【記事丸わかり】
⇒⇒【悲劇】駐車場で当て逃げされました!警察に通報し犯人を捜査。 |
コンビニやスーパーの駐車場で車が当て逃げされた場合、車両保険から支払ってもらうことは可能です。
ただし、「一般条件」の車両保険なら問題なく支払われますが、「エコノミー」タイプの車両保険では、当て逃げした相手の氏名・住所が判明した場合にのみ支払われます。
また、車両保険から支払いを受けた場合、翌年の等級は3等級ダウンします。
したがって、当て逃げされた車の修理代次第で、保険を使うか使わないか天秤にかける必要が出てきます。
なお、当て逃げした相手が判明している場合に限り、車両保険を使用しても等級をカウントしない(下がらない)扱いが可能なケースもあります。
このページでは、駐車場で当て逃げされたときの車両保険の扱いについて詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
駐車場の当て逃げは車両保険の契約タイプで扱いが異なる
このページでは、駐車場などに駐めてある車に何者かが車で接触し、そのまま逃げてしまうケースを扱います。
道路を走行中に相手車両と接触し、相手車両がそのまま逃げ去った場合も、広い意味では当て逃げに該当しますが、ただし、この場合はこちら側にも一定の過失割合が発生します。
さらに、物損事故にとどまらず人身事故になるケースも出てきます。
したがって、このページでは、駐車場や私有地などに駐車してある車に何者かが車で接触し、そのまま逃走してしまうケースに限定したいと思います。
ところで、駐車場等での当て逃げは、犯人が特定されずに、そのまま被害を受けた人が泣き寝入りに終わるケースが多い事案です。
ごくまれに、目撃者がいてナンバーを控えていたり、駐車場や車に設置してあるカメラが相手のナンバーや顔をしっかり記録していたりして、それが犯人逮捕につながるケースもあります。
もっとまれなケースになりますが、逃げた相手が、良心の呵責にさいなまれて、しばらくして警察に自首することもあります。
このように、当て逃げは、相手が特定される場合と特定されない場合の2つのケースに分かれます。
車両保険との絡みで言えば、この2つのケースで支払いの有無も分かれます。
車両保険には大別すると「一般条件(オールリスクタイプ)」と「エコノミー」の2つあります。
当て逃げに限定して補償内容を見ると、次のようになります。
一般条件 | エコノミー | |
当て逃げ(相手不明) | 支払う | 支払わない |
当て逃げ(相手判明) | 支払う | 支払う |
このように、「一般条件」では相手がわかってもわからなくても保険金を支払いますが、「エコノミー」では相手が判明した場合にのみ支払われます。
「エコノミー」の車両保険に加入している方は、相手が自首するか、ドライブレコーダーや施設のカメラ映像によって特定されることに期待するしかありません。
車両保険を使うと等級が3つダウンする
駐車場等で当て逃げにあい、車両保険を使用した場合、翌年の等級は3つダウンします。
もちろん、「一般条件」でも「エコノミー」でも、保険金の支払いがあれば3等級ダウンです。
実は、多くの方がこの等級の扱いに不満を抱いています。
なぜなら、駐車場での当て逃げは、当て逃げされた車のオーナーにしてみれば純然たる「無過失」の事案です。
台風による車の水没や車両盗難など、同じく「無過失」の事案では、保険金の支払いを受けても、等級は1等級ダウンにとどまります。
それなのに、なぜ当て逃げは3等級ダウンなのか。
「納得できない!」
という方が多いのです。
これに対する保険会社の言い分はこうなります。
いずれの損保会社の考えも同じですが、ここではソニー損保の主張を引用させていただきます。
(略)・・・「(運転中の)他のお車との衝突」事故の場合も、「当て逃げ」事故の場合も、お車の損傷状況は同じようなものとなることがあり、その場合、弊社が確認調査を実施しても、(「当て逃げ」事故のケースは相手方に確認がとれないため)その判別が難しくなります。
以上のことから、適切な保険制度の運営のため、現時点では「当て逃げ」事故について取扱いを別にすることは、難しいと考えております。
これをわたしが翻訳しますと、次のようになると思います。
あなたが「当て逃げ」だといって事故届けを出したとしても、保険会社の側から見れば、本当に「当て逃げ」でできた損傷か、あなたが走行中にどこかにぶつけてできた損傷か、確認のしようがない。
要するに、あなたが等級ダウンを3ではなく1にとどめたいがために「ウソ」をついている可能性が捨て切れないので、今回の事案は、あなたが運転中に起こした自己責任による接触事故と同等に扱います。
ということになると思います。※ソニー損保さん、ぶしつけでゴメンナサイ。でもわかりやすいでしょ?
