【記事丸わかり】
⇒⇒自動車保険 免責金額って何? |
車両保険を付ける際に必ず設定することになる「免責金額」ですが、これは「自己負担額」と読み替えてください。
このページでは、車両保険に加入する際に免責金額をいくらに設定すればいいか、みなさんの目安となるようにおすすめプランをズバリご提案します。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
免責金額とは自己負担額のこと
「免責金額」という用語は、あくまでも保険会社の側に立った言葉です。
「免責」とは「責任を免ずる」という意味で、契約者に対する責任が発生しない金額、すなわち、「免責金額」ということになります。
ですから、みなさんとしては、もっと単純に、
免責金額=自己負担額 |
と考えていただきたいと思います。
免責金額の目安:免責金額は3パターンから選ぶ
さて、この「免責金額」ですが、みなさんが自動車保険の特約である車両保険に加入する場合、代理店型でも通販型でも、必ず付いて回ります。
免責金額の設定の仕方にはいくつかパターンがありますが、自動車保険各社に共通していて、しかも、ほとんどの加入者が契約するパターンは次の3つです。
0-10 |
5-10 |
10-10 |
※「0-0」「0-5」「5-5」などのパターンもありますが、契約数では上記3パターンが圧倒的に多いので、ここでは割愛させていただきます
※「車対車免0特約」を設定できる保険会社もあります。この特約は「5-10」のパターンを選択した際、その年度の1回目の事故で、車と衝突・接触した事故に限り、免責金額を0として(つまり自己負担ナシとして)扱うというものです。相手が判明していることが条件です。自然災害や落書きなどの損害には免責金額が適用されます。この特約は会社により適用条件にかなり幅があります。たとえばチューリッヒでは1回目の事故はすべての損害に対して適用され、2回目の事故のみ車対車の事故に限定されます
上の3パターンは、なんだか高校野球の試合結果みたいですけど、単位は「万円」です。
左側の数字が、その年度の1回目の事故の際に適用される免責金額です。
右側の数字が、その年度の2回目の事故の際に適用される免責金額です。
たとえば、上の3パターンの一番上のパターンで契約した場合、「0-10」ですから、1度目の事故のときは自己負担額は0円で、2回目の事故では10万円になります。
もう少し具体的には、「一般条件」の車両保険に加入している人が、電柱に衝突して車の損害額が50万円発生したとします。※その年度1回目の事故
この事故の場合、もしも免責金額が「5-10」で設定してあった場合は、車両保険からは45万円支払われることになります。
50万ー5万円(免責金額)=45万円 |
免責金額(自己負担額)が大きいほど、保険会社から見ると、支払う保険金が少なくてすみますから、保険料も安くなります。
上の3パターンでは、下に行くほど安くなります。
ですから、後ほど詳しく解説しますが、保険料の負担感が重いと感じる場合は、「0ー10」「5-10」「10-10」の順に1回目の免責金額を増やしていけば、逆に、保険料は順番に安くなっていきます。
「0」⇒「5」⇒「10」と免責金額を増やすごとに、数千円単位で保険料が安くなっていきます。
免責金額の扱い方:支払いの際に
事故で車に損害が発生した場合、免責金額の扱いは原則として次のようになります。
損害額ー免責金額=支払額 |
もしも免責金額が「10-10」で設定されている契約で、100万円の損害額が出た場合は、
100万円ー10万円=90万円 |
という計算になります。
これが原則です。
しかし、免責金額の扱いは、事故の内容によって変わってきます。
つまり、免責金額が設定された契約でも免責金額が適用されない(自己負担額が発生しない)ケースが2つあります。
次の2つのケースです。
免責金額を設定している契約でも免責金額が適用されないケース |
<1>全損の事故 |
<2>相手がある車両事故※相手がある事故で必ず免責が適用されないというわけではないが、ほとんどのケースで適用されない |
まず<1>の全損事故のケースですが、「全損」とは「修理費が車両価格を超えた場合」あるいは「修理できないほど損傷した場合」のことをいいます。
たとえば、車両価格200万円で車両保険に加入していて、全損の事故が発生した場合、保険からの支払額を「200万ー免責金額」とするのではなく、免責金額がいくらに設定されていてもそれは適用せず、200万円をそっくりそのままお支払いする、というものです。
これに対して、修理費が車両価格を下回る場合を「分損」と呼びますが、この分損のケースでは、「損害額ー免責金額=支払額」といった支払い方になります。
つぎに<2>の相手がある事故のケースです。
通常、車同士の事故の場合は両者に「過失割合」が発生します。
過失割合とは、事故の結果発生した損害を100とした場合、事故の当事者がそれぞれ負うべき責任の割合です。
50:50であれば、両者が半分ずつ責任を負うことになります。
責任を負うとは、責任分だけお金を払うということを意味します。
下の事例でご説明します。
車両保険に車両価格200万円で加入しているAさんの事例です。
免責金額は「10-10」です。
AさんとBさんが車同士の衝突事故を起こし、次のような過失割合・損害認定がなされました。
Aさん | Bさん | |
過失割合 | 50 | 50 |
車の損害 | 100万円 | 80万円 |
