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【プチ調査】16時間断食?いえ、女性は12時間という説。
このページのテーマは「断食」です。
英語ではファスティング(fasting)ですね。
最近になって急速に注目が高まっているダイエット法ですが、あくまでも私たち普通の人が行うダイエットなので、断食またはファスティングの本来の厳格なやり方とは違って、もう少し簡略化した方法が提唱されています。
それが、16時間断食とか14時間断食とか12時間断食とか8時間ダイエットとか、ちょっと聞くと訳が分からなくなるような様々なダイエット法です。
でも、基本はどれもほぼ同じです。
- 1日の内で食べてもいい時間が〇〇時間、それ以外の時間は飲料以外は食べてはいけない。
というものです。
たとえば、16時間断食とは、1日24時間の内で16時間は飲み物以外一切食べてはいけない時間で、残りの8時間は特に制限なく普通に食事をしてもいい、というものです。
14時間断食と12時間断食は、16の数字が入るところにそれぞれ14と12が入るだけです。したがって、その残りの時間が食べてもいい時間。
8時間ダイエットというのは、これがややこしい話ですが、実は16時間断食と同じ意味です。つまり、1日24時間の内の8時間は食べてもいい時間。残りの16時間は食べてはいけないというものです。食べる食べないを逆に言っているだけです。
上記いずれのダイエット法も、本来の厳格な断食と区別するために「間欠的断食」または「プチ断食」と表現されることもあります。
16時間断食に突きつけられた女性からの反論
〇〇時間断食と呼ばれるダイエット法の中で最も有名なのが16時間断食です。
16時間断食は、その有効性が大々的に唱えられ、実践する人も多く、実際に成果を上げている人も一定数いるのですが、弊害、副作用、デメリットを指摘する声も次第に大きくなっていて、とりわけ、女性の論者からは、
プチ断食を推奨しているのはほとんどが男性だ。彼らは女性の特性を理解していない。女性、とりわけ妊娠を考えている人や生理に不調のある人などは避けたほうがいい。
という内容の意見が出ています。
そして、それでもダイエットをするというのであれば、12時間断食なら安全でしょう、いや、14時間までならいいかもしれない、といった流れとなっているのが現状のようです。
女性の体を守る立場から16時間断食に反対している論者が最も強調しているのは、
1日3食 |
を死守すべきという点です。
と言うか、朝食を抜くことだけは絶対に避けなければいけない、という主張と言っていいかもしれません。
以下、16時間断食とこれに対する反論を詳しく見ていきたいと思います。
16時間断食(=8時間ダイエット)とは
1日の生活リズムは人によって様々です。
朝起きて仕事に出かける人もいれば、昼間起きる人や夕方起きる習慣の人もいます。
16時間断食は、1日の起点をどこにおいても問題なく、自分の生活リズムに合わせて起点を設定すればいいことになっています。
ですが、複数のパターンをここで提示すると、ただでさえ数字が乱立していて混乱しやすくなっているので、ここでは最も一般的な午前8時から午後5時まで仕事をする人でご説明します。
昼間仕事をして夜寝るパターンの人の場合、食事をしていいのは昼12:00から夜8:00までの8時間だけです。
常識的には2食だけということになります。
8時間のうち3食にしてはいけないというルールはないようですが、仕事もありますから、実質的に2食となるのが普通でしょう。
したがって、残りの時間である夜8:00から翌日の昼12:00までの16時間は、飲み物はOKだけれど食べ物はダメということになります。
このように、昼に仕事をして夜寝るパターンの人の場合、16時間断食では朝食抜きになります。
後に詳しく解説しますが、この朝食抜きという点が、このダイエット法に反対する人たちの主要な攻撃目標になっています。
以上が16時間断食です。
16時間断食(=8時間ダイエット)の核心となる考え方
16時間断食の肝になる部分、肝心要の考え方は、
飢餓状態を作り出すこと |
これに尽きると思います。
16時間断食の提唱者と言われているのは、「あおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長」の青木厚氏です。
青木氏は著書『「空腹」こそ最強のクスリ』のなかで下記のような内容の主張をしています。※下記は引用ではなく要約です
通常、人間の体は糖質をエネルギー源として活動している。これはブドウ糖代謝といい、継続的に食事をとりこんでいるあいだは、基本的にこのブドウ糖代謝が続いている。 ところが、糖質というのは長時間体に貯蔵しておくことができない。 もしも食事による補給が途絶えてしまえば、12時間ほどで貯蔵量が尽き、ブドウ糖代謝も終了してしまう。※10時間で尽きるという説もある すると、人間の体はどう反応するのか? 糖質の貯蔵が尽きてしまうと、人間の体はエネルギー産出メカニズムを切り替えざるを得なくなる。 つまり、それまでの糖質をエネルギー源とする代謝から脂肪をエネルギー源とする代謝に切り替えることになる。 これをケトン体代謝という。 ケトン体とは体内に蓄積している脂肪から発生する物質で、最後の食事から12時間(10時間?)ほど経過すると、このケトン体代謝に切り替わる。 すると、主に次のような体にとっていい結果をもたらすことになる。
