【プチ調査】MCTオイルの発がん性・デメリット・危険性を検証する。

MCTオイル・発がん性・デメリット・危険性2

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【プチ調査】MCTオイルの発がん性・デメリット・危険性を検証する。

※トップ画像は「仙台勝山館MCTオイルC8-MAX 250g <ココナッツベース・中鎖脂肪酸100%>」(Amazon)

ここ数年注目度が上がっているMCTオイルは以下のようなオイルです。

【MCTオイル30秒丸わかり】

  • 人工的に精製された食用油である
  • ココナッツオイルやパーム核油に含まれる「中鎖ちゅうさ脂肪酸しぼうさんMedium Chain Triglycerides ミディアム チェーン トリグリセリド」だけを取り出した100%MCTの食用油である
  • 精製前のココナッツオイルやパーム核油に含まれる中鎖脂肪酸は約60%程度であるが、これを精製したMCTオイルの中鎖脂肪酸の含有率は100%である
  • MCTオイルは基本的に無味無臭であるが、製品によっては黄味がかったものや香りが残っているものもある
  • 中鎖脂肪酸は母乳や牛乳にも含まれていて、もともと人体にはなじみのある成分である
  • 中鎖脂肪酸は医療の現場では以前から腎臓病やてんかんなどの治療に使用されてきている

以上がMCTオイルの概要ですが、ネットの一部にMCTオイルの「発がん性」を疑う口コミが散見されます。また「デメリット」や「危険性」を指摘する声もあります。

いまMCTオイルは様々な効果・効能を期待して多くの人々が利用している食用油です。ダイエット、アスリートのエネルギー補給、肌トラブル解消、便秘解消、認知症予防、高齢者や食の細い人のエネルギー補給などなど、専門家も注目の食材です。

にもかかわらず、一方で「発がん性」や「デメリット」や「危険性」が指摘されたのでは、心中穏やかではないはず。安心して体に入れることができなくなります。

そこでわたしがプチ調査した結果がこのページです。

以下、MCTオイルの発がん性、デメリット、危険性について調査結果を詳しく検証していきます

あわせて、MCTオイルの特徴、効果・効能として伝えられているもの、クオリティーの高いMCTオイルの選び方、これらについてもご案内していきます。参考になさってください。

MCTオイルの発がん性・デメリット・危険性について

発がん性は?

これは問題ないようです。

MCTオイルに発がん性があるという報告は現在のところありません

おそらく、次のような懸念があって、それが針小棒大、やや大げさに伝えられた結果が、発がん性の口コミになっていると思われます。

つまり、MCTオイルは酸化すると「過酸化脂質」という動脈硬化や老化や細胞のガン化を引き起こす脂質に変わります。

ですから、開封後は長期間放置することなく、できるだけ早めに消費したほうがいいと思います。MCTオイルは大瓶で買うより小瓶で買ったほうがいいと言われていますが、それにはこうした理由があります。

大瓶の方がお徳用かもしれませんが、それは経済的にお得なだけで、健康にとってはお得ではないかもしれません。

MCTオイルは一般の食用油に比べて保存性に優れるという特徴がありますが、開封後は早めに消費するほうがいいというある意味当たり前の話です。

また、加熱調理には使わず、食品に和えたり混ぜたりして食するようにすれば全く問題ありません。

そもそもMCTオイルの沸点は160度程度なので揚げ物や炒め物には適さない油です。ドレッシングのような使い方が最適でしょう

MCTオイルに含まれる100%中鎖脂肪酸を使ったケトン食(※)は、むしろがんの予防にプラスの影響があるのではないか、といった研究も進められています。

(※)ケトン食:食事療法の一つで、摂取エネルギーの60~90%を脂肪で摂るというもの。糖・炭水化物の摂取を極端に減らすことにより、体内でエネルギー源として通常使われている糖が枯渇し、代わりに脂肪が分解されてケトン体が生じ、これをエネルギー源として利用するというもの。(コトバンク

いずれにしても、MCTオイルに発がん性があるのではないかという一部ネットの声は、あまり根拠のない内容であると言えそうです。

デメリット・危険性は?

(デメリット1:摂り過ぎは太る)

MCTオイルは消化吸収が速くカラダに蓄積しづらいといった長所がありますが、カロリーそのものは普通の油と変わりません。消化吸収がいいからといってたくさん摂取していいことにはなりません

MCTオイルのカロリーは大さじ1杯(15ml)で100kcal

つまり、摂り過ぎはダメです。

MCTオイルの摂取方法としては、他のオイルの置き換えとして摂取するやり方がベストでしょう。

今までの食生活はそのままに、体にいいといわれるMCTオイルをただ単にプラスするのであれば、その結果はごく当たり前に太ります。

太りたくなければMCTオイルを加えた分だけ他の油・糖類を減らすべきです。

(デメリット2:摂り過ぎは腹痛・下痢を招く)

また、消化吸収が速いからといって一度に多量のMCTオイルを摂取すると腹痛や下痢や吐き気の症状が出ることもあります

2020年、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんがMCTオイルの過剰摂取で体調不良になったことも報道されています。(デイリー※ただし、このケースでは市川さんは誤って多量に摂取してしまったようです

