車両保険のフルカバー・オールリスクは一般条件のこと

車両保険・フルカバー・オールリスク・一般・エコノミー

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【記事丸わかり】

  • 車両保険には2つの補償タイプがあり、補償範囲が広い「一般条件(フルカバー・オールリスク)」と補償範囲を限定した「エコノミー」があります。
  • 一般条件(フルカバー・オールリスク)は、単独の自損事故や当て逃げも補償対象となりますが、保険料が高くなります。
  • エコノミーは、保険料が安い代わりに、単独の自損事故や当て逃げは補償されません。
  • 各保険会社で名称が異なり、例えば、ソニー損保では「一般型」と「エコノミー型」、チューリッヒでは「ワイドカバー型」と「限定カバー型」と呼ばれます。
  • 一般条件(フルカバー・オールリスク)は、盗難、台風、火災、落書き、飛来物との衝突などの幅広い補償が含まれます。
  • エコノミーでも、盗難や台風、火災、飛来物との衝突などの補償は含まれますが、単独事故や当て逃げは対象外です。
  • 保険料を調整するために免責金額を設定できます。例えば、「0-10」や「10-10」など。
  • 全損事故の場合、免責金額が適用されず、全額が支払われます。
  • 相手がいる事故では、過失割合により、相手からの支払額で免責金額が埋められることが多いです。
  • 最終的に、運転歴やリスクに応じて、どちらの補償タイプが適しているかを検討することが重要です。

車両保険には主に2つの補償タイプがあります。

一般条件とエコノミーです。

一般条件は補償の範囲が広いので「フルカバー」とか「オールリスク」と呼ばれることもあります。

ただし、正式な名称として「フルカバー」や「オールリスク」を使っている会社はないようです。

このページでは車両保険の「フルカバー」あるいは「オールリスク」と呼ばれる補償タイプについて詳しく解説しています。

しばらくお付き合いいただけると幸いです。

「フルカバー」または「オールリスク」とは?

フルカバーまたはオールリスク・車両保険のフルカバー・オールリスクは一般条件のこと

車両保険は自動車保険の特約の1つで、自分の車の修理費等を補償するものです。

この車両保険には2つの補償タイプがあります。

補償の範囲が広く、その分だけ保険料が高くなるのが一般条件。

補償の範囲を限定し、その分だけ保険料が安いエコノミー。

ところが、この2つの補償タイプの名称が各保険会社において見事なほどバラバラになっています。

そこで、まずは名称で混乱しないよう、各保険会社の名称を一通り見ておきたいと思います。

全ての保険会社ではありませんが、ネット一括見積比較サイトなどに参加している保険会社を選びました。

各保険会社における車両保険の「一般条件」と「エコノミー」の名称
保険会社 「一般条件」 「エコノミー」
チューリッヒ ワイドカバー型 限定カバー型
ソニー損保 一般型 エコノミー型
おとなの自動車保険(セゾン) 一般車両 車対車+A
そんぽ24 一般 車対車+A
アクサダイレクト 一般車両 車対車+A
イーデザイン損保 車両保険 車両保険(エコノミー)
三井ダイレクト 一般タイプ 限定タイプ
SBI損保 一般車両 車対車+限定A
東京海上日動 一般条件 エコノミー車両保険
損保ジャパン日本興亜 一般条件 車対車・限定危険
三井住友海上 車両保険(一般補償) 車両保険(10補償限定)
あいおいニッセイ同和損保 一般補償 車両危険限定

※ホームページ上ではそんぽ24だけが「一般」・「車対車+A」・「車対車」の3タイプありますが、「車対車」は省略しています


ご覧のように名称は見事にバラついています。

ただし、次の項目で解説しますが、一般条件の方がエコノミーに比べて補償範囲が広くなっています。

そのことから、一般条件のことを「フルカバー」とか「オールリスク」と呼ぶこともあります。

いずれにしても車両保険の2つの補償タイプの内容は各社同一です。

ホームページでの説明では表現の違いにより会社によって補償内容も違うかのように錯覚しますが、実際は同一の内容です。

そもそも各保険会社はノンフリート等級制度を共有していて、会社を移動する際に前の会社の等級を次の会社で引き継ぎできるようになっています。

事故で等級がダウンする際は3つの区分があって、1等級ダウン事故・3等級ダウン事故・ノーカウント事故のいずれかに分類されるのですが、このルールも共有しています。

等級ダウンに伴う事故有期間の扱いも同一です。

にもかかわらず車両保険の2つの補償タイプの名称が上記のようにバラバラで、われわれ保険契約者をいたずらに混乱させているのは、社会的・文化的損失としか言い様がないと思います。

