【記事丸わかり】
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事故で保険を使うと翌年度の等級はダウンするのが普通ですが、事故の内容によっては等級が下がらないケースもあります。
これをノーカウント事故と呼びます。
ノーカウント事故で保険を使っても無事故であったのと同じ扱いになるので、翌年度の等級は1等級アップします。
このページではノーカウント事故とはどんな事故なのか例を交えて詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただきたいと思います。
「ノーカウント事故」「1等級ダウン事故」「3等級ダウン事故」の違いを確認
自動車保険の加入者が事故で保険を使った場合、その事故は次の3つのいずれかに分類されます。
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①のノーカウント事故は、文字通り「事故としてカウントしない事故」として扱われ、翌年度の等級は1つアップします。※無事故であった場合とまったく同一の扱い
したがって、事故有期間も「0年」となります。
②の1等級ダウン事故の場合は、翌年度の等級は1等級ダウンし、ダウンした等級は「事故有」と「無事故」の2系統ある割引(注1)のうちの「事故有」の割引が適用されます。
同時に、事故有期間は「1年」となり、1年間「事故有」の割引率が適用されますが、2年目にはまた元の等級に戻ります(「無事故」の割引率を適用した等級に戻る)。
③の3等級ダウン事故は、翌年度の等級は3等級ダウンし、ダウンした等級は「事故有」と「無事故」の2系統ある割引のうちの「事故有」の割引が適用されます。
同時に、事故有期間は「3年」となり、3年間「事故有」の割引率が適用されますが、4年目にはまた元の等級に戻ります(「無事故」の割引率を適用した等級に戻る)。
整理すると次のようになります。
事故の種類 | 翌年度の等級 | 事故有期間 |
ノーカウント事故 | 1等級アップ ※無事故と同一の扱い | 「0年」 |
1等級ダウン事故 | 1等級ダウン ※「事故有」の割引が適用 | 「1年」 |
3等級ダウン事故 | 3等級ダウン ※「事故有」の割引が適用 | 「3年」 |
(注1)「2系統ある割引」とは下記の通りです。保険を使わず無事故が続いている場合は右側の割引が適用され、事故で保険を使った場合は左側の割引が適用されます。
等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7 | 20%割引 | 30%割引 |
6 | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
※1等級~6等級までは事故有と無事故は同じ扱いです。また1等級・2等級・3等級は「割引」ではなく「割増」になります
「ノーカウント事故」として扱われる事故とは?
ノーカウント事故として扱われる事故には様々なものがありますが、典型的な事例を1つ挙げるとするなら次のようなケースが考えられます。
ノーカウント事故の事例 |
Aさんが交差点で赤信号のため停止していたところ、背後から脇見運転の車に追突され、Aさんの車は損傷し、Aさん自身もケガを負った。事故は100:0の事故として処理され、相手保険会社から対物賠償、対人賠償が支払われた。 いっぽう、Aさんが加入している保険会社からは搭乗者傷害保険が支払われた。 |
上の事例では、Aさんは搭乗者傷害保険を受け取っているのですが、事故の扱いとしてはノーカウント事故となり、翌年度の等級には影響しません。
無事故であったのと同じ扱いになるので、等級は1つアップし、事故有期間も「0年」です。
ノーカウント事故の扱いに関しては、各保険会社のあいだで共通した部分があると同時に、一部扱いが異なるところがあります。
したがって、下記に主要な保険会社のノーカウント事故の扱いをまとめてみました。
みなさんがご加入の保険会社の扱いをご確認ください。
ソニー損保「ノーカウント事故」の扱い |
次のいずれかのみに該当する事故、またはこれらの組合せのみの事故の場合は、事故件数にカウントしません。 人身傷害保険 ソニー損保「重要事項説明書の補足事項」(P9) |
おとなの自動車保険「ノーカウント事故」の扱い |
以下の補償に関する保険金またはこれらの組み合わせの保険金をお支払いする事故をノーカウント事故として取扱います。(他の事故がない場合は、継続契約において現在ご契約の等級から1等級進行します。) ・車両保険の応急処置費用、運搬費用または引取費用の各費用保険金 ・その他 おとなの自動車保険「よくあるご質問」 |
チューリッヒ「ノーカウント事故」の扱い |
「ノーカウント事故」として扱われる事故は、以下のとおりです。 ・無保険車傷害特約事故 その他 チューリッヒ「用語集」 |
アクサダイレクト「ノーカウント事故」の扱い |
※インターネットでお見積りの場合、事故の件数「0件」をお選びください(事故の件数として数えません)。
アクサダイレクト「保険用語集」 |
イーデザイン損保「ノーカウント事故」の扱い |
次のいずれかのみの事故、または、次のものの組み合わせの事故をいいます。 なお、「ノーカウント事故」は、等級・事故有係数適用期間の決定にあたり、事故件数には数えません。
その他 イーデザイン損保「事故の種類について」 |
三井ダイレクト損保「ノーカウント事故」の扱い |
ノーカウント事故とは、以下の補償に係る保険金のみお支払いした事故をいいます。 なお、ノンフリート等級制度では事故件数としては数えず、この事故による翌年のノンフリート等級ダウンはありません。また、翌年の事故有係数適用期間に加算はされません。
その他 三井ダイレクト損保「ノーカウント事故」 |
SBI損保「ノーカウント事故」の扱い | ||||||||
[SBI損保では]
下記の事故をいいます。
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東京海上日動「ノーカウント事故」の扱い |
以下にかかわる保険事故または以下の組み合わせの保険事故をいいます。 ●対人臨時費用 ●無保険車事故傷害特約 ●入院時選べるアシスト特約 ●人身傷害保険 ●人身傷害の他車搭乗中および車外自動車事故補償特約 その他 東京海上日動「超保険:パンフレット兼重要事項説明書(P46)」 |
損保ジャパン日本興亜「ノーカウント事故」の扱い |
「ノーカウント事故」とは、事故の件数に数えない事故をいいます。お支払いする保険金が、次のいずれかの保険金のみ、またはこれらの保険金の組み合わせの事故をノーカウント事故として取り扱います。
損保ジャパン日本興亜(料率制度「事故件数の数え方」) |
三井住友海上「ノーカウント事故」の扱い |
⇒支払われる保険金が次のいずれかの保険金のみである場合の事故またはこれらの組み合わせのみである場合の事故 ・人身傷害保険金 その他 三井住友海上「よくあるお問い合わせ」 |
あいおいニッセイ同和損保「ノーカウント事故」の扱い |
「ノーカウント事故」とは、下記のいずれかのみ、または下記の組み合わせのみの事故をいい、事故件数に数えません。 したがって、翌年のご契約の等級は、現在のご契約の等級から1等級進んだ等級(20等級限度)を適用します。 ◇1年のご契約の場合 ・対人臨時費用特約 その他 あいおいニッセイ同和損保「よくあるご質問」 |
自動車保険の「等級」に関しては以下のページも参考になさってください。
等級と割引率 | こちらのページ |
3等級ダウン事故 | こちらのページ |
1等級ダウン事故 | こちらのページ |
ノーカウント事故 | このページ |
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