【記事丸わかり】
⇒⇒【自動車保険のプロが教える】自動車保険の新価特約を徹底解説!! |
自動車保険の「新価特約」の全てを詳しく解説しています。
この特約は車両保険のオプションとして付けます。
車両保険では修理代が支払われますが、新価特約では「新車」がそっくりそのまま手元に戻ってきます。
事故で車が損傷した場合、古い車なら修理でいいけれど、新しい車はまっさらな新品じゃないと嫌だ、という要望に応える特約です。
このページでは自動車保険の「新価特約」について全体のアウトラインから詳細な内容に至るまで全て解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
まず名称について
この特約は保険会社によって名称が異なります。
- 車両新価保険特約(イーデザイン損保など)
- 新価保険特約(おとなの自動車保険・セゾンなど)
- 新車特約(三井住友海上など)
- 新車買替特約(ソニー損保など)
このページでは、通称として使用頻度が高い「新価特約」で以下ご説明していきたいと思います。
新価特約の概要
新価特約は車両保険のオプションです。
車両保険そのものが自動車保険のオプションなので、新価特約はオプションのオプションということになります。
新価特約は「新車」に車両保険を付ける際に追加で付帯する特約です。
事故で車が損傷して修理代が発生した場合、車両保険からは修理代が支払われます。
その際、
「この車はまだ買ったばかりです。修理すればまた乗れるかもしれないけれど、気分的に納得できないし、また修復歴がつくからリセールバリューも落ちるし、何とかなりませんか?」
という気持ちになる人は多いでしょう。
そういうユーザーの要望に応えたのがこの新価特約です。
車両保険にオプションとして新価特約を追加付帯しておけば、損傷した箇所を修理するのではなく、車ごとそっくり新車に買い替えることができます。
修理ではなく買い替えです。
ところで、一口に「新車」と言っても、新規登録からいつまでを新車とみなすのか、これは保険会社によって扱いが異なるので、後ほど詳しく解説します。
また、新車に買い替えできるといっても、板金修理で数万円の損害が発生した場合でも新車に買い替えできるわけではありません。
これにも一定の条件があるので、後ほど詳しく解説します。
さらに、そもそも新価特約を追加すると保険料がどのくらいアップするのか気になるところだと思います。
あくまでも概算になりますが、年間保険料で3,000円~10,000円アップします。
この新価特約を付帯することのデメリットは、保険料がアップすること以外ありません。
新価特約で保険の支払いを受けると翌年の等級はダウンしますが、そもそも車両保険で3等級ダウン事故に該当する事故で新価特約を使った場合は、翌年3等級ダウンして事故有期間3年が付きます。
そもそも車両保険で1等級ダウン事故に該当する事故で新価特約を使った場合は、翌年1等級ダウンして事故有期間1年が付きます。
※新価特約を使った場合の等級ダウンに関しては、各社ホームページに記載はなく、約款や重要事項説明書にも見当たらないので、東京海上日動に電話で確認したのが上の説明です。他社には確認を取っていませんが、恐らく他社も東京海上日動と同じやり方ではないかと思います
新価特約を付帯できる「新車」とは?