こういうところは大いに「談合」して名称を統一すべきでしょう。

車両保険:エコノミーと「フルカバー」・「オールリスク」の補償内容を比較

フルカバー・オールリスクをエコノミーと比較・車両保険のフルカバー・オールリスクは一般条件のこと

みなさんが車両保険に加入しようと思ったら、エコノミーと一般条件(フルカバー・オールリスク)のいずれかに加入することになると思います。

では、2つの車両保険の補償内容の違いを見てみましょう。

補償内容 エコノミー 一般条件(フルカバー・オールリスク)
車同士の衝突 〇 〇
盗難 〇 〇
台風・竜巻・洪水・高潮 〇 〇
火災・爆発 〇 〇
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 〇 〇
飛来中・落下中の他物との衝突 〇 〇
2輪自動車・原付バイクとの衝突 〇 〇
単独の自損事故 × 〇
当て逃げ × 〇

地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害に対しては、上記いずれのタイプも対象外です。ただし「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」(他の名称もあります)を追加することで補償されます

ごらんのように、エコノミーと一般条件(フルカバー・オールリスク)の違いは、単独の自損事故当て逃げです。

ガレージに車を入れる際にこすってしまったり、ガードレールや電柱に衝突してしまった事故は、相手がない単独の事故になり、「一般条件(フルカバー・オールリスク)」でしか補償されません。

また、スーパーで買い物して駐車場に戻ったら、車が当て逃げされていた場合も、「一般条件(フルカバー・オールリスク)」でしか補償してもらえません。※ただし、自首や通報で当てた相手が判明すれば「エコノミー」でも補償されます

一般的に言えることは、運転歴が浅い人は損害の大きな単独事故を起こす確率が高いので、どうせ加入するなら「一般条件(フルカバー・オールリスク)」がおすすめです。

ベテランドライバーは、たとえ単独事故を起こしても、小損害にとどまるケースが多く、「エコノミー」でもたいていの事故に備えることができると思います。

いずれにしても、最後はお金の問題です。

車両保険を付けるなら、もちろん「一般条件(フルカバー・オールリスク)」がベストです。

しかし、保険料の負担感が大きいと感じたら「エコノミー」があります。

あるいは「免責金額」で調整する方法もあります。

「免責金額」で調整するとは?

車両保険に加入する際、車両保険金額を200万で設定したとします。

その際、デフォルトでは免責「0-10」といった設定になっているはずです。

この「0-10」とは、事故を起こした場合、初回は免責0円で支払うけれど(つまり自己負担0円)、同じ年度の2回目以降の事故に対しては10万の免責自己負担10万円)で支払う、という意味です。

※「免責」とは、保険会社の側が契約者に対して「責任をまぬがれる」という意味

保険料を安くするためには、「0-10」を「5-10」とか「10-10」に設定します。

こうすることで、自己負担額が発生しますが、その分保険料を抑えることが出来ます。※数千円単位で安くなります

このように免責金額を高めに設定するのは、保険料の節約には大変有効です。

後で解説しますが、たとえ免責金額を設定しても全損の事故では免責は適用されませんし、車両同士の事故(相手がある事故)の場合はほとんどのケースで免責はないものとして事故処理されます。

エコノミーと一般条件(フルカバー・オールリスク)のどちらがおすすめ?

