【記事丸わかり】
⇒⇒車両保険が必要か不要かを自動車保険の資格保有者が解説 |
車両保険とはどんな補償範囲か良くわからない人が多いようです。
自動車保険に加入する際、本当にいるのかいらないのか判断に迷うところです。
実際、「車両保険は高い」というイメージは多くの人が抱いているところですが、本当はどうなのでしょう?
このページでは車両保険とは何か詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
そもそも車両保険とはどんな保険?
まず最初に、「車両保険」という言葉を初めて耳にした方にもご理解いただけるように、基本的なことからお話したいと思います。
わたしたちが車を購入し、ナンバープレートを交付してもらう際に、交付の条件として加入が義務付けられているのが自賠責保険(強制保険)です。
これに対して、わたしたちが任意で加入する保険が自動車保険(任意保険)になります。
このページのテーマである「車両保険」は、この自動車保険の特約という位置づけになります。
「特約」ですから、自動車保険に入ったからといって、車両保険に入る入らないは、わたしたちの自由です。
そこで、この特約の補償範囲ですが、実はかなり広範囲の補償が用意されています。
とはいえ、そうした補償内容は順次このページで解説していきますので、まずは、ベースとなる基本補償からお話します。
車両保険の基本補償、それは、わたしたちが使用する自分の車の損害です。
衝突事故で自分の車が損傷し、同時に相手の車を損傷させた場合、相手の車の修理代は、自動車保険の基本補償である「対物賠償」から支払われます。
その際、自分の車の修理代は、過失割合によって支払い方が決まることになり、過失割合が50対50であったら、自分の車の修理代は、相手の保険(対物賠償)から半額、自分の車両保険から半額、それぞれ支払われることになります。
もしも車両保険に加入していなかったら、修理代の半額は自腹で支払うことになります。
以上が自動車保険の特約である車両保険の基本的は補償です。
上の例は50:50でしたが、10:90でも、80:20でも、どんな過失割合であっても、自分の側の過失分は車両保険から支払われます。
そして、相手の車やけがに対しては対物賠償や対人賠償で支払われます。
したがって、車両保険に加入していれば、事故が発生しても、いわゆる「自腹を切る」ことはほとんどなく、全て自動車保険から支払われることになります。
自動車の事故にはさまざまなパターンがありますが、事故の当事者が「自腹を切る」ケースというのは、ほとんどのケースが車両保険に加入していないケースです。
車両保険に加入していれば、ほとんどのケースで全額自動車保険からの支払いでまかなわれます。
車両保険は自動車保険の特約という位置づけになりますが、他の特約と違って、ぜひ付けておきたい特約です。
あとは保険料との兼ね合いだと思います。
保険料の負担感が「重い」と感じるか「軽い」と感じるか。
ここが判断の分かれ目ではないでしょうか。
他のみなさんは車両保険に加入していますか?
車両保険が大事な保険だということは、なんとなくみなさんにも感じていただけたのではないでしょうか?