新価特約は「新車」に付帯する特約ですが、保険会社によって「新車」とみなす期間が異なります。
車の車検証には「初度登録年月」の欄があり、ここにその車が初めて登録された日付が記載されています。
これを念頭に、以下の一覧表をご覧いただきたいと思います。
新価特約を付帯できる期間 | |
ソニー損保 | 保険始期日時点で初度登録から25ヵ月以内 |
おとなの自動車保険(セゾン損保) | 保険始期の属する月が初度登録年月から25ヶ月以内 |
イーデザイン損保 | 保険開始日の属する月が初度登録年月の翌月から起算して11ヶ月以内 |
東京海上日動 | 満期日が初度登録年月から61か月以内 |
損保ジャパン日本興亜 | 満期日の属する月が初度登録年月の翌月から起算して73か月以内 |
三井住友海上 | 初度登録年月が満期日より遡って61か月以内 |
あいおいニッセイ同和損保 | 満期日の属する月が初度登録年月の翌月から起算して61か月以内 |
全労済(マイカー共済) | 最初の車検の満了日の月末までにマイカー共済の契約期間の満了日が含まれる場合 |
※チューリッヒ・アクサダイレクト・三井ダイレクト・SBI損保・JA共済などは新価特約を扱っていません。
ご覧のように、大手代理店型では、損保ジャパンが約5年、東京海上・三井住友・あいおいニッセイが約4年です。
ソニー損保とおとなの自動車保険が約2年、全労済が約3年、イーデザイン損保が約1年となります。
保険料との関係で言うと、初度登録から間もない1年目、2年目などは新車価格相当額と車両保険金額の差が小さいので、新価特約の保険料レベルは低くなります。
初度登録から4年、5年となると、新車価格相当額と車両保険金額の差が大きくなるので、保険料は高くなります。
新車価格相当額が200万円~300万円ほどの車の場合、概算ですが、年間保険料は3,000円~10,000円くらいのあいだに収まると思います。※あくまでも目安としての金額です
新価特約:支払いの条件
新価特約は車両保険のオプションという位置づけなので、あくまでも車両保険の支払い対象となる損害が発生した場合に限られます。
※ただし「盗難」に関しては車両保険の支払い対象であっても新価特約では対象外になります
一般条件の車両保険に加入している場合は、一般条件の支払い対象になる事故が対象です。
エコノミーの車両保険に加入している場合は、エコノミーの支払い対象になる事故が対象です。
事故で車両が損傷を受けた場合に、新車価格相当額が支払われますが、支払われるケースは、
- 修理不可能な場合
- 修理費が車両保険金額を上回る場合
- 修理費が新車価格相当額の50%以上になる場合
となります。
なお、車の損傷に関しては、車の骨格部分や動力系に損害が発生した場合が対象で、内外装や外板部分のみに損害が発生したケースは対象外です。
また、新価特約を付帯しているからといって、必ず新価特約を使う必要はなく、通常の車両保険の支払い方に沿って修理代を受け取るという方法も選択できます。
その場合は、修理代を受け取り、それで終わりです。
新価特約を使用する場合、事故日の翌日から起算して一定の期間内に新車に買い替える必要があります。
- ソニー損保(6ヶ月以内)
- 東京海上日動(1年以内)
- 損保ジャパン日本興亜(1年以内)
- あいおいニッセイ同和損保(90日以内)
車両保険と新価特約の関係
新価特約は車両保険のオプションなので、車両保険に加入している契約のみが対象です。
車両保険に加入する場合、車両保険金額を設定しますが、これは車両標準価格表に基づいて一定の価格幅の中から金額を設定します。
たとえば車両本体価格が200万円の車を新車で購入した場合、車両標準価格表でこの車の型式を検索すると「180万~245万」などと表示されているはずです。
車両保険金額はこの幅の中から選択できます。
オプションも付けたので220万円を選択したとします。
すると、自動車保険の車両保険金額は「220万円」となり、1年目は新車価格相当額も同額の「220万円」です。
1年が経過してこの保険を更改した場合、車両保険金額は時価額評価なので「180万円」に落ちますが、新車価格相当額は「220万円」のまま変わりません。※時価額評価は車により異なります。例として示しています。以下同様
さらに1年が経過してこの保険を更改した場合、車両保険金額はさらに落ちて「150万円」になりますが、新車価格相当額は「220万円」のままです。
さて、たとえば新車購入から2年目でガードレールに衝突して車が大破したとします。
修理費用は120万円です。
2年目の車両保険金額は「180万円」で新車価格相当額は「220万円」です。
通常の車両保険の支払い方では、120万円の修理費用を受け取り、それで終わりです。
しかし、新価特約を使用するとしたら、支払い方はどうなるでしょう?
