キャブ車の車検は排ガス検査が最大の関門!COを絞って通す調整方法と年式別基準値を徹底解説

<当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています>



キャブレター車の車検で、最も多くのオーナーを悩ませるのが排ガス検査です。
現代のインジェクション車と違い、キャブ車はCO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)の数値が安定しません。
検査ラインでいきなり「×」の表示が出て、立ち尽くした経験のある方も多いはずです。
この記事では、キャブを「絞る」ことでCOを下げる調整の理屈と手順を、4輪(クルマ)と2輪(バイク)に分けて徹底的に解説します。
年式によって適用される基準値がまったく違うこと、そして4輪と2輪では調整するネジも回す方向も異なることを、正確に整理しました。
この記事を読めば、他のサイトを調べて回る必要はありません。

目次

第1章 車検の排ガス検査とは何か──COとHCの正体を理解する

車検(正式には継続検査)では、マフラーから出る排気ガスの成分検査が必ず行われます。
検査の根拠は道路運送車両の保安基準 第31条です。
測定されるのはCO(一酸化炭素)HC(炭化水素)の2つの濃度です。
検査方法はシンプルで、プローブと呼ばれる検査棒をマフラーの出口に差し込み、アイドリング状態のガス濃度を測定します。
測定時間はおよそ10秒程度で、電光掲示板に「○」か「×」が表示されます。

ここで重要なのは、COとHCが発生する理屈です。
ガソリンが十分な空気の中で完全燃焼すると、排気ガスはCO2(二酸化炭素)と水蒸気になります。
ところが空気に対してガソリンが濃すぎる(リッチな)状態だと、酸素が足りず不完全燃焼が起こり、COが大量に発生します。
一方、HCは燃え残ったガソリンそのものです。
失火や点火不良、混合気(こんごうき)の薄すぎによる燃焼不良があると、HCの数値が跳ね上がります。

成分正体数値が上がる主な原因
CO不完全燃焼で発生する一酸化炭素混合気が濃すぎる(燃料過多)
HC燃え残ったガソリン成分失火・点火不良・薄すぎによる燃焼不良

つまり対策の方向性はこうなります。
COを下げたければ混合気を薄くする(=絞る)
ただし薄くしすぎると今度は失火してHCが上がる
この「COとHCのシーソー関係」こそが、キャブ調整の核心です。
やみくもにネジを回しても、片方を下げればもう片方が上がる沼にハマるだけです。

調整方向COへの影響HCへの影響
混合気を薄くする下がる薄すぎると失火して上がる
混合気を濃くする上がるある程度までは安定

なお、キャブ車特有の事情として、気温・湿度・エンジンの温まり具合で数値が大きく変動する点も覚えておいてください。
テスター屋で合格圏に調整しても、検査ラインに並んでいる間に数値が変わってしまうことも実際にあります。
だからこそ、理屈を理解した上での事前準備がすべてを決めます。

この章のまとめ
検査の根拠道路運送車両の保安基準 第31条
測定成分CO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)の2つ
COの原因混合気が濃すぎる不完全燃焼
HCの原因失火・燃え残りガソリン
核心COとHCはシーソー関係にある
引用元
国土交通省「道路運送車両の保安基準 第31条」(公的機関)
グーネットマガジン「車検の排気ガス検査の合格基準とは」(2018年8月28日)
自動車故障診断shapro「車検に通らない排気ガスCO,HCを下げる裏技【保安基準14】」(国家整備士監修/2023年5月)

第2章 【4輪編】年式で基準値が激変する──旧車キャブ車に適用される数値

ここからは4輪(クルマ)の話です。
まず絶対に押さえるべきなのは、排ガス検査の基準値は製造年式によって大きく異なるという事実です。
現在の一般的なガソリン車の基準はCO 1.0%以下、HC 300ppm以下です。
これは平成10年(1998年)のアイドリング規制強化以降に製造された車に適用される数値です。