そういうわけで、当て逃げで車両保険を使ったら3等級ダウンです。
損害保険各社共通です。
※2つ先の項目で等級がダウンしないケースを解説しています
「修理代」と「保険を使った場合の将来保険料」を天秤にかける
以上見てきましたように、駐車場等で当て逃げにあった場合の車の修理代は、車両保険の支払い対象になります。
「一般車両」でも「エコノミー」(相手が判明した場合)でも、保険が使えます。
しかし、ここで立ち止まって考えるべきことがあります。
多くのケースで言えることですが、当て逃げによる車の被害は、小損害にとどまることが多いです。
50万とか100万の修理代がかかるケースはめったにありません。
修理費が数十万もかかる場合なら、迷わず保険を使えばいいのですが、たとえば10万前後といった金額の場合、使えば等級が3つダウンしますから、どうしたらいいか悩むケースが出てきます。
とは言え、こうした悩ましいケースでは、あなたが一人であれこれ考える必要はありません。
まずは修理代がいくらになるかディーラーや修理工場の見積額が出るのを待ちましょう。
見積額が出たら、今度は保険会社の担当者に相談する番です。
「修理代が〇〇万円かかるようですが、保険を使った場合、来年以降の保険料はいくらになりますか?つまり、この場合、保険を使うのと使わないのとどっちがトクですか?」
こうした相談を担当者に持ちかけてください。
損害保険各社には、保険を使った場合の将来保険料をシミュレートするアプリが備わっています。
ですから、当て逃げで3等級ダウンした場合の翌年以降の保険料は即座に算出できます。
※現在の等級が7等級とか8等級のようにまだ割引が進んでいない契約では、保険料はかなり高くなってしまうと思いますが、20等級かそれに近い割引まで進んでいる契約では、わずかな値上がりにとどまると思います
これによって、あなたは自腹で修理するか車両保険を使うか、合理的に判断することが可能になります。
その際、注意すべきことは、翌年1年分の保険料だけで判断してはいけない、という点です。
現在の保険料レベルに戻るまでに何年かかり、その間、現在の保険料よりトータルでいくら余計に保険料を支払うのか、こうした合計の金額を出してもらうことが肝心です。
保険会社の担当者も、当然このことは心得ていますから、あなたの判断が付くようにアドバイスしてくれるはずです。
※自動車保険の主流は3年契約になりつつあり、3年契約は事故で保険を使った場合に契約者に有利に働くケースが多いです。たとえば3年契約の1年目に事故で保険を使った場合でも、3年契約なので、残り2年は保険料は変わらず、3年目に契約を更新する際には、等級は、いったん3つ下がっていたのが2つ戻った状態に回復しています。したがって、更新する契約は1等級ダウンで済むことになります
※言うまでもなく、将来保険料をシミュレートする場合、1年契約の人には1年契約の、3年契約の人には3年契約の、それぞれの将来保険料を指し示してくれるので安心です
車両保険を使っても等級が下がらないケースもある
当て逃げで車両保険を使うと3等級ダウンすることはすでにお話しました。
そして、車のオーナーにしてみれば、当て逃げのような「無過失」の事故に対して3等級ダウンすることは、どうにも納得いかない思いがあることにも触れました。
実は、車両保険には「車両無過失事故に関する特約」あるいは「車両保険無過失事故特約」と会社によって名称は異なりますが、同じ内容の補償があります。
車両保険を付ければ自動的についてくる保険会社もあれば、特約として別途保険料を支払う会社もあります。※加入している保険会社にお問い合わせください
この特約の主旨ですが、以下の4条件を満たしている場合に限り、車両保険から支払いがあっても、「ノーカウント事故」として扱う、というものです。
- 契約の車以外の自動車との接触または衝突事故(車対車事故)であること※自動車には原付・2輪バイクを含む
- 契約の車の運転者にその事故に関する過失がないこと
- 相手自動車の情報(登録番号)と、相手自動車の運転者の情報(住所・氏名)が確認できること
- 新車特約、車両全損時修理時特約、車両積載動産特約等の保険金の支払いがないこと
要は、当て逃げした相手が自首したり、防犯カメラの映像から特定されたり、目撃者がメモしていたナンバーから人物が明らかになったりした場合には、車両保険を使っても等級に影響を及ぼさない、ということになります。
「3等級ダウン」でもなければ「1等級ダウン」でもなく、「ノーカウント」扱い、すなわち、何事もなかった扱いになります。※無事故であったのと同じ扱い
