【超丁寧解説】自動ブレーキ義務化|新車は2021年から|基準も厳格化

自動ブレーキ・義務化・2021年・いつから・対象車種

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すでに大型トラックやバスなどは2014年から順次自動ブレーキの取り付けが義務化されていますが、一般の乗用車や商用車、軽自動車や軽トラックに関しても2021年から装着が義務化される方向です(2019年11月17日数社の新聞報道)。

※国土交通省は2021年11月から義務化すると正式発表(2019年12月17日報道)

いつから導入?

いつから導入

大型トラックやバスに関しては2014年から順次装着が義務化されている自動ブレーキですが、わたしたちのマイカー(登録車・軽自動車)や商用車、軽トラックなども義務化されることになります。

国土交通省が2020年1月に「道路運送車両法」の法令を改正する方向です。

新型車2021年度から
継続生産車その数年後から

ブレーキ性能の基準が厳格化される

ブレーキ性能の基準が厳格化される

みなさんご存知のように、自動ブレーキはすでにほとんどの新車に最初から搭載されています。

2018年に日本国内向けに販売された新車の84.6%に自動ブレーキが搭載されていました。

そして、こうした日本国内向けの自動ブレーキには2018年3月から性能認定制度があって、各メーカーはこの認定基準に準拠するブレーキを搭載していました。

その基準は、

  • 時速50キロで走っている時に前方で停止している車にぶつからない、またはぶつかるときに20キロ以下になっている
  • 時速50キロで走っていても前方を20キロで走っている車にぶつからない

といった内容でした。

しかしながら、こうした基準があるものの、各社の自動ブレーキには性能的にかなりのバラつきがあって、なかには「おばか」ブレーキと揶揄されるようなほとんど役に立たないブレーキもありました。

今回の自動ブレーキ義務化に先立って、2019年6月に国連の専門部会で国際的な基準が決まっていて、日本もこれに準拠することになりました。

その基準とは、

  1. 時速40キロで走行中、前に停車している車にぶつからずに止まる
  2. 時速60キロで走行中、前を20キロで走る車にぶつからない
  3. 時速30キロで走行中、時速5キロで前を横切る歩行者にぶつからずに止まる

という3つの条件を全て備える必要があります。

先ほどの日本国内における性能認定制度に較べるとより厳しい内容です。

とりわけ③の歩行者に関する基準は日本の基準にはなかったものです。

わたしたち一般のユーザーからすると、対象が自動車であれ建物であれ歩行者であれ、とにかく走る車の前に立ちはだかる障害物という点ではみな同じだと考えてしまうのですが、どうやら、技術的にはかなり違う話になるようです。

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使用している方ならご存知でしょうが、まずミリ波レーダーやカメラで前方の車をロックオンし、その後はずっとロックオンの状態を維持しつつ追尾していきます。

自動ブレーキの対象が前方を走る車であれば、このようにすでにいったんロックオンした車が速度を落としたり急ブレーキをかけたりすれば、こちらもすぐさま反応して衝突しないようにブレーキをコントロールします。

ところが、対象が建物であったり、道路を横切る自転車や歩行者である場合には、そもそも最初にロックオンされていませんから、反応できません。

センサーであるミリ波レーダーやカメラが自転車や歩行者を捕捉したとしても、頭脳であるECU(Electrical Controll Unit)は無反応です。

なぜならそうした自転車や歩行者はあらかじめロックオンされていないから。

人間に置き換えれば、目の網膜は対象をとらえているけれど、その情報が脳に届いていない状態です。

わたしたちは、とにかく前方に障害物があればすぐさまブレーキがかかる、これが自動ブレーキだと思いがちですが、技術的にはそういうものではないようです。

しかし、2019年6月の国際基準では歩行者への対応も性能基準に盛り込まれているので、各メーカーはより性能が厳格かつ精密な自動ブレーキを開発しなければなりません。

その結果、ブレーキ関連の部品の数が増え、コストが上がり、他の部分でコストダウンができなければ車両重量と車両価格は上昇することになります。

そうなると販売が低調になるので、そうならないようにブレーキ関連部品はいままでより軽量でありながらしかし性能はより高度なものに、という技術革新が求められることになり、業界には決して小さくないうねりが発生すると思います。

いずれにしても、歩行者にも反応する「本物の」自動ブレーキが全ての車に装着されるようになったときこそ、自動運転が実用化される最初の一歩になるのだと思います。※2019年時点で各社が装着している自動ブレーキの性能では自動運転なんて1,000年先の話に思えます。実際、新型車なのにどうしてあんなに病院やコンビニや歩行者の群れに突っ込む車の映像がニュースで頻繁に流れるのでしょう?「あれっ?あの車は先月モデルチェンジした新型車だよね?」と何度テレビの前でつぶやいたことか・・・自動ブレーキとは名ばかりのおばかブレーキはもう終わりにしていただきたいと切に思います

そもそも自動ブレーキとは?

