序章:「自滅」に見えるからこその恐ろしさ
みなさん、こんにちは。
今日は、もう、何が何だか分からない中国の自動車産業の話です。
中国国内ではですね、ここ数年、自動車メーカー同士が生き残りをかけて血で血を洗うような凄まじい安売り合戦を繰り広げていて、車を作って売れば売るほど赤字になるという、異常な泥沼状態に陥っていたんですね。
そして、その国内の過酷な競争がついに限界に達したのが、今年、2026年なんです。
これまでずっと右肩上がりで成長を続けてきた中国国内の自動車販売台数が、ついに前年割れ、つまり「国内市場の成長の終わり」という決定的なブレーキがかかりました。
これだけを聞くとですね、「なんだ、中国の自動車メーカーって、自分たちで勝手に安売り競争をして自滅しているだけじゃないか」「放っておけば勝手に潰れていくんじゃないの?」って思いますよね。
ですが、まさに、それこそが一番危険な勘違いなんだということを、今日はお話ししたいと思うんですね。
中国国内で起きていた異常な競争は、単なる自滅ではありませんでした。国内という狭い檻の中で何年もかけて膨れ上がった凄まじいエネルギーが、もはや国内では収まりきらなくなって、世界中に「輸出」という形で解き放たれてしまったんですね。
つまり、中国国内で繰り広げられていた地獄のような生き残り競争が、形を変えて、今まさに世界中の自動車メーカーをなぎ倒す「最強の武器」となって世界中へ襲いかかろうとしていると見るべきなんです。
そしてですね、この中国からの凄まじい輸出攻勢に対して、世界の3大自動車地域である「アメリカ」「EU」、そして私たちの「日本」は、すでに数年前からずっと警戒を強めていて、それぞれ全く違う方法で防波堤を築こうと戦ってきました。
しかしですね、結論から言ってしまうと、どの国もこの攻勢を完全に防ぎきることはできていません。特に、私たち日本では、なまじ「日本国内は大丈夫そうに見える」というのが曲者なんですね。
折しも、今、BYDのラッコが話題になっていますけれども、まあ、私も騒ぐほどのことはないだろうと思っているのですが、まさに、そうした国内市場の安泰こそが、錯覚を起こしてしまう元凶なのだと思うんですね。
けれど、最後のところでご説明しますが、かなりヤバイことになりつつあるという話をしたいと思います。
今回はですね、大和総研の最新レポートなどの確かなデータをもとに、数年前から始まっていた、中国発の、不気味で恐ろしい攻勢に対して、アメリカ、EU、そして日本がこれまで打ってきた対策について、特に、私たちが直面している危機の正体について、わかりやすく解説していきたいと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
【第1章】なぜ中国国内は地獄になったのか?――数年前から蓄積された「内巻」と2026年の爆発
それではですね、まずは、すべての元凶となっているキーワード、「内巻(ネイジュアン)」という現象について見ていきましょう。
この「内巻」という言葉、英語では「インボリューション(Involution)」と訳されるんですが、今の中国経済を読み解く上では絶対に外せない超重要ワードなんですね。
どういう意味かと言いますと、簡単に言えば
「みんなが死に物狂いで努力して競争しているのに、誰一人として幸せになれず、全員がジリジリと消耗していく泥沼の過当競争」
のことなんです。
わかりやすく言うとですね、街のラーメン屋さん同士が隣り合っていて、最初は1杯800円だったラーメンを、隣に勝ちたいからと700円に値下げする。すると隣のお店は、うちは600円だ!と対抗する。さらに500円!、300円!、100円!と際限なく値下げを続けていくような状態です。
当然、100円でラーメンを売ったら大赤字ですよね。作れば作るほど損をします。
これと全く同じことが、ここ数年、中国の自動車業界で発生していたんですね。
この「内巻」の現象は、2020年代前半から中国国内でジワジワと進行していました。
具体的には、中国政府が「これからはEVの時代だ!」と巨額の補助金をバラまいた結果、何百社もの新しい自動車会社が雨後の筍のように乱立して、国を挙げての「供給過剰」の状態になってしまったんですね。
