【プチ調査】骨伝導イヤホンは難聴になる?耳にやさしくないの?

骨伝導イヤホン・難聴になる

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【プチ調査】骨伝導イヤホンは難聴になる?耳にやさしくないの?

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当サイトがご提供する情報はあくまでも個人の見解であり、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は適切な医療機関での受診をおすすめいたします。

(※)当ページでは、音をきくときの「きく」をすべて聞くの表記で統一しています。

「骨伝導イヤホンは難聴になる」などという言葉を聞くと心穏やかでない人がいらっしゃると思います。

なぜなら、いま骨伝導イヤホンを使っている人も、これから骨伝導イヤホンを購入しようと思っている人も、なぜ普通のイヤホンでなく骨伝導にするかというと、その動機の大部分は、「骨伝導イヤホンの方が耳にやさしい」と思っていらっしゃるからでしょう。

それなのに、いきなり「骨伝導イヤホンは難聴になる」などと言われたら、ちょっと腹立たしい気持ちにさえなると思います。

そんな皆さんの気持ちを宙ぶらりんにし続けるのは本意ではないので、まず結論を申し上げます。

  • 骨伝導イヤホンを使えば難聴にならないという医学的エビデンスはない
  • ただし、骨伝導イヤホンは普通のイヤホンより難聴になりにくい特性を持つのは確かで、リモートワークやジョギングなどで長時間使用する場合は普通のイヤホンより耳への負担が小さい
  • とはいえ、大音量で長時間使用し続けると、骨伝導であっても難聴になる可能性はある

といった内容になります。

これだけではまだ納得いかない方のために、以下、骨伝導イヤホンについて私がプチ調査した結果をご報告いたします。参考になさってください。

骨伝導イヤホンとは

骨伝導イヤホンは、もともとは難聴を患う人の補聴器として開発された機器です。その技術を応用し発展させたものが、現在普及している骨伝導イヤホンです。

私たちが「音」を感じる仕組みは2通りあります。

  • 気導音きどうおん:空気を伝った音が鼓膜を振動させ、聴覚に伝わる音
  • 骨導音こつどうおん:音波振動が骨を導体として、鼓膜を通さず、直接聴覚に伝わる音

ただし、この2通りの音は完全に分離されているものではなく、その時々の音の性質によって割合は異なりますが、両者は混じり合っているのが普通です。

たとえば、自分の声は気導音と骨導音が混じり合った音として聞こえます。

しかし、ボイスレコーダーなどに録音した自分の声を聞くときは、ほぼ100%気導音、つまり鼓膜を通した音として聞こえ、骨導音はほぼ感じていないはずです。

その結果、いつも聞き慣れている気導音と骨導音が混じった自分の声と違うので、「なんだか自分の声のように聞こえない」と感じるわけです。

骨導音に関してはもっとわかりやすい例があります。それは咀嚼した時に独特の食感を持つスナック菓子を食べる時の音です。

CMでおなじみの、噛むとグシャリと崩れ落ちる食感がたまらないエアリアル(商品名)がよく売れるのは、この何もかもを蹂躙しつくすような骨導音の快感が忘れられず、ついまた食べてしまうからだと思います。

ちょっと脱線しましたが、骨伝導イヤホンとは、こうした骨導音の原理を利用したイヤホンです。

骨伝導イヤホンのメリット・デメリット

「骨伝導イヤホンは難聴になるのか」というテーマで解説していますが、まずは骨伝導イヤホンのメリット・デメリットについて一通り見ておきたいと思います。

メリット

  • イヤホンを物理的に耳の穴に押し込まなくていい。この解放感こそが骨伝導イヤホンの最もわかりやすいメリットでしょう。
  • 耳の穴に押し込まないので、鼓膜への負担がほぼなくなり、体感的にも耳が疲れにくくなります。
  • イヤホンから聞こえてくる会話や音楽を聞きながら、周囲の物音も適度に聞こえてくるので、安心・安全です。※音楽に集中したいときはデメリットになりますが。
  • 骨導音で音を感じるので、周囲が騒々しい場所でもイヤホンからの音を比較的クリアに聞き取ることができます。大音量にしなくても聞き取りやすいのは大きなメリットです。
  • ブルートゥースで接続するワイヤレスタイプの骨伝導イヤホンでは、耳の穴に器具を押し込まない解放感と、ケーブルの取り回しにわずらわされない解放感の、両方の解放感が得られ、快適性が非常に高まります。
  • インナーイヤー型やカナル型のように物理的に耳の穴に押し込まずに使用できる骨伝導イヤホンは、長時間のオンライン会議やジョギングなどで発症しやすい外耳炎がいじえんを予防する効果があります。また汗や皮脂を閉じ込める不快感や不衛生さも抑制する効果があります。※外耳炎とは鼓膜より外側の器官である外耳に炎症が起こる症状のこと。
  • 骨伝導イヤホンの機種によっては、ペアリング可能なデバイス(iPhone、Android、Mac、PCなど)のBluetoothイヤホンとして機能するので、アプリに依存することなく利用できます。
  • もともと難聴の人のために開発された機器なので、耳の遠い人が使用すると通常のイヤホンよりずっと音がクリアーに聞こえます。