一方、平成10年規制より前に製造された4サイクルのガソリン4輪車には、より緩い基準が適用されます。
具体的にはCO 4.5%以下、HC 1200ppm以下です。
排ガス検査は「新しい基準に一律適合させる」のではなく、その車が製造された年の検査基準値が適用される仕組みだからです。
たとえば1967年(昭和42年)製造のヒストリックカーであれば、COは昭和47年以前の規制値である4.5%未満、HCは昭和50年に定められた1200ppm以下が合格ラインになります。
触媒(しょくばい)が付いていない昭和40年代の旧車でも、この数値をクリアすれば車検上は何の問題もありません。

対象(4輪ガソリン車)CO基準値HC基準値
平成10年規制以降の車1.0%以下300ppm以下
平成10年規制より前の4サイクル車4.5%以下1200ppm以下

この差は決定的です。
CO 4.5%と1.0%では、許容範囲が4.5倍も違います。
昭和の旧車キャブ車が意外と車検を通せるのは、この緩い基準のおかげです。
逆に注意が必要なのは、平成に入ってからのキャブ車です。
1990年代前半まで生産されていたキャブ仕様の商用車や一部の乗用車は、適用される基準が旧車よりも厳しいケースがあります。
自分の車にどの基準が適用されるかは、車検証の型式に付く排出ガス規制の識別記号で決まります。
検査ラインでは検査官が年式・識別記号を確認し、テスター側で該当する基準値が設定されます。

確認項目確認方法
適用される基準値車検証の型式の識別記号と初度登録年
検査時の基準設定検査ラインで検査官が年式を確認して指定
不安がある場合検査場近くのテスター屋で事前測定

なお、ディーゼル車はCO・HC測定ではなく黒煙検査またはオパシメータ検査という別方式です。
この記事はガソリンのキャブ車を対象としているため、ディーゼルの話はここでは扱いません。

この章のまとめ
現行基準(4輪)CO 1.0%以下・HC 300ppm以下
旧車基準(4輪)平成10年規制前はCO 4.5%・HC 1200ppm
適用ルール製造年の基準値がそのまま適用される
確認方法車検証の識別記号と初度登録年
引用元
国土交通省「使用過程車に対する排出ガス規制(アイドリング規制値一覧)」(公的機関)
AUTO MESSE WEB「頑張れば旧車でもできるんです! ヒストリックカー乗りでもいた『ユーザー車検派』の実情」(2022年3月4日)
kyusha.net「旧車・キャブ車の車検での排ガス調整の傾向と対策」
Yahoo!知恵袋「昭和49年以前の車の排ガス規制に関する回答」

第3章 【4輪編】COを「絞って」下げる──キャブ調整の実践手順

それでは本題の調整方法です。
COを下げる基本原理はただひとつ、アイドリング時の混合気を薄く(リーンに)することです。
これを整備の現場では「絞る」と表現します。
ただし、いきなりミクスチャー(混合気調整)のネジに手を出すのは間違いです。
正しい順序があります。

手順1:土台となる環境を整える

最初にやるべきは調整ではなく点検です。
バキュームホースの亀裂や抜けによる二次エア吸い込みがあると、どれだけキャブを触っても数値は安定しません。
ソレックスやウェーバーなどのマルチキャブ車はスロットルの同調を先に取ります。
点火時期も指定値に合わせておきます。
社外カムシャフトなどに変更している車両は、この時点で不利であることを自覚してください。

手順2:点火系を万全にする

スパークプラグは新品または良好な状態のものに交換します。
プラグが劣化していると失火が発生し、HCが跳ね上がります。
可能であればデスビキャップ、ローター、ハイテンションコードも点検・交換し、最善の点火環境を作ります。
点火系の整備はCO・HC両方に効く、費用対効果の最も高い対策です。