そもそも自動ブレーキとは

自動ブレーキAEBSは衝突被害軽減ブレーキと呼ばれることもありますが、略称であるAEBSは「先進緊急ブレーキシステム(Advanced Emergency Braking System)の略です。

対象物をミリ波レーダーや前方カメラで捉え、その情報が車の頭脳であるECUに伝達されて、ECUが衝突の危険度合いを判断し、状況に応じて、まずドライバーに音声などで警告し、それでは間に合わない場合は強制的にブレーキを作動させる、こうしたブレーキシステムの総称です。

自動ブレーキの最大の課題は、いきなり道路を横切る歩行者や自転車や野生動物などに、日中であれ夜間であれ確実に反応し、すばやくブレーキを作動させる、また自動運転に向けては、状況に応じて危険回避のためのハンドル操作も自動で行う、こうした性能の実現です。

もうカタログを飾るだけの名ばかりの自動ブレーキは終わりにしなければならない時期だと思います。

とは言え、センサーがとらえた情報をどのように判断しどのように指令を出すか、それを司るECUの開発に一番お金と時間がかかるはずで、口で言うほど簡単ではないのかもしれません。

でも、新規採用にしても中途採用にしても自動車関連の会社には優秀な人材が集中しているはずなので、簡単ではないことでもやり遂げて欲しいという大きな期待があります。

そして、くれぐれもメーカーが設定した一定の条件下でのみ作動する自動ブレーキではなく、わたしたち一般の自動車ユーザーがごく普通に期待する場面でごく当たり前に作動する自動ブレーキをこそ、できるだけ早い時期に完成していただきたいと思います。

自動運転実用化のほぼ97%は本物の自動ブレーキが実現するかどうかにかかっているはずです。

2021年義務化までの道のり

2021年義務化までの道のり

義務化までの道のりといっても、そんなに前までさかのぼっても意味はないので、数ヶ月前までにします(笑)。

2019年2月12日、国際欧州経済委員会において、日本・欧州連合(EU)・ロシア・韓国などが参加して「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」の導入を義務付ける規則の原案に合意しました。

アメリカやインド、そして中国はこれに参加していません。

その後、2019年の6月には、すでに触れたように国連の専門部会で国際的な自動ブレーキの性能基準が決定されました。

日本で2021年から義務化される動きは、こうした経緯が背景にあります。

今後は、日本国内で販売される輸入車にも自動ブレーキ装着が義務化されることになるはずです。

本当に自動ブレーキで事故は減少しているのか?

本当に自動ブレーキで事故は減少しているのか

はい、自動ブレーキで事故は減少しています。

これはファクトとして断言できることです。

警視庁の発表では、2017年の交通事故の減少件数のうち追突事故が約6割を占めていて、この結果は、明らかに自動ブレーキの普及による効果であると結論付けています。

また、公益財団法人交通事故総合分析センターが2018年9月3日に公表した資料によると、衝突被害軽減ブレーキを搭載した自家用乗用車(普通・小型・軽)と未搭載車を比べると、登録・届出車数10万台当たりの対四輪車追突死傷事故件数は、未搭載車:208.9件、搭載車:98.4件という結果になり、衝突被害軽減ブレーキ搭載車は110.5件少なく、事故率にして52.9%低くなっています。

ボルボが公表したデータでは、2009〜2015年度に新規登録されたボルボのオートブレーキ・システム搭載車は、非搭載車に比べて、日本における事故発生率が69.0%減、追突事故発生率が76.5%減少、対人事故発生率が58.6%減少と驚異的な数字が出ています。

事故がゼロになる日はまだまだ遠いかもしれませんが、少しずつゼロに近づけることはできるはずです。

2021年からの義務化と性能の厳格化によって、さらに事故率の減少を期待したいところです。

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【超丁寧解説】ASV割引=自動ブレーキ割引:対象車の型式・対象車種確認

2019年4月28日

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ご覧いただきありがとうございました。