エコノミーと一般条件(フルカバー・オールリスク)どちらがおすすめ・車両保険のフルカバー・オールリスクは一般条件のこと

車両保険は大別すると「エコノミー」と「一般条件(フルカバー・オールリスク)」の2つの補償タイプに分かれます。

これに免責金額をいくらに設定するかにより、最終的に保険料が決まります。

当サイトのおすすめは下記の「1」から「6」の順番です。

なお、免責金額は「0-10」「5-10」「10-10」の3パターンに絞りました。

会社によってはこれ以外のパターンも可能です。

1 一般(フルカバー・オールリスク) 免責0-10
2 免責5-10
3 免責10-10
4 エコノミー 免責0-10
5 免責5-10
6 免責10-10

支払う保険料のことを気にしないのであれば、言うまでもなく「1」の組み合わせがベストな内容です。

しかし、保険料の負担感が大きい場合は、止むを得ず補償を削っていくしかありません。

その際に大切なのが、補償を削る順番です。

わたしのおすすめは上の順番通りに削っていくことです。

「1」では保険料が高いからと、いきなり「4」に行かないでください。

「一般条件(フルカバー・オールリスク)」と「エコノミー」の大きな違いは、単独の自損事故当て逃げが対象になるかならないか、という点です。

補償内容 エコノミー 一般条件(フルカバー・オールリスク)
車同士の衝突 〇 〇
盗難 〇 〇
台風・竜巻・洪水・高潮 〇 〇
火災・爆発 〇 〇
イタズラ・落書き・窓ガラス破損 〇 〇
飛来中・落下中の他物との衝突 〇 〇
2輪自動車・原付バイクとの衝突 〇 〇
単独の自損事故 × 〇
当て逃げ × 〇

「1」から「4」に移ってしまったら、単独の自損事故と当て逃げが対象外になってしまいます。

「1」の「一般条件(フルカバー・オールリスク)・0-10」が高いと感じたら、まず免責金額を「5-10」か「10-10」にすることを検討してください。

免責金額を付けるとその分は自己負担になりますが、しかし、エコノミーにしたら、単独の自損事故と当て逃げが対象外になってしまいます。

また、すでに触れたように、免責金額を付けた場合でも、全損の事故では免責金額は適用されませんし、相手がある事故の場合もほとんどのケースで免責金額はないものとして保険金が支払われます。

(補足)免責金額を0以外に設定していても免責金額が適用されないケース

したがって、「1」「2」「3」と一般条件(フルカバー・オールリスク)の免責金額を少しずつ高くしていき、それでも保険料が高いと感じる場合にのみ、「4」「5」「6」のエコノミーを検討していただきたいと思います。

つまり、エコノミーか一般条件(フルカバー・オールリスク)かの2者択一ではなく、まず一般条件(フルカバー・オールリスク)と免責金額の組み合わせを検討すべきです。

エコノミーは、それでも保険料で折り合えない場合にのみご検討ください。

エコノミーと一般条件(フルカバー・オールリスク)の差額

エコノミー・一般条件(フルカバー・オールリスク)の差額・車両保険のフルカバー・オールリスクは一般条件のこと

気になる保険料の違いを見てみましょう。

下記の左から、車両保険のない基本補償、基本補償+エコノミー、基本補償+一般条件(フルカバー・オールリスク)の保険料です。

保険料の差額
基本補償 基本補償+エコノミー 基本補償+一般条件(フルカバー・オールリスク)
年間保険料100,000円 年間保険料157,000円 年間保険料229,000円

上の保険料は、みなさんの「目安」になるように概算で算出したものです。

ですから金額が問題なのではなく、車両保険の2つの補償が基本補償に対してそれぞれ何割増になっているかを見ていただきたいと思います。

基本補償に対して、エコノミーを付けると157%増し、一般条件(フルカバー・オールリスク)を付けると229%増しになります。

基本補償 基本補償+エコノミー 基本補償+一般条件(フルカバー・オールリスク)
×1.0 ×1.57 ×2.29

ですから、今現在あなたの自動車保険に車両保険が付いていない場合、現在の保険料に1.57を掛けるとエコノミーをつけた保険料になります。

現在の保険料に2.29を掛けると一般条件(フルカバー・オールリスク)をつけた保険料になります。

たとえば、あなたが現在加入している自動車保険が車両保険ナシの契約で、年間保険料が30,200円だとします。

すると、こうなります。

車両ナシの現在の保険料 エコノミーをつけた保険料 一般条件(フルカバー・オールリスク)をつけた保険料
30,200円 47,400円 69,200円

いかがでしょう?

