【記事丸わかり】
⇒⇒自動車保険の「年齢条件」勘違いしていませんか? |
損保ジャパンの自動車保険「THE クルマの保険」では運転者の年齢条件が4つに区分されています。
「全年齢補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」の4つです。※以前は「30歳以上補償」がありましたが現在は廃止されています
年齢が上の区分ほど保険料が安くなります。
事故率が低くなるからです。
ところが、保険料に影響を与えるのはこの年齢条件の区分だけではありません。
記名被保険者の満年齢もこれとは別に影響を与えています。
このページでは損保ジャパンの自動車保険「THE クルマの保険」の年齢条件について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
損保ジャパン:自動車保険の最重要規定であること
まずみなさんに知っておいていただきたいのは、自動車保険において年齢条件はもっとも厳密に適用される規定だということです。
年齢条件に違反して事故を起こした場合、損保ジャパンを始めとした保険会社は絶対に保険金を支払いません。
一切の救済処置はありません。
保険会社の正規社員が起こした事故でも、年齢条件に違反していれば、決して保険金は支払われません。
他の規定と比較してみます。
たとえば、使用目的です。
実際の使用目的は「通勤・通学」なのに「日常・レジャー」で契約していて事故を起こした場合、保険会社はただちに保険金支払いを拒否したりはしません。
悪質性のない単なる誤りだと判断すれば、差額の保険料を徴収した上で、事故の保険金をちゃんと支払います。※悪質性があると判断した場合は支払いません
ゴールド免許割引もそうです。
実際はブルーなのにゴールドと申告し、その上で事故を起こした場合も、保険会社はただちに保険金支払いを拒否することはありません。
やはり悪質性のない単なる誤りだと判断されれば、差額の保険料を徴収した上で、事故の保険金を支払います。※悪質性があると判断した場合は支払いません
しかし、年齢条件は別です。
問答無用です。
- 年齢の区分を誤って理解していた
- 誤解していた
- うっかりしていた
これらの理由はすべて通りません。
救済される可能性は絶対的に「ゼロ」です。
自動車保険の最重要規定がこの年齢条件です。
損保ジャパン:年齢条件とは?
損保ジャパンの自動車保険に加入する場合、年齢条件を設定する必要があります。
年齢条件は「全年齢補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」の4区分です。
全年齢補償 | 何歳でも運転できる※免許があれば |
21歳以上補償 | 21歳以上の人だけ運転できる |
26歳以上補償 | 26歳以上の人だけ運転できる |
35歳以上補償 | 35歳以上の人だけ運転できる |
まず、記名被保険者(その車を主に運転する人)を決めます。
次に、その車を運転するであろう人の中でもっとも年齢の若い人の年齢に合わせて年齢条件を選択します。
たとえば、4人家族で父親の車に自動車保険を掛ける場合、記名被保険者は父親です。
子供が16歳の弟と19歳の娘の2人いて、そのうち19歳の娘は免許をとったばかりでまだ自分の車はなく、父親の車を時々借りて運転する予定です。
すると、年齢条件は「全年齢補償」を選ぶ必要があります。
つまり、このケースでは通常次のようになります。
契約者 | 父親 |
車の所有者 | 父親 |
記名被保険者 | 父親 |
年齢条件 | 全年齢補償 |
ただし、自動車保険には年齢条件以外に運転者限定があって、この2つの要素を絡めて運転できる範囲が決まります。
損保ジャパンの場合、運転者の範囲は「限定なし」と「本人・配偶者限定(夫婦限定)」と「本人限定」の3つから選択肢ます。※2019年1月以降の契約からそれまであった「家族限定」は廃止されました
上のケースでは娘が運転するので「本人・配偶者限定(夫婦限定)」あるは「本人限定」を付けるわけにはいきませんから、運転者限定は「限定なし」を選択することになります。
ちなみに、「限定なし<±0%>」⇒「本人・配偶者限定(夫婦限定)<6%割引>」⇒「本人限定<7%割引>」の順に保険料は安くなっていきます。
では、次のケースではどうなるでしょう?
