対物全損時修理差額費用補償特約とは|必要なケースは?

対物全損時修理差額費用補償特約とは・必要なケース

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【記事丸わかり】

  • 対物全損時修理差額費用補償特約は、対物賠償保険の特約の一つで、事故で相手車両の修理代が時価額を超える場合に必要です。
  • 経済的全損とは、修理代が車の時価額を超える状況を指し、古い年式の車でよく発生します。
  • 例として、修理代80万円に対し時価額が50万円の場合、30万円の差額が発生します。
  • 法的には対物賠償保険から時価額分のみ支払えばよく、超過部分には賠償責任がありません。
  • 被害者はこのままでは車の修理に自腹を切る必要があり、示談交渉が長期化することが多いです。
  • 対物全損時修理差額費用補償特約は、超過部分を対物賠償保険とは別枠で支払う特約です。
  • 超過分に対して50万円を限度に契約者の過失割合分だけ支払われます。チューリッヒ保険では無制限も選択可能です。
  • 相手車両が実際に修理される場合のみ特約が適用され、修理は事故日の翌日から6ヶ月以内(損保ジャパンとセゾン損保では12ヶ月以内)に完了する必要があります。
  • 対物賠償保険に自動セットされている保険会社もあれば、任意でセットする会社もあります。
  • この特約により、加害者側が「誠意」として自腹で支払う必要がなくなり、事故処理がスムーズになります。

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対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくとは対物賠償保険の特約の1つです。

事故で相手の車を破損させた場合、対物賠償保険から相手車両の修理代が支払われますが、その際、車の年式が古い場合などは修理代が時価額を超過するケースがあります(いわゆる「経済的全損」)。

たとえば修理代は80万円かかるけれど、車の現在価値は新車から10年以上経過しているので50万円程度の時価額しかないというケースです。

ここでは30万円の差額が発生します。

法的な観点でいうと、対物賠償保険からは時価額分だけ支払えばよく、超過した分(30万円)には賠償責任が生じません。

しかし被害を受けた側からすると、それでは保険金だけで車を修理できず、自腹を切らなければならなくなります。

そこでこうしたケースでは示談交渉は長期化するのが通例です。

このようなトラブルを回避するために超過分である30万円を対物賠償保険とは別枠で支払うというのが対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくです。

車をぶつけた側もぶつけられた側もこの特約によりトラブルから開放されることになり、事故処理の現場では必要性の高い特約として支持されています。

このページでは対物賠償保険の特約の1つである対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくについてわかりやすく解説しています。

しばらくお付き合いいただけると幸いです。

対物全損時修理差額費用補償特約の適用条件

適用条件・対物全損時修理差額費用補償特約とは|必要なケースは?

対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくは保険会社により細部で異なるところがありますが、ここでは共通部分を抽出してご案内させていただきます。

対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくの適用条件
  • この特約は物損事故で対物賠償保険からの支払いが発生するケースで適用されます。
  • 相手車両の修理費用が相手車両の時価額を超過する場合、その超過した部分に対して50万円を限度に契約者の過失割合分だけ支払います。※チューリッヒ保険のみ無制限が選択可能。100対0の事故であれば超過部分の全額が支払われ、50対50の事故であれば半額が支払われる
  • 相手車両が実際に修理される場合にのみこの特約から支払われます。
  • 相手車両の修理は事故日の翌日から6ヶ月以内に完了することが条件になります。※損保ジャパンとセゾン損保は12ヶ月以内
  • この特約は対物賠償保険に自動セットされている会社と任意でセットする会社とがあります。※後の項目で解説

対物全損時修理差額費用補償特約が必要になるケースとは?

必要になるケース・対物全損時修理差額費用補償特約とは|必要なケースは?

