【記事丸わかり】
⇒⇒車両保険金は修理しなくてももらえます! |
事故で破損した車を修理する際、相手の対物賠償保険から支払いを受けるケース、あるいは自分の車両保険から支払いを受けるケース、いずれのケースでも車を修理しないで保険金だけ受け取ることは可能です。
これは「裏技」などではなく正規の方法です。
ただし、いくつか注意すべき点もあるのでそうした注意点も含めて詳しくご説明したいと思います。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
修理しないで保険金だけ受け取る:OKです!
事故で車の修理が必要になるケースは様々です。
10対0の完全なもらい事故により車が破損した場合、通常、加害者側の対物賠償保険から修理代が支払われます。
あるいは自分の運転ミスで電柱に激突してしまった場合は自分の車両保険から車の修理代が支払われます。※もちろん車両保険(一般条件)に入っていればの話です
上記いずれのケースも、実際には車の修理をしないで保険金だけ現金で受け取ることが可能です。
また、上の事例のように100%相手に過失が生じる事故または100%自分に過失がある事故ではなく、たとえば50対50というように双方に過失が生じる事故もあります。
こうした双方に過失が生じる事故であっても、車を修理しないで保険金だけ受け取ることは可能です。
たとえば50対50の事故で、自分の車の修理代のうちの50%は相手の対物賠償保険から支払ってもらい、残りの50%は自分の車両保険から支払ってもらう、こういうやり方もOKです。
自動車保険の対物賠償保険も車両保険も、実際に車を修理することは保険金支払いの条件には含まれません。
※特約の種類によっては実際に車を修理することが支払いの条件になるケースもありますが、それは後ほど解説します。
修理しないで保険金だけ受け取る:消費税分は差し引かれます
実際に車を修理しないで保険金だけ受けとる場合、それが対物賠償保険であれ車両保険であれ、消費税の部分はカットされるのが通例です。
これはすべての保険会社共通の支払い方になっています。
実際に修理した場合、正味の修理代金は修理業者の手元に残りますが消費税はいずれ納税することになります。
しかし実際に修理しない場合はこうしたお金の流れが生じませんから、正味の修理代金相当額のみ支払われる、という方式になっています。
修理しないで保険金だけ受け取る:修理する場合より見積額が少なくなる
実際の事故処理現場を想像してみてください。
車が事故で破損します。
ディーラーや修理工場に運び込まれます。
その際、車の状態を見て即座に「修理しないで保険金だけ受け取る」と判断できるケースもあるでしょう。
しかし「まずは見積もりを取りその金額を見て考える」というケースもあると思います。
後者のケースでは、修理業者は通常通りの見積書を作成すると思いますから、特に問題はありません。
けれども、前者のケースでは、運び込まれた修理工場では見積書は作成せず、保険会社のスタッフがやってきて現車確認をし、金額を算定することになります。
その際、実際に車を修理するという前提ではなく、保険金だけ出すという前提で破損した車を見るわけなので、どうしても算定額は実際に修理するケースより少なくなりがちです。
これからその車を実際に修理しようとする立場の人が作る見積書は、損失がないように部品代から作業時間まできっちりと数字に置き換えて作成されるはずです。
しかし支払う保険金の額を確定するために保険会社のスタッフが破損した車を調べる場合、算定する金額が少なめに見積もられるのは世の常でしょう。
ここはやむを得ない部分だと思います。
「それなら、はじめから修理するつもりがない場合でも、修理業者には修理する意思表示を示して見積書を作ってもらったほうがトクだね。見積書ができてからやっぱり修理しないと言えばいいわけだし」
という考えも成り立つかもしれません。
確かにそうかもしれません。
ただ、結果的に修理しないで保険金だけ受け取ることになった場合、修理工場では見積書の作成代を請求してくるかもしれません。
そこは修理工場とのそれまでの付き合い方次第なので、場合によっては、気持ちよく「サービスだよ」と言ってくれるケースもあるでしょう。
なお、保険会社のスタッフが金額を算定した場合、支払う保険金から見積料を差し引くこともあります。※必ず差し引くとは限りませんが
修理しないで保険金だけ受け取る:自分の口座に直接振り込み
車を修理した場合、保険会社は修理工場の口座に保険金を振り込みます。
しかし修理しない場合は保険契約者の口座に直接振り込まれます。
修理しないで保険金だけ受け取る:相手の対物賠償に「対物全損時修理差額費用特約」が付いている場合
相手保険会社から対物賠償保険を支払ってもらうケースを考えてみます。
たとえば、車の修理費が80万円かかるけれど時価額が50万円というケースでは、相手保険会社は時価額50万円しか支払いません。
その際、相手の対物賠償保険に特約として「対物全損時修理差額費用特約」(保険会社によって名称が異なる)が付いている場合は、修理費との差額30万円も支払ってもらえます。
つまり被害者側は自腹を切ることなく車を修理できます。
そこで、修理はしないで保険金だけ受け取る場合に、時価額50万円+修理費との差額30万円=80万円が受け取れるのかというと、そうではありません。
対物全損時修理差額費用特約は、実際に車を修理した場合にだけ支払われる特約です。
修理しないで保険金だけ受け取る場合は時価額50万円のみです。
修理しないで保険金だけ受け取る:買替諸費用を請求できるケースも
双方に過失がある事故ではなく100%相手側に過失が生じる事故で車が破損した場合、相手側に買替諸費用を請求することができます。
つまり、車を修理しないで保険金を受けとる場合のその保険金は、車両本体に対する保険金です。
この保険金を元に車を買い替えようとすると、年式などが同程度の車を買う場合には、保険金では車両本体代金にしかなりません。
公道で車が走れるようにするためには、車両本体代金以外に取得税・車検整備費用・車庫証明費用などのいわゆる買替諸費用が必要になります。
100%相手側に過失が生じる事故の場合、事故がなければそのまま乗り続けたであろうところに、事故の被害を受けたために不本意ながら車を乗り替えるのですから、その際にかかる諸費用は相手側に請求することができます。
その場合、買い替えることになる車の見積書を相手保険会社に提出してください。
どこまで認められるかはケースによって異なりますが、まずは見積書を提出しないと話が始まりません。
なお、100%相手側に過失がある事故(もらい事故・被害事故)に限定したケースですが、修理しないで保険金だけ受けとるケースを詳しく解説したページが下記になります。
説明にはこのページと重複部分がありますが参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。