【超丁寧記事】自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

自動車保険・車両新価特約・デメリット・必要・保険料

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自動車保険の「車両新価特約」の全てを解説しています。

車両新価特約は車両保険のオプションとして追加できる特約です。

事故で車が大きな損害を受けた場合、車両保険では修理代が支払われますが、車両新価特約を付けていれば新車に買い替えることができます。

「修理」ではなく「買い替え」です。

保険料は年間3,000円~10,000円のアップです。

このページでは自動車保険の車両新価特約について詳しく解説しています。

しばらくお付き合いいただけると幸いです。

【記事丸わかり】

  • 車両新価特約は、自動車保険のオプション特約で、事故などで車が大きな損害を受けた場合、新車に買い替えることができる特約。
  • この特約は、年間3,000円~10,000円程度の追加保険料が必要。
  • 付帯できる期間は保険会社により異なる。例えば、ソニー損保やセゾン損保は25ヶ月以内、イーデザイン損保は11ヶ月以内。
  • 支払い条件として、修理不可能、修理費が車両保険金額を上回る、修理費が新車価格相当額の50%以上などの場合に適用される。
  • この特約を使うと、翌年の等級がダウンする。1等級ダウン事故の場合は1等級ダウン、3等級ダウン事故の場合は3等級ダウンとなる。
  • デメリットは保険料の上昇のみで、その他のデメリットはほとんどない。
  • 新車購入から2〜3年の間は、リセールバリューの低下を避けるために、この特約の付帯が推奨される。
  • 支払い対象外には、内外装や外板部分の損傷が含まれる。エンジンやトランスミッションなど、車の骨格部分に大きな損傷がある場合のみが対象。
  • 車両新価特約を使う場合は、実際に車を新車に買い替える必要があり、修理代だけを受け取ることはできない。
  • 再取得時諸費用保険金が支払われるため、自動車取得税や車庫証明費用などもカバーされる。

⇒⇒【自動車保険のプロが教える】自動車保険の新価特約を徹底解説!!

「車両新価特約」という名称について

車両新価特約という名称・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

下記のように、この特約は会社により名称が異なります。

車両新価保険特約(イーデザイン損保など)
車両新価特約(セゾン損保など)
新車特約(三井住友海上など)
新車買替特約(ソニー損保など)

このページでは、比較的使用頻度が高い「車両新価特約」で以下ご説明していきたいと思います。

車両新価特約の概要

車両新価特約の概要・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約は車両保険のオプションです。

車両保険そのものが自動車保険のオプションなので、車両新価特約はオプションのオプションということになります。

車両新価特約は「新車」に車両保険を付ける際に追加で付帯する特約です。

事故で車が大きな損害を受けた場合、車両保険からは修理代が支払われます。

その際、

修理すればまた乗れるかもしれないけれど、この車はまだ買ったばかりなので気分的に納得できない。また修復歴がつくからリセールバリューも落ちるし、何とかなりませんか?

という気持ちになる人は多いでしょう。

そういう保険契約者の要望に応えたのがこの車両新価特約です。

車両保険にオプションとして車両新価特約を追加付帯しておけば、損傷した箇所を修理するのではなく、車ごとそっくり新車に買い替えることができます。

修理ではなく買い替えです

ところで、車両新価特約を付帯できる期間ですが、一口に「新車」と言っても、新規登録からいつまでを新車とみなすのか、これは保険会社によって扱いが異なるので、後ほど詳しく解説します。

また、新車に買い替えできるといっても、板金修理で数万円の損害が発生した場合でも新車に買い替えできるわけではありません。

これにも一定の条件があるので、後ほど詳しく解説します。

さらに、そもそも車両新価特約を追加すると保険料がどのくらいアップするのか気になるところだと思います。

あくまでも概算になりますが、年間保険料で3,000円~10,000円アップします。

この車両新価特約を付帯することのデメリットは、保険料がアップすること以外ありません。

車両新価特約で保険の支払いを受けると翌年の等級はダウンしますが、そもそも車両保険で3等級ダウン事故に該当する事故で車両新価特約を使った場合は、翌年3等級ダウンして事故有期間3年が付きます。