手順3:混合気を絞っていく

ここでようやくキャブの調整です。
アイドルアジャストスクリュー(アイドルミクスチャースクリュー)を使い、失火しない範囲・回転が不安定にならない範囲で、混合気を薄い方向に絞っていきます
混合気が適正化されるとエンジン回転が上がってくるので、その都度スロットルアジャストスクリューで回転数を基準レベルまで下げます
この「絞る→回転を下げる」の繰り返しが、キャブ調整の王道です。
なお、ネジを締める方向と薄くなる方向の関係はキャブの形式によって異なるため、必ず整備書で自車のキャブ構造を確認してから作業してください。

手順作業内容主な効果
手順1二次エア点検・同調・点火時期数値の安定化
手順2プラグ・点火系の刷新CO・HC両方に有効
手順3混合気を薄めに絞るCO低減
手順4回転数・点火時期の微調整HC低減

手順4:それでもHCが下がらない場合

COが基準に収まってもHCが高い場合は、COが基準値を超えない範囲でアイドリング回転を少し上げ、燃焼を安定させてHCを下げます。
それでもダメなら、点火時期を変化させながら数値の反応を見て調整します。
この領域の調整はアイドリングが不自然になったり、中・高回転のパワーが犠牲になったりすることもあります。
それでも基準に収まれば、車検対策としては成功です。

ひとつ、経験者の間で語り継がれる鉄則を紹介します。
「今、運よく基準値をクリアしているなら、何も触らずそのまま検査コースへ持ち込め」
旧車の燃焼状態は気まぐれで、ひと吹かししただけで数値が変わることすらあります。
本格的なキャブセッティングは、車検合格後に心ゆくまでやるのが正解です。

症状打つ手
COだけ高い混合気を薄く絞る
HCだけ高い点火系刷新+回転をやや上げる
両方高い二次エア・同調・圧縮など土台から点検
何をしても入らない燃焼室・バルブの気密不良やキャブ本体の不調を疑う
この章のまとめ
基本原理混合気を薄く絞ればCOは下がる
作業順序点検→点火系→混合気→回転・点火時期
絞りすぎ注意薄すぎると失火してHCが上がる
鉄則クリアしている車は触らずそのまま検査へ
引用元
kyusha.net「旧車・キャブ車の車検での排ガス調整の傾向と対策」(旧車オーナー向け技術解説)
自動車故障診断shapro「車検に通らない排気ガスCO,HCを下げる裏技【保安基準14】」(国家整備士監修)

第4章 【4輪編】調整以外で数値を下げる当日対策とテスター屋の活用

キャブ調整と並行して、検査当日にできる対策があります。
どれも地味ですが、合否を分ける効果があります。

暖機運転は最強の当日対策

冷えたエンジンでは燃料がうまく気化せず、不完全燃焼でCO・HCともに悪化します。
検査当日は、ラインに入る前に10〜15分程度の走行でエンジンを完全に温めてください。
検査待ちの列で長時間アイドリングを続けると、逆にプラグがくすぶって数値が悪化することもあります。
順番が近づいたら軽く空吹かしをして、燃焼状態をリフレッシュしておくのが実戦的です。

消耗品と添加剤

エアクリーナーエレメントの汚れは、それ自体が「チョークを引いた状態」と同じで、混合気を濃くしてCOを押し上げます。
汚れていれば清掃または交換します。
ガソリン添加剤による燃焼室のカーボン除去も、HC低減に一定の効果があります。
ただし添加剤は即効薬ではなく、車検の数週間前から入れて走り込んでおくのが正しい使い方です。

当日対策効く成分ポイント
暖機(だんき)運転10〜15分CO・HC走行して温めるのが効果的
エアクリーナー清掃・交換CO汚れは混合気を濃くする
プラグ新品交換HC失火の防止
ガソリン添加剤HC数週間前からの使用が前提