デメリット

  • 耳穴を塞ぐタイプのイヤホンと比較すると、骨伝導イヤホンは開放的であるがゆえに、音漏れがしやすい特性があります。オフィス、電車内、図書館などでけっこう気になるという口コミが聞かれます。
  • なお、骨伝導イヤホンの音漏れは体に装着しているときに発生します。装着していない時は音を伝える導体がないのでほとんど音漏れはないようです。
  • 骨伝導イヤホンの紹介ページなどを見ていると、「音がクリアーでいい」という記述がしばしば見られます。しかしそれは「音」の話であって「音楽」の話ではありません。価格コムのレビュー欄を見ると、音楽鑑賞するためのデバイスとして見た場合、通常のイヤホンより骨伝導は劣るという意見が大半です。ただし、純粋な音楽鑑賞にはやや不満があるけれど、長時間疲れにくい特性ゆえに「ながら使用」には最適だという声もまた多くあります。

イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)について

さて、いよいよ本題に入ります。

このページのテーマである「骨伝導イヤホンは難聴になる?」についてですが、正確性を期すために、まずは難聴について基本的なところから見ていきたいと思います。

最近は、単に難聴とは言わず、原因によって名称が異なっていて、イヤホンやヘッドホンの使い過ぎで発生する難聴のことをイヤホン難聴(ヘッドホン難聴)と呼んでいます。

そこで、ここではイヤホン難聴について詳しく解説していきます。

なお、下記の「イヤホン」は耳の穴に器具を押し込んで使用する一般的なイヤホンだけでなく骨伝導イヤホンも含みます。複数の医師の見解によると、骨伝導イヤホンであっても基本的に下記の記述は該当するとのこと。骨伝導の方が難聴になるリスクが低い可能性はあるが、現時点で明確なエビデンスは得られていないとのことです。

イヤホン難聴とは?

イヤホンやヘッドホンを使い、大音量で長時間音楽などを聞き続けると、音を伝える役割をしている有毛細胞ゆうもうさいぼうが徐々に壊れていきます。※有毛細胞とは、内耳の内部で音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割をする細胞のこと。

有毛細胞が壊れてしまう症状、これがイヤホン難聴です。

イヤホン難聴は少しずつ進行していくために初期には自覚しにくいのですが、ある時、ふっと、「やっぱり耳がおかしいな」と気づくことが多いようです。

有毛細胞が壊れて発生するイヤホン難聴は、いったん症状が出てしまうとそこから回復することはかなり困難なようです。

イヤホン難聴の症状

  • 耳が詰まるような感じ
  • 耳の奥がこもったような感じ
  • 耳鳴りがする
  • 耳のせいでなんとなく頭痛がする
  • 高い音が聞こえにくくなる※ピアノだと鍵盤で一番高い4000ヘルツくらいの音などが聞こえにくくなる

イヤホン難聴の治療

  • 基本的には薬による治療
  • ステロイド剤、ビタミン剤、血液の循環をよくする薬などを使用
  • 耳の安静が大事。耳栓などをして耳を音から守る対策をとったりする
  • 症状の進行を防ぐためにイヤホンの使用を中断することもある
(※)実際に難聴で悩んでいる方は耳鼻咽喉科を受診してください。

イヤホン難聴にならないための対策

イヤホン難聴は世界中で問題になっています。海外では耳鼻科医などが60/60ruleというものを推奨しているところがあります。

この60/60ruleというのは、イヤホンやヘッドホンを使用する場合に、

  • 音楽デバイスの音量を総音量の60%までに制限し、イヤホンやヘッドホンの使用は1日あたり60分以内にする
  • どうしてもそれ以上使うという場合は、イヤホンやヘッドホンを使った時間の3倍の時間を「耳を休める時間」にあてる。たとえば、寝るときに耳栓で耳を休めて睡眠時間をたっぷりとる、お風呂に入って耳の奥の血流をよくする、といったことを積極的に行う

こういった対策を取ればイヤホン難聴が予防できるだろう、という考え方です。

WHOの警告

2018年3月、WHO(世界保健機関)とITU(国際電気通信連合)が音響機器の製造や使用に関する新国際基準を発表しました。

これは、スマートフォンや携帯音楽プレーヤーなどの個人用音響機器や娯楽施設等で、大音量の音を聞き続けると難聴になるリスクが高まる、というレポートに基づいて作成された基準です。

WHOでは、ヘッドホンやイヤホンで音楽などを聞くときの注意点として以下のようなことを推奨しています。

  • できるだけ機器の音量を下げ、長時間連続して聞かず、あいだに休憩を挟むこと
  • イヤホンやヘッドホンの使用を1日1時間未満に制限する
  • 周囲の騒音を低減するノイズキャンセリング機能のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶ※これは音量を上げずにすむという意味。

さらに、WHOでは、1週間のあいだに耳が聞き取る安全な音の大きさの目安について、80デシベルで40時間まで、としています。※80デシベルは地下鉄の車内の音量に相当。

さらに、すべてのスマートフォンや携帯音楽プレーヤーに、

  • 音量を制限する機能
  • 一定期間内にどれくらいの量の音を聞いたかを表示する機能

を備えるよう求めています。

さらにWHOは、イヤホンやヘッドホンの使用状況が現状のまま変わらずにいると、世界の若者(12~35歳)の半数近くに当たる11億人がいずれ難聴に陥る危険性があると警告しています。

それで、結論として、骨伝導イヤホンは難聴になるの?