そこで、ここでは車両保険の加入率を見ておきたいと思います。
日本全国の自動車保険に加入している人たちが、どれくらいの割合で車両保険にも加入しているのか、みなさんも大いに興味があるところだと思います。
まず全体の加入率から見てみましょう。
※できるだけ最新のデータを収集しましたが、やや古いものもあります。ご了承ください
日本全国の自動車保険加入者のうち車両保険を付けている人の割合 |
43.5パーセント |
参考:損害保険料率算出機構(2016年)
う~ん、これが高い数字か低い数字か、ちょっとよくわからないかもしれません。
つぎに、ネット一括見積もり比較で有名な「保険スクエアbang! 自動車保険」の全利用者に占める車両保険加入率です。
「保険スクエアbang! 自動車保険」の全利用者に占める車両保険加入率 |
56.4パーセント |
参考:「保険スクエアbang! 自動車保険」(2015年)
いきなり数字が上がりました。
およそ13%も加入率が高いです。
やはりネットで自動車保険に加入する人は、ある程度自動車保険のことを勉強してから入ると思うので、地元の代理店さんにおまかせで加入する人より、ちょっと意識が高いのかもしれません。
56.4%という数字は「保険スクエアbang! 自動車保険」に参加している数十社の平均です。
参加保険会社は、ソニー損保・アクサダイレクト・おとなの自動車保険・三井ダイレクト損保・チューリッヒ保険・イーデザイン損保・SBI損保・セコム損害保険・あいおいニッセイ同和損保・そんぽ24・AIG損保・三井住友海上・損保ジャパン日本興亜・東京海上日動・共栄火災・楽天損保・全労災などです。
ほとんどが通販専門の保険会社ですが、一部代理店型も入っています。
恐らく、損保ジャパン日本興亜や東京海上日動など代理店型の個々の加入率は、もっと低いはずです。
通販専門会社の数字に引っ張られた結果として、平均が56.4%になっているのだと思います。
その証拠が、次の通販型自動車保険の個別の数字です。
一覧表にまとめてみました。
なお、この表の加入率は、「保険スクエアbang! 自動車保険」が公表している個別の数字ではありません。
それぞれの保険会社がホームページで公表している数字です。
ですから、「保険スクエアbang! 自動車保険」を含むさまざまな契約ルートで加入している人全体の数字です。
通販型自動車保険における車両保険の加入率 | |
イーデザイン損保(2016年) | 72% |
おとなの自動車保険(2017年3月) | 71% |
三井ダイレクト損保(2017年4月~2018年3月) | 56.6% |
チューリッヒ保険(2018年3月) | 54% |
ソニー損保(2018年3月) | 52% |
SBI損保(2016年3月~2017年2月) | 49.8% |
いかがでしょう?
この数字を見れば、もはやネットで自動車保険を契約する人ほど車両保険の加入率が高いということは明白です。
それにしても、通販型自動車保険各社の個々の数字は、ちょっと驚異的です。
わたしは、最初、「ほんとかなあ」と思いました。
とりわけ、イーデザイン損保とおとなの自動車保険は70%越えです!
心底ぶったまげた数字だと思います。
みなさんの参考になれば幸いです。
車両保険の補償内容を確認:「エコノミー+A」と「一般条件」
みなさんが車両保険に加入しようと思ったら、「エコノミー+A」と「一般条件」のいずれかに加入することになると思います。
※会社により呼び方が異なっていて、「エコノミー+A」を「車対車・限定危険」と呼ぶ会社もありますし、「一般条件」を「一般型」あるいは「オールリスクタイプ」と呼ぶ会社もあります
では、2つの車両保険の補償内容の違いを見てみましょう。
補償内容 | エコノミー+A | 一般条件 |
車同士の衝突 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | 〇 |
台風・竜巻・洪水・高潮 | 〇 | 〇 |
火災・爆発 | 〇 | 〇 |
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 | 〇 | 〇 |
飛来中・落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 |
2輪自動車・原付バイクとの衝突 | 〇 | 〇 |
単独の自損事故 | × | 〇 |
当て逃げ | × | 〇 |