警察に事故届けを出し、しばらく様子を見ること
駐車場などで当て逃げにあった場合で、もう1つ注意すべきことがあります。
それは、まず当て逃げされていることに気づいたら、その段階ですぐに警察に事故届けを出してください。
日を置いて届出をすると、当て逃げした相手が見つかりにくくなるだけでなく、現場の状況も変化することもあって、警察はあまりいい応対をしてくれません。
場合によっては、上の空といった扱いを受けるかもしれません。
というのは、ここは保険会社と同じで、警察にしても、当て逃げされたという車の損傷部分を見せられた際、それが本当に当て逃げされた損傷なのか、届け出た人が自分でどこかにぶつけた損傷か、区別が付かないからです。
人身事故であれば警察の応対はまったく異なりますが、物損で、誰もけがをしていなくて、しかも当て逃げから日数が経ってからの届出では、警察としても気合が入らない、というところかもしれません。
したがって、とにかく時間を置かずすぐに届出をしてください。
届出をしておけば、犯人が捕まる可能性も出てきます。
それから、「エコノミー」タイプの車両保険の場合は、保険金支払いの条件として、相手の車・氏名・住所が判明していなければなりません。
その際、保険会社は何をもって相手の身元を確認するかというと、警察が発行する交通事故証明書です。
この交通事故証明書を発行してもらうには、まず、当て逃げの被害にあった当事者が警察に事故の届出をしておかなければなりません。
したがって、当て逃げにあったら、まず警察に事故届けを出し、現場で実況見分を受けて、きちんと事故受付を警察に残しておく必要があるのです。
※保険会社が交通事故証明書が必要になった場合は、保険会社が警察に申請するので(交付申請代行サービス)、あなたが警察に申請する必要はありません。あなたがすべきことは、事故届けを出しておくことだけです
※大きなショッピングモールの駐車場なら問題ありませんが、小規模の駐車場や私有地で当て逃げにあい、警察に事故届けした場合、警察は交通事故証明書を発行しないケースがあります。道路交通法上の「交通事故」に該当しないと言う理由です。しかし、その場合でも、事故受付はしてくれますし、事故の記録を残してくれるので、それが事故証明書の代用として役に立ちます
それから、当然、保険会社にも事故届けを出すわけですが、当て逃げの場合、すぐに保険金支払いの手続きに入るのではなく、しばらく様子を見る必要があります。
犯人が判明するかもしれないからです。
いったん車両保険から支払いを受けると、その後で犯人が判明しても、犯人に修理代を請求する権利は、あなたから保険会社に移行しているので、あなたは一切の請求権を失ってしまいます。
車両保険からの支払いを受ける前に相手が判明すれば、相手が加入している自動車保険の対物賠償から修理代の支払いを受けることができます。
もしも相手が無保険で、支払い能力がなかったとしても、氏名・住所が判明していれば、前の項目で解説した「車両無過失事故に関する特約」を適用することで、車両保険からの支払いを受け、なおかつ「ノーカウント事故」として処理できます。
ですから、当て逃げにあったら、「もう犯人は捕まらないな」とあきらめざるを得ないぎりぎりのところまで、保険金支払いは保留にしたほうがいいです。
・・・などと書きつつ、実際のところは、いつまでも当て逃げにあった損傷部分を放っては置けませんし、また、もしも車をディーラーなどに預け代車を借りて生活している場合なら、何日も引き伸ばせない事情も出てきたりするものです。
そこは苦しい判断を迫られる場面も出てくるかと思いますが、いちおう、ここに書いたことも頭に入れておいていただきたいと思います。
(まとめ)当て逃げにあった場合の手順
コンビニやスーパーの駐車場などで車が当て逃げにあった場合、あなたが取るべき行動をまとめてみました。
参考になさってください。
- 警察に事故届けを出す※相手ナンバー、ドライブレコーダーの画像などわかっているものがあればそれも提出
- 保険会社に事故届けを出す
- 警察からの連絡を待つ
- 相手が判明したら相手からの支払いを受けられるか確認
- 相手に支払い能力がなかったら「一般条件」あるいは「エコノミー」から支払い可能※相手が判明しない場合は「一般条件」のみ支払いが可能
- 保険会社と相談し保険を使うか使わないか検討し、最終判断する
※相手が判明した場合は、「車両無過失事故に関する特約」を適用してノーカウント事故扱いできるか保険会社に確認する
ご覧いただきありがとうございました。