テスター屋(予備検査場)を使い倒す

ユーザー車検でキャブ車を通すなら、陸運支局近くのテスター屋(予備検査場)での事前測定はほぼ必須と考えてください。
排ガス測定だけなら1000円〜3000円程度が相場です。
自分の車の現在値が分からないまま検査ラインに入るのは、目隠しで的に矢を放つようなものです。
数値さえ分かれば、「COが4.2%でギリギリだから、もう少し絞ってから並ぼう」という判断ができます。
ディーラーや整備工場でも2000円〜5000円程度で簡易排ガスチェックを受けられます。
ただし、SUキャブやソレックスなどの旧車キャブの調整は手間がかかるため、テスター屋によっては歓迎されないこともあります。
基本の調整は自分で済ませ、テスター屋では測定と最終微調整を頼むのがスマートな使い方です。

事前測定の手段費用目安
テスター屋(予備検査場)1000円〜3000円程度
整備工場・ディーラーの簡易チェック2000円〜5000円程度
この章のまとめ
暖機10〜15分走行して温めるのが当日最大の対策
エアクリーナー汚れはCO上昇に直結
テスター屋1000円台からの事前測定はほぼ必須
役割分担調整は自分・測定はテスター屋
引用元
グーネットマガジン「車検の排気ガス検査の合格基準とは」(2018年8月28日)
プロ家事でハッピーライフ「車検の排ガス検査を通す裏ワザ&失敗しない整備術」(2025年5月9日)
ラチェットモンキー「車検における排ガス検査、検査基準や注意するべき点は?」(2021年6月10日)

第5章 【2輪編】バイクの排ガス基準は年式で3段階──平成11年規制前は検査自体がない

ここからは2輪(バイク)の話です。
4輪の数値とはまったく別の体系なので、混同しないでください。
車検があるのは排気量251cc以上のバイクですが、排ガス検査の扱いは年式によって3つのグループに分かれます。

グループ1:平成11年規制の対象外の車両──排ガス検査なし

最初の二輪車排出ガス規制は平成11年(1999年)規制です。
小型二輪自動車への適用は、新型車が平成11年10月1日以降、継続生産車が平成12年9月1日以降、輸入車が平成13年4月1日以降です。
つまり、これより前に生産されたバイクは規制対象外であり、車検時に排ガス濃度の測定自体が行われません
1990年代のキャブ車、たとえば初期のゼファーやCB1000SFなどは、排ガス検査を心配する必要がそもそもないということです。
これは旧車バイク乗りにとって非常に大きなポイントです。

グループ2:平成11年規制車──CO 4.5%・HC 2000ppm

平成11年規制の適用を受けた4サイクル車のアイドリング規制値は、CO 4.5%以下、HC 2000ppm以下です。
1999年〜2000年代中盤のキャブ車、たとえばCB400SF(キャブ最終期)、SR400のキャブ仕様、W650などの多くがここに該当します。
「キャブ車なのに排ガス検査がある」世代であり、この記事の調整テクニックが最も役立つのがこのグループです。

グループ3:平成19年規制以降──CO 3.0%・HC 1000ppm

平成18〜19年規制でアイドリング規制値が強化されました。
4サイクル車のCOは33%削減されて3.0%以下、HCは1000ppm以下になりました。
小型二輪への適用は新型車が平成19年10月1日以降、継続生産車・輸入車が平成20年9月1日以降です。
この世代はほぼすべてインジェクション化されており、キャブ車はごく一部です。

グループ(2輪・4サイクル)CO基準値HC基準値
平成11年規制の対象前排ガス検査なし
平成11年規制車4.5%以下2000ppm以下
平成19年規制以降3.0%以下1000ppm以下

自分のバイクがどのグループかは、車検証の型式(BC-、EBL-などの排ガス識別記号)と生産時期で判別できます。
検査ラインでは検査官が年式を確認し、該当する排ガス記号をテスターに入力してから測定します。
なお、同じ車名でも年式・仕向けによって規制の適用が異なる場合があります。
たとえばXJR1300のように、思い込みで「平成11年規制車だろう」と判断すると外すことがあるため、必ず書類で確認してください。

