【記事丸わかり】
⇒⇒フロントガラスにひび割れがあると車検に合格しない? |
車検の時期を向かえ、日頃から気になっていたフロントガラスの飛び石による小さい傷のことが心配になる。
こういうことはよくあることです。
フロントガラスに関する車検の基準を知りたいところです。
プロに補修してもらうか交換すればいいのはわかるけれど、それではまとまった出費になってしまいます。
当面問題になりそうもない傷であれば、このまま車検を通してもらいたいところです。
このページではフロントガラスにできた飛び石による小さい傷について車検の基準はどうなっているのか、詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただきたいと思います。
道路運送車両の保安基準第29条(窓ガラス)
国土交通省が定める道路運送車両の保安基準第29条(窓ガラス)には、次の条文があります。
自動車(最高速度25キロメートル毎時以下の自動車を除く。)の窓ガラスは、告示で定める基準に適合する安全ガラスでなければならない。ただし、衝突等により窓ガラスが損傷した場合において、当該ガラスの破片により乗車人員が傷害を受けるおそれの少ないものとして告示で定める場所に備えられたものにあってはこの限りでない。
自動車(最高速度40キロメートル毎時未満の自動車を除く。)の前面ガラスは、損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであり、かつ、容易に貫通されないものとして、強度等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
自動車(非牽引自動車を除く。)の前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く。)は、運転者の視野を妨げないものとして、ひずみ、可視光線の透過率等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
ご覧のように、この条文はフロントガラスや窓ガラスの「材質」や「性能」の基準に関する規定で、飛び石などで付いた傷やヒビに関し、どの程度なら車検で通すか通さないか、そういうことを規定しているものではありません。
飛び石によるフロントガラスの小さな傷・ヒビに関しては、様々な経験談、口コミなどを参考にするしかなさそうです。
管理人の経験から
経験談の1つとして、まず管理人であるわたし(Mr.乱視)の事例をご紹介します。
数年前まで乗っていた4ドアセダンのケースです。
フロントガラスの運転席からやや中央寄り、下から10cmほどの部分に、10mmほどのヒビが入っていました。
東北自動車道を北上中に受けた飛び石によるものです。
ヒビはありましたが、欠けはありませんでした。
一本線のヒビです。
クモの巣状の広がりはありませんでした。
ヒビが入ってから車を手放すまで3度車検を受けましたが、全てパスしました。
ヒビの大きさもほとんど変わらないままでした。
1つの事例としてご紹介しました。
ネットで集めた経験談・口コミのご紹介
わたしの経験談だけではあまりに心もとないので、ネットで様々な事例を調べてみました。
それらをまとめると下記のような傾向があるようです。
- 欠けがあると車検を通りにくい
- クモの巣状になったヒビは小さめのものでも車検を通りにくい
- 運転席側の傷・ヒビに比べて助手席側の傷・ヒビは比較的車検を通りやすい
- 点状の傷なら少々数が多くあっても車検は通りやすい
- フロントガラスの上下左右の辺に近いあたりの傷・ヒビ(つまり周辺の傷・ヒビ)は比較的車検を通りやすい
以上の傾向があるようです。
車検前に詳しい人に聞く
実際的な話として、車検を受ける前に、こういうことに詳しい人、たとえば車を購入したディーラーや中古車店の担当者に様子を尋ねるのもひとつの方法だと思います。
車屋さんに聞くと、交換費用を稼ぎたいから、厳し目の評価をするに決まっている、といった口コミもありますが、わたしはそんなことはないと思います。
一見さんならともかく、ある程度の付き合いのある担当者なら、フロントガラスの傷程度で吹っかけた話しなどするはずがありません。
ごく普通に、経験してきたことを教えてくれるはずです。
車検前にお悩みの方は、車に詳しい方に尋ねるのが一番だと思います。
もしも修理・交換することになったら
飛び石でフロントガラスにヒビが入った場合、修理費用は2万円~5万円ほどかかると思います。
フロントガラスの交換となると、社外品の場合で、軽自動車で5万円~8万円、普通車(登録車)で7万円~10万円(共に工賃込み)くらいになると思います。
※ディーラー等で純正品に交換する場合は、上記金額に3万円~5万円の上乗せになると思います
もしもあなたが自動車保険の特約である車両保険に加入していたら、飛び石による損害は保険の支払い対象になります。
エコノミーでも一般車両でも飛び石による損害は補償の対象です。
フロントガラスに傷が付いてから日にちが経っていたとしたら、保険会社に事故届けをする際に、
「小さい傷だからこのまま乗り続けようと思っていたけれど、車検に通らないと聞き、それで保険で修理することにしました」
とありのままに話せば大丈夫です。