※地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害に対しては、上記いずれのタイプも対象外です。ただし「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」(他の名称もあります)を追加することで補償されます
ごらんのように、「エコノミー+A」と「一般条件」の違いは、単独事故と当て逃げです。
ガレージに車を入れる際にこすってしまったり、ガードレールや電柱に衝突してしまった事故は、相手がない単独の事故になり、「一般条件」でしか補償されません。
また、スーパーで買い物して駐車場に戻ったら、車が当て逃げされていた場合も、「一般条件」でしか補償してもらえません。※ただし、自首や通報で当てた相手が判明すれば「エコノミー+A」でも補償されます
一般的に言えることは、運転歴が浅い人は損害の大きな単独事故を起こす確率が高いので、どうせ加入するなら「一般条件」がおすすめです。
ベテランドライバーは、たとえ単独事故を起こしても、小損害にとどまるケースが多く、「エコノミー+A」でもたいていの事故に備えることができると思います。
いずれにしても、最後はお金の問題です。
車両保険を付けるなら、もちろん「一般条件」がベストです。
しかし、保険料の負担感が大きいと感じたら「エコノミー+A」があります。
これでも負担が大きいと感じたら「免責金額」で調整する方法もあります。
免責で調整しても負担が大きいと感じたら、残念ですが、車両保険はあきらめてください。
車両保険に加入する際、車の補償額を200万で設定したとします。
その際、デフォルトでは免責「0-10」といった設定になっているはずです。
この「0-10」とは、事故を起こした場合、初回は免責0円でお支払いしますが(つまり自己負担0円)、同じ年度の2回目の事故に対しては10万の免責(自己負担10万円)でお支払いします、という意味です。
※「免責」とは、保険会社の側が契約者に対して「責任を免れる」という意味
保険料を安くするためには、「0-10」を「5-10」とか「10-10」に設定します。
こうすることで、自己負担額が発生しますが、その分保険料を抑えることが出来ます。※かなり安くなります
このように免責金額を高めに設定するのは、小額の事故は自腹で対応するので、あくまでも車が大破するような大きな事故に備えたい、といった要望に応える加入方法です。
事故だけでなく自然災害に備える意味合いは増大している
前の項目で見たように、自動車保険の特約である車両保険は、交通事故のときだけの保険ではなく、その他さまざまなアクシデントに対して保険金が支払われます。
その代表例が自然災害による車の損害です。
実際のところ、損害保険各社が自然災害の被害にあった車に対して車両保険から支払っている金額は、まさに右肩上がりになっています。
では、車両保険で支払いの対象になる自然災害をもう一度確認してみます。
自然災害 | 車両保険 (エコノミー+A) | 車両保険 (一般条件) |
大雨・洪水 | 支払い対象 | 支払い対象 |
台風 | 支払い対象 | 支払い対象 |
雹 | 支払い対象 | 支払い対象 |
大雪・雪崩 | 支払い対象 | 支払い対象 |
車両保険は、詳細に区分けするといくつかの加入パターンがあるのですが、一般的には2つのタイプに分けられます。
「エコノミー+A」と「一般条件」の2つのタイプです。
代表的なこの2つの加入タイプでしたら、上記自然災害による車の損害は全て支払い対象です。
上記の自然災害をより具体的にご説明すると、こんな内容です。
- 大雨による土砂崩れで車が押し流された
- ゲリラ豪雨の発生で道路が冠水し車が水没した
- 台風によって屋根瓦や看板が飛んできて車が傷ついた
- 木が倒れてきて車の天井がへこんだ
- 河川の氾濫で車が水没した
- 雹が直撃してフロントガラスが割れボンネットや天井に傷がついた
- 大雪でカーポートがつぶれて車が傷ついた
- 屋根に積もった雪が落ちて車がへこんだ
- 雪崩に巻き込まれ車が損傷した
こうした自然災害による車の被害は、日本全国で発生しています。
都市部、郊外、山間地域などを問わず、日本列島の南から北まで、全ての都道府県で発生しています。
こうした自然災害による車の被害は、車のオーナーにしてみれば、まさに無過失の損害です。
自分で起こした事故なら、自分が悪いのですから、ある意味で諦めがつくのですが、自然災害による損害の場合は、精神的なショックは長く尾を引くことが多いです。