確認手段見るポイント
車検証型式の排ガス識別記号・初度登録年
生産時期新型車・継続生産車・輸入車で適用日が違う
検査ライン検査官が年式確認→排ガス記号を入力
この章のまとめ
規制前バイク平成11年規制の対象前は排ガス検査なし
平成11年規制車CO 4.5%・HC 2000ppm
平成19年規制以降CO 3.0%・HC 1000ppm
判別方法車検証の識別記号と生産時期で確認
引用元
JMCA全国二輪車用品連合会「二輪車排出ガス規制について」(業界団体)
国土交通省「二輪車排出ガス規制の強化について(平成17年8月29日告示改正)」(公的機関)
グーバイクマガジン「バイクの車検で要注意!排出ガス規制のCO対策」(2019年9月30日)
ポテンシャル(バイクショップブログ)「バイクの排ガス規制適応時期について車検場の検査官に質問してみたら」(2020年6月16日)

第6章 【2輪編】パイロットスクリューを絞る──バイクのキャブ調整で絶対に間違えてはいけないこと

バイクのキャブでアイドリング域の混合気を司るのは、パイロットスクリューまたはエアスクリューです。
そしてここに、初心者が最も間違えやすい罠があります。
この2つは、回す方向と混合気の濃さの関係が正反対です。

パイロットスクリューとエアスクリューは「逆」に動く

パイロットスクリューは燃料の通路を調整するネジです。
締め込むと燃料が減って混合気は薄くなり、COは下がります
一方、エアスクリューは空気の通路を調整するネジです。
締め込むと空気が減って混合気は濃くなり、COは上がります
「CO対策で絞る」と言ったとき、パイロットスクリュー式なら締め込む方向、エアスクリュー式なら開く方向が正解です。
自分のキャブがどちらの方式か、必ずサービスマニュアルで確認してから作業してください。
ケーヒンCVKキャブレターはパイロットスクリュー式の代表例です。

スクリュー種別調整対象締め込むと
パイロットスクリュー燃料薄くなる→CO低下
エアスクリュー空気濃くなる→CO上昇

調整の基本は「規定戻し回転数」

調整の出発点は、スクリューを一度軽く全閉まで締め込み、そこからサービスマニュアル規定の回転数だけ戻すことです。
規定値は車種によりますが、1回転半〜2回転半戻しあたりが多い設定です。
そこを基準に、暖機後のアイドリング状態で4分の1回転(90度)ずつ動かして反応を見ます。
90度単位なら位置が分かりやすく、元にも戻しやすいからです。
4気筒車は4つのキャブそれぞれにスクリューがあるため、どれをどれだけ回したか必ず記録してください。
分からなくなった時点で調整は破綻します。

実例:CB400SFが排ガスで落ちた理由

実際のユーザー車検の失敗例を紹介します。
2001年式CB400SF VTEC(キャブ仕様)のオーナーが、車検対応マフラー装着・音量問題なしの状態で検査に臨んだところ、HC濃度オーバーで不合格になりました。
陸運支局近くのバイクショップで測定してもらった結果、原因はパイロットスクリューが開きすぎで燃料が濃すぎたことでした。
前オーナーが社外マフラーに合わせて開けたスクリューが、マフラーだけ戻された状態で残っていたと推測されています。
規定の戻し回転数に締め直しただけで基準値内に収まり、そのまま車検に合格しました。
しかも本人いわく、帰り道はエンジンの調子が良くなり、加速まで改善したとのことです。
排ガス対策の調整が、本来の正しいセッティングへの回帰でもあった好例です。

CB400SF実例のポイント内容
不合格の内容HC濃度オーバー(キャブ車・2001年式)
原因パイロットスクリューの開きすぎで燃料過濃
対策規定戻し回転数に締め直し(=絞った)
結果合格+エンジンの調子まで改善

スクリュー以外の2輪定番対策

グーバイクマガジンが挙げるCO上昇の主因は、アイドリング調整不足、カーボン蓄積、触媒装置の不具合です。
検査前は夏場で約15分、冬場で約20分走行してエンジンを完全に温め、アイドリング回転を適正値(多くの車種で1200〜1500rpm前後)に合わせます。
エアクリーナーエレメントの交換とプラグ交換は4輪と同様に基本中の基本です。
意外な盲点として、検査プローブをマフラーに深く差し込みすぎると、エキゾーストパイプ寄りの濃いガスを拾って数値が悪化します。
プローブはストッパーの位置までにとどめてください。

