【記事丸わかり】
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パッシングは違法で罰則はある?悪質なケースとは?
パッシングには明確な罰則規定はありません。何度パッシングすれば減点いくつ、といった条文もありません。
では、パッシングしたことで違法となり罰金・罰則が課されることがないかと言うと、そうでもありません。
過度なパッシングが妨害運転(煽り運転のこと)とみなされた場合は、道路交通法第70条安全運転義務違反等により違法行為と認定され、罰金・罰則が課されることがあります。
パッシングが妨害運転(煽り運転)とみなされるケース
パッシングとは、ヘッドライトのスイッチが付いているレバーを手前に引くことで一瞬ヘッドライトが点灯し、レバーを離すことでヘッドライトが消灯する、これを2度3度繰り返す行為のことです。
このパッシング操作は、クラクションとかハザードランプなどと同様に、対向車や前走車や歩行者などとのコミュニケーション手段として使われることが多く、それ自体悪質な運転操作とは言えないと思います。
しかし、やはりクラクションやハザードランプと同じように、使い方によっては大いに悪質な行為となりうるものでもあります。
それが妨害運転です。つまり、煽り運転です。
たとえば、高速道路の追い越し車線を走行中に、同じく追い越し車線を走行している前走車に対して「急いでいるからそこをどいてくれ」という意思表示として2度3度パッシングをした場合、あまり好ましい運転操作とは言えないものの、直ちに罰則が適用されるような行為とはいいがたいと思います。
けれども、同じ状況で、2度3度どころではなく、10回も20回もパッシングを繰り返し、前走車が走行車線(左車線)に戻ってからもしつこくその後ろについてさらにしつこくパッシングを繰り返した場合、もしもこの一連の行為を前走車のドライブレコーダーがすべて記録していたとしたら、このパッシングはその他の威嚇行為・危険行為と共に妨害運転(煽り運転)として処罰の対象になるはずです。
令和2年6月に道路交通法が一部改正され、「妨害運転」の定義が明確化されたことにより、それ以前には摘発できなかったような行為(上記パッシング行為など)も、危険で悪質な違法行為として摘発できるようになったのです。
ただし、実際に妨害運転(煽り運転)として摘発される場合は、パッシング単独で罰せられるケースはまずありません。
他の危険行為との「合わせ技一本」のような形で摘発されるのが普通です。
たとえば、幅寄せ、急ブレーキ、クラクションの連呼、蛇行運転、左側からの追い越しなどの妨害行為のなかの一つにパッシング行為が含まれる、というのが一般的です。
違法と認定された場合の罰金・罰則
パッシングを含む様々な妨害運転(煽り運転)がドライブレコーダー等により立証された場合、以下のような罰則が課されます。
■妨害運転(交通の危険のおそれ)
- 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 基礎点数25点
■妨害運転(著しい交通の危険)
- 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 基礎点数35点
(※)免許停止が14点、免許取り消しが15点なので、上記はいずれも免許取り消し処分の対象です。