ここは車両保険の話なので、Bさんの損害のことは割愛し、Aさんの損害に対して保険会社がどういう処理をするかをお話します。
この場合、BさんはAさんの100万円の損害額に対して50%の50万円を支払います。
すると、Aさんが加入している保険会社は、Bさんが支払った50万円を、まずAさんの免責金額の穴埋めに充当します。
これにより、Aさんの契約で設定されていた免責金額「10-10」の「10」は穴埋めされ、なかったものとみなされます。
Aさんの損害額100万円
穴埋めされた免責金額(10万円) | Bさんの支払った50万のうち免責金額の穴埋めをした残りの40万円 | 不足分50万円 |
最終的に、Aさんが加入している保険会社は、車両保険から上の図の「不足分50万円」を支払い、これにより、Aさんの損害額100万円は全額保険でまかなわれることになります。
このように、免責金額が設定されている車両保険契約でも、相手がある事故の場合は免責金額が適用されないケースが出てきます。
上のケースのように免責金額が10万円の場合、相手からの支払額が10万円以上のケースは、すべて免責金額はなかったものとみなされます。
免責金額が5万円の場合は、相手からの支払額が5万円以上のケースで、すべて免責金額はなかったものとみなされます。
実際のところ、車同士の衝突・接触事故の場合は、ほとんどのケースで免責金額はなかったものとみなされます。
ここで解説した保険金の支払い方は、各保険会社の約款に記載されています。
※約款とは、不特定多数の利用者との契約を定型的に処理するためにあらかじめ作成した契約条項のこと(by Wikipedia)
※上の例でBさんから支払われるお金のことを、各社の約款では「回収金」と呼んでいます
SBI損保 | 「車両条項」第11条3(保険金の支払額) |
三井ダイレクト損保 | 「車両条項」第11条3(支払い保険金の計算) |
損保ジャパン日本興亜 | 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算) |
ソニー損保 | 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算) |
アクサダイレクト | 「車両条項」第10条3(車両保険金支払額の計算) |
おとなの自動車保険 | 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算) |
おすすめプランと免責金額の調整方法(その1)
車両保険には大別すると「一般条件」と「エコノミー+A」の2つのタイプがあります。
これに免責金額の3つのパターン「0ー10」「5-10」「10-10」が絡んできます。
通販型、代理店型を含め、ほとんどの契約者がこの5つの要素の組み合わせで車両保険に加入しています。
これを、最も補償が充実している組み合わせから最も補償を削った組み合わせまで並べてみます。
このようになります。
1 | 一般条件 | 0-10 |
2 | 5-10 | |
3 | 10-10 | |
4 | エコノミー+A | 0-10 |
5 | 5-10 | |
6 | 10-10 |
上から下に行くにしたがって補償内容が狭くなっていきます。
支払う保険料のことを気にしないのであれば、言うまでもなく「1」の組み合わせがベストな内容です。
しかし、保険料の負担感が大きい場合は、止むを得ず補償を削っていくしかありません。
その際に大切なのが、補償を削る順番です。
わたしのおすすめは上の順番通りに削っていくことです。
「1」では保険料が高いからと、いきなり「4」に行かないでください。
「一般車両」と「エコノミー+A」の大きな違いは、単独事故と当て逃げが対象になるかならないか、という点です。
補償内容 | エコノミー+A | 一般条件 |
車同士の衝突 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | 〇 |
台風・竜巻・洪水・高潮 | 〇 | 〇 |
火災・爆発 | 〇 | 〇 |
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 | 〇 | 〇 |
飛来中・落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 |
2輪自動車・原付バイクとの衝突 | 〇 | 〇 |
単独の自損事故 | × | 〇 |
当て逃げ | × | 〇 |
「1」から「4」に移ってしまったら、単独事故と当て逃げが対象外になってしまいます。
「1」の「一般条件・0-10」が高いと感じたら、まず免責金額を「5-10」か「10-10」にすることを検討してください。
たしかに、単独事故や当て逃げで分損の場合は免責金額が適用されますが、しかし、エコノミー+Aにしたら、そもそも対象外の事故になってしまいます。
また、免責金額を上げても、前の項目で解説したように、全損の事故では免責金額は適用されませんし、相手がある事故の場合もほとんどのケースで免責金額はないものとして保険金が支払われます。
したがって、「1」「2」「3」と一般条件の免責金額を少しずつ高くしていき、それでも保険料が高いと感じる場合にのみ、「4」「5」「6」のエコノミー+Aを検討したほうがいいと思います。
おすすめプランと免責金額の調整方法(その2)
あやふやなご提案ではみなさんを迷わせるだけだと思います。