ただし、修理額によっては保険を使うか使わないか悩ましいことになる可能性があります。
フロントガラスの交換なら問題ないでしょうが、補修だけの金額だと、判断に迷うケースかもしれません。
保険を使えば翌年度の保険料が上がりますから、上がる保険料と修理費用とを天秤にかけて判断します。
このあたりの詳細は後ほど。
飛び石は代理店型・通販型・共済すべて同一の補償内容
飛び石による車の損害は車両保険で補償されます。
これは、あいおい・損保ジャパン・二対住友海上・東京海上といった代理店型大手損害保険会社全て共通です。
さらに、ソニー損保・チューリッヒ・おとなの自動車保険(セゾン)・アクサダイレクト・イーデザイン損保・三井ダイレクト・SBI損保などダイレクト自動車保険(通販型自動車保険)各社も全て共通です。
JA共済・全労済もすべて共通です。
車両保険には大別すると2つの補償タイプがあって、それがエコノミー+Aと一般条件です。
下記の表は、エコノミー+Aと一般条件の補償内容、保険を使ったときの等級の落ち方についてです。
飛び石による損害は、上から6行目の「飛来中・落下中の他物との衝突」です。
補償内容 | エコノミー+A | 一般条件 | 保険を使った場合の等級ダウン |
車同士の衝突 | 〇 | 〇 | 3等級ダウン |
盗難 | 〇 | 〇 | 1等級ダウン |
台風・竜巻・洪水・高潮 | 〇 | 〇 | 1等級ダウン |
火災・爆発 | 〇 | 〇 | 1等級ダウン |
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 | 〇 | 〇 | 1等級ダウン |
飛来中・落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 | 1等級ダウン |
2輪自動車・原付バイクとの衝突 | 〇 | 〇 | 3等級ダウン |
単独の自損事故 | × | 〇 | 3等級ダウン |
当て逃げ | × | 〇 | 3等級ダウン |
ご覧のように、飛び石による損害は、エコノミー+Aでも一般車両でも支払い対象になり、保険を使うと翌年度の等級は1つダウンします。※事故有期間1年も付く。
飛び石による損害で車両保険を使った場合の翌年度の等級 |
1等級ダウンし事故有期間1年が付く |
フロントガラスの飛び石による損害額が30万円とか50万円であれば、誰も迷うことなく保険を使うでしょう。
しかし、悩ましいことに、飛び石による損害の多くは、比較的小額な修理代で済むことが多く、それゆえ多くの保険契約者の頭を悩ませるわけです。
結局のところ、保険を使うべきか自腹を切るべきか、具体的な数字で判断するしかありません。
次の項目で、具体的な数字の出し方についてご説明いたします。
参考になさってください。
飛び石で保険を使う使わないを判断する計算方法と使う目安
飛び石による損害は1等級ダウン事故です。
その際、保険を使った場合に翌年の保険料がどれだけ上がるか。
これが事前にわからなければ、保険を使う使わないを判断できません。
そこで、保険を使った場合の将来保険料をシミュレーションしてみたいと思います。
<計算条件> |
|
※実際の保険料算出には、年齢条件・料率クラスなども影響しますが、ここではイメージをつかんでいただくために簡略化しています
下の表の左側は、保険を使ったために11等級から1つダウンし、いったん10等級に戻ってからの保険料推移(2年間)です。
右の表は、保険を使わずにいた場合のその後の保険料推移で、12等級から2年間の数字です。
値上がりする保険料の推移 | 保険を使わなかった場合の推移 | |||
経過年 | 等級 | 保険料 | 等級 | 保険料 |
1 | 事故有10等級 | 73,000 円 | 無事故12等級 | 49,000 円 |
2 | 無事故11等級 | 50,000円 | 無事故13等級 | 48,000円 |
123,000円 | 97,000円 |
※「2年間」で比較するのは、1等級ダウンしたものが元の等級に戻るのに2年かかるからです。しかし何年間の推移で比較するのがいいかは考え方によって意見が分かれるところです
さて、2年後の保険料総額を比較すると、保険を使った場合が123,000円で、使わなかった場合が97,000円です。
その差額は26,000円になります。
123,000-97,000=26,000円 |
すると、あくまでも概算になりますが、26,000円がいわゆる「損益分岐点」になってきます。
ですから、車の修理費が26,000円を超える場合は、「保険を使ってもいいかな」という判断になりますし、車の修理費が26,000円を下回るケースでは、「ここは自腹を切っておこうか」ということになります。
上の計算は年間保険料が50,000円のケースでした。
もう少し幅を広げて、30,000円、50,000円、80,000円、100,000円、120,000円、150,000円で上記とまったく同じ計算をしたものが下の表になります。
年間保険料 | いわゆる「損益分岐点」 |
30,000円 | 16,000円 |
50,000円 | 26,000円 |
80,000円 | 41,000円 |
100,000円 | 51,000円 |
120,000円 | 61,000円 |
150,000円 | 77,000円 |
いかがでしょう?
