【記事丸わかり】
⇒⇒車両保険選びに異変アリ!【車両保険を付けて、保険料を抑えたい方は |
自動車保険の特約の1つに車両保険があります。
事故で自分の車の修理代を補償する特約です。
車両保険にはエコノミーと一般条件の2つの補償タイプがあります。
エコノミーが割安で一般条件は値段が高くなります。
補償範囲は「エコノミー < 一般条件」となります。
このページでは結局のところエコノミーと一般条件はどっちがおすすめなのか、皆様にご提案させていただきます。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
気になる車両保険の加入率から確認
まず最初に車両保険の加入率を見ておきたいと思います。
エコノミーと一般条件を含めた全体の率です。
日本全国の自動車保険に加入している人たちが、どれくらいの割合で車両保険に加入しているのか、みなさんも大いに興味があるところだと思います。
※できるだけ最新のデータを収集しましたが、やや古いものもあります。ご了承ください
日本全国の自動車保険加入者のうち車両保険を付けている人の割合 |
43.5パーセント |
参考:損害保険料率算出機構(2016年)
これが高い数字か低い数字か、ちょっとよくわからないかもしれません。
つぎに、ネット一括見積もり比較で有名な「保険スクエアbang! 自動車保険」の全利用者に占める車両保険加入率です。
「保険スクエアbang! 自動車保険」の全利用者に占める車両保険加入率 |
56.4パーセント |
参考:「保険スクエアbang! 自動車保険」(2015年)
いきなり数字が上がりました。
およそ13ポイントも加入率が高いです。
やはりネットで自動車保険に加入する人は、ある程度自動車保険のことを勉強してから入ると思うので、地元の代理店さんにおまかせで加入する人より、ちょっと意識が高いのかもしれません。
56.4%という数字は「保険スクエアbang! 自動車保険」に参加している数十社の平均です。
参加保険会社は、ソニー損保・アクサダイレクト・おとなの自動車保険・三井ダイレクト損保・チューリッヒ保険・イーデザイン損保・SBI損保・セコム損害保険・あいおいニッセイ同和損保・そんぽ24・AIG損保・三井住友海上・損保ジャパン日本興亜・東京海上日動・共栄火災・楽天損保・全労災などです。
ほとんどが通販型の保険会社ですが、一部代理店型も入っています。
恐らく、損保ジャパン日本興亜や東京海上日動など代理店型の個々の加入率は、もっと低いはずです。
通販型の数字に引っ張られた結果として、平均が56.4%になっているのだと思います。
その証拠が、次の通販型自動車保険の個別の数字です。
下記一覧表にまとめてみました。
なお、こちらの加入率は「保険スクエアbang! 自動車保険」が公表している個別の数字ではありません。
それぞれの保険会社がホームページで公表している数字です。
ですから、「保険スクエアbang! 自動車保険」を含むさまざまな契約ルートで加入している人全体の数字です。
通販型自動車保険における車両保険の加入率 | |
イーデザイン損保(2016年) | 72% |
おとなの自動車保険(2017年3月) | 71% |
三井ダイレクト損保(2017年4月~2018年3月) | 56.6% |
チューリッヒ保険(2018年3月) | 54% |
ソニー損保(2018年3月) | 52% |
SBI損保(2016年3月~2017年2月) | 49.8% |
いかがでしょう?
この数字を見れば、もはやネットで自動車保険を契約する人ほど車両保険の加入率が高いということは明白です。
それにしても、通販型自動車保険各社の個々の数字は、ちょっと驚異的です。
わたしは、最初、「ほんとかなあ」と思いました。
とりわけ、イーデザイン損保とおとなの自動車保険は70%越えです!