車両保険で1等級ダウン事故に該当する事故で車両新価特約を使った場合は、翌年1等級ダウンして事故有期間1年が付きます。

※新価特約を使った場合の等級ダウンに関しては、各社ホームページに記載はなく、約款や重要事項説明書にも見当たらないので、東京海上日動に電話で確認したのが上の説明です。他社には確認を取っていませんが、恐らく他社も東京海上日動と同じやり方ではないかと思います

車両新価特約を付帯できる期間

車両新価特約を付帯できる期間・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約は「新車」に付帯する特約ですが、保険会社によって「新車」とみなす期間が異なります。

車の車検証には「初度登録年月」の欄があり、ここにその車が初めて登録された日付が記載されています。

車検証・初度登録日・登録日・自動車保険・車両入替・車両入れ替え・猶予期間・忘れ・納車日

黄色いマーカー部分が「初度登録年月

これを念頭に、以下の一覧表をご覧いただきたいと思います。

車両新価特約を付帯できる期間
ソニー損保 保険始期日時点で初度登録から25ヵ月以内
おとなの自動車保険(セゾン損保) 保険始期の属する月が初度登録年月から25ヶ月以内
イーデザイン損保 保険開始日の属する月が初度登録年月の翌月から起算して11ヶ月以内
東京海上日動 満期日が初度登録年月から61か月以内
損保ジャパン日本興亜 満期日の属する月が初度登録年月の翌月から起算して73か月以内
三井住友海上 初度登録年月が満期日よりさかのぼって61か月以内
あいおいニッセイ同和損保 満期日の属する月が初度登録年月の翌月から起算して61か月以内
全労済(マイカー共済) 最初の車検の満了日の月末までにマイカー共済の契約期間の満了日が含まれる場合

※チューリッヒ・アクサダイレクト・三井ダイレクト・SBI損保・JA共済などは車両新価特約を扱っていません(2018年11月現在)。

ご覧のように、大手代理店型では、損保ジャパンが約5年、東京海上・三井住友・あいおいニッセイが約4年です。

ソニー損保とおとなの自動車保険が約2年、全労済が約3年、イーデザイン損保が約1年となります。

車両新価特約の保険料

車両新価特約の保険料・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

保険料との関係で言うと、初度登録から間もない1年目、2年目などは新車価格相当額と車両保険金額の差が小さいので、車両新価特約の保険料レベルは低くなります(補償しなければいけない金額が小さいので)。

一方で、初度登録から4年、5年となると、新車価格相当額と車両保険金額の差が大きくなるので、保険料は高くなります(補償しなければいけない金額が大きくなるので)。

新車価格相当額が200万円~300万円ほどの車の場合、概算ですが、年間保険料は3,000円~10,000円くらいのあいだに収まると思います。※あくまでも目安としての金額です

車両新価特約:支払いの条件

車両新価特約・支払いの条件・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約は車両保険のオプションという位置づけなので、あくまでも車両保険の支払い対象となる損害が発生した場合に限られます。

