【記事丸わかり】
⇒⇒【ゼロから学ぶ自動車保険】自動車保険の等級制度 |
自動車保険はノンフリート等級制度によってすべての契約が1等級~20等級のいずれかの等級に振り分けられています。
この振り分ける基準・ルールを定めたものがノンフリート等級制度です。
ずっと無事故を続けている人と度々保険金を受け取っている人を同じ扱いにしては保険契約者間の公平性が保たれません。
このページでは自動車保険のノンフリート等級制度について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
ノンフリートとは?
ノンフリートはnon-fleetのことで、「fleetではない」という意味です。
そこでfleetの意味ですが、これは「艦隊」とか「船団」の意味で、それが転じて「全車両」の意味で使われます。
自動車保険では、所有・使用する車が10台以上ある場合に結ぶ契約のことをフリート契約と呼びます。
9台以下の場合は「フリートではない」という意味でノンフリート契約と呼びます。
フリート契約とノンフリート契約では割引率や保険料の算出方法が異なります。
わたしたちが個人で自動車保険に加入する場合、億万長者でない限り10台以上所有・使用することはありませんから、ほぼすべての人はノンフリート契約を結びます。
フリート契約を結んでいるのは多数の営業車両を抱える企業です。
ただ、これはあまり知られていないことですが、数十台、数百台のトラックを保有する運送業などは、当然フリート契約で自動車保険に加入しているだろうと思いがちですが、実際には、フリート契約どころか保険そのものに未加入の会社がごく普通にあります(自賠責保険には加入しています)。
保有台数が多いと保険料の総額も莫大になるので、大きな事故には準備金(貯金)で対応します。
比較的小額の事故の場合は、事故を起こしたドライバーに分割で支払いをさせる会社も珍しくありません。
正真正銘のブラック企業ですが、経営者はブラックとは思っていないようです。
ノンフリート等級とは?
わたしたち一般の個人が契約する自動車保険はノンフリート等級が適用されます。
ノンフリート等級は1等級~20等級まであり、すべての契約が必ずいずれかの等級に振り分けられます。
いずれの等級にも当てはまらない契約は存在しません。
この振り分けるルールと各等級の割引率を定めているのがノンフリート等級制度と呼ばれるものです。
※ノンフリート等級は1等級~20等級と書きましたが、全労済のマイカー共済は22等級まであります。もしも全労済で21等級あるいは22等級の契約を他社に乗り換える場合(乗り換えは可能です)、20等級とみなして引き継ぎます
ノンフリート等級制度:等級と割引率
ノンフリート等級は1等級~20等級まであり、それぞれに割引率(割増率)が設定されています。
また、7等級~20等級までは割引率が2系統に分かれています。
割引率が2系統に分かれている理由は後ほど解説しますので、まずはすべての等級と割引率(割増率)をご覧ください。
ノンフリート等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7 | 20%割引 | 30%割引 |
6 | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
保険会社間でノンフリート等級の引継ぎは可能です
しばらく前までは、いったんドコモの携帯電話を購入した人は、その後もずっとドコモと契約し続けなければなりませんでした。
しかし、これでは健全な企業間競争がなされず、結果として消費者が高い電話料金を支払い続けなければなりません。
そこで携帯キャリアのあいだを自由に移動できる制度が導入され、今ではドコモからソフトバンク、ソフトバンクからAU、というように自由に契約を変更できます。
これと同様のことが自動車保険でも行われていて、このページのテーマであるノンフリート等級制度はほとんどの自動車保険・自動車共済にとって共通のプラットフォームになっています。
ですから、損害保険会社、JA共済、全労済、その他一部共済のあいだで自由に契約を乗り換えることができます。