2輪の対策ポイント
暖機走行夏約15分・冬約20分の走行
アイドリング調整規定回転数(1200〜1500rpm前後)に合わせる
スクリュー調整規定戻し回転数を基準に90度ずつ
プローブの深さストッパー位置まで(深差しは数値悪化)
この章のまとめ
パイロットスクリュー締め込む=絞る=CO低下
エアスクリュー動きは正反対、締めると濃くなる
基準位置全閉から規定回転数戻しが出発点
実例の教訓スクリュー開きすぎがHC・CO過多の定番原因
プローブ深差し整備が完璧でも数値が悪化する盲点
引用元
Webikeプラス「パイロットスクリューはキャブレターの要。スロー系が安定しないならOリングの気密不良も疑ってみよう」(2021年6月15日)
グーバイクマガジン「バイクの車検で要注意!排出ガス規制のCO対策」(2019年9月30日)
mixi CB400SFコミュニティ「ユーザー車検 排ガスで通りませんでした!」(オーナー実体験の書き込み)
Yahoo!知恵袋「バイクのキャブのパイロットスクリューの調整について」(2013年2月)

第7章 検査ラインの実際と再検査の仕組み──落ちてからが本当の勝負

排ガス検査で「×」が出ても、その日のうちに終わりではありません。
車検の検査は同じ日であれば合計3回まで受検できます(初回+再検査2回)。
しかも不合格項目だけの限定再検査が可能で、排ガスだけをもう一度測り直すことができます。
つまり、1回目で落ちてもその場で対策し、同日中に2回のチャンスが残っているということです。

2輪の実例:CO 7%超えからの逆転劇

インジェクション車の例ですが、検査当日の立ち回りとして非常に参考になる2輪の実体験を紹介します。
外気温4℃の2月、トライアンフ・タイガー800のユーザー車検で、CO濃度が7%を超えて不合格になったケースです。
午前10時すぎの受検で、寒さによる暖機不足が疑われました。
オーナーは車検場周辺を3速キープの高め回転で走り回って暖機し直しましたが、2回目も不合格
そこで近所のバイク店に駆け込んでCO測定をしてもらったところ、15分走行直後の実測値はわずか0.74%でした。
車両は正常で、エンジンと触媒が十分に温まっていれば余裕で合格圏だったのです。
この実例が示す教訓は明快です。
冬場の排ガス検査は、暖機の温度管理が合否を直接左右する
測定直前まで温度を保つ段取りまで含めて、検査当日の作戦を立ててください。

再検査の制度内容
同日の受検回数合計3回まで(初回+2回)
限定再検査不合格項目(排ガスのみ等)だけ再測定可能
後日の再検査限定自動車検査証で対応(期限あり)

落ちた直後にやるべきことの優先順位

1回目で落ちたら、まず検査票に印字されたCO・HCの実測値を確認します。
数値も見ずに闇雲に対策するのは時間の無駄です。
COだけが高いのか、HCだけが高いのか、両方なのかで打つ手が変わります。
COがわずかにオーバーしている程度なら、暖機のやり直しと空吹かしで通ることも多いです。
大きく超えているなら、テスター屋に持ち込んでキャブの絞り調整を行ってから再検査に臨みます。
4輪なら第3章の手順、2輪なら第6章の手順がそのまま使えます。