MCTオイルはサラダ油などに比べて小腸内でとても早く吸収されることが知られています。

そのため、ただでさえ吸収が速いMCTオイルを一度に大量摂取すると、小腸内の浸透圧が急激に高まります。すると体は均衡状態を保つ方向に舵を切ります。つまり浸透圧を下げようと一度に多量の水分を小腸内に引き寄せようとします。

この結果、小腸内の水分量が異常に多くなってしまい、腹痛、下痢などの症状を引き起こすことになります。

もっとも、こうしたMCTオイルの過剰摂取による副作用は一過性の症状です。重篤な状態に移行することはまずないので、安静にしてれば自然に収まります。

いずれにしても、これからMCTオイルを食生活に取り入れようという方は、最初は小さじ1杯(5ml)くらいから始めるのがおすすめです。

(デメリット3:脂質はMCTオイルだけ・・・これは良くない)

中鎖脂肪酸100%のMCTオイルは、自然界には存在しない人工的に精製されたオイルです。

MCTオイルが優れた特性を持つオイルだからといって、これだけを摂取するという極端な食生活はやめたほうがいいと思います

現時点で具体的にどんな不都合が発生するかは明言できませんが、一般的に、同じものばかり摂取し続けることは良くないことです。

また人工的に精製したものである点も踏まえ、他のオイルと適度に使い分ける方が安全性が高く健康にもいいと思います。

実際、私たちがスーパーなどで手軽に入手できる油にはそれぞれにメリットがあります。カラダへの働き・役割はそれぞれの油によって異なります。

  • ココナッツオイル中鎖脂肪酸が多く含まれている
  • アマニ油オメガ3脂肪酸が多く女性ホルモンに似た働きをする
  • DHA・EPA血液をサラサラにする作用がある
  • エクストラバージンオリーブオイルオレイン酸が豊富
  • オリーブオイルビタミンEやポリフェノールが豊富

こんなに素晴らしいオイルが他にたくさんあるのですから、MCTオイルがいいからといってこればっかり使うのは良くないと思います

(危険性1:加熱調理すると発火することも)

MCTオイルの沸点は160度と低く、揚げ物や炒め物に使用するともくもくと煙が出て発火する危険性があります

また、すでに触れたように、加熱すると激しく酸化しますから、酸化したMCTオイルを体に摂取することはがん予防の意味でもやめるべきです。

MCTオイルはドレッシングのような使い方がおすすめです

また、通常のオイル状態の製品以外にも、ゼリータイプやパウダータイプも販売されているので、料理別に使い分けることもできます。

(危険性2:糖尿病の人は注意:ケトアシドーシスという重篤な症状になるケースも)

MCTオイルの優れた特性の1つとして、食後の血糖値を急上昇させないという点があります。

けれども、持病として血糖コントロールがうまくいかない状態の人がMCTオイルを摂取すると、ケトアシドーシス(※)という重篤な症状が発生する危険性があります。(NST通信

(※)ケトアシドーシス:ケトン体の蓄積により体液のpHが酸性に傾いた状態。(薬学用語解説

糖尿病の人がMCTオイルを使う場合は、事前に医師や管理栄養士に相談すべきです。

(危険性3:肝臓の負担が増える)

また、MCTオイルはエネルギーになる速度が他のオイルの約4倍という長所を持ちます。このことは逆に言うと肝臓の負担がそれだけ大きいということになります

したがって、肝臓に疾患がある人がMCTオイルを使う場合は、事前に医師や管理栄養士に相談すべきです。

MCTオイルの特徴

このページのテーマは「MCTオイルの発がん性・デメリット・危険性」に関して検証するというものでした。

一通りの検証が出そろったところで、改めてMCTオイルとはどんなオイルであるのか、その特徴を確認したいと思います。

分子の長さが約半分

菜種油、オリーブオイル、えごま油などの植物油に多く含まれる長鎖脂肪酸と比較すると、中鎖脂肪酸100%のMCTオイルでは、分子の長さが約半分であり、非常にコンパクトです。

分子がコンパクトであることは、人の体に入った際の消化・吸収・分解のスピードが速くなるということを意味します

大まかに説明すると、長鎖脂肪酸の場合、小腸⇒⇒リンパ管・血管⇒⇒筋肉・肝臓といった経路で消化・吸収・分解されていきます。

いっぽうで、中鎖脂肪酸の場合は、小腸⇒⇒肝臓といった経路で消化・吸収・分解されます。

消化・吸収・分解のスピードが速く、すばやくエネルギーに変換されるというのが中鎖脂肪酸の特徴です。

MCTオイルはこんな人におすすめ

ダイエット中の人

MCTオイルは消化・吸収・分解のスピードが速く、体脂肪として蓄積しにくいオイルなので、ダイエット中のエネルギー補給に最適です。

アスリートに

MCTオイルは通常の油より約4倍早く消化吸収され、すばやくエネルギーになります。そのため体脂肪として蓄積されずに、エネルギーとして放出されやすくなります。

トレーニング前は食事に混ぜたり、プロテインドリンクやスムージーに混ぜるなどの摂取方法がおすすめです

なお、摂取してからエネルギーになるスピードが他の油と比べて4倍速いという利点はありますが、ほぼ直接に肝臓へ運ばれてエネルギーとなるため、肝臓の負担が大きいといわれています。