このように通販型自動車保険における車両保険の加入率は相当高い傾向にあります。
考えられる要因としては、身も蓋もない話ですが、要するに「保険料が安い」ということかもしれません。
車両保険を付けても、それでも保険料レベルが低い、その結果、加入率も高くなっているのだと思います。
では、いよいよこのページのテーマであるエコノミーと一般条件について見ていきます。
車両保険:「エコノミー+A」と「一般条件」の違いを確認
みなさんが車両保険に加入しようと思ったら、「エコノミー+A」と「一般条件」のいずれかに加入することになると思います。
エコノミーにいきなり+Aが付いて驚かれるかもしれませんが、これは正式名です。
「エコノミー」と呼んでいるのは「エコノミー+A」のことです。
なお、会社により呼び方が異なっていて、「エコノミー+A」を「車対車・限定危険」と呼ぶ会社もありますし、「一般条件」を「一般型」あるいは「オールリスクタイプ」と呼ぶ会社もあります
では、2つの車両保険の補償内容の違いを見てみましょう。
補償内容 | エコノミー+A | 一般条件 |
車同士の衝突 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | 〇 |
台風・竜巻・洪水・高潮 | 〇 | 〇 |
火災・爆発 | 〇 | 〇 |
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 | 〇 | 〇 |
飛来中・落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 |
2輪自動車・原付バイクとの衝突 | 〇 | 〇 |
単独の自損事故 | × | 〇 |
当て逃げ | × | 〇 |
※地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害に対しては、上記いずれのタイプも対象外です。ただし「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」(他の名称もあります)を追加することで補償されます
ごらんのように、「エコノミー+A」と「一般条件」の違いは、単独事故と当て逃げです。
ガレージに車を入れる際にこすってしまったり、ガードレールや電柱に衝突してしまった事故は、相手がない単独の事故になり、「一般条件」でしか補償されません。
また、スーパーで買い物して駐車場に戻ったら、車が当て逃げされていた場合も、「一般条件」でしか補償してもらえません。※ただし、自首や通報で当てた相手が判明すれば「エコノミー+A」でも補償されます
一般的に言えることは、運転歴が浅い人は損害の大きな単独事故を起こす確率が高いので、どうせ加入するなら「一般条件」がおすすめです。
ベテランドライバーは、たとえ単独事故を起こしても、小損害にとどまるケースが多く、「エコノミー+A」でもたいていの事故に備えることができると思います。
いずれにしても、最後はお金の問題です。
車両保険を付けるなら、もちろん「一般条件」がベストです。
しかし、保険料の負担感が大きいと感じたら「エコノミー+A」があります。
あるいは「免責金額」で調整する方法もあります。
車両保険に加入する際、車の補償額を200万で設定したとします。
その際、デフォルトでは免責「0-10」といった設定になっているはずです。
この「0-10」とは、事故を起こした場合、初回は免責0円でお支払いしますが(つまり自己負担0円)、同じ年度の2回目の事故に対しては10万の免責(自己負担10万円)でお支払いします、という意味です。
※「免責」とは、保険会社の側が契約者に対して「責任を免れる」という意味
保険料を安くするためには、「0-10」を「5-10」とか「10-10」に設定します。
こうすることで、自己負担額が発生しますが、その分保険料を抑えることが出来ます。※かなり安くなります
このように免責金額を高めに設定するのは、小額の事故は自腹で対応するので、あくまでも車が大破するような大きな事故に備えたい、といった要望に応える契約方法です。
結局、エコノミー+Aと一般条件のどちらがおすすめ?
車両保険は大別すると「エコノミー+A」と「一般条件」の2つの補償タイプに分かれます。
これに免責金額をいくらに設定するかにより、最終的に保険料が決まります。
当サイトのおすすめは下記の「1」から「6」の順番です。
なお、免責金額は「0-10」「5-10」「10-10」の3パターンに絞りました。
会社によってはこれ以外のパターンも可能です。
1 | 一般条件 | 免責0-10 |
2 | 免責5-10 | |
3 | 免責10-10 | |
4 | エコノミー+A | 免責0-10 |
5 | 免責5-10 | |
6 | 免責10-10 |
支払う保険料のことを気にしないのであれば、言うまでもなく「1」の組み合わせがベストな内容です。
しかし、保険料の負担感が大きい場合は、止むを得ず補償を削っていくしかありません。
その際に大切なのが、補償を削る順番です。
わたしのおすすめは上の順番通りに削っていくことです。
「1」では保険料が高いからと、いきなり「4」に行かないでください。
「一般条件」と「エコノミー+A」の大きな違いは、単独事故と当て逃げが対象になるかならないか、という点です。
補償内容 | エコノミー+A | 一般条件 |
車同士の衝突 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | 〇 |
台風・竜巻・洪水・高潮 | 〇 | 〇 |
火災・爆発 | 〇 | 〇 |
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 | 〇 | 〇 |
飛来中・落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 |
2輪自動車・原付バイクとの衝突 | 〇 | 〇 |
単独の自損事故 | × | 〇 |
当て逃げ | × | 〇 |
「1」から「4」に移ってしまったら、単独事故と当て逃げが対象外になってしまいます。
「1」の「一般条件・0-10」が高いと感じたら、まず免責金額を「5-10」か「10-10」にすることを検討してください。
免責金額を付けるとその分は自己負担になりますが、しかし、エコノミー+Aにしたら、単独事故と当て逃げが対象外になってしまいます。