夫婦2人ぐらしです。
夫は37歳、妻は33歳。
車は妻の車。
主に運転するのは妻で、夫は休日などに時々運転するだけ。
このケースでは通常次のようになります。
契約者 | 妻 |
車の所有者 | 妻 |
記名被保険者 | 妻 |
年齢条件 | 26歳以上補償 |
上のケースでは運転者限定は「本人・配偶者限定(夫婦限定)」にします。※もちろん夫婦以外運転しない場合
運転者限定が付いた契約では限定され人しか運転できません。
たとえば「本人限定」では記名被保険者本人のみですし、「本人・配偶者限定(夫婦限定)」では記名被保険者とその配偶者の2人しか運転できません。
その一方で、「限定なし」を選択した場合は、原則として、設定した年齢条件に適合する人だけ運転できます。
「21歳以上補償」を選択したら、原則として、21歳以上の人は運転できますが21歳に満たない人は運転できません。
「35歳以上補償」を選択したら、原則として、35歳以上の人は運転できますが35歳に満たない人は運転できません。
ただし、です。
別居の子(未婚・既婚問わない)や友人・知人などの他人は上記年齢条件に縛られず、何歳でも運転可能です。
たとえば「21歳以上補償」を設定している場合、18歳の別居の子供や20歳の知人が運転して事故を起こしても保険金は出ます。
さらに、ややこしい話ですが、もう1つ注意点があります。
「本人限定」などの運転者限定を付けず、単純に「35歳以上補償」といった年齢条件だけを設定している場合は、ここまでご説明したように、別居の子供や友人・知人はこの年齢条件に縛られません。
しかし、個人経営の事業をしている場合などで、使用人として働いてもらっている人がいる場合、この使用人は記名被保険者の同居の家族とみなされますので、設定した年齢条件に縛られます。
上記の例で言うなら、「35歳以上補償」に設定しているので、35歳以上の使用人しか運転できません。
※上でご説明したことは約款にも記載されている正式な「規定」です。前の項目で「年齢条件違反には救済措置は存在しない」という意味のことを書きましたが、実際に「救済」はありません。友人・知人などが年齢条件に縛られないのは「規定」であって「救済」ではありません。
「別居の子」に関する上記説明は、2019年1月1日保険始期以降の規定によります。
保険始期が2018年12月31日以前の契約の方は損保ジャパンのこちらのページをご覧ください。
損保ジャパン:年齢条件別の割引率
各年齢条件別の割引率は以下の通りです。※あくまでも概算です
なお、保険料は年齢条件の割引率のみで決まるものではなく、被保険者の年齢によっても変動します。
したがって、下記の割引率は保険料算出のための1つの目安としてお考えください。
年齢条件 | 割引率 |
全年齢補償 | 0% |
21歳以上補償 | 56%割引 |
26歳以上補償 | 68%割引 |
35歳以上補償 | 70%割引 |
ご覧のように、「全年齢補償」を±0とすると、「21歳以上補償」で半額ほどになり、「26歳以上補償」でさらに安くなりますが、そこから「35歳以上補償」になっても割引額はわずかです。
こうした違いはそのまま各年齢層における事故率の違いと解釈していいと思います。
損保ジャパン:記名被保険者年齢区分による保険料の違い
ですが、より厳密には、事故を起こした年齢と年齢条件による割引率は、実際にはきれいな相関関係にはなっていません。
そこにはズレが生じています。
たとえば、同じ「35歳以上補償」のAさん(38歳)とBさん(67歳)がいたとして、この両者の事故発生率(保険金支払い率)は、統計的に言ってあきらかにBさん(67歳)の方が高くなります。
つまり、このケースで言えば、もしAさんとBさんの保険料がまったく同じであったなら、Aさんは事故率の高いBさんが本来支払うべき保険料を分担していることになります。
そこで、そのズレを補正するために、一度は年齢条件によって大雑把に区分けしているのですが、さらにその上に、被保険者の満年齢によっても保険料に差を設けています。
これを損保ジャパンでは記名被保険者年齢区分と呼んでいます。
結局、自動車保険の保険料は「年齢条件」と「記名被保険者年齢区分」という2重の年齢要因によって保険料を算出していることになります。※損保ジャパンだけでなく東京海上日動など他社も同様です。通販型も採用しています(年齢の区分の仕方は異なりますが)
では、記名被保険者年齢区分を詳しく見ていきましょう。
まず、「全年齢補償」と「21歳以上補償」を一括りにして、この2つのいずれかの年齢条件を選んだ場合は、記名被保険者の保険始期日時点の年齢によって3つの年齢層に区分けします。
23歳以下 |
24歳以上29歳以下 |
30歳以上 |
上記3つの区分によりそれぞれ保険料が異なります。
次に「26歳以上補償」と「35歳以上補償」を一括りにして、この2つのいずれかの年齢条件を選んだ場合は、記名被保険者の保険始期日時点の年齢によって9つの年齢層に区分けします。
29歳以下 |
30歳以上39歳以下 |
40歳以上49歳以下 |
50歳以上54歳以下 |
55歳以上59歳以下 |
60歳以上64歳以下 |
65歳以上69歳以下 |
70歳以上74歳以下 |
75歳以上 |
上記9つの区分によりそれぞれ保険料は異なります。
このように年齢条件だけでなく記名被保険者の年齢によっても保険料が異なるので、たとえば、59歳の時に「35歳以上補償」で保険契約し、1年後にその契約を更新した際、事故を起こしていなくても、あるいは、補償内容は前年とまったく同一でも、更新後の保険料が上がっていることがあります。
それは、この記名被保険者年齢区分を適用した結果として発生する現象です。
損保ジャパン:保険期間の途中で年齢条件を変更する手続方法
契約に際して年齢条件を設定するのですが、どの区分を選択するかは保険始期日の年齢で判断します。
たとえば、運転する人の中でもっとも若い人が25歳である場合は「21歳以上補償」を選ぶことになります。
しかし、この人が保険始期日の3ヶ月後に誕生日を迎えて26歳になったら、1つ上の「26歳以上補償」にすれば保険料が安くなります。
こうした年齢条件の変更手続きは随時可能です。
具体的には、次の3つの方法があります。
|
上記の例のように「21歳以上補償」から「26歳以上補償」に変更した場合は、変更日以降の保険料は当然安くなります。
逆であれば高くなります。
ご覧いただきありがとうございました。