また、たとえ激甚災害に指定されるような大災害であっても、車の損害に対しては、基本的に国や自治体からの補償はありません。
唯一の救いは、車両保険から支払いを受けたとしても、翌年の等級は1等級ダウンで済むところでしょう。
通常、車同士の事故で車両保険を使った場合は3等級ダウンですから、この点はちょっと助かります。
いずれにしても、車両保険の補償内容として、いまでは自然災害による損害も重要な柱になっていることをここで強調しておきたいと思います。
「安全運転するから事故は起こさない。だから車両保険は必要ない」という論法は、自然災害には通用しません。
なお、同じ自然災害でも、「地震・噴火またはこれらによる津波」によって生じた車の損害は、車両保険では補償されません。
しかし、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」(会社によって名称は異なる)を付け加えることで、こうした災害にも対応しています。
盗難・落書き・飛び石による損害は珍しくない
自動車の盗難件数は全国で毎年1万件余りあります(2017年は10,213件)。
車を運転していると、AMラジオの番組内で、盗難車情報というのを「毎日」流していて、アナウンサーが「これから読み上げるナンバーは盗難車です。ご協力お願いします」と警察への通報を呼びかけたりしています。
みなさんもお聴きになったことがあるのでは。
つまり、しょっちゅう発生しているのが車両盗難で、しかも、プリウス、ランドクルーザー、ハイエースなどの一部車種だけでなく、あらゆるタイプの車が盗難の対象になっています。
車両保険では、「エコノミー+A」でも「一般条件」でも車両盗難は支払い対象です。
また、ドアパンチ、コインによるボディーへのいたずら書き、塗料の吹きつけや塗りたくりなどは、あまりに頻発しているのでいちいちニュースにはなりません。
ちょっとしたボディの線傷でも、ドアとフェンダーとか、ドアとドア、ドアとトランクなど、複数のパーツにまたがっているケースでは、修理代が10万を超えることは珍しくありません。
「エコノミー+A」や「一般条件」は、こうした被害も支払い対象です。
それから、走行中に前を走るトラックから落ちた石がフロントガラスに当たり、ひび割れが発生したという経験はないでしょうか?
わたしはあります(笑)。
東北自動車道を北上中に被害にあいました。
こうした飛び石・落石被害に対しても、「エコノミー+A」・「一般条件」いずれからも保険金が支払われます。
また、事故による衝突が原因ではなく、単独で走行している際に、エンジンから火が噴出する車両火災というのも、高速道路を走行していると、たまに見かけることがあります。
リコール対象になっている車でなくても、車両火災と言うのは一定の確率で発生しています。
この車両火災に対しても、「エコノミー+A」・「一般条件」いずれからも補償が受けられます。
自動車保険の特約である車両保険というのは、ここまで見てきたように、衝突や接触による車両事故だけが補償の対象ではなく、オーナーとしてはまったくの無過失である自然災害による被害や、盗難・イタズラによる被害なども補償範囲に入っています。
車両保険が「いる」か「いらない」かと問われれば、即座に、いる、と答えます。
あとは、支払う保険料の額をどう感じるか、これが問題です。
ですから、車両保険が「いる」か「いらない」かは、あれこれ考えるよりも、まずは代理店や電話オペレーターに見積もりを作ってもらい、具体的な金額を前にして判断すればいいのだと思います。
後ほど詳しく解説しますが、見積もりは3種類作成依頼してください。
「車両保険ナシ」と「エコノミー+A付」と「一般条件付」の3つの見積もりです。
これら3種類の見積額を前にして、得られる補償と保険料の負担感を天秤にかけ、最終判断をしていただければ、それがあなたにとってベストな自動車保険になると思います。
車両保険が絶対的に必要なケース
事情によっては、車両保険が「絶対的に必要」と言ってもいいケースがあると思います。
それは車をローンで購入した場合です。
ローンで購入した車が、もしも全損の事故にあい、新しい車に乗り換えざるを得ない事態になった場合、車両保険に加入していなかったら、古い車のローンの残債と新しい車のローンの、2つのローンを支払い続けることになってしまいます。
車両保険に入っていれば、少なくとも古い車のローンは車両保険からの支払いで一括返済できます。
2重ローンに苦しむ事態は避けられることになります。
