【記事丸わかり】
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車の保険には等級があります。
1等級~20等級まであり、最高は20等級です。
新規で加入する場合は6等級あるいは7等級からスタートします。
等級と年齢が関係するのは新規で加入する6等級と7等級だけです。
この2つの等級のみ年齢条件により割引率が異なります。
このページでは車の保険の等級についてわかりやすく詳細に解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
ノンフリート等級のノンフリートとは?
車の保険(自動車保険・任意保険)には等級があります。
正式にはノンフリート等級制度と呼びます。
ノンフリートはnon-fleetのことで、「fleetではない」という意味です。
そこでfleetの意味ですが、これは「艦隊」とか「船団」の意味で、それが転じて「全車両」の意味で使われます。
自動車保険では、所有・使用する車が10台以上ある場合に結ぶ契約のことをフリート契約と呼びます。
9台以下の場合は「フリートではない」という意味でノンフリート契約と呼びます。
フリート契約とノンフリート契約では割引率や保険料の算出方法が異なります。
わたしたちが個人で車の保険に加入する場合、億万長者でない限り10台以上所有・使用することはありませんから、ほぼすべての人はノンフリート契約を結びます。
フリート契約を結んでいるのは多数の営業車両を抱える企業です。
ただ、これはあまり知られていないことですが、たとえば数十台、数百台のトラックを保有する運送業などは、当然フリート契約で自動車保険に加入しているだろうと思いがちですが、実際には、フリート契約どころか保険そのものに未加入の会社がごく普通にあります(自賠責保険には加入しています)。
保有台数が多いと保険料の総額も莫大になるので、大きな事故には準備金(貯金)で対応します。
比較的小額の事故の場合は、事故を起こしたドライバーに分割で支払いをさせる会社も珍しくありません。
正真正銘のブラック企業ですが、経営者はブラックとは思っていないようです。
ノンフリート等級とは?
わたしたち一般の個人が契約する車の保険はノンフリート等級が適用されます(9台以下)。
ノンフリート等級は1等級~20等級まであり、20等級が最高の等級です。
すべての契約が必ずいずれかの等級に振り分けられます。
いずれの等級にも当てはまらない契約は存在しません。
この振り分けるルールと各等級の割引率、事故を起こした場合の等級の扱いなどを定めているのがノンフリート等級制度と呼ばれるものです。
※ノンフリート等級は1等級~20等級と書きましたが、全労済のマイカー共済は22等級まであります。もしも全労済で21等級あるいは22等級の契約を他社に乗り換える場合(乗り換えは可能です)、20等級とみなして引き継ぎます
ノンフリート等級制度:等級と割引率
ノンフリート等級は1等級~20等級まであり、それぞれに割引率(割増率)が設定されています。
また、7等級~20等級までは割引率が2系統に分かれています。
割引率が2系統に分かれている理由は後ほど解説しますので、まずはすべての等級と割引率(割増率)をご覧ください。
ノンフリート等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7 | 20%割引 | 30%割引 |
6 | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
※1等級~6等級は2系統でなく1系統です。1等級と2等級と3等級は割増になります
新規の契約は6等級あるいは7等級からスタート
車の保険のノンフリート等級は1等級~20等級までありますが、最初に契約を結ぶ場合は6等級か7等級になります。
基本は6等級スタートですが、家族がすでに車を保有していてその車が11等級以上であれば新規でも7等級からスタートできます(複数所有新規orセカンドカー割引)。
いずれにしても、最初は6等級か7等級のいずれかです。
そして、新規契約の場合は、保険証券の「等級」の欄には、
「等級:6S」あるいは「等級:7S」
と数字の後に「S」が表示されます。
この「S」は新規契約を意味するSです。
このように「新規契約」であることがわかるように保険証券に表示するのはすべての保険会社共通のルールです。 |
なぜこのルールがあるかというと、たとえば新規契約したその年度の途中に、何らかの理由で他社に乗り換えることになった場合、ただ単に「6等級」あるいは「7等級」の表示では、乗り換え先の保険会社では保険料を計算できなくなるからです。
詳細は後ほど解説しますが、ノンフリート等級制度では、6等級と7等級の2つの等級に限り、新規契約と既契約では異なる割引率を採用しています。
新規契約の6S等級と7S等級に限り、年齢条件別に割増引率が設定されます。
そのため、6等級と7等級に限っては、それが新規契約か既契約か区別できるように表示しなければ困るのです。
だから共通のルールを設けています。
※新規契約は「等級:6S」あるいは「等級:7S」と表示されると書きましたが、より厳密には「等級:6S(事故有0年)」あるいは「等級:7S(事故有0年)」と表示されます。新規契約でも事故有期間は必ず表示されます。事故有期間に関しては後の項目で解説します
「新規契約」は年齢条件別に割引率(割増率)が異なる
最初に保険契約する場合は6S等級か7S等級のいずれかになります。
その際、いずれの等級でも年齢条件により割引率が変わってきます。
6S等級では次のようになります。
年齢条件 | 全年齢 | 21歳以上 | 26歳以上 | 30歳以上 |
6S等級 | 6A | 6B | 6C | 6E |
割増引率% | +28 | +3 | -9 | -9 |