当然、今まで加入していた保険のノンフリート等級は乗り換え先の契約に引き継がれます。
ちなみに、ここで「損害保険会社」と呼んでいるのは、「一般社団法人 日本損害保険協会」に加盟している26社(2018年7月2日現在)のことです。
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日本損害保険協会(50音順)
最初のノンフリート等級は6等級から:等級の上がり方と下がり方
先ほどノンフリート等級を1等級~20等級まで一覧表でご覧いただきました。
わたしたちが最初に自動車保険に加入する場合は、6等級からスタートします。
※一家で2台目以降の場合は、一定の条件の下、7等級からスタートできるケースもあります
「ノンフリート等級は1~20までなのだから、どうしてキリよく1からスタートしないのか」
とツッコミが入りそうですが、これには理由があります。
事故で保険を使うと原則として3等級ダウンします。
もしも1等級からスタートして、事故で保険を使った場合、等級をダウンさせたくてもダウンさせる「余地」がないことになります。
そこで、等級ダウンの「余地」を確保するために6等級からのスタートとなっています。
新規契約で6等級からスタートし、1年間無事故で通すと、翌年度の契約は1つアップして7等級となります。
以下同様で、無事故を続けると、1年ごとに1等級ずつ階段を上がっていきます。
ただし、等級アップは常に1等級単位です。
ノンフリート等級が一気に2等級とか3等級アップすることはありません。
ノンフリート等級が20等級までたどり着いたら、そこで行き止まりになり、その後無事故が続いても20等級のまま変わりません。
ノンフリート等級がアップすると割引率が高くなるので保険料は安くなります。
次に、ノンフリート等級がダウンするケースです。
事故で保険を使うとノンフリート等級がダウンします。
何等級ダウンするかは事故の内容により異なります。
自動車保険では次の3種類の事故に分類されます。
| (翌年度3等級ダウンする) ・歩行者と接触して対人賠償保険を使った ・車に追突して対物賠償保険を使った ・電柱に激突して車両保険を使った |
| (翌年度1等級ダウンする) ・車が盗難にあい車両保険を使った ・コインで車に落書きされ車両保険を使った ・台風で車が水没し車両保険を使った |
| (翌年度1等級アップする)※無事故と同一の扱い ・信号待ちで追突され搭乗者傷害保険から支払いを受けた※相手の保険からは対物賠償・対人賠償の支払いを受けた ・バイク事故を起こしファミリーバイク特約から支払いを受けた |
ノンフリート等級がダウンすると割引率が低くなるので(3等級以下では割増になる)保険料は高くなります。
ノンフリート等級には「事故有」と「無事故」の2系統ある
先ほどノンフリート等級は1等級~20等級のうち7等級~20等級が2系統に分かれていることに触れました。
その理由をお話します。
たとえば、現在ノンフリート等級が13等級のAさんが3等級ダウン事故を起こして保険を使った場合、翌年度のノンフリート等級は10等級になります。
そこで次の表をご覧ください。
事故有 | 無事故 | |
ノンフリート10等級 | 23%割引 | 45%割引 |
同じ10等級なのですが、「事故有」は23%引き、「無事故」は45%引きとなっています。
今回10等級になったAさんには「事故有」23%割引が適用されます。
事故が有ったので「事故有」が適用されます。
割引になる数字が小さいということはより高い保険料になるということです。
このように事故で保険を使った契約に適用される割引率のことを「事故有係数」と呼びます。
いっぽう、無事故を続けている契約に適用される割引率のことを「無事故係数」と呼びます。
実は2012年10月まではこのように同じノンフリート等級に2つの割引率が並存するようなことはありませんでした。
しかし、現在のノンフリート等級制度では、事故で保険を使った結果として10等級になった人と、無事故で1つずつ等級の階段を昇ってきた結果として10等級になった人とを、同じ扱いにしては不公平だという理由から、このように割引率に差を付けています。
10等級の場合は、実に22ポイントも割引率に差が付いています。