これは新車でも中古車でも事情は同じだと思います。
ローンで車を購入している場合は、経済的なピンチを招かないためにも、車両保険は必須だと思います。
車両保険が付いていると事故処理がストレスフリーになる
たとえば、あなたが住宅街の十字路で出会いがしらの衝突事故にあったとします。
あなたが直進していたところ、相手が右手から直進してきて、十字路の真ん中で衝突してしまったのです。
道路は互いに同じ幅で、信号機はありません。
図にするとこんな事故です。
この事故を過去の交通裁判の判例に基づいて事故処理するなら、過失割合は次のようになります。
あなたと相手が同じくらいの速度で衝突 | あなた:相手 40:60 |
あなたは減速ナシで相手は減速アリ | あなた:相手 60:40 |
あなたは減速アリで相手は減速ナシ | あなた:相手 20:80 |
この事故であなたの車の修理代が100万円かかりました。
あなたは、自分は手前で減速したけれど、相手は減速していないので、過失割合は20:80になると思っていました。
つまり、100万円の修理代のうち、80万円は相手の対物賠償で支払ってもらえると考えていたのです。
ところが、相手の主張はまったく正反対で、あなたが60で相手が40と主張し、まったく譲る気配がありません。
事故が発生してから1ヶ月たっても話がまとまらず、あなたは仕事にも集中できない日々を過ごすことになりました。
と言うのも、あなたは車両保険に加入していなかったからです。
だから、あなたの主張が通れば、あなたは自分の車の修理代として20万円自腹を切るだけでいいのですが、相手の主張が通ってしまうと、60万円も自腹を切らなければならなくなります。
もう気が気ではありません。
でも、もしあなたが車両保険に入っていたらどうなっていたでしょう?
仮に相手が主張を譲らず、あくまでも60:40で、あなたに60の過失があると言い張り、2ヶ月たってもまだ示談が成立しなかったとしても、あなたは、あんがい気楽な気持ちで日々を送ることができたはずです。
なぜなら、過失割合が最終的にどういう割合になろうと、自分の過失分は車両保険から支払ってもらえるからです。
20万円であっても60万円であっても、自腹は1円も切る必要がありません。
どう転んでも、保険から支払われるのです。
確かに、相手が事実と違う主張を通そうとしたら、気持ちの面で許しがたい思いは残るでしょう。
ただ、たとえそうであっても、経済的な面では、終始一貫して安心した気持ちでいられます。
これこそが車両保険の効用です。
過去に事故の経験があって、この事例のようなトラブルに見舞われたことのある方なら、このたとえ話には大いに納得していただけるのではないでしょうか。
新車でも中古車でも3パターンの見積もりを出してもらう
車両保険を検討するには、まず3タイプの見積もりを作成してもらってください。
代理店型でも通販型でも、簡単に作成してくれます。
各保険会社には自動車保険の保険料算出のテンプレートがあって、3タイプの見積もりを横並びに計算する方式は、通常、デフォルトの形式になっています。
こんな風な見積書です。
自動車保険御見積書 | ||
基本補償 | エコノミー+A付 | 一般条件付 |
年間保険料:100,000円 | 年間保険料:157,000円 | 年間保険料:229,000円 |
ここでは見積もりの条件や補償内容は省略していますが、こういった3タイプを横並びにした見積もりを出してもらってください。
車両保険の「いる」「いらない」を考えるのは、この見積書を手にしてからの話です。
なお、上の赤い数字は適当な数字ではありません。
年齢条件・車種・等級などさまざまな条件で算出した数多くの保険料の平均を取った数字です。
基本補償に対して、エコノミー+Aを付けると157%増し、一般車両を付けると229%増しになります。
基本補償 | エコノミー+A付 | 一般条件付 |
×1.0 | ×1.57 | ×2.29 |
ですから、今現在あなたの自動車保険に車両保険が付いていない場合、現在の保険料に1.57を掛けると、エコノミー+Aをつけた保険料になります。
現在の保険料に2.29を掛けると、一般条件をつけた保険料になります。
たとえば、あなたが現在加入している自動車保険が車両保険ナシの契約で、年間保険料が30,200円だとします。
すると、こうなります。
車両ナシの現在の保険料 | エコノミー+Aをつけた保険料 | 一般条件をつけた保険料 |
30,200円 | 47,400円 | 69,200円 |
いかがでしょう?