その結果どうなったか。2025年の中国のデータを見てみますと、すでに決定的な異常事態が数字に表れていました。
自動車の販売台数は前の年より9.4%も増えているのに、販売金額は0.5%減ってしまっていたんですね。
車はたくさん売れているのに、手元に残るお金は減っている。これが、数年かけてじっくりと出来上がってしまった「内巻」の恐ろしい正体なんです。
ではですね、なぜこんなバカげた競争が止まらなかったのでしょう。あまりに不思議な現象に見えますよね。
普通の経済なら、大赤字を出した会社は潰れて、市場から退場していきます。そうなれば、生き残った会社だけで適正な価格に戻せるはずなんですね。
ところがですね、大和総研のレポートでも指摘されているように、中国ではそうならない事情があったんです。事情というより政府による政策というべきなんですけど、
中国政府は、EVなどの新エネルギー車は、国家の威信をかけた最重要産業と位置付けていました。
ですから、会社が赤字で潰れそうになっても、地方政府が補助金を出したり、銀行に圧力をかけて企業の借金を延長させたりして、本来破綻すべき企業を無理やり延命させてきたんですね。
本来なら潰れるはずの会社が生き残り続けて、もはや実態としては完全な「ゾンビ企業」なんですが、ゾンビにも生きる権利があるとばかりに、さらに破滅的な安売りを仕掛けてくるのですね。
その結果、かろうじて黒字を出そうかという健全で優良な企業までが、安売り競争に巻き込まれてしまって、に底なし沼の状態に陥っていったのですね。
そうして迎えたのが、今年、2026年でした。
2026年に入り、中国政府はこれまで続けていた「EVを買うときの税金を免除する」という優遇措置をついに終了して、5%の税金を取るようにルールを変更しました。すると、長引く不動産不況で財布の紐が固くなっていた中国の消費者たちが、ついに「もう車は買えない」と買い控えを始めたんですね。
その結果ですね、2026年の最初の数か月で、中国国内の新エネルギー車販売台数は、前年同期比で20.2%も激減してしまうことになったんです。
中国国内には、何年もかけて作りすぎてしまった巨大な工場と、山のような車の在庫があるのですが、国内のお客さんはもう買ってくれないんですね。
「じゃあ、余った車をどうするのか?」
そういうわけでですね、メーカーの生き残り戦略の答えは一つしかありませんでした。
「海外に売るしかない!」というわけなんですね。
もちろん、これは2026年に初めて発生した動きではなくて、数年前から既に起こっていたことなのですが、2026年に明白な数字となって顕在化したということなんです。
実際に、数年前から、中国国内でさばききれなくなった車が、ものすごい勢いで海外へ向けて船積みされ始めていたのですが、2026年序盤の中国の新エネルギー車輸出台数は、前の年の2倍以上、前年比120.0%増という驚異的な大爆発を見せているんですね。
ちなみに、新エネルギー車とは、EVやPHEVなどの車のことを指します。
いずれにしても、こうした動きこそが、ここ数年、世界中で起きている中国車の輸出攻勢の本当の姿なんですね。
日本にも、数年前からBYDなどが進出して、ATTO3とかドルフィンとかを販売して、これらはほとんど売れませんでしたね。そして、2026年の今、今度は軽規格のラッコを売ろうとしていて、たぶんパッとしないだろうと私は思っていますが、けれども、たいして売れないことが、日本の自動車市場を安心させ、ひたひたと核心部分が侵食されていることを気づかせない煙幕となっていると思うのですが、そのことは後でお話しします。
【第2章】アメリカの対策:100%関税と鉄のカーテン
では、ここからはですね、中国からの凄まじい輸出攻勢に対して、世界の主要国がどう対応してきたのかを見ていきましょう。
先ほどもお話しした通りですね、中国の異常な過当競争と輸出拡大の兆しは今年いきなり始まったわけではなくて、自動車産業の盛んな各地域は、数年前からずっと警戒し、手を打ってきました。
まず1つ目の地域は、世界最強の大国「アメリカ」です。