ズバリ具体的な方法をご提示いたします。
後はみなさんの事情に応じて取捨選択していただければと思います。
<1>自動車保険一括見積もりサイトで見積もりを取る |
対人・対物・人身傷害などの「基本補償」と、一番内容のいいフルカバーの車両保険である「一般条件」に3パターンのうち最も内容がいい「0-10」の免責金額で十数社の見積もりを取ってください。 |
出てきた見積もりで、もっとも安い保険料が満足いくものであり、またその保険会社にマイナスのイメージを持っていなかったら、その保険会社と契約してください。
出てきた見積もりの最安の保険料でも、まだ高いと感じる場合は、とりあえず最安の保険会社1社を絞り込んでください。
最安の会社でなくても、イメージ的にいい印象を持っている会社があったら、そちらを選んでください。
※イメージは大事だと思います。単なる思い込みであることもあるかもしれませんが、それはそれで意味があると思います
<2>絞り込んだ1社に見積もり依頼する |
依頼する内容ですが、「基本補償」はそのまま、車両保険も「一般条件」のまま、免責金額を「5-10」と「10-10」の設定で2通りの保険料を出してもらってください。 |
2通りの保険料のうち、いずれかが保険料的に満足できるものであったら、そのプランで契約してください。
いずれのプランでも満足できなかったら、さらに補償を絞り込みます。
<3>「基本補償」はそのまま、車両保険を「エコノミー+A」にし、免責金額を「0-10」で見積もり依頼する |
出てきた保険料が満足できるものであったら、そのプランで契約してください。
満足できなかったら、さらに補償を絞り込みます。
これが最後です。
<4>「基本補償」はそのまま、車両保険も「エコノミー+A」のまま、免責金額を「5-10」「10-10」の設定で2通りの保険料を出してもらってください。 |
出てきた保険料のいずれかに満足できたら、そのプランで契約してください。
いずれも満足できなかったら、車両保険のない「基本補償」だけのプランで契約することをおすすめします。
まず保険料水準が安い保険会社を探すのが先決
以上がわたしがおすすめする方法です。
自動車保険一括見積もりサイトを利用したことがある人はすでにご存知だと思いますが、(ほぼ)同じ条件で見積もり依頼しているのに、返ってくる保険料には驚くほど差があります。
「車両保険を付けているのにこの保険料?」
と思わず目を疑ってしまう会社が必ずあります。
つまり、ここでみなさんにお伝えしたいのは、何も最初から車両保険の免責金額を調整することなど考える必要はない、ということです。
その前に、そもそも保険料水準が圧倒的に安い保険会社があることを知っていただきたいのです。
安い保険会社を探すことが先決です。
免責金額で一番条件のいい「0-10」の設定で見積もりを出してもらう場合でも、保険料が高い会社と最安の会社では相当な開きがありますから、最初に出てきた見積もりで十分満足いくケースが多いです。
ここに通販型の自動車保険会社のデータがあります。
これをご覧になれば、わたしが言いたいことをご理解いただけると思います。
下の表は、各保険会社の全契約者に占める車両保険加入者の割合です。
通販型自動車保険における車両保険の加入率 | |
イーデザイン損保(2016年) | 72% |
おとなの自動車保険(2017年3月) | 71% |
三井ダイレクト損保(2017年4月~2018年3月) | 56.6% |
チューリッヒ保険(2018年3月) | 54% |
ソニー損保(2018年3月) | 52% |
SBI損保(2016年3月~2017年2月) | 49.8% |
これだけでは、加入率が高いのか低いのかわからないと思いますので、もう1つデータをご紹介します。
こちらは、通販型と代理店型を含めたすべての自動車保険契約者に占める車両保険の加入率です。
日本全国の自動車保険加入者のうち車両保険を付けている人の割合 |
43.5パーセント |
参考:損害保険料率算出機構(2016年)
いかがでしょう?
一目瞭然とはこのことではないでしょうか。
通販型の契約者の車両保険加入率は驚異的です。
とりわけ、イーデザイン損保とおとなの自動車保険は70%越えです。
こうした数字になる要因として、まず考えられるのは、ネットで自動車保険に加入する人のほうが、地元の代理店さんにおまかせで加入する人より、保険の知識が豊富で良く勉強しているということだと思います。
リスクに対する意識が高い方が多いのだと思います。
そして、もうひとつの要因は、身も蓋もない話ですが、通販型の自動車保険はとにかく安いんです。
単純明快です。
高いというイメージを持っていた車両保険も、通販型自動車保険で見積もりを出してもらったところ、想像以上に値段が安くて驚く方が多く、それが加入率の高さにつながっているのだと思います。
みなさんには、まず、想像以上に保険料が安い保険会社があることを(一括見積もり比較サイトを利用することで)身をもって知ってほしいのです。
もちろん、値段がすべてではありませんし、最終的にはみなさんのご判断でお決めになることですが、知らずにいるのはもったいない話だと思います。
※ここでは「値段が安い」という理由で通販型自動車保険あるは保険料一括見積もりサイトを推奨していますが、もちろん代理店型にもサービス面で良さがあることは承知しています。後はみなさんのご判断で一番いい自動車保険をお選びください
ご覧いただきありがとうございました。