物損事故を起こし、対物賠償保険で相手車両の修理代を支払うケースはごく普通にあります。

たとえば、交差点で信号待ちの車に追突事故を起こしてしまった場合。

100対0で、追突したこちら側に100%の過失が発生する事故です。

この事故で相手車両の修理代が80万円であり、相手車両の時価額評価が200万円であったら、追突した側の対物賠償保険から80万円が支払われ、それで事故処理は完了します。※修理代80万円は時価額200万円の範囲内なので保険会社は修理代80万円を全額支払います

追突された側にしてみれば、受け取った保険金だけで車が修理できるので、いわゆる「自腹」を切る必要はなく、車が傷つけられたという精神的ショックは残るものの、金銭面では円満に解決されることになります。

ところが、上と同じ事例で、追突された側の車の時価額が50万円であった場合はどうでしょう?

車の年式が古ければごく普通に起こりうるケースです。

修理代は80万円。

時価額は50万円。

修理代80万円 > 時価額50万円

いわゆる「経済的全損けいざいてきぜんそん」と呼ばれるケースです。※修理不能なほど破損している場合を「物理的全損ぶつりてきぜんそん」と呼びます

この場合、保険会社は相手車両の時価額50万円を支払えば法的な損害賠償責任を果たすことになります。※だから実際に50万円しか支払いません

追突された側がこれで納得すれば、この事故は一件落着となります。

けれども、当然のことですが、多くのケースで追突された側は納得しません。

なぜなら、車を修理してまた乗ろうと思ったら、修理代と時価額との差額である30万円を自腹で払わなければならなくなるからです。

あるいは、修理しないで車を乗り換えることにして、追突された車と同程度の車を見つけたとしても、対物賠償保険から支払われた50万円は車両本体価格に消え、乗り出しに必要な諸費用はやはり自腹を切らなければならなくなります。

そもそもこの事故は追突された側にすれば一方的な被害事故・もらい事故です。

追突された側には一切過失がありません。

これで納得する人はあまりいないと思います。

とりわけ、追突した側と追突された側が知り合い同士であった場合、追突した側は対物賠償から支払われる50万円とは別に、「誠意」として差額の30万円を自腹で支払うことはよくあることです。

まさにこうしたケースで活躍するのが対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくです

追突した側が「誠意」のあかしとして支払った30万円分を、対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくが肩代わりします。50万円を限度に。会社によっては無制限を選べるところもあります

ただし、追突された側が実際に車を修理した場合にのみ支払われる特約で、修理しないで80万円(対物賠償50万円+対物全損時修理差額費用補償特約30万円)を受け取り、その80万円で車を買い換えることはできません。※対物賠償からの50万円は実際に修理しなくても受け取ることは可能

また、通常、事故日の翌日から6ヶ月以内に車を修理する必要があります。※一部12ヶ月以内の会社もある

対物全損時修理差額費用補償特約の名称について

名称について・対物全損時修理差額費用補償特約とは|必要なケースは?

このページで対物全損時修理差額費用補償特約たいぶつぜんそんじしゅうりさがくひようほしょうとくやくと呼んでいる補償は、保険会社によって名称が異なります。

また、対物賠償保険に自動セットされている会社と別途保険料を支払うことで任意にセットする会社とがあります。

以下、すべての保険会社ではありませんが保険料一括見積もりサイトなどに参加している会社を中心に一覧表にしましたので参考になさってください。

保険会社 名称 自動セットor任意セット
ソニー損保 対物超過修理費用 自動セット
おとなの自動車保険(セゾン) 対物全損時修理差額費用特約 任意セット
アクサダイレクト 対物全損時修理差額費用補償特約 任意セット
チューリッヒ 対物差額修理費用補償特約 任意セット
三井ダイレクト 対物超過修理費用補償特約 任意セット
イーデザイン損保 対物超過修理費用補償特約  任意セット
SBI損保 対物差額修理費用補償特約 任意セット
セコム損保 対物超過修理費用特約 自動セット
損保ジャパン日本興亜 対物全損時修理差額費用特約 自動セット
三井住友海上 対物超過修理費用特約 任意セット
東京海上日動 対物超過修理費用補償特約 自動セット
あいおいニッセイ同和損保 対物超過修理費用特約 自動セット
楽天損保 対物超過修理費用補償特約 任意セット
全労済 対物超過修理費用補償 自動セット
JA共済 対物超過修理費用保障※補償ではなく保障 自動セット

(2019年1月現在)


ご覧いただきありがとうございました。