大まかなイメージはつかんでいただけたのではないでしょうか。※金額はあくまでも目安です
なお、上記「損益分岐点」の金額に免責金額を絡めて考慮する必要があります。
たとえば、上の表で年間保険料が100,000円のケースでは、「損益分岐点」は51,000円です。
もしも修理総額が100,000円の場合、「損益分岐点」の51,000円を2倍近く上回っているので、迷いなく保険を使いたいところです。
ただし、もしも免責金額が5万円で設定してあれば、保険から支払われるのは50,000円だけです(100,000円-50,000円)。
そうなると、保険から出る金額は「損益分岐点」とほとんど変わりませんから、この場合は、保険を使っても使わなくても計算上は「どちらも同じ」ということになります。
このように、免責金額も考慮したうえで最終判断する必要があります。
実は、上の保険料シミュレーションは、ソニー損保のホームページにある概算保険料ツールを利用して算出しています。
みなさんも、ご自分の条件を入力して、(あくまでも概算になりますが)保険料を算出してみてください。
大まかなイメージはつかめると思います。
ところで、実は、ここからが本題になります。
保険料のシミュレーションの話をしましたが、なにもみなさんが上で紹介したソニー損保の計算ツールを利用したりしなくても、みなさんが加入している保険会社の事故担当者が、通常業務の一環として、ちゃんと保険料を算出してくれます。
各保険会社には、ソニー損保の概算保険料ツールをより厳密にした、「将来保険料計算ツール」(名称は会社により様々ですが)というアプリがあります。
そのアプリで、個別具体的にみなさんのデータを入力して、10円単位まで正確な将来保険料を、上の一覧表のように「一瞬にして」算出してくれます。
ディーラーや修理工場から修理の見積額の連絡が入り、いよいよ保険を使うか使わないかという段階になれば、その計算結果を担当者が提示してくれるので、みなさんは担当者の助言も考慮しつつ、保険を使う使わないの判断をすればいいことになります。※もちろん免責金額も考慮に入れての判断です
みなさんご自身で複雑な保険料計算をする必要は一切ありません。
代理店型の自動車保険でも通販型の自動車保険でも、共済でも、いずれもちゃんとやってくれます。
保険を使う使わないは事故処理の最終段階で意思表示すればOK
これは意外と誤解している方が多い事柄なので、念のために書かせていただきます。
飛び石に限らず、どういう形態の事故であれ、とにかく事故で保険会社に事故届けをすると、以後は、保険会社が事故の相手やディーラーや修理工場などと連絡を取り、契約者であるあなたにも報告を入れ、事故解決に至るまでの様々な手続きや連絡をあなたに代行してやってくれます。
こうしたサービスは、その事故が「保険金支払いの対象になる事故」である限り、保険会社は提供する義務があります。
ところが、保険の契約者の中には次のように理解(誤解)している方がいらっしゃいます。
「今回の事故は修理代が小額になりそうだから、もしかしたら保険を使わないかもしれない。でも、保険会社に事故連絡したら、結局、保険を使わないといけないことになるのでは?そうなったら困るから、ここは自分でやることにしよう。でも、どこから手をつければいいのか・・・」
このように一人で悩んでしまう方がいらっしゃいます。
とりわけ、飛び石の損害は比較的少損害のことが多いので、事故直後に保険会社に報告しないケースが結構あります。
先ほど、「保険金支払いの対象になる事故」と書きました。
これは「支払いの対象」になるかどうかが問題で、最終的に保険金を支払うか支払わないかは無関係です。
損害額が1万円とか2万円の事故で、車両保険を使うことはまずないだろうという事故であっても、保険会社は事故解決のためのサービスを提供する義務がありますし、実際、提供してくれます。
修理代が小額になることが予想される事故であっても、事故解決までには、車をディーラーや修理工場に入れ、見積もりを取り、修理の際には代車を手配するなど、様々な手続きが必要になります。
保険会社にやってもらうことはたくさんあるのです。
これを一人でやれますか?
ですから、相手がある事故であれ単独の事故であれ、保険金支払いの対象になる事故が発生したら、損害額の見込みが多い少ないに関係なく、まず保険会社に事故届けを出し、その後の事故処理は保険会社に任せてください。
事故届けをすると、後日、保険会社から「保険金請求書」という書類が送られてきます。※共済の場合は「共済金請求書」
あなたが確実に保険を使う場合は、この書類に必要事項を記入し、保険会社に返送してください。
使うか使わないか迷っている場合は、この書類を送らず、手元に保管しておいてください。
保険会社は、「保険金請求書」がなければ保険金の支払い手続きに入れません。
※仮にすでに「保険金請求書」を提出済みでも、契約者の意思確認がなければ保険会社は支払手続きに入りません
いずれにしても、どんな軽微な事故でも、まず保険会社に事故届けを出し、一連の事故処理を代行してもらうことです。
保険を使うか使わないかは、修理見積もりが出た段階で、保険会社の事故担当者に出してもらった将来保険料とを天秤にかけ、そこで最終的な判断をすればいいことです。
保険会社を大いに活用して欲しいと思います。
そのためにお金を払っているのですから。
代理店型でも通販型でも共済でも、この点に関しては、対応に違いはありません。
★みなさん、たまにはビックリ仰天してみませんか?車の保険って本当に金額に開きがあるんです。同じ冷蔵庫の値段が家電量販店と街の電気屋さんで2倍違うことがあるように、条件によっては実際に2倍違うこともよくあることです。この機会に一度一括見積もりサイトを使ってみれば、みなさんも確実に身をのけぞらせて驚くでしょう。あまりの違いにみなさんの保険選びに大転換が訪れるかもしれません。
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下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。