不合格時の状況優先すべき対策
CO微超過暖機やり直し+空吹かしで再挑戦
CO大幅超過テスター屋で混合気を絞る
HC超過プラグ・点火系確認、回転数調整
原因不明その日は撤退し、日を改めて整備
この章のまとめ
同日3回初回+再検査2回のチャンスがある
限定再検査排ガスだけの再測定が可能
実測値の確認落ちたらまず検査票の数値を見る
冬場の教訓暖機不足だけでCO 7%超えの実例あり
引用元
個人ブログ「Stock Hunterの御機嫌伺『バイクのユーザー車検に初挑戦 まさかの3回不合格からの限定車検 TIGER800』」(2021年2月/オーナー実体験)
自動車故障診断shapro「車検に通らない排気ガスCO,HCを下げる裏技【保安基準14】」(国家整備士監修)

第8章 やってはいけないNG行為と、合格後に必ずやるべきこと

最後に、排ガス対策で絶対に手を出してはいけない行為と、合格後の正しい後始末を整理します。
ここを外すと、車検どころか健康や法令の問題に発展します。

NG行為1:「人間テスター」は命に関わる

旧車界隈には、排気ガスの匂いと湿気の感じで濃度を判断する「人間テスター」なる俗説があります。
これは絶対にやってはいけません
COは無色無臭でありながら、換気不良の暖房器具などで死亡事故を起こしてきた極めて危険な有毒ガスです。
空燃比(くうねんぴ)が狂ったエンジンの排気には、このCOが大量に含まれています。
測定は必ず機械で行ってください。
1000円台で測ってくれるテスター屋があるのに、健康を賭ける理由はひとつもありません。

NG行為2:検査だけ通ればいいという極端な絞り

失火寸前まで混合気を絞れば、確かにCOの数字は作れます。
しかしその状態で走り続ければ、エンジンの焼き付きや息つきなどの実害が出ます。
検査後に元の濃いセッティングへ戻すにしても、そもそも「検査のときだけ薄く、普段は過剰に濃い」という状態は、キャブ本来の適正セッティングから外れている証拠です。
CB400SFの実例が示したように、排ガス基準に収まるセッティングは、多くの場合エンジンにとっても正しいセッティングです。
車検を、愛車の燃調を見直す定期健診として使ってください。

NG行為3:触媒・排ガス低減装置を外した状態での受検

排ガス規制適用車から触媒などの排出ガス発散防止装置を取り外すのは、保安基準不適合の改造です。
2輪の規制適用車で社外マフラーに交換している場合、触媒の有無や排ガス試験成績書(ガスレポ)の扱いが問題になることがあります。
規制適用車のマフラー交換は、JMCA認証などの適法な車検対応品を使うのが大前提です。

NG行為リスク
人間テスターCO中毒という命の危険
極端な絞りっぱなし焼き付き・息つきなどエンジン実害
触媒レス受検保安基準不適合・不正改造

合格後にやるべきこと

車検のために回転数や点火時期を不自然な位置に振った場合は、合格後に走行性能を優先した本来のセッティングへ再調整します。
そして次回車検に向けて、今回の合格時のスクリュー戻し回転数・アイドリング回転数・点火時期・CO/HC実測値を記録しておいてください。
この記録が2年後のあなたを救います。
キャブ車の排ガス検査は、理屈を知り、数値を測り、正しい方向に絞れば必ず攻略できます。
本記事の年式別基準値と調整手順を武器に、堂々と検査ラインに乗り込んでください。

記録しておく項目理由
スクリュー戻し回転数次回車検の即戦力データ
合格時のCO/HC実測値劣化の進行度が分かる
アイドリング回転・点火時期再現性の確保
この章のまとめ
人間テスター厳禁COは死亡事故を起こす有毒ガス
絞りすぎ厳禁数字合わせの極端な調整はエンジンを壊す
触媒は必須規制適用車の触媒レスは不正改造
合格後の記録戻し回転数と実測値が次回の武器になる
引用元
kyusha.net「旧車・キャブ車の車検での排ガス調整の傾向と対策」(人間テスターの危険性への言及)
JMCA全国二輪車用品連合会「二輪車排出ガス規制について」(業界団体/マフラー認証制度)
車の広場「車検の排ガス検査の裏ワザでCO・HC値を下げるコツとは」(2026年2月4日)