車両全損修理時特約とは車両保険の特約で追加料金が必要です。
事故で車両保険を使う際、修理費が協定保険価額(車両保険金額)を超過した場合に、超過した修理費について50万円(30万円)を限度に保険金が支払われます。
ただし実際に車を修理した場合にだけ支払われます。
このページでは車両全損修理時特約について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
まず名称について

車両全損修理時特約は保険会社によって名称が異なります。
たとえば、
損保ジャパン | 車両全損修理時特約 |
東京海上日動 | 車両修理時支払限度額引上げ特約 |
あいおいニッセイ | 車両超過修理費用特約 |
といった違いがあります。
このページでは「車両全損修理時特約」でご説明していきます。
【早わかり】車両全損修理時特約とは?

では車両全損修理時特約の内容を簡単にまとめてみます。
【早わかり】車両全損修理時特約 |
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実際に車を修理することが条件です

通常、事故で車両保険を使う場合、実際に車を修理するしないにかかわらず保険金を受け取ることができます。
しかし車両全損修理時特約は実際に車を修理した場合にのみ支払われる特約です。
事例として次のケースでご説明します。
車両保険金額100万円で車両保険に加入していた車が事故で破損し、修理費用が130万円と見積もられました。
この契約に車両全損修理時特約が付いていない場合は、車両保険からは100万円と車両全損時諸費用特約(車両保険に自動セット)が支払われます。※実際に修理してもしなくても支払われます
この契約に車両全損修理時特約が付いている場合は、実際に車を修理した場合にのみ130万円と車両全損時諸費用特約が支払われます。※車両全損時諸費用特約を支払わない会社もあります
車両全損修理時特約が付いている場合であっても車を修理しない場合は車両保険のみの支払い方になります。
まっさらな新車には付けられません

車両全損修理時特約は車両保険に付ける特約ですが、すべての車に付けられる特約ではありません。
この特約を付けられるのは新規登録から約2年経過した後の車に限られます。
厳密に言うと「保険期間の初日の属する月が初度登録年月(または初度検査年月) の翌月から起算して25か月を超える車」です。※「初度検査年月」とは軽自動車で使う表現です
では、新規登録から2年までの「まっさらな新車」に類似の特約を付けたい場合はどうすればいいでしょう?
その場合は新車特約(車両新価特約・新車買替特約)があります。
まったく同じ内容ではありませんが、新車が事故で大破した場合に新車に買い替えできる特約です。
こちらの記事を参考になさってください。
事故日から1年以内に修理する必要があります

車両全損修理時特約から支払いを受けるには事故日から一定の期間内に修理する必要があります。
保険会社によって期間が異なりますが、ほとんどの会社は「事故日から1年以内」です。※6ヶ月以内の会社もあります
保険会社別ポイント整理

車両全損修理時特約を保険会社別に解説します。
車両全損修理時特約は大手代理店型と一部通販型で扱っています。
損保ジャパン:車両全損修理時特約 |
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東京海上日動:車両修理時支払限度額引上げ特約 |
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あいおいニッセイ:車両超過修理費用特約 |
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三井住友海上:車両超過修理費用特約 |
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おとなの自動車保険(セゾン損保):車両全損修理時特約 |
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混同しやすい特約(その一):車両全損時諸費用補償特約

このページのテーマである車両全損修理時特約は車両保険の特約ですが、同じく車両保険の特約として車両全損時諸費用補償特約というものがあります。
この車両全損時諸費用補償特約は車両保険に自動セットされています。
別途保険料を支払うのではなく始めから車両保険に組み込まれている特約です。
この特約はすでにこのページにも登場していますが、車が全損になって車両保険を使う場合に「必ず」ついてくる特約です。
「臨時費用」あるいは「お見舞金」といった性質の補償です。
車両全損時諸費用補償特約から支払われる保険金は、車両保険の保険金額の10%に相当する額(上限20万円)となります。※会社により5%(上限10万円)のところもあります
車両保険の保険金とは別枠で支払われます。
これにより車を買い換えるときに発生する諸費用(の一部)をまかなうことができます。
車両保険と車両全損時諸費用補償特約は、車が全損になった場合、実際に車を修理しない場合でも支払われます。
混同しやすい特約(その二):対物全損時修理差額費用特約

対物全損時修理差額費用特約とは対物賠償保険の特約で、対物賠償保険に自動セットされている会社と追加保険料を払って任意に付帯する会社とがあります。
事故で相手車両に損害を負わせた場合で、相手車両の修理費が相手車両の時価額を超えてしまった場合に、その差額に対して50万円を限度にこの特約から支払うというものです。
たとえ対物賠償保険の補償額が「無制限」であったとしても、保険会社は相手車両の「時価額」までしか支払えません(法的に)。
したがって非常に必要性が高い特約であり、たとえば損保ジャパンなどでは、それまでは追加保険料を払って付ける任意付帯でしたが2019年1月から自動付帯の特約としています。
他の多くの保険会社はすでにもっと前から自動付帯の特約でした。
ご覧いただきありがとうございました。