また、免責金額を付けた場合でも、全損の事故では免責金額は適用されませんし、相手がある事故の場合もほとんどのケースで免責金額はないものとして保険金が支払われます。
⇒(補足)免責金額を設定していても免責金額が適用されないケース
したがって、「1」「2」「3」と一般条件の免責金額を少しずつ高くしていき、それでも保険料が高いと感じる場合にのみ、「4」「5」「6」のエコノミー+Aを検討していただきたいと思います。
つまり、エコノミー+Aか一般条件かの2者択一ではなく、まず一般条件と免責金額の組み合わせを検討すべきです。
エコノミー+Aは、それでも保険料で折り合えない場合にのみご検討ください。
保険料が安い会社を探すのが先決かも
自動車保険一括見積もりサイトを利用したことがある人はすでにご存知だと思いますが、(ほぼ)同じ条件で見積もり依頼しているのに、返ってくる保険料には驚くほど差があります。
「車両保険を付けているのにこの保険料?」
と思わず目を疑ってしまう会社が必ずあります。
つまり、ここでみなさんにお伝えしたいのは、何も最初から車両保険の補償タイプをどちらにするかなど考える必要はない、ということです。
その前に、そもそも保険料水準が安い会社を探したほうがいいと思います。
保険料水準が安い会社で一般条件を検討し、それでも高いと感じたら免責金額を上げる。
免責金額を上げてもまだ高いと感じたら、今度はエコノミー+Aを検討する。
それでも高いと感じたら、免責金額を上げる。
この順序でご検討いただければあなたにとってベストな自動車保険が決まると思います。
(補足)免責金額が設定されていても免責金額が適用されないケース
事故で車に損害が発生した場合、免責金額の扱いは原則として次のようになります。
損害額ー免責金額=支払額 |
もしも免責金額が「10-10」で設定されている契約で、100万円の損害額が出た場合は、
100万円ー10万円=90万円 |
という計算になります。
これが原則です。
しかし、免責金額の扱いは、事故の内容によって変わってきます。
つまり、免責金額が設定された契約でも免責金額が適用されない(自己負担額が発生しない)ケースが2つあります。
次の2つのケースです。
免責金額を設定している契約でも免責金額が適用されないケース |
<1>全損の事故 |
<2>相手がある車両事故※相手がある事故で必ず免責が適用されないというわけではないが、ほとんどのケースで適用されない |
まず<1>の全損事故のケースですが、「全損」とは「修理費が車両価格を超えた場合」あるいは「修理できないほど損傷した場合」のことをいいます。
車両価格200万円で車両保険に加入していて、「全損」と認定される事故が発生した場合、保険からの支払額は「200万ー免責金額」とはならず、免責金額がいくらに設定されていてもそれは適用されずに、200万円がそっくりそのまま支払われます。
これに対して、修理費が車両価格を下回る場合を「分損」と呼びますが、この分損のケースでは、「損害額ー免責金額=支払額」といった支払い方になります。
つぎに<2>の相手がある事故のケースです。
通常、車同士の事故の場合は両者に「過失割合」が発生します。
過失割合とは、事故の結果発生した損害を100とした場合、事故の当事者がそれぞれ負うべき責任の割合です。
50:50であれば、両者が半分ずつ責任を負うことになります。
責任を負うとは、責任分だけお金を払うということを意味します。
下の事例でご説明します。
車両保険に車両価格200万円で加入しているAさんの事例です。
免責金額は「10-10」です。
AさんとBさんが車同士の衝突事故を起こし、次のような過失割合・損害認定がなされました。
Aさん | Bさん | |
過失割合 | 50 | 50 |
車の損害 | 100万円 | 80万円 |
ここは車両保険の話なので、Bさんの80万円の損害のことは割愛し、Aさんの100万円の損害に対して保険会社がどういう処理をするかをお話します。
この場合、BさんはAさんの100万円の損害額に対して50%の50万円を支払います。
すると、Aさんが加入している保険会社は、Bさんが支払った50万円を、まずAさんの免責金額の穴埋めに充当します。
これにより、Aさんの契約で設定されていた免責金額「10-10」の「10」は穴埋めされ、なかったものとみなされます。
Aさんの損害額100万円
穴埋めされた免責金額(10万円) | Bさんの支払った50万のうち免責金額の穴埋めをした残りの40万円 | 不足分50万円 |
最終的に、Aさんが加入している保険会社は、車両保険から上の図の「不足分50万円」を支払い、これにより、Aさんの損害額100万円は全額保険でまかなわれることになります。
このように、免責金額が設定されている車両保険契約でも、相手がある事故の場合は免責金額が適用されないケースが出てきます。
上のケースのように免責金額が10万円の場合、相手からの支払額が10万円以上のケースは、すべて免責金額はなかったものとみなされます。
免責金額が5万円の場合は、相手からの支払額が5万円以上のケースで、すべて免責金額はなかったものとみなされます。
実際のところ、車同士の衝突・接触事故の場合は、ほとんどのケースで免責金額はなかったものとみなされます。
ここで解説した保険金の支払い方は、各保険会社の約款に記載されています。
※約款とは、不特定多数の利用者との契約を定型的に処理するためにあらかじめ作成した契約条項のこと(by Wikipedia)
※上の例でBさんから支払われるお金のことを、各社の約款では「回収金」と呼んでいます
SBI損保 | 「車両条項」第11条3(保険金の支払額) |
三井ダイレクト損保 | 「車両条項」第11条3(支払い保険金の計算) |
損保ジャパン日本興亜 | 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算) |
ソニー損保 | 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算) |
アクサダイレクト | 「車両条項」第10条3(車両保険金支払額の計算) |
おとなの自動車保険 | 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算) |
ご覧いただきありがとうございました。