事故で保険を使うとノンフリート等級がダウンして保険料が高くなること自体は、2012年10月以前も以後もまったく同じです。
しかし、2012年10月以降は保険料の上がり方が極端になり、小損害の事故では保険を使いづらくなっています。
「事故有」のノンフリート等級には必ず「事故有期間」がつきまとう
前の項目の例を続けます。
ノンフリート等級が13等級だったAさんが、3等級ダウン事故で保険を使ったために翌年の保険が10等級にダウンした場合、事故有期間(事故有係数適用期間)が3年付きます。
3等級ダウン事故では「3年」、1等級ダウン事故では「1年」が付きます。
保険証券にも下記のように記載されます。
上の画像では事故有期間は「0年」になっていますが、3等級ダウン事故で保険を使った場合の翌年の保険証券には「3年」と表示されます。※1等級ダウン事故なら「1年」と表示
この事故有期間というのは、「事故有係数による割引率を適用する期間」という意味です。
つまり、事故で保険を使うと2系統ある割引率のうちのより割引率の低い事故有係数を適用するけれど、永遠にそこに留まるのではなく、定められた期間を過ぎたら、また無事故係数に復帰できる、というわけです。
事故有期間 | |
3等級ダウン事故 | 3年 |
1等級ダウン事故 | 1年 |
もしも同じ年度に2度、3度と事故を起こして保険を使ったら、その分は事故有期間が加算されるのですが、事故有期間は最長6年で打ち止めになります。
たとえば3等級ダウン事故で3回保険の支払いを受けた場合、事故有期間は9年ではなく6年になるということです。
※もっとも3等級ダウン事故を同じ年度に3回起こしたら、翌年度は「引き受け拒絶」の扱いになる可能性大です
話を整理します。
ノンフリート等級が13等級だった人が3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年の保険は10等級になります。
この10等級は、無事故で等級の階段を昇ってきた人の10等級とは割引率が異なり、より割引率の低い事故有係数が適用されます。
同時に、事故有期間が3年付きます。
3年間は事故有の割引によってより高い保険料を支払うことになりますが、3年間無事故で過ごせば、4年目にはまた13等級に戻ります。
戻った13等級は、事故有期間の3年がリセットされているので、無事故係数による割引率が適用されます。
3等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば4年後に元の保険料レベルに戻る |
1等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば2年後に元の保険料レベルに戻る |
現在の自分のノンフリート等級がわからない場合の調べ方
現在自分が加入している自動車保険のノンフリート等級を知りたい場合は、主に3つの方法が考えられます。
- 保険証券を確認する
- 代理店・保険会社に電話して聞く
- 保険会社の「マイページ(契約者ページ)」で確認する
①の保険証券ですが、下記のように等級と事故有期間が記載されています。
②は代理店あるいは保険会社に電話で問い合わせるケースですが、氏名・生年月日・ナンバープレートの番号などを伝えれば教えてくれます。
③はほとんどの保険会社で利用できます。通常、メールアドレスとパスワードでログイン可能で、ノンフリート等級を始め契約内容全般を確認できます。
なお、ノンフリート等級を確認する際、事故有期間(事故有係数適用期間)も必ずチェックしてください。
もしも他社に乗り換える場合、単に等級だけでは保険料の見積もりができません。
事故有期間が「0年」なのか、「3年」とか「2年」とか「1年」が付いているのか、それによって保険料が変わってきます。
必ず「等級」と「事故有期間」はセットで確認してください。
他社に乗り換えるには:用意する書類と注意点
自動車保険を他社に乗り換えるケースというと、一般的に、次のようなものが考えられます。
- 事故対応が不満で他社に乗り換えたい
- 更新の度に保険料がじりじり上がるのでもっと安い会社に切り換えたい