※ただし「盗難」に関しては車両保険の支払い対象であっても車両新価特約では対象外になります

一般条件の車両保険に加入している場合は、一般条件の支払い対象になる事故が対象です。

エコノミーの車両保険に加入している場合は、エコノミーの支払い対象になる事故が対象です。

事故で車両が損傷を受けた場合に、新車価格相当額が支払われますが、支払われるケースは、

  • 修理不可能な場合
  • 修理費が車両保険金額を上回る場合
  • 修理費が新車価格相当額の50%以上になる場合

となります。

したがって小損害の事故は車両新価特約の対象外になります。

なお、車の損傷に関しては、車の骨格部分や動力系に損害が発生した場合が対象で、内外装や外板部分のみに損害が発生したケースは対象外です

エンジン・トランスミッション・サスペンション・シャーシなどに大きな損傷があった場合が対象になるということです。

なお、車両新価特約を付帯しているからといって、必ず車両新価特約を使う必要はなく、通常の車両保険の支払い方に沿って修理代を受け取るという方法も選択できます。

その場合は、修理代を受け取り、それで終わりです。

車両新価特約を使用する場合、事故日の翌日から起算して一定の期間内に新車に買い替える必要があります

  • ソニー損保(6ヶ月以内)
  • 東京海上日動(1年以内)
  • 損保ジャパン日本興亜(1年以内)
  • あいおいニッセイ同和損保(90日以内)

車両保険の場合は、事情によっては、実際に修理はしないで保険金だけ受け取ることも可能ですが、車両新価特約に関しては、実際に車を買い替える必要があります。

車両新価特約と車両保険の関係

車両新価特約と車両保険の関係・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約は車両保険のオプションなので、車両保険に加入している契約のみが対象です。

車両保険に加入する場合、車両保険金額を設定しますが、これは車両標準価格表に基づいて一定の価格幅の中から金額を設定します。

たとえば車両本体価格が200万円の車を新車で購入した場合、車両標準価格表でこの車の型式を検索すると「180万~245万」などと表示されています。

車両保険金額はこの幅の中から選択できます。

オプションも付けたので220万円を選択したとします。

すると、自動車保険の車両保険金額は「220万円」となり、1年目は新車価格相当額も同額の「220万円」です。

1年が経過してこの保険を更改した場合、車両保険金額は時価額評価なので「180万円」に落ちますが、新車価格相当額は「220万円」のまま変わりません。※時価額評価は車により異なります。例として示しています。以下同様

さらに1年が経過してこの保険を更改した場合、車両保険金額はさらに落ちて「150万円」になりますが、新車価格相当額は「220万円」のままです。

経過年数 新車価格相当額 車両保険金額
1年 220万 220万
2年 220万 180万
3年 220万 150万

さて、たとえば新車購入から2年目でガードレールに衝突して車が大破したとします。

修理費用は120万円です。

2年目の車両保険金額は「180万円」で新車価格相当額は「220万円」です。

通常の車両保険の支払い方では、120万円の修理費用を受け取り、それで終わりです。

しかし、車両新価特約を使用するとしたら、支払い方はどうなるでしょう?

まず、修理代が120万円の事故なので、「新車価格相当額の50%以上の損害」という条件をクリアーしています。

損害の内容も、ガードレールに激突して骨格部分****を損傷しているので車両新価特約の対象に含まれます。

そこで、車両新価特約を使用することにして、新車価格相当額である「220万円」を支払ってもらい新車を購入しました。

この「220万円」ですが、これは車両本体価格+付属品+消費税の上限額です。※付属品とはフロアーマットなどのこと

実際に車を走らせるには、自動車取得税・自動車重量税・自賠責保険・車庫証明費用などの諸費用が別途かかります

そこで、各保険会社ではこうした諸費用を支払う特約を自動付帯しています。

たとえばソニー損保では「再取得時諸費用保険金さいしゅとくじしょひようほけんきん」という名称で、新車価格相当額の10%(20万円限度)を支払うことになっています。

文字通り、保険金だけで、自腹を1円も切ることなく、新車に乗り換えることができます。

いかがでしょう?

通常の車両保険の支払い方と、車両新価特約からの支払い方と、違いをご理解いただけたでしょうか?

なお、買い替える車は事故を起こした車とメーカーや車種が違っていてもOKです。

フィットで事故を起こしたからフィットを買わなければならない、ということはありません。

新車価格相当額の範囲内であればどんな車を買うのも自由です。

車両新価特約を使うと何等級ダウンする?