アクサダイレクト「重要事項説明書の補足事項(P9)」
7S等級では次のようになります。
年齢条件 | 全年齢 | 21歳以上 | 26歳以上 | 30歳以上 |
7S等級 | 7A | 7B | 7C | 7E |
割増引率% | +11 | -11 | -40 | -40 |
アクサダイレクト「重要事項説明書の補足事項(P9)」
上記のように、6S等級でも7S等級でも年齢条件によって割引率(割増率)が違うことがおわかりかと思います。
なお、数字の後のアルファベットは、これも各社共通で、
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となっています。
35歳以上を扱っている保険会社もあり、その場合は
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となります。
また、貨物車等で年齢条件を適用しない場合は、
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となり、これも各社共通です。
なお、これらA、B、C、E、G、Dのアルファベットに関しては、会社によって保険証券に表記するところと表記しないところがあります。
保険証券に表記しない会社でも、その会社の約款あるいは重要事項説明書を見れば、年齢条件によって割引率(割増率)を区別していることが明記してあります。
いずれにしても、重要なのは「その6等級あるいは7等級が新規契約であるか否か」がわかればいい事であって、年齢条件別のA、B、C・・・などのアルファベットが表記してなくても問題は生じません。
なぜなら新規契約であることさえわかれば、あとは年齢条件に応じて保険料を算出できるからです。
以上、新規契約の場合は6等級の場合も7等級の場合も既契約とは割引率が異なることをご説明しました。
そこで、既契約の6等級あるいは7等級の割引率を下記にご紹介します。
既契約の6等級と7等級には、新規契約と区別する意味で「F」が付きます。
この「F」はフラットと読みますが、何がフラットかと言うと、年齢条件に関係なく割引率が横一律(フラット)という意味です。
ノンフリート等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7F | 20%割引 | 30%割引 |
6F | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
7等級(~20等級)は「事故有」と「無事故」の2系統の割引率に分かれていますが、これに関しては後ほど解説しています。
ここで見ていただきたいのは、たとえば、前年の5等級から無事故で1つアップして6等級になった場合は19%割引になることです。
また、前年の10等級から事故で3つダウンして7等級になり、「事故有」の割引が適用された場合は20%割引になることです。
いずれのケースも、新規の6等級あるいは7等級で年齢条件別に算出された割引率(割増率)とは異なることがご確認いただけると思います。
等級の上がり方と下がり方
新規契約で6等級からスタートし、1年間無事故で通すと、翌年度の契約は1つアップして7等級となります。
以下同様で、無事故を続けると、1年ごとに1等級ずつ階段を上がっていきます。
ただし、等級アップは常に1等級単位です。
ノンフリート等級が一気に2等級とか3等級アップすることはありません。
アップするときは必ず1つずつです。
ノンフリート等級が20等級までたどり着いたら、そこで行き止まりになり、その後無事故が続いても20等級のまま変わりません。
ノンフリート等級がアップすると割引率が高くなるので保険料は安くなります。 |
次に、ノンフリート等級がダウンするケースです。
事故で保険を使うとノンフリート等級がダウンします。
何等級ダウンするかは事故の内容により異なります。
車の保険では次の3種類の事故に分類されます。
| (翌年度3等級ダウンする) ・歩行者と接触して対人賠償保険を使った ・車に追突して対物賠償保険を使った ・電柱に激突して車両保険を使った |
| (翌年度1等級ダウンする) ・車が盗難にあい車両保険を使った ・コインで車に落書きされ車両保険を使った ・台風で車が水没し車両保険を使った |
| (翌年度1等級アップする)※無事故と同一の扱い ・信号待ちで追突され搭乗者傷害保険から支払いを受けた※相手の保険からは対物賠償・対人賠償の支払いを受けた ・バイク事故を起こしファミリーバイク特約から支払いを受けた |
ノンフリート等級がダウンすると割引率が低くなるので(3等級以下では割増になる)保険料は高くなります。 |
等級には「事故有」と「無事故」の2系統ある
これまで何度かノンフリート等級の1等級~20等級のうち7等級~20等級が2系統に分かれていることに触れました。
その理由をお話します。
たとえば、現在ノンフリート等級が13等級のAさんが3等級ダウン事故を起こして保険を使った場合、翌年度のノンフリート等級は10等級になります。
そこで次の表をご覧ください。
事故有 | 無事故 | |
ノンフリート10等級 | 23%割引 | 45%割引 |
同じ10等級なのですが、「事故有」は23%引き、「無事故」は45%引きとなっています。
今回10等級になったAさんには「事故有」23%割引が適用されます。
事故が有ったので「事故有」が適用されます。
割引になる数字が小さいということはより高い保険料になるということです。
このように事故で保険を使った契約に適用される割引率のことを「事故有係数」と呼びます。
いっぽう、無事故を続けている契約に適用される割引率のことを「無事故係数」と呼びます。
実は2012年10月まではこのように同じノンフリート等級に2つの割引率が並存するようなことはありませんでした。