このように具体的な保険料が目の前にあれば、保険料の負担感が現実感を持って受け止められるはずです。
※言うまでもなく、上の数字はあくまでも平均を取ったものです。年齢条件によっても異なりますし、等級によっても変動します。事故率の高い車か低い車かによっても保険料は異なります。ですから、実際の保険料は、代理店さんや通販会社のオペレーターにきちんと算出してもらってください
ここでわたしが強調したいことは、車両保険の必要性を考えるのに、新車だとどうか、中古車だとどうか、運転初心者ならどうか、年間走行距離が長いか短いか、などなど事前に色んな事を考えてみてもあまり意味がないと言うことです。
まず3タイプの見積もりを出してもらって、具体的な保険料を前にして、それから必要性を考えるというのが、実際的なやり方ではないでしょうか。
車両保険は「ないよりあったほうがいい」のは明白です。
車両保険が必要かと問われれば、「もちろん必要です」というのがその答えです。
けれども、支払う保険料との兼ね合いがあるので、「さて、どうしようか」ということになるのだと思います。
つまり、結局はお金の問題であることがほとんどです。
身も蓋もない話ですが、みなさん、実際そうではありませんか?
なかには、車両保険というのはとても高いものだというイメージを持っていて、これまで車両保険付きの見積もりを一度も取ったことがないと言う人もいます。
そういう方が、上のような3タイプの見積もりを出してもらった結果、
「何だ、思っていたより安いじゃないか。一般条件でも想像していたより安いけれど、エコノミーならさらに安く入れるじゃないか」
と言って、あっさり車両保険に加入するケースもあります。
具体的な保険料を前にするからこそ、こうした決断がつきます。
まず3タイプの見積もりを出してもらい、そこから検討をスタートしてください。
きっと満足のいく自動車保険にたどり着けると思います。
車両保険に加入:車両価格はいくらに設定する?
(まず車価表について)
損害保険会社には自動車保険車両標準価格表(車両価格表・車価表)というものが備え付けられています。※以下「車価表」とします
この車価表には、それぞれの車の現在価値が記載されていて、車両保険に加入する場合の金額設定や、事故で全損になった車両に支払う賠償額の算出などに使用されます。
たとえばここに新車登録から3年目の日産ノート(型式DBA-NE12)があるとします。
この3年落ちの日産ノートに車両保険を付ける場合、車両価格をいくらに設定したらいいか?
まず、大前提として、わたしたちは車両価格を自由に設定することは出来ません。
新車から3年経過した車は、3年分の減価償却がありますから、当然、新車時よりも価値は落ちています。
そしてその価値の落ち方は、それぞれの車によって異なっていて、中古車市場の膨大な取引データ等を集計して算出する必要があります。
まさに、そのようにして算出されたものが車価表です。
したがって、3年落ちの日産ノートに車両保険を付ける場合は、車価表の日産ノート(型式DBA-NE12)のページを開き、新車登録から3年経過した時点の金額(現在価値)を調べます。
すると、たとえば「120万~150万」と記載されていたとします。
わたしたちはこの価格幅の中から車両価格を設定することになります。
もしも車価表というものが存在しなくて、車両価格をわたしたちが自由に設定することができたら、たとえば、30万円で買った車に300万円の金額をつけて車両保険に加入できてしまいます。
そうなると、その車が事故で全損になった場合、わたしたちは300万円受け取ることになり、差し引き270万円の大儲けとなります。
すると笑いが止まりませんから、不当に高い金額で車両保険をかけておいて、事故でなく故意に車を全損にさせる犯罪、すなわち保険金詐欺が頻発するでしょう。
社会は大混乱です。
こうした事態を防止するためにも、車価表は大きな役割を果たしています。
(車両価格の設定:新車の場合)
新車に車両保険を付ける場合も、車価表が活躍します。