- 事故を起こして保険を使ったので、来年以降の保険料が跳ね上がるのは確実だから、最安の会社を見つけたい
- 引っ越したので地元の代理店で加入したい
- 家計の節約のためにとにかく安い自動車保険に乗り換えたい
そこで、トラブルを未然に防ぐため、他社に乗り換える場合に注意すべき点を整理してみました。
3点セット(自動車保険証券・車検証・免許証)を用意し、事故歴があれば正直に申告する
代理店型であれ通販型であれ、自動車保険を乗り換える際には、自動車保険証券・車検証・免許証の3つが必ず必要になります。※走行距離によって保険料を割り引く特約がある保険会社の場合は積算走行距離のメモも用意
乗り換え先の保険会社で見積もりを取る際は、この3つの書類に記載されていることを正確に伝えてください。
また、直前に事故で保険を使っている場合は、自動車保険証券に記載されている等級や事故有期間にはまだその事故の履歴は反映されていません。
しかし、乗り換え先の契約は、その事故を反映した等級・事故有期間にしなければなりません。
かりに事故歴を隠しても、いったんは契約が成立しますが、1ヶ月か2ヵ月後には「必ず」発覚します。※100%の確率で発覚します
嘘が発覚した場合、保険会社は契約を解除する権利を持ちますし、嘘が発覚するまでに重大事故が発生していたとしても、その事故に対して保険金が支払われないこともあります。
もちろん、単なる間違いのケースもありますが、保険会社が故意による悪質なケースと判断した場合は、強硬な措置が取られます。
現在のノンフリート等級が割増等級(1等級・2等級・3等級)の場合は引き受け不可のケースも
多くの保険会社は、長年自社の保険に継続して加入していた顧客であっても、事故が重なり、ノンフリート等級が割増等級(1等級・2等級・3等級)に落ちてくると、次の更新の際に、補償内容を制限することがあります。
「対人」が無制限から1億に、「対物」が無制限から1000万に、「車両保険」は不可、といった制限です。
なかでも、1等級あるいは2等級になった契約は、更新を拒否するケースもあります。
長年契約してきた顧客に対してもこうした措置が取られるのですから、まして、他社から乗り換えてくる人に対しては、当然、厳しい対応をするのは目に見えています。
ネットで保険会社の保険料計算ツールを利用しても、直近で2回以上事故を起こしていたり、等級が1等級や2等級である場合は、そもそも計算ツールが作動しない会社もあると思います。
その時点で、「引き受け不可」という扱いです。
このように、現在の契約が1等級あるいは2等級でいずれの保険会社でも契約できない場合は、いったん現在の等級をリセットするしかありません。
リセットし、新規にノンフリート6等級から入り直すには、現在の契約が終了してから13ヶ月間経過するのを待たなければなりません。
ノンフリート等級がリセットされる際には事故有期間もリセットされます。
※新たに車を購入すればその車はノンフリート6等級でスタートできます
他社に乗り換えるには:保険期間の途中で乗り換える場合
望ましいのは、もちろん現在の契約の満期日を待ち、次の契約に移行することです。
これはノンフリート等級の進行で足踏みしないためです。
たとえば、現在10等級で、満期をもって他社に乗り換えた場合、新しい契約は11等級になります(無事故であった場合)。
けれども、たとえば満期日から6ヶ月前に他社に乗り換える場合、その乗り換えた日から向こう1年間を10等級で契約することになります。
ノンフリート等級は丸々1年経過すると1等級アップするのですが、それは原則として同じ保険会社で契約している場合の話で、期間の途中で別の保険会社に乗り換えた場合は、乗り換えた時点から向こう1年間それまでの等級で過ごすことになります。
つまり、上の例では、乗り換え前の契約から乗り換え後の契約をトータルで見ると、1年半の期間10等級を続けることになり、半年間同じ地点で足踏みすることになります。
そういうわけで、できることなら満期をもって他社に乗り換えることをおすすめします。
※「保険期間通算特則」の制度を採用してる保険会社に乗り換える場合は、期間の途中で乗り換えても、ノンフリート等級の足踏みをしなくてすみます。