しかし、現在のノンフリート等級制度では、事故で保険を使った結果として10等級になった人と、無事故で1つずつ等級の階段を昇ってきた結果として10等級になった人とを、同じ扱いにしては不公平だという理由から、このように割引率に差を付けています。
10等級の場合は、実に22ポイントも割引率に差が付いています。
事故で保険を使うとノンフリート等級がダウンして保険料が高くなること自体は、2012年10月以前も以後もまったく同じです。
しかし、2012年10月以降は保険料の上がり方が極端になり、小損害の事故では保険を使いづらくなっています。
「事故有」の等級には必ず「事故有期間」がつきまとう
前の項目の例を続けます。
ノンフリート等級が13等級だったAさんが、3等級ダウン事故で保険を使ったために翌年の保険が10等級にダウンした場合、事故有期間(事故有係数適用期間)が3年付きます。
3等級ダウン事故では「3年」、1等級ダウン事故では「1年」が付きます。
保険証券にも下記のように記載されます。
上の画像では事故有期間は「0年」になっていますが、3等級ダウン事故で保険を使った場合の翌年の保険証券には「3年」と表示されます。※1等級ダウン事故なら「1年」と表示
この事故有期間というのは、「事故有係数による割引率を適用する期間」という意味です。
つまり、事故で保険を使うと2系統ある割引率のうちのより割引率の低い事故有係数を適用するけれど、永遠にそこに留まるのではなく、定められた期間を過ぎたら、また無事故係数に復帰できる、というわけです。
事故有期間 | |
3等級ダウン事故 | 3年 |
1等級ダウン事故 | 1年 |
もしも同じ年度に2度、3度と事故を起こして保険を使ったら、その分は事故有期間が加算されるのですが、事故有期間は最長6年で打ち止めになります。
たとえば3等級ダウン事故で3回保険の支払いを受けた場合、事故有期間は9年ではなく6年になるということです。
※もっとも3等級ダウン事故を同じ年度に3回起こしたら、翌年度は「引き受け拒否」の扱いになる可能性大です
話を整理します。
ノンフリート等級が13等級だった人が3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年の保険は10等級になります。
この10等級は、無事故で等級の階段を昇ってきた人の10等級とは割引率が異なり、より割引率の低い事故有係数が適用されます。
同時に、事故有期間が3年付きます。
3年間は事故有の割引によってより高い保険料を支払うことになりますが、3年間無事故で過ごせば、4年目にはまた13等級に戻ります。
戻った13等級は、事故有期間の3年がリセットされているので、無事故係数による割引率が適用されます。
3等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば4年後に元の等級に戻る |
1等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば2年後に元の等級に戻る |
保険会社間で等級の引継ぎは可能です
しばらく前までは、いったんドコモの携帯電話を購入した人は、その後もずっとドコモと契約し続けなければなりませんでした。
しかし、これでは健全な企業間競争が成り立たず、結果として消費者が高い電話料金を支払い続けなければなりません。
そこで携帯キャリアのあいだを自由に移動できる制度が導入され、今ではドコモからソフトバンク、ソフトバンクからAU、というように自由に契約を変更できます。
これと同様のことが車の保険でも行われていて、このページのテーマであるノンフリート等級制度はほとんどの自動車保険・自動車共済にとって共通のプラットフォームになっています。
ですから、損害保険会社、JA共済、全労済、その他一部共済のあいだで自由に契約を乗り換えることができます。
当然、今まで加入していた保険のノンフリート等級は乗り換え先の契約に引き継がれます。
事故で等級がダウンし、事故有期間がついている場合も、その事故歴データはそっくりそのまま引き継がれます。
いい等級も悪い等級も引き継がれるということです。
ちなみに、ここで「損害保険会社」と呼んでいるのは、「一般社団法人 日本損害保険協会」に加盟している26社(2018年7月2日現在)のことです。
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日本損害保険協会(50音順)
現在の自分の等級がわからない場合の調べ方
現在自分が加入している車の保険のノンフリート等級を知りたい場合は、主に3つの方法が考えられます。
- 保険証券を確認する
- 代理店・保険会社に電話して聞く
- 保険会社の「マイページ(契約者ページ)」で確認する
①の保険証券ですが、下記のように等級と事故有期間が記載されています。
②は代理店あるいは保険会社に電話で問い合わせるケースですが、氏名・生年月日・ナンバープレートの番号などを伝えて本人確認が取れれば、その場で教えてくれます。
③はほとんどの保険会社で利用できます。通常、メールアドレスとパスワードでログイン可能で、ノンフリート等級を始め契約内容全般を確認できます。
なお、ノンフリート等級を確認する際、事故有期間(事故有係数適用期間)も必ずチェックしてください。
もしも他社に乗り換える場合、単に等級だけでは保険料を算出できません。
事故有期間が「0年」なのか、「3年」とか「2年」とか「1年」が付いているのか、それによって保険料が変わってきます。
また、6等級あるいは7等級の場合は、それが新規の6等級あるいは7等級なのか、既契約の6等級あるいは7等級なのか、それがわからないと保険料の計算ができません。
等級を確認する場合は、必ず「事故有期間」とセットで確認してください。 |
ご覧いただきありがとうございました。