まず、修理代が120万円の事故なので、「新車価格相当額の50%以上の損害」という条件をクリアーしています。
損害の内容も、ガードレールに激突して骨格部分を損傷しているので新価特約の対象に含まれます。
そこで、新価特約を使用することにして、新車価格相当額である「220万円」を支払ってもらい新車を購入しました。
この「220万円」ですが、これは車両本体価格+付属品+消費税の上限額です。
実際に車を走らせるには、自動車取得税・自動車重量税・自賠責保険・車庫証明費用などの諸費用が別途かかります。
そこで、各保険会社ではこうした諸費用を支払う特約を自動付帯しています。
たとえばソニー損保では「再取得時諸費用保険金」という名称で、新車価格相当額の10%(20万円限度)を支払うことになっています。
文字通り、保険金だけで、自腹を1円も切ることなく、新車に乗り換えることができます。
いかがでしょう?
通常の車両保険の支払い方と、新価特約からの支払い方と、違いをご理解いただけたでしょうか?
なお、買い替える車は事故を起こした車とメーカーや車種が違っていてもOKです。
フィットで事故を起こしたからフィットを買わなければならない、ということはありません。
新車価格相当額の範囲内であればどんな車を買うのも自由です。
新価特約をつかった場合は何等級ダウンする?
新価特約で保険の支払いを受けると翌年の等級はダウンしますが、そもそも車両保険で3等級ダウン事故に該当する事故で新価特約を使った場合は、翌年3等級ダウンして事故有期間3年が付きます。
そもそも車両保険で1等級ダウン事故に該当する事故で新価特約を使った場合は、翌年1等級ダウンして事故有期間1年が付きます。
※新価特約を使った場合の等級ダウンに関しては、各社ホームページに記載はなく、約款や重要事項説明書にも見当たらないので、ソニー損保と東京海上日動に電話で確認したのが上の説明です。この2社は同じ見解です。他社には確認を取っていませんが、恐らく他社もソニー損保・東京海上日動と同じやり方ではないかと思います
新価特約のデメリットは?
新価特約を付帯するデメリットは、保険料が高くなることです。
それ以外にデメリットはなく、保険料の負担感をそれほど感じないのであれば、付けておいたほうがいい特約だと思います。
新価特約の必要性について
新価特約を付帯できる期間は会社によって異なり、イーデザイン損保は新車から約1年間だけです。
これはちょっと短すぎると思いますが、しかし代理店型の損保大手4社のように約5年というのも、逆に長すぎるような気もします。
いずれにしても、新価特約は、まず車両保険を契約していて、これに追加する形で付帯する特約です。
ですから、事故で修理が必要なときは、車両保険から最低限の支払いを受けられることになり、新価特約はあくまでも「より手厚い補償」という位置付けになります。
実際のところ、新車から2年とか3年くらいのあいだは、新価特約を付ける意味はかなりあると思います。
2年落ちや3年落ちくらいの車の場合、リセールバリューはまだまだあります。
しかし事故で骨格部分等を修理すれば、「修復歴車」としてリセールバリューはかなり落ちます。
新価特約なら、修理ではなく丸ごと新車に交換できるので、リセールバリューが落ちるどころか、交換した時点では0年落ちのまっさらな新車です。
経済的な側面だけでなく、精神面での違いも大きいと思います。
4年落ちとか5年落ちの車が「修復歴車」になるのと、真新しい車がいきなり「修復歴車」になってしまうのとでは、精神的ショックの度合いがあまりに違うのではないでしょうか。
新価特約のために支払う保険料は、高級車などは別にして、通常、年間保険料3,000円~10,000円の追加で収まります。
少なくとも、初度登録の1年目~3年目くらいは付けておくと大いに安心だと思います。
あとはみなさんの保険料の負担感次第というところですが。
ご覧いただきありがとうございました。