このように具体的な保険料が目の前にあれば、2つの補償タイプのいずれにするか判断がつきやすいのでは。

※言うまでもなく、上の数字はあくまでも平均を取ったものです。年齢条件によっても異なりますし、等級によっても変動します。事故率の高い車か低い車かによっても保険料は異なります。ですから、実際の保険料は、ネット一括見積比較サイトなどで算出してください

(補足)免責金額が0以外に設定されていても免責金額が適用されないケース

免責金額が0以外に設定されていても免責が適用されないケース・車両保険のフルカバー・オールリスクは一般条件のこと

事故で車に損害が発生した場合、免責金額の扱いは原則として次のようになります。

損害額ー免責金額=支払額

もしも免責金額が「10-10」で設定されている契約で、100万円の損害額が出た場合は、

100万円ー10万円=90万円

という計算になります。

これが原則です。

しかし、免責金額の扱いは、事故の内容によって変わってきます。

免責金額が設定された契約でも免責金額が適用されない(自己負担額が発生しない)ケースが2つあります。

次の2つのケースです。

免責金額を設定している契約でも免責金額が適用されないケース
<1>全損の事故
<2>相手がある車両事故※相手がある事故で必ず免責が適用されないというわけではありませんがほとんどのケースで適用されません

まず<1>の全損事故のケースですが、「全損ぜんそん」とは「修理費が車両保険金額を超えた場合」あるいは「修理できないほど損傷した場合」のことをいいます。

車両保険金額200万円で車両保険に加入していて、「全損」と認定される事故が発生した場合、保険からの支払額は「200万ー免責金額」とはならず、免責金額がいくらに設定されていてもそれは適用されずに、200万円がそっくりそのまま支払われます。

これに対して、修理費が車両保険金額を下回る場合を「分損ぶんそん」と呼びますが、この分損のケースでは、「損害額ー免責金額=支払額」といった原則どおりの支払い方になります。


つぎに<2>の相手がある事故のケースです。

通常、車同士の事故の場合は両者に「過失割合かしつわりあい」が発生します。

過失割合とは、事故の結果発生した損害を100とした場合、事故の当事者がそれぞれ負うべき責任の割合です。

50:50であれば、両者が半分ずつ責任を負うことになります。

責任を負うとは、責任分だけお金を払うということを意味します。

下の事例でご説明します。

車両保険に車両保険金額200万円で加入しているAさんの事例です。

免責金額は「10-10」です。

AさんとBさんが車同士の衝突事故を起こし、次のような過失割合・損害認定がなされました。

AさんBさん
過失割合5050
車の損害100万円80万円

ここは車両保険の話なので、Bさんの80万円の損害のことは割愛かつあいし、Aさんの100万円の損害に対してどういう処理がなされるかをお話します。

この場合、BさんはAさんの100万円の損害額に対して50%の50万円を支払います。

すると、Aさんが加入している保険会社は、Bさんが支払った50万円を、まずAさんの免責金額の穴埋めに充当します。

これにより、Aさんの契約で設定されていた免責金額「10-10」の「10」は穴埋めされ、なかったものとみなされます

Aさんの損害額100万円

穴埋めされた免責金額(10万円) Bさんの支払った50万のうち免責金額の穴埋めをした残りの40万円 不足分50万円

最終的に、Aさんが加入している保険会社は、車両保険から上の図の「不足分50万円」を支払い、これにより、Aさんの損害額100万円は満額が自己負担なく支払われることになります。

このように、免責金額が0以外に設定されている場合でも、相手がある事故の場合は免責金額が適用されないケースが出てきます。

上のケースのように免責金額が10万円の場合、相手からの支払額が10万円以上なら、すべて免責金額はなかったものとみなされます。

免責金額が5万円の場合は、相手からの支払額が5万円以上であれば、やはり免責金額はなかったものとみなされます。

実際のところ、車同士の衝突・接触事故の場合は、ほとんどのケースで免責金額はなかったものとみなされます※なぜなら両者に過失割合が生じるから

なお、<2>で解説した保険金の支払い方は、各保険会社の約款やっかんに記載されています。

※約款とは、不特定多数の利用者との契約を定型的に処理するためにあらかじめ作成した契約条項のこと(by Wikipedia)

※上の例でBさんから支払われるお金のことを、各社の約款では「回収金かいしゅうきん」と呼んでいます

SBI損保 「車両条項」第11条3(保険金の支払額)
三井ダイレクト損保 「車両条項」第11条3(支払い保険金の計算)
損保ジャパン日本興亜 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算)
ソニー損保 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算)
アクサダイレクト 「車両条項」第10条3(車両保険金支払額の計算)
おとなの自動車保険 「車両条項」第10条4(支払い保険金の計算)

 


ご覧いただきありがとうございました。