とは言え、様々な理由で保険期間の途中で他社に乗り換えたいケースもあると思います。
期間の途中で他社に乗り換える場合は日付に注意してください。
これまで加入していた保険の「解約日」と乗り換え先の保険の「始期日」を同じ日付にする必要があります。
「同じ日付だと補償が重なってしまうのでは?」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは大丈夫。
たとえば「7月5日」の日付にした場合、7月5日の午後4時まではこれまで加入していた保険会社が補償し、午後4時を過ぎてからは乗り換え先の保険会社が補償します。
保険会社同士で午後4時をもって補償の受け渡しをする共通のルールがあり、これによって補償の空白期間が生まれることを防止しています。
したがって、「解約日」と「始期日」は同じ日付にしなければなりません。
※全労済の場合は上記ルールと異なるので、全労済から他社に乗り換える場合、他社から全労済に乗り換える場合は、それぞれ乗り換え先の担当者から手続きについて指示を仰いでください
また、新旧の保険会社には以下のように連絡を入れてください。
これまで加入していた保険会社には、
「〇月〇日付けで保険を解約してください」
と解約の意思表示だけでなく日付も明確に伝えてください。
乗り換え先の保険会社には、
「〇月〇日付けで保険をスタートしてください。これまで加入していた保険会社にも同じ日付を伝えてあります」
と契約手続きの際に明確に伝えてください。
そうすれば、すぐにこれまで加入していた保険会社から解約に必要な書類が送られてくるか、あるいは代理店さんが直接訪問してくるか、いずれかの対応があると思います。
※代理店が直接訪ねてくるのが嫌でしたら、郵送で書類を送るよう依頼してください
そこで必要事項を書き込み、返送するなり手渡しするなりすれば、それで解約手続きは終了します。
その際、年払いの契約であれば、残りの期間に応じて解約返戻金が発生します。
解約返戻金は、現金ではなく、後日指定した口座に振り込まれるのが一般的です。
月払いの場合は、通常、戻るお金はありません。
上に、「解約日」と「始期日」を同じ日付にするように書きましたが、何らかの事情で同じ日付にできないケースもあると思います。
その場合でも、解約日から7日以内に次の契約の手続きを行えば、ノンフリート等級は引き継がれます。
これは満期をもって新契約に乗り換える場合も同様で、いったん満期になり、空白期間があっても、7日以内に新契約の手続きを行えば、それまでのノンフリート等級は引き継がれます。
他社に乗り換えるには:満期をもって乗り換える場合
自動車保険を他社に乗り換える場合は満期をもって乗り換えるのが望ましいことは上の項目で書きました。
とりわけ通販型自動車保険に乗り換える場合、満期をもって乗り換えるのでなければ様々な特典が受けられません。
通販型自動車保険では、早割(早期割引)として満期の50日前とか30日前に契約すると保険料が割引になる会社があります。
インターネット契約(Web契約)をした場合のインターネット割引と合わせると、保険料の額によっては1万円~2万円ほど安くなる会社もあるので、もともと保険料水準が安い上にこうした割引が上乗せされますから、最終的にかなり安い保険料で契約できます。
しかし、保険期間の途中で乗り換える場合は、こうした割引の対象外になってしまいます。
この点は注意していただきたいと思います。
満期日をもって次の契約に乗り換える場合、契約に必要な書類は3点です。
お手元に自動車保険証券・車検証・免許証の3つを用意してください。
※通販型自動車保険に乗り換える場合は積算走行距離のメモも手元に用意してください。積算走行距離とは新車から現在までの総走行距離のことです
※契約手続きは満期日の1ヶ月以上前から始めてください
後は、乗り換え先の保険会社の指示に従って手続きを進めてください。
通販型自動車保険でWeb契約する場合でも、契約画面のどこかに困ったときの電話番号が必ず表示されているので、電話で相談しつつ契約を進めることができます。