最後の③にあるオートファジーとは、言うまでもなく2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典教授の研究成果のことです。 オートファジーとは、「細胞が内部の物質を分解して再利用する現象」(日経クロストレンド)、「細胞内の部品を膜で取り囲み、元の材料に分解します。例えばタンパク質でしたら、アミノ酸に分解するのです。分解された後は、新たな部品の材料として再利用されると考えられています。」(natureダイジェスト)、というものです。 ※なお、オートファジーは飢餓状態で活発化する面はあるものの、オートファジーそのものは日常的に体内で発生している現象のようですから、ダイエットと直接的に結び付けることに異を唱える論者もいます。 |
以上のように、16時間断食は、飢餓状態を作り出すことにより余計な脂肪を燃焼させ、なおかつ体に様々なプラスの変化をもたらす方法だとされています。
なぜ「16時間」の空腹期間を作るかというと、糖質代謝から脂肪代謝に切り替わるには、最後の食事から12時間(10時間?)が必要で、いったん脂肪代謝に切り替わってから脂肪を燃焼し続ける時間がある程度あったほうが効果的だから、ということのようです。
一説には、「16時間」では少なくて、「18時間」がより有効だという意見もあるようです。
「女性の体には過酷過ぎる」という反論
16時間断食(=8時間ダイエット)の概要は上記の通りです。
これに対して、16時間断食に代表される「プチ断食」は女性の体の特性を考えると負担が大きすぎる、という意見があり、その要点は下記のようになります。
- 朝食を抜くということは、体の内側からの体温が上がらない状態を作る。毎朝こうした状態が続くと、排卵や妊娠に悪影響を与える。
- 調査でも明らかだが、毎朝朝食を摂る人の方が摂らない人より(鎮痛剤を使用せざるを得ないほどの)生理痛の発生頻度が少ない。
- 特に朝食で摂取するタンパク質が重要で、体温を上げるために糖質や脂質は数%しか貢献しないが、タンパク質なら30%前後が使われる。朝食を毎日食べない生活を続けると午前中ずっと体が冷えた状態で過ごすことになり、冷えが慢性化する。
- 空腹時間を長く取るほうがいい、1日1食にしなさい、朝食抜きの方が体にいい・・・こういった説を唱えるのはほとんどが男性であり、女性は朝1度体温を上げることが重要で、飢餓状態を作り出せという説は生理がある女性の体には負荷が大きすぎる。
上記は、細川モモ氏の『あえて空腹時間を作る「プチ断食」は女性には勧められない医学的理由』(PRESIDENT Online)からの要約です。
女性は12時間断食ならいい?
上記のように細川氏の主張は、生理がある女性の体の特性を考えると、長い空腹時間を作るプチ断食はやめたほうがいい、とりわけ朝食を抜くのはとんでもないことだ、という結論になります。
細川氏の主張はそこまでで、ここからは細川氏とは無関係ですが、16時間断食ほどハードではなく、もっと実行しやすいダイエットとして提唱されているのが、12時間断食あるいは14時間断食というものです。
たとえば、昼間仕事をして夜寝るパターンの人の場合、
- 朝6時から夕方6時までの12時間は普通に3食食べていいけれど、夕方6時から翌朝6時までの12時間は飲み物以外何も食べてはいけない。
これが12時間断食です。
12時間断食では朝食はしっかり食べます。
また、14時間断食の場合は、上記に当てはめれば、食べていい時間を「朝6時から」ではなく「朝8時から」にすればいいだけです。
12時間断食も14時間断食も、3食しっかり食べていいことになり、朝食抜きの「弊害」を避けることができます。※朝食抜きが「弊害」であるかは意見が分かれるところですが。
ただ、でも、それにしても、です。
わたしはこの12時間断食と14時間断食について調べた時、気が抜けていくような感覚を覚えました。
「そんなもの、断食と呼べるのか。こんなことなら若いころからずっと普通にやっているよ」
と思ったのです。
つまり、12時間でも14時間でも同じですが、1日3食OKで食事内容も通常通りでいいというのですから、結局は「夕食後、寝るまでの間に間食をしない」ということに尽きるわけです。
でも、そんなことはうちの家族全員、親戚のおばあちゃんもずっと昔からやっている。それでも痩せないから困っているんじゃないか、とじっとお腹のだぶつきを眺めているわたしです。
それとも日本国民のほとんどは、今では夕食後にケーキを食べたりおせんべいをかじったりエアリアルみたいなグシャッと崩れ落ちる食感がたまらないスナック菓子を食べまくっているのでしょうか?
こういうものが「プチ断食」のカテゴリーに入るのかと思うと、不思議な気持ちになります。
ただ、こんなことを書くと敵を作るかもしれないので、この辺でやめておきます。
12時間断食も14時間断食も基本は「飢餓状態を作ること」
ちょっと脇道にそれてしまったので元に戻します。
16時間断食のところで触れましたが、空腹時間を長く取ると、糖代謝が脂肪代謝に変化して、内臓脂肪などをエネルギーに変えるメカニズムが発動することになります。
どのくらいの空腹時間でそうしたメカニズムが発動するかは、12時間という説もあれば10時間という説もあり、12時間が正しければ、その場合はやはり16時間くらいの空腹時間が必要になります。
いっぽう、10時間でメカニズムが発動するのであれば、12時間または14時間の空腹時間でもなんとか脂肪燃焼の時間を活用できそうです。
いずれにしても、16時間断食と12時間断食あるいは14時間断食は、考え方の基本部分は同じです。
飢餓状態を作り出すことで糖代謝を脂肪代謝に変化させ、体の余計な脂肪を燃焼させ、内臓だけでなく細胞レベルで体をリフレッシュさせる、というものです。
あとは、私たち各自の体の特性に合うものを選択すればいい、ということになりそうです。
ダイエットを真剣に考えている人に対して、途中失礼なことを書きましたが、ご覧いただきありがとうございました。