事情によっては家族だけでなく他人が運転してもちゃんと保険金が支払われる状態で自動車保険を契約したいという要望もあるでしょう。
その場合、年齢条件や運転者限定をどういった設定にしておけばいいのか、それがこのページのテーマです。
【記事丸わかり】
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他人が運転してもOKな設定にする方法
自動車保険を契約するにはまず運転者の範囲を決めます。
保険会社があらかじめ設定している年齢条件の区分や運転者限定の区分を選択することで運転できる人の範囲を絞り込んでいきます。
たとえば、夫と妻しか運転しないのであれば「30歳以上+本人・配偶者限定(夫婦限定)」に設定すればムダな保険料を払わずに済みます。
運転者の範囲を狭く限定するほど事故を起こす確率は減り、その結果、保険料が安くなるというわけです。
ところが、様々な事情により、保険料が高くなるのは承知の上で、とにかく誰でも運転できる状態にしておきたいという要望もあります。
たとえば、交際範囲がとても広く、休日になれば友人・知人と自慢のミニバンに乗り合わせて出かけるようなケースです。
ちょっと遠くへ出かけたりすると運転の疲労も出てくるので友人・知人に運転を交代してもらいたいこともあります。
そんな際に、本人・配偶者限定とか家族限定が付いていたら誰にも運転を交代してもらえません。
このページのテーマは、まさにこうしたケースに備えるには年齢条件や運転者限定をどういう設定にしておけばいいか、です。
それは次のような手順で決めていきます。
まず、車を運転する家族が複数いる場合、たとえば、夫と妻と息子の3人が運転するケースでは、息子の年齢をカバーする年齢条件を選択します。
息子が27歳なら「26歳以上補償」を選択します。
次に、運転者限定を「限定なし」にします。
これでOKです。
「26歳以上補償+限定なし」
にしておけば、家族は全員運転できますし、家族以外の他人(友人・知人)が運転してもOKです。
「いや、ちょっと待った!」とツッコミが入りそうですね。「友人・知人はほとんどが50代だけど、たまに友人の子供もいっしょに来ていて運転を代わってもらうこともある。その子の年齢は23か24のはず。そうなると友人の子供が運転して事故を起こしたら保険金が下りないことになるのでは?」
はい、確かにごもっともな疑問です。
しかし、結論を言いますと、問題ありません。
「26歳以上補償+限定なし」
で設定した場合、「26歳以上」という年齢条件に縛られるのは記名被保険者の同居の家族だけです。
上の例では夫と妻と息子です。
この家族以外の人に関しては年齢条件は一切適用されません。
家族以外の他人(友人・知人)は何歳であっても運転できます。
※もしも上の家族に別居の親族がいる場合は、その別居の親族も年齢条件に縛られず何歳でも運転できます。たとえば、他県の大学に通う娘(19歳)がいて夏休みに帰省して親の車を運転して事故を起こしてもちゃんと保険金が下ります。
上記の規定はほぼ全ての保険会社共通のルールです。
ここでは参考として三井ダイレクトの規定をご紹介します。
三井ダイレクトの規定 | |||||||||
(※)記名被保険者とは契約車両を主に運転する人のことです。 (※)別居の未婚の子の「未婚」とは、いまだ婚姻歴がないことをいい、離婚や死別によって現在独身の人は含みません。
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上記の三井ダイレクトの規定は他のほとんど全ての保険会社に共通の内容です。
ただし、1社のみ例外があります。
それはこくみん共済coop(全労済)のマイカー共済の規定です。
なお、年齢条件の区分にしても運転者限定の区分にしても、保険会社によって微妙に異なっています。
たとえば「35歳以上補償」がない会社もありますし、「家族限定」がない会社もあります。
詳しい内容は下記のページをご覧ください。
他車運転特約を使う方法もある
前の項目の話は、自分の車の保険内容をたまに運転する可能性のある他人(友人・知人)でもOKなように設定しておく、というものでした。
しかし、別の方法もあります。
それは、家族以外の他人(友人・知人)が加入している自動車保険を使う方法です。
どの会社の自動車保険にも「他車運転特約(他車運転危険補償特約)」という特約が自動セットされています。
これは「他人の車」を「臨時に」運転して事故を起こした際に、自分の車に付けている任意保険を使える特約です。
友人・知人と連れ立ってキャンプに出かけ、帰りに友人に運転を代わってもらう場合、友人の立場に立つと、まさに「他人の車」を「臨時に」運転することになります。
この友人が事故を起こしたら、友人自身が自分の車に加入している自動車保険を使う、これが「他車運転特約(他車運転危険補償特約)」です。
当然のことならが、この特約が使えるのは友人が自動車保険に加入している場合だけです。
当サイトの運営者である私(ミスター乱視)の意見を言わせていただくと、そもそも自分の車の保険内容を他人が運転してもOKなようにしておくこと自体がトラブルの元凶だと思っています。
自分の車を他人が運転して事故を起こし、自分の保険を使った場合、自分の保険は翌年度3等級ダウンし事故有期間が3年付きます。
それに伴い保険料も跳ね上がります。
かりに事故を起こした友人が跳ね上がった保険料分を負担したとします。
けれども、等級は3等級下がったままですし事故有期間も3年が付いたままです。
そんな折に、後日自分自身が事故を起こして保険を使えば、等級はさらに3つ落ち事故有期間も3年が追加されます。
つまり、6等級ダウンし事故有期間6年ということなります。
結果的に、運転を代わってもらった友人との人間関係は必ず壊れます。
友人は申し訳ないという罪悪感を持ち続けますし、こちらはいいよ気にしないでと思いつつ実害が出ていることに対してモヤモヤした気持ちが残り続け、その結果、人間関係には例外なく必ずヒビが入ります。※例外なく必ず壊れます
したがって、車を他人に貸すなどという行為はよほど止むを得ない事情がない限り決してやってはいけないことだと私は思います。
逆に、何らかの事情で他人の車を運転して事故を起こしてしまったら、車の所有者の保険などアテにしないで自分が加入している保険の「他車運転特約(他車運転危険補償特約)」を利用してください。
もしも自分が加入している自動車保険がなかったら、次の項目でご紹介する1日自動車保険(1day保険・ちょいのり保険)」を利用してください。
1日自動車保険(1day保険・ちょいのり保険)」という選択肢もある
このページのテーマは、自分の車の保険内容をたまに運転する可能性のある他人(友人・知人)でもOKなように設定しておく、というものです。
しかし、前の項目でもお話したように、これはあまり望ましいやり方ではありません。
逆の立場に立って、あなたが他人の車を臨時に運転するケースを考えてみてください。
あなたに自分の自動車保険がある場合は、「他車運転特約(他車運転危険補償特約)」で事故に備えるというやり方がベストだと思います。
もしも自動車保険に加入していない場合は、あなたが1日自動車保険(1day保険・ちょいのり保険など)」に加入するという方法もあります。
ある意味、これが最もトラブルを招かない方法だと思います。
保険料も最低限の負担で済みます。
いずれにしても、どうしても止むを得ない事情でない限り、自分の車を他人に運転させたり、自分が他人の車を運転したりすることは避けるべきだと思います。
事故が起きてしまったら、人間関係が必ず壊れますから。
スキー、マリンスポーツなどの帰りは体がぐったりしてつい運転を代わってもらいたいことがあるものです。
もしもぐったり疲れて、それでもその日のうちに運転して帰らなければならないときは、一番値段の高いユンケルを飲んであなた自身が運転して帰ってください。
ユンケルは高いけれど事故でトラブルになるよりずっと安上がりです。
ご覧いただきありがとうございました。