※Web契約とは、契約手続きをする際に電話オペレーターを介さず、契約者自身がネット上で保険契約を完結する契約方法です。インターネット割引はこのWeb契約のみが対象です。それほど難しいものではなく、やってみれば何とかなります。「電話オペレーターを介さず」と言っても、不明な点の相談には応じてくれます。入力作業等は契約者自身で行います。その分だけ保険料が安くなるというシステムです
また、今まで加入していた保険会社にも、満期日をもって他社に乗り換えることを伝えてください。
なぜ連絡が必要かというと、自動継続特約が付いている場合があるからです。
※と言うか、現在はほとんどの会社で自動継続特約が自動付帯しています
この特約が付いていた場合、もし連絡がなかったら、新旧の2重契約になる可能性があり、後でちょっと面倒なことになります。
今まで加入していたのが代理店型で、代理店と言葉を交わすのが嫌だという場合は、保険証券に記載されている支社あるいは支店に電話し、証券番号を伝えたうえで、満期をもって終了する旨をお伝えください。
満期をもって終了する自動車保険からは、当然のことですが、戻ってくるお金は発生しません。
他社に乗り換えるには:事故で示談中に乗り換える場合
事故を起こし事故処理をしている最中に担当者の対応に不信感を抱き、保険期間の中途だけれど今すぐにでも他社に切り換えるべく行動に出る方が時折いらっしゃいます。
こういうときは、いったん頭を冷やしてから冷静な頭で判断することをおすすめしますが、とはいえ、我慢できないこともあるかもしれません。
この場合、もちろん他社に乗り換えることは可能です。
現在示談交渉をしている事故に対しては、事故発生時点で加入していた保険会社が支払い義務を負います。
ですから、交渉中に他社に乗り換えても、事故に対する保険金の支払いには何の問題も生じません。
ただし、期間の途中で乗り換えることになるので、乗り換える時点のノンフリート等級が10等級だとすると、同じ10等級で乗り換え先の契約がスタートすることになり、その時点から向こう1年間は10等級のままです。
その際、示談交渉中の事故に対して、最終的に保険金支払いがない場合はそのままでいいのですが、保険金の支払いが発生したら、乗り換え先のノンフリート等級が「後追い」で変更されることになります。
3等級ダウンの事故であれば、10等級から7等級に変更され、保険料も高くなりますから、追徴保険料を支払う必要が出てきます。
※追徴保険料とは、手続きが完了した後に発生した変更事項により生じた保険料のこと
当然のことですが、保険会社が切り替わったからといって、事故の履歴が消えることはありません。
初めて自動車保険に加入する方へ「しばらく保険は使えません」
初めて自動車保険に加入する場合はノンフリート6等級からスタートします。
一家にすでに車がある場合は複数所有新規(セカンドカー割引)を使って7等級からスタートできる場合もあります。
いずれにしても6か7です。
このことはぜひ頭に入れて置いていただきたいのですが、新規に保険契約を結んだ人は、数年間は保険は使えないものと思ってください。
保険を使うのは高額な賠償事故を起こしたときだけで、それ以外は使えないものとお考えください。
と言うのも、たとえばノンフリート6等級で保険をスタートして、その年に3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年度はノンフリート等級が3つダウンして3等級となります。
ノンフリート3等級は割引ではなく割増の等級です。
12%割増です。
6 | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
保険料が高くなることも問題ですが、それよりも等級の問題のほうが大きいです。
こうした状況に陥ることを自動車保険業界では「リーチが掛かる」と表現することがあります。
次で終わりだ、という意味です。
つまり、ノンフリート3等級になって、もしもそこでまた3等級ダウン事故を起こした場合、そこからさらに3等級ダウンするのですが、1等級が打ち止めなので、次の契約は1等級になります。
通販型の保険会社でも代理店型の保険会社でも、1等級とか2等級は、多くの場合「引き受け拒否」となります。
保険を契約してくれる会社がなくなってしまいます。
