設定するときに、ひとつ覚えておくと安心なルールがあります。
それは、車が修理できないほど大破してしまったときや、盗難に遭ったときなどの「全損(ぜんそん)」のケースです.
全損のときは、たとえ免責金額を10万円に設定していたとしても、その10万円が差し引かれることはありません。
設定していた車両保険金額の全額がそのまま支払われます。
「小さな修理は自腹で直すけれど、車が全損したときの買い替え費用だけはしっかり確保したい」という人は、免責金額を高く設定して保険料を賢く抑えています。
第4章の要点まとめ
| 調整するポイント | 保険料への影響 | メリットと注意点 |
|---|---|---|
| 設定範囲の「下限」を選ぶ | 保険料が安くなる | 小さな修理の補償額は変わらないが、全損時の保険金が減る |
| 免責金額を高くする | 保険料が大きく安くなる | 毎月の出費は抑えられるが、事故時の自己負担(5万〜10万円など)が増える |
| 全損事故が起きたとき | 影響なし | 免責金額は差し引かれず、保険金の全額が支払われる |
| 引用元・参照元一覧(外部サイト) |
|---|
| SOMPOダイレクト「おとなの自動車保険:車両保険の免責金額(自己負担額)の設定について」 |
| ソニー損保「車両保険の免責金額(自己負担額)はいくらに設定するのがよいですか?」 |
| アクサダイレクト「車両保険の免責金額(自己負担額)とは?」 |
| 三井ダイレクト損保「車両保険の免責金額と全損時の支払いルールについて」 |