アメリカの対応は、一言で言えば「完全排除」です。とにかく、アメリカ国内には中国車を一歩も入れさせないという、極めて強硬な姿勢を数年前から一貫してとっています。
具体的にどうしてきたかと言いますと、まずアメリカが使ったのが「超巨大な関税の壁」でした。
関税というのは、外国から入ってくる商品にかける税金のことですよね。アメリカはすでに2024年の段階で、中国製のEVに対して、「100%」という途方もない関税をかけることを決定しました。
100%の関税というのは、もし中国で200万円で売られている車をアメリカに輸入しようとしたら、税金だけでさらに200万円上乗せされて、アメリカの店頭では最低でも400万円以上で売らなければならなくなる、ということを意味します。
これでは、いくら中国車が安くて高性能だとしても、アメリカの消費者がわざわざ買う理由がなくなりますよね。
つまりですね、アメリカはこの100%関税によって、まずは価格面での攻勢を完全にシャットアウトしたんですね。
アメリカの対策はそれだけでは終わりませんでした。さらに議論を重ねて、「国家安全保障」という強力なカードを切ってきたんですね。
どういうことかと言いますと、現代のEVというのは、単なる「走る機械」ではありません。大量のカメラ、高精度のセンサー、GPS、そして常にインターネットとつながる巨大なコンピューターを積んだ、いわば「走るスマートフォン」と言ってもいい存在です。
アメリカ政府の考えはこうでした。
「もし中国製の車が何百万台もアメリカの街中を走り回ったらどうなるか? アメリカの軍事基地の周りの画像や、国民の移動データ、車内での会話の音声データまで、すべて中国のサーバーに吸い上げられてしまうんじゃないか?」
これは単なる自動車のシェア争いというレベルを超えて、国の安全を揺るがすスパイ活動になりかねない、と考えたんですね。
ですからアメリカは、中国製のソフトウェアや通信部品を使っているネット接続車(コネクテッドカー)そのものを、厳しく規制する法律を整備して、アメリカ市場から完全に締め出す体制を作り上げたんですね。
関税と安全保障の二重のガードで、中国車を完全にシャットアウトしているのがアメリカなんです。
ただですね、これには大きな落とし穴もあると言えます。
壁を作って外の敵をシャットアウトすれば、確かに自国の自動車メーカーは守られます。ですが、それは同時に「井の中の蛙」になってしまう危険も孕んでいるんですね。
世界中で進んでいるEVの技術競争や、バッテリー開発のコストダウンの波から、アメリカ国内だけが取り残されてしまえば、長い目で見ればアメリカの自動車メーカーの競争力が落ちてしまうかもしれない。アメリカは今、そうした大きなジレンマを抱えながら、力ずくで扉を閉ざし続けている状態なんだと思います。
【第3章】ヨーロッパ(EU)の対策:関税と現地工場のイタチごっこ
次はですね、2つ目の巨大市場であるヨーロッパ(EU)の動きを見てみましょう。
ヨーロッパはですね、もともと、地球環境のためにガソリン車をなくして、みんなでEVに乗ろう、と世界で最も熱心にEVシフトを旗振りしてきた地域でしたよね。
ところがですね、ヨーロッパの自動車メーカーがせっせと高価なEVを開発している間に、中国から、安くて、見た目も良くて、バッテリーも長持ちするEVが、数年前から雪崩のように押し寄せてきてしまったんです。
ヨーロッパの消費者からすれば、高いヨーロッパブランドのEVよりも、安くてスマホみたいに便利な中国車で十分じゃないか、となりますよね。あっという間に中国車がヨーロッパの市場シェアを奪い始めてしまいました。
これにあたふたと大慌てになったのが、ヨーロッパの首脳たちでした。
「このままでは、フォルクスワーゲンやルノーといった、ヨーロッパが誇る歴史ある自動車メーカーが全部潰れてしまう!」
そこでEUは、2023年から徹底的な調査を開始しました。
そして、中国政府が自動車会社に不当な補助金をバラまいているからこそ、異常な安売りができているんだ。これは公平な競争ルールに違反している、と認定したんですね。
そして2024年、通常の10%の関税に加えて、最大で約35%の追加関税を課すことを決定しました。合計すると、最大で約45%の関税を中国製EVにかけることにしたんですね。