そのため、摂取量に関しては少量から少しずつ増やしていくなどの工夫が必要です。

認知症の予防・改善に

アルツハイマー型認知症では、脳でブドウ糖を代謝するためのインスリンが働きにくくなり、これが認知機能の低下をもたらすことになります。

そこで、ケトン体を作り出すMCTオイルを摂取することで脳のエネルギー不足が改善されると言われています。

まだまだ多くの症例で検証していく必要がありますが、一定の予防改善が期待できると言われています。

便秘の解消に

MCTオイルにはペクチンという水溶性の食物繊維が含まれているので、ペクチンが便を軟らかくする効果が期待できます。ただし、MCTオイルを摂り過ぎるとお腹が緩くなりすぎて下痢の症状が出てきます。

ここでも最初は少量から始め、徐々に摂取量を増やしていく、といった摂取方法がおすすめです。

高齢者や食の細い人に

食事の量が減ってきた高齢者や食の細い人には、少ない食事量で高エネルギーが得られるメニューが重要です。

ご飯やパンの場合、1g当たりのカロリーは4kcalですが、脂質の場合は1g当たり9kcalです。

つまり、少量の摂取で高エネルギーが得られることになります。

MCTオイルをサラダやヨーグルトなどにトッピングしたり、コーヒーなどの飲み物に混ぜたりすることで、手軽にエネルギーの補給ができます。

運動のし過ぎで食欲が低下した時に

中学生や高校生が部活で激しい練習をした後など、あまりにも疲れすぎて食事を受け付けないケースがあります。

けれども、だからといって何も食べないでいたら成長期の体に悪影響をもたらします。

そんな時は、MCTオイルを食べものや飲みものに上手に加えることで、少量の食事でも必要なエネルギーを得ることができます。

良質なMCTオイルの選び方と使用上の注意

(選び方)

「中鎖脂肪酸」と呼ばれる成分は、

「C8」

「C10」

「C12」

の3つに分類されています。

たとえば、アマゾン通販で「MCTオイル」と検索すると多くの製品が一覧表示されますが、全てではないものの、多くの製品でボトル裏側の表示部分に「C8」とか「C10」の表示があります。

「C8」「C10」「C12」は数字が小さい方が高品質です。

ただ、たとえ「C8」でなくても「C8とC10しか配合していない」などと明記してあれば、信頼できる製品といっていいと思います。何も表示がない製品はパスしたほうがいいかもしれません。

また、表示欄に「化学溶剤不使用」などと明記している製品が安心です。

中鎖脂肪酸を抽出する際にコスト削減のために化学溶剤を使用しているメーカーもあり、そういう製品は避けるべきでしょう。

容器に関して。遮光性容器に入ったMCTオイルを選んでください。MCTオイルは他の油に比べて劣化しにくいことが特徴ですが、特に開封後は劣化が早まりますので、光を通さない容器の方が安心安全です

MCTオイルはココナッツオイルやパーム核油から精製されるのが普通です。

しかし、一部の製品にアブラヤシから抽出して作られたものもあります。アブラヤシから抽出したオイルはココナッツオイルに比べて酸化しやすく熱にも弱いので、避けたほうが無難でしょう。

やはりココナッツかパームで作られたMCTオイルを選んだほうが安心です。

(使用上の注意)

ほとんどのMCTオイルはガラス容器に入って販売されています。これを食卓で使用する際に、一時的にカップ麺や納豆の容器などに移すことがあるかもしれません。

しかし、MCTオイルはポリスチレンシートや発砲スチロールやプラスチックを変形させる性質があるので、必ずガラス容器を使用してください。
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まとめ

MCTオイルの発がん性・デメリット・危険性を検証した結果は以下の通り。

  • MCTオイルは酸化すると「過酸化脂質」という細胞のガン化を引き起こす脂質に変わります。そのため、開封後は長期間放置することなく、できるだけ早めに消費したほうがいい
  • ただし、これをもってMCTオイルに発がん性があるというエビデンスにはならず、むしろ、MCTオイルに含まれる100%中鎖脂肪酸を使ったケトン食ががんの予防にプラスの影響があるのではないか、といった研究が進められている。
  • MCTオイルのデメリットとして、摂り過ぎると太る、摂り過ぎると腹痛や下痢をまねく、油をMCTオイルのみにすると健康面で悪影響が出るだろう、といった点が考えられる。
  • MCTオイルの危険性として、揚げ物や炒め物など加熱調理に使用すると発火する恐れがある、血糖コントロールがうまくいかない人が摂取するとケトアシドーシスという重篤な症状になる危険性がある

以上のような注意点はあるものの、

基本的にMCTオイルはメリットの方が圧倒的に多い食用油です。

一度に大量に摂取し過ぎない限り、普通に使って何の問題も起きない超優良オイルだと思います。

ご覧いただきありがとうございました。

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