骨伝導イヤホンの製造メーカーの1つBoCo株式会社では下記のようにコメントしています。

「周囲の音が大きいところで音楽を聴こうとすると、自然と音量も上がってしまいがちな中、骨伝導イヤホンを使えば音量を過度に上げなくても聞きやすいです」

また、骨伝導イヤホンを使用していると、次第に機器に慣れてきて、音がさらに聞き取りやすくなるので、ボリュームを上げずに聞くことにつながっている、という利用者からの声もあるとのこと。

一方で、医療関係者からは、骨伝導イヤホンであっても内耳の蝸牛かぎゅうに音の振動が伝わる。そのため、骨伝導イヤホンであるから難聴になるリスクが低減されるといった医学的エビデンスはまだ見つかっていない、という意見が出ています。

これが現状ですが、しかし、骨伝導イヤホンの方がより小さいボリュームで使用できる場面が多いのは確かなようですから、そういう意味で、耳への負担は一般的なイヤホンより少なく、それゆえ難聴になるリスクも低減されるのではないか、ということは一般論としては言えると思います。

純粋な音楽鑑賞にはまだまだ性能的に追いついていないところがある骨伝導イヤホンですが、長時間のスポーツシーンや、日本中の会社で日々実施されているリモート会議などには、骨伝導イヤホンはいい選択肢になると思います。

骨伝導イヤホン使用者の口コミ

骨伝導イヤホン選びのポイント

さて、ここまで「骨伝導イヤホンは難聴になる?耳にやさしくないの?」というテーマで解説してきました。

最後の最後になりますが、これから骨伝導イヤホンを購入する方のために選び方のポイントをご案内したいと思います。

バラエティに富んだ様々な製品が出ていますから、ぜひあなたにぴったりのイヤホンをゲットしてください。

有線orワイヤレス

骨伝導イヤホンにも有線とワイヤレスがあります。有線タイプはイヤホン本体の充電が不要ですが、ケーブルによって取り回しが制約されます。ただし、音質重視なら有線タイプのほうがいいと思います。

ワイヤレスタイプはイヤホン本体に充電が必要ですが、使用中の自由度が高いです。ジョギングやマラソンやスイミングやジムトレーニングにも快適に使えます。

防水タイプ

骨伝導の自由度を生かしてスポーツやレジャーに使う場合、防水性能の有無は重要です。汗や雨でも安心して使えるものを選んでください。

ジョギング中の汗対策には防水規格IPX4以上、スイミングを行う方はIPX7以上がおすすめ。

形状の違い

骨伝導イヤホンにはいろんな形状があります。

Cの形をしていて振動版をこめかみに当てるタイプ。軟骨を挟み込んで装着するタイプなど。

ジョギングに使用する場合はズレ落ちにくい形状のものを。

また、メガネをしている人はメガネとイヤホンが干渉するしないも大事なポイントです。

バッテリーの持ち

ワイヤレスタイプはイヤホン本体に充電します。バッテリーの持ち時間はかなり重要です。

いくらワイヤレスで自由度が高くても、すぐにバッテリー切れでは話になりませんから。

マイク付の場合、マイクにノイズキャンセル機能があるか

テレワークでリモート会議をする際、マイク付きの骨伝導イヤホンを使うこともあるでしょう。

その場合、マイクにノイズキャンセリング機能がないと周囲の生活音などを拾ってしまいます。会議の参加者に無用な想像力を働かせる要因になってしまいます。発言する声だけを拾ってくれるマイクを選んでください。

音質で選ぶ

音質重視なら有線タイプの骨伝導イヤホンがいいと思います。

ワイヤレスタイプを選ぶのであれば、対応コーデックが重要です。ワイヤレスタイプにはSBCというコーデックが採用されているのが普通ですが、音質にこだわりたい方はaptXやAACなどの低遅延・高音質コーデックを採用しているモデルがおすすめです。

まとめ

「骨伝導イヤホンは難聴になる?耳にやさしくないの?」というテーマで私がプチ調査した結果を解説してきました。

最初にご案内したように、その結論は次のようになります。

  • 骨伝導イヤホンを使えば難聴にならないという医学的エビデンスはない
  • ただし、骨伝導イヤホンは普通のイヤホンより難聴になりにくい特性を持つのは確かで、リモートワークやジョギングなどで長時間使用する場合は普通のイヤホンより耳への負担が小さい
  • とはいえ、大音量で長時間使用し続けると、骨伝導であっても難聴になる可能性はある

やはり、大音量長時間がキーワードになるようです。

どんなイヤホンを使うにしても、ボリュームを上げて長時間耳に当て続けることは避けたほうがいいということです。

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