「よし、これで45%も値段が高くなるんだから、中国車の勢いも止まるだろう!」
とヨーロッパ側はいったんは胸をなでおろしたんです。
ところがですね、中国のメーカーは、ヨーロッパの官僚たちが考えていたよりも、はるかに一枚も二枚も上手だったんです。
中国の最大手メーカーであるBYDなどは、関税をかけられると分かった瞬間、すぐに作戦を変更しました。
「中国から完成した車を輸出すると高い関税を取られる。だったら、ヨーロッパの中に自分たちの工場を作って、そこで組み立ててしまえばいいじゃないか!」
と考えたんですね。
そうなんです。中国メーカーは数年前から計画を進め、ハンガリーやトルコといった国々に、巨額のお金を投じて、最新の巨大な自動車工場を次々と建設し始めました。
確かに、部品を中国から持ち込む際などに一部の税金はかかりますし、原産地規則といって、ヨーロッパで作った部品を一定割合使わなければならないといったルールはありました。ですが、少なくとも完成車に科されるドギツイ追加関税は回避できたんですね。
もっとも、このやり方は、20世紀に日本の自動車メーカーがアメリカで貿易摩擦を起こしたときにやった「現地生産」という戦略と全く同じなんですね。歴史は繰り返す、ということなのかもしれませんね。
いずれにしても、そういうことでですね、ヨーロッパが必死に関税という「防波堤」を作ったにもかかわらず、中国メーカーはその防波堤の内側に工場ごと直接乗り込んできてしまったのですね。
2026年に入ってからも、ヨーロッパ市場における中国車の勢いは衰えることはなくて、ヨーロッパの対策は完全に「イタチごっこ」の泥沼にはまり込んでしまっているのが現状です。
【第4章】そして日本:国内で売れないという安心が覆い隠してしまう中国の本当の恐ろしさ
さあ、いよいよ最後になりますが、日本についてお話ししていきましょう。
みなさんは、普段日本で暮らしていて、街中で中国製の乗用車を見かけることって、どれくらいありますか?
正直なところ、「たまに見かけるかもしれないけど、走っているのはほとんどトヨタやホンダ、日産、そして軽自動車ばかりだよ」と感じる方が大半だと思います。
実際、中国車に対する日本の対策はどうなっているかと言いますと、日本はアメリカやヨーロッパのように、100%の関税をかけたり、追加関税をドカンと上乗せしたり、といった、あからさまな対応は行っていませんよね。
その代わりにですね、日本政府は数年前から、とても巧妙な「間接的なブレーキ」を踏んできています。
それが「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)」のルール変更です。
日本でEVやプラグインハイブリッド車を買うときには国から補助金が出るんですが、政府はこの補助金を支給する条件を段階的に厳しくしたんですね。
たとえばですね、
「全国にしっかりとした整備工場やディーラー網をたくさん持っているか?」
「災害が起きたときに、車から電気を取り出して避難所に供給できる仕組みが整っているか?」
「車がハッキングされないような高いサイバーセキュリティの基準をクリアしているか?」
といった条件を細かく設定したんです。
日本に参入したばかりの中国メーカーは、当然ながら日本全国にたくさんのディーラーや修理工場を持っているわけがありませんよね。
その結果、中国製EVは日本の補助金が大幅に減額されることになり、これが実質的な「見えない非関税障壁」として機能していて、日本国内への大量流入が抑えられてきた側面があると思います。
さらに、日本のユーザーは世界一と言っていいほど品質やアフターサービスに厳しいですから、
「よく知らない海外の新しいメーカーの車を買うのはちょっと怖いな」
という心理も強く働いていたと考えられますよね。
こうした実情を見るとですね、
「なんだ、日本はちゃんと守られているじゃないか」
「日本の自動車産業は安泰だね!」
とつい安心してしまうかもしれません。
ですが、まさにここからが、今回私が一番みなさんにお伝えしたい核心部分になります。
そもそも、日本の自動車メーカーって、どこで車を売って、どこでお金を稼いでいるかご存じでしょうか?