車両新価特約を使うと何等級ダウンする・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約で保険の支払いを受けると翌年の等級はダウンしますが、そもそも車両保険で3等級ダウン事故に該当する事故で車両新価特約を使った場合は、翌年3等級ダウンして事故有期間3年が付きます。

そもそも車両保険で1等級ダウン事故に該当する事故で車両新価特約を使った場合は、翌年1等級ダウンして事故有期間1年が付きます。

※車両新価特約を使った場合の等級ダウンに関しては、各社ホームページに記載はなく、約款や重要事項説明書にも見当たらないので、ソニー損保と東京海上日動に電話で確認したのが上の説明です。この2社は同じ見解です。他社には確認を取っていませんが、恐らく他社もソニー損保・東京海上日動と同じやり方ではないかと思います

下記の表は、車両保険の「エコノミー+A」と「一般条件」の補償範囲、また保険を使った場合に何等級ダウンするかをまとめたものです。

補償内容 エコノミー+A 一般条件 保険を使った場合の等級ダウン
車同士の衝突 〇 〇等級ダウン
盗難 〇 〇等級ダウン
台風・竜巻・洪水・高潮 〇 〇等級ダウン
火災・爆発 〇 〇等級ダウン
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 〇 〇等級ダウン
飛来中・落下中の他物との衝突 〇 〇等級ダウン
2輪自動車・原付バイクとの衝突 〇 〇等級ダウン
単独の自損事故 × 〇等級ダウン
当て逃げ × 〇等級ダウン

※通常の車両保険では「盗難」は対象になりますが、車両新価特約では対象外になります

たとえば上の表の3行目、台風で車が水没し、エンジンその他の主要部分が損壊して新車価格相当額の50%以上の損害が認定された場合、車両新価特約を使って新車に買い替えることができます。

その際、台風による車の損害は1等級ダウン事故に該当するので、車両新価特約を使った場合も翌年の等級は1等級ダウンし、事故有期間1年が付きます。

車両新価特約のデメリットは?

車両新価特約のデメリット・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約を付帯するデメリットは、保険料が高くなることです。

それ以外にデメリットはなく、保険料の負担感をそれほど感じないのであれば、付けておいたほうがいい特約だと思います。

車両新価特約の必要性について

車両新価特約の必要性・自動車保険の車両新価特約とは?必要性とデメリットと保険料

車両新価特約を付帯できる期間は会社によって異なり、イーデザイン損保は新車から約1年間だけです。

これはちょっと短すぎると思いますが、しかし代理店型の損保大手4社のように約5年というのも、逆に長すぎるような気もします。

いずれにしても、車両新価特約は、まず車両保険を契約していて、これに追加する形で付帯する特約です。

ですから、事故で修理が必要なときは、車両保険から最低限の支払いを受けられることになり、車両新価特約はあくまでも「より手厚い補償」を受けるための特約です。

とはいえ、新車から2年とか3年くらいのあいだは、車両新価特約を付ける意味はかなりあると思います。

2年落ちや3年落ちくらいの車の場合、リセールバリューはまだまだあります。

しかし事故で骨格部分等を修理すれば、「修復歴車」としてリセールバリューはかなり落ちます。

車両新価特約なら、修理ではなく丸ごと新車に交換できるので、リセールバリューが落ちるどころか、交換した時点では0年落ちのまっさらな新車です。

こうした経済的な側面だけでなく、精神面での違いも大きいと思います。

4年落ちとか5年落ちの車が「修復歴車」になるのと、真新しい車がいきなり「修復歴車」になってしまうのとでは、精神的ショックの度合いがあまりに違うのではないでしょうか。

車両新価特約のために支払う保険料は、高級車などは別にして、通常、年間保険料3,000円~10,000円の追加で収まります。

少なくとも、初度登録の1年目~3年目くらいは付けておくと大いに安心だと思います。

あとはみなさんの保険料の負担感次第というところですが。


ご覧いただきありがとうございました。