代理店で加入する場合も、通販社で加入する場合も、見積もりを作成する際には、担当者のパソコン画面には、あなたの車の設定すべき車両価格が「205万~265万」というように表示されます。
これは、すでにあなたの新車の型式と登録年月日が入力されているので、そのデータから車価表の該当箇所が表示されるからです。
したがって、あなたはこの価格帯(205万~265万)の範囲内であれば、いくらであっても自由に選べます。
たとえば、あなたの新車が、値引きを考慮しない車両本体価格が210万円で、オプション類が15万円、これらの消費税が18万円であった場合、210+15+18=243となり、車価表の205万~265万の範囲内にあるので、車両価格243万円で車両保険に加入できます。
その際に、実際にあなたが新車に支払う金額は243万なのですが、車価表では上限が265万になっていますから、あなたが望むのであれば265万円で車両価格を設定することも可能です。
これは不正でもなんでもなくて、車価表の範囲内の金額なので、ノープロブレムです。
ただし、保険料は上がります。
車種・等級・年齢条件などによって異なりますが、平均的には、車両価格が10万円上がると、年間保険料が300円~500円アップします。
少々上がってもかまわないのであれば、出来るだけ高い金額で設定したほうがいいと思います。
265万で設定し、その後全損事故にあった場合、ちゃんと265万受け取れますから。
もう一度整理します。
新車に車両保険を付ける場合は、「値引き前の車両本体価格+オプション代+これらの消費税」の合計金額を車両補償額として設定するのが基本です。
ただし、車価表の範囲内であれば、たとえ実際の購入金額を上回っていても、上限の金額で加入することも可能です。
上限の金額で加入する場合は、保険料もその分高くなりますが、上乗せになる保険料が許容できるのであれば、できるだけ高い価格で加入したほうがいいです。
これとは反対に、実際の購入金額より低い金額で加入することも可能です。
その場合も、車価表の範囲で加入することになり、上の例では205万が最低金額になります。
(車両価格の設定:中古車の場合)
中古車の場合も、新車に車両保険を付ける場合と同じです。
車価表の金額に基づいて車両補償額を決めることになります。
ここでも、わたしたちが自由に価格設定できるわけではありません。
あくまでも車価表が示す範囲内で設定します。
代理店で加入する場合も、通販社で加入する場合も、見積もりを作成する際には、担当者のパソコン画面には、あなたの車の設定すべき車両価格が「150万~185万」というように表示されます。
これは、すでにあなたの中古車の型式と登録年月日が入力されているので、そのデータから車価表の該当箇所が表示されるからです。
したがって、あなたはこの価格帯(150万~185万)の範囲内であれば、いくらであっても自由に選べます。
※初度登録から7年あるいは8年ほど経過すると車価表の記載から削除されるのが普通です。こういった年式が古い車でも、代理店型の自動車保険なら、20万~25万くらいの金額で車両保険に加入できます。担当者にご相談ください
※通販型自動車保険の場合、新車登録から7年から8年以上経過した車は車両保険不可というところが多いです。個別にお問い合わせください
あなたの中古車が、値引きを考慮しない車両本体価格が153万で、オプション類が6万円、これらの消費税が13万であった場合、153+6+13=172となり、車価表の150万~185万の範囲内にあるので、車両価格172万円で車両保険に加入できます。
そして、ここでも新車のケースと同様に、実際にあなたが中古車に支払う金額は172万なのですが、車価表では上限が185万になっていますから、あなたが望むのであれば185万円で車両価格を設定することも可能です。
これは不正でもなんでもなくて、車価表の範囲内の金額なので、ノープロブレムです。
ただし、保険料は上がります。
少々上がってもかまわないのであれば、できるだけ高い金額で設定したほうがいいと思います。
ご覧いただきありがとうございました。