日本の自動車メーカーが作っている車のうち、日本国内で売られているのは全体のたった2割から3割程度に過ぎません。残りの「7割から8割」は、すべて海外に輸出したり、海外の現地工場で生産して世界中で販売しているんですね。
日本の自動車産業というのは、金額ベースで見れば、国内市場ではなく、海外市場で稼ぐことによって成り立っている「輸出立国の大黒柱」そのものですよね。
そして今、日本の生命線である自動車の海外市場で、何が起きているのか。
中国車の輸出攻勢に対して、アメリカは扉を閉ざしました。ヨーロッパも関税で身構えています。
では、中国国内の地獄の競争で鍛え上げられ、国内市場に居場所をなくした数百万台もの激安・高性能車は、どこへ向かったと思いますか?
それは、グローバルサウスですよね。
関税の壁が低く、これから人口が増えて経済が大きく成長していく地域、新興国とも呼ばれる地域へ、情け容赦なく押し寄せているんですね。
具体的には、タイやインドネシア、マレーシアといった「東南アジア(ASEAN)」、メキシコやブラジルといった「中南米」、「中東」や「アフリカ」といった地域です。
これらの地域がどういう場所だったか、みなさんもご存知ではありませんか?
かつて東南アジアは、「走っている車の9割が日本車」という、まさに日本メーカーの牙城、誰も崩せない「難攻不落の日本車天国」でしたよね。
タイに行ってもインドネシアに行っても、街中を走っているのはトヨタ、ホンダ、いすゞ、三菱の車ばかりでした。日本車は何十年もかけて現地の人々からの絶大な信頼を勝ち取り、莫大な利益を日本にもたらしてくれていたんですね。
ところが、です。
いま、その東南アジアや中南米の景色が、信じられないスピードで塗り替えられています。
中国のメーカーは、国内の「内巻」という生き地獄で極限までコストを削り落とした車を、目を覆いたくなるような低価格でこれらの国々に投入していますよ。彼らはバッテリーの材料までも自前で作れる強みを生かして、スマホと連携する先進的なナビや豪華な内装、巨大なタッチパネルをこれでもかと詰め込んで、「安くて、見た目もハイテクで、維持費も安い車」として大々的に売り込んでいるんですね。
新興国の人々からすればですね、「何十年もデザインが変わらないガソリン車が250万円」で売られている隣で、「超ハイテクで未来的なデザインのプラグインハイブリッド車やEVが180万円」で売られていたら、どちらに惹かれるでしょうか?
タイなどでは、新しく売れるEV市場の大部分を中国勢が独占し、長年王座に君臨していた日本車の全体シェアがみるみるうちに削り取られています。メキシコでも、EVやプラグインハイブリッド車の7割近くを中国勢が占めるという事態にまで発展していますよ。
日本の国内市場を見て、「大丈夫、奴らは入ってこないぞ」と安心していたら、実は自分たちのメインの収入源である「海外の畑」がごっそり収奪され続けていた。
これが、いま日本の自動車産業が直面している姿だと思うんですね。
最終章:世界市場という大海原で、日本はどう戦うべきか
繰り返します。
日本の自動車産業は、国内市場だけを見れば、しっかり外圧から守られて安泰のように見えるのですが、金額ベースで見た場合の屋台骨は、間違いなく世界市場ですよね。そして、その世界市場、グローバルサウスにおいては、じわじわと中国勢に浸食され続けているのですね。
自動車産業は、日本の雇用の約1割を支え、日本の輸出額の大きな割合を占める、まさに日本経済の「心臓」であり「屋台骨」です。もしも海外市場でのシェア争いに完全に敗れてしまえば、それは自動車メーカーが傾くということにとどまらず、日本で暮らす私たち全員の生活や給料、国の豊かさに直結する大打撃となって跳ね返ってくると思うんですね。
中国は、日本のバブル期を上回る巨大な負債を抱え、不動産の逆回転、自動車産業の内巻によって、これら負の部分だけに着目すると、明らかに自滅に向かっているようにも見えるのですが、こうした負のパワーがいったん外に向かった時に、とてつもない魔力を発揮する可能性を秘めている感じがするのですね。
おっかないですよね。
あなどれないですよね。
みなさんは、どのように感じられたでしょうか?