その意味で言うのですが、初めて自動車保険に加入して6等級(7等級)からスタートした人は、よほど大きな事故でない限り、加入している自動車保険を使おうなどと思ってはいけないのです。
数年間はじっと辛抱しなければなりません。
ある程度等級が進んでいけば、たとえ3等級ダウン事故を2度起こしたとしても、なんとか契約してくれる保険会社は残っています。
しかし、ノンフリート6等級の時点では、1度3等級ダウン事故で保険を使っただけで「リーチが掛かる」のです。
まして3等級ダウン事故を2度起こしたら、どの保険会社とも契約できない状態に放り出されます。
初めて自動車保険に入った人は、以上の理由から、数年間は保険は使えないものと考えるべきです。
あくまでも多額の賠償事故が発生したときのための「お守り」であって、少損害の事故では使えないものとお考えください。
<すでに親が車を所有していて、そこへ子供が新たに車を購入することになった場合>
親の所有する車の保険が割引率の高いノンフリート等級になっている場合は、その親の保険に子供の車をつけ、それによってはじき出された親の車に対して新規契約を結ぶ、という方法があります。
これをすることで2台トータルの保険料を節約することができます。
また、子供はノンフリート等級の進んだ親の保険でスタートできるので、たとえば3等級ダウン事故を起こしても、それですぐに「リーチが掛かる」という状態にはなりません。
初めて自動車保険に加入する場合で、同居の家族がすでに車を所有しているケースでは、こうした方法もあるので、保険会社あるいは代理店に相談してみてください。
補足:「保険期間通算特則」について
たとえば、現在ノンフリート10等級の契約を保険始期から10ヶ月経過した時点で他社に乗り換えた場合、通常、乗り換えた日から向こう1年間をノンフリート10等級で加入することになります。
乗り換えをしないでいれば、あと2ヶ月で11等級に上がっていたところです。
保険期間の途中で保険会社を乗り換えると、こういうことになります。
ところが、乗り換え先の保険会社が「保険期間通算特則」という制度を採用している場合は、事情が変わってきます。
この制度を採用している会社が保険を引き受けた場合、前の契約はすでに10ヶ月経過しているので、残り2ヶ月した時点でいったんその契約は満了となり、そこからまた1年間の契約が始まります。
そして、新しく始まる契約のノンフリート等級は10等級から11等級に上がります。
つまり、新旧の保険会社が異なっていても、同じ保険会社で契約を続けた場合と同じ扱いにするというものです。
「保険期間通算特則」を利用する際の注意点は1つだけです。
それは「解約日」と「始期日」を同じ日付にすることです。
これは期間の中途で他社に乗り換える通常の場合と同じやり方ですが、ただし、通常の中途手続きの場合は、7日間の空白期間が許されています。
しかし「保険期間通算特則」を利用する場合は、空白期間は絶対にNGです。
その点が違います。
ところで、この「保険期間通算特則」を採用している保険会社ですが、各社のホームページには特に記載されていないようなので、電話で確認しました。
その結果です。
東京海上日動 | 保険期間通算特則あり |
損保ジャパン日本興亜 | 保険期間通算特則あり |
三井住友海上 | 保険期間通算特則あり |
代理店型の大手損保はこの制度を採用しています。
次に通販型各社です。
おとなの自動車保険(セゾン) | 保険期間通算特則なし |
イーデザイン損保 | 保険期間通算特則なし |
アクサダイレクト | 保険期間通算特則なし |
ソニー損保 | 保険期間通算特則なし |
三井ダイレクト | 保険期間通算特則なし |
ご覧のように、通販型はほぼ全滅です。
もちろん、他にも通販型の自動車保険はありますが、5社連続して「なし」の返答を受けて気持ちが萎えてしまいました。
通販型のオペレーターさんは、みなさん「保険期間通算特則」という言葉を始めて耳にしたようでした。
必ず聞き返されました。
いずれにしても、代理店型の大手保険会社に乗り換える場合は、「保険期間通算特則」が利用できるので、中途で乗り換える場合はぜひご利用ください。
ご覧いただきありがとうございました。