【記事丸わかり】
⇒⇒自動車保険の等級を子供に引き継ぐには条件があります。 |
任意保険(自動車保険)の等級引継ぎ方法について徹底解説しています。
等級の引継ぎができる場合とできない場合は?
親子・家族・別居の子のあいだで引継ぎ(名義変更)は可能?
他社へ乗り換えできる?
引継ぎの期間には制限がある?
このページでは任意保険の等級引継ぎについてわかりやすく詳細な解説をしています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
任意保険の等級の引継ぎができる人とできない人:親子・家族・別居の未婚の子
任意保険の等級の引継ぎをするということは、保険契約の実務に即して見ると、「記名被保険者」を名義変更することを意味します。
「契約者」ではなく「記名被保険者」です。
保険の更新の際、あるいは期間の途中で、保険証券記載の「記名被保険者」の名義変更をする場合、「誰から誰に」変更するならOKか?
その答えが、配偶者と同居の親族、です。
任意保険の等級の引継ぎが可能な「記名被保険者」 | |
現在の記名被保険者⇒⇒⇒ | 記名被保険者の配偶者(内縁関係も含む) |
記名被保険者またはその配偶者の同居親族 | |
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※「記名被保険者」とは、被保険者の義務等を他の被保険者を代表して履行する者のことです。また「被保険者」とは、補償の対象となる人のことです
※ここで言う「親族」とは、6親等内の血族および3親等内の姻族、のことです
たとえば、夫から妻に「記名被保険者」を名義変更する場合は、必ずしも同居していることは条件とはなりません。
しかし、夫の親族または妻の親族に変更する場合は、夫または妻と同居していることが条件になります。
また、同じ家に同居していれば、親から子に、子から親に、と親子のあいだで自由に等級の引継ぎができます。
いっぽうで、別居の未婚の子は、夫にとっても妻にとっても親子・親族ではあるものの、同居ではないので、等級の引継ぎはできません。
任意保険の等級の引継ぎで注意すべきケース:子供の独立・離婚
任意保険の等級の引継ぎ、つまり「記名被保険者」の名義変更で注意すべきケースとして、たとえば次のような事例が考えられます。
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前の項目でご説明しましたが、「記名被保険者」の名義変更(等級の引継ぎ)は、親子の場合は「同居」している者の間でなければできません。
したがって、上の①の事例では、まだ同居しているあいだに「記名被保険者」の変更手続きを取る必要があります。
また、②の事例では、配偶者の一方がただ単に別居するだけであれば、別居した後から「記名被保険者」の変更をすることはいつでも自由にできます。
しかし離婚となると、文字通り他人となるわけですから、こちらもまだ同居しているあいだに「記名被保険者」の変更手続きをしなければなりません。
任意保険の等級の引継ぎルールを積極的に利用したいケース:車の入替
ここまで見てきましたように、夫婦の間、同居の親子の間、同居の親族のあいだでは、任意保険の等級を自由に引継ぎできます。
そこで、このルールを積極的に利用することで、保険料の節約などに活用できるケースが出てきます。
よくある事例として一つだけご紹介したいと思います。
<すでに親が車を所有していて、そこへ同居の子供が新たに車を購入することになった場合>
親の所有する車の保険が割引率の高い等級になっている場合は、その親の保険に子供の車をつけ、それによって吐き出された親の車に対して新規契約を結ぶ、という方法があります。
これをすることで2台トータルの保険料を節約することができます。
また、子供は等級の進んだ親の保険でスタートできるので、たとえば3等級ダウン事故を起こしても、それですぐに3等級あるいは4等級といった危険な等級になる心配がありません。※3等級や4等級が「危険な等級」と言うのは、次に事故を起こして等級ダウンしたら「引き受け不可」の扱いになる可能性があるからです
初めて任意保険に加入する場合で、同居の家族がすでに車を所有しているケースでは、こうした方法もあるので、保険会社あるいは代理店に相談してみてください。
なお、親の保険が11等級以上である場合は、吐き出された親の車は複数所有新規(セカンドカー割引)が使えるので7等級スタートになります。
もちろん、上記のような入替を行わずに、通常のやり方で子供が保険に加入するケースでも、親の保険が11等級以上である場合は、複数所有新規(セカンドカー割引)により7等級スタートです。
任意保険の等級がいったん切れた場合:引継ぎ可能な「期間」は7日間
たとえば1年契約の任意保険に加入している場合、1年後の更新時期が近づくと、保険会社や代理店から満期の案内が届きます。
そのまま更新手続きをすれば、更新後の新契約の等級は1つ上がります(無事故の場合)。
その際、満期の連絡に気づかなかったり、長期の旅行などで連絡が付かなかったりした場合、保険会社や代理店としても勝手に更新手続きすることもできず、いったん保険が切れてしまうことがあります。
このように、いったん途切れてしまった契約を復活させたい場合は、どのくらいの「猶予期間」があるかというと、それは7日間です。
満期の日の翌日を1日目とカウントすると、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目のいずれかで契約を結べば、それまでの等級を引継ぎ、1つ上の等級で契約を復活することができます。
任意保険は満期切れとなった日の翌日から「7日以内」ならそれまでの等級を引継ぎできる |
※中途解約した場合も、解約日の翌日から7日以内なら等級を引継ぎできますが、この場合は、満期と違い、等級はそれまでと同じ等級になります
7日間を過ぎてしまってから結ぶ契約は何等級?
上の話の続きです。
満期日から7日以内に契約すればそれまでの等級を引継ぎできますが、では、8日目以降になってしまったら何等級で契約することになるのでしょう?
実は、ここからがちょっと面倒な話になるのですが、等級によって扱いが異なってきます。
それまでの等級が6等級~20等級の場合は、満期日の8日目以降に契約する場合は、自動車保険に始めて加入するときの等級である6等級になります。
つまりリセットされるわけです。
※複数所有新規(セカンドカー割引)の条件を満たせば7等級になる
いっぽうで、それまでの等級が1等級~5等級の場合は、満期日の8日目以降に契約する場合は満期切れになった契約の等級と同じ等級になります。
満期切れになった時点の等級 | 満期日から8日目以降に契約する等級 |
6等級~20等級 | 6等級※条件を満たせば7等級 |
1等級~5等級 | 満期切れとなった契約と同じ等級 |
※6等級はいずれのグループに入れても結果は同じ6等級です。便宜上、上のグループに入れました
このように等級によって扱いが異なるのには理由があります。
1等級~5等級というのは事故で等級がダウンした結果としての等級です。
つまり保険料が通常より高い等級です。
もしも満期日から7日で等級がリセットされるのであれば、1等級~5等級の人は全ての人が「意図的に」いったん等級を途切れさせ、リセットして、また6等級(7等級)から保険をスタートできることになります。
これでは保険会社は困ります。
事故を起こした人にはちゃんと高い保険料を払ってもらわないと、無事故を続けている契約者との間の公平性が保てなくなります。
そこで、1等級~5等級に関しては、6等級~20等級とは異なるルールを設けているのです。
さて、話はここで終わりません。
上の表の「6等級~20等級」のグループですが、このグループは満期日から8日目以降に契約する場合は、1ヵ月後でも3年後でも5年後でも、やはり6等級(7等級)からスタートすることになります。
しかし、「1等級~5等級」のグループはここでも扱いが異なります。
満期日の8日目以降は「満期切れとなった契約と同じ等級」と書きましたが、この条件は13ヶ月間は変わらないものの、13ヶ月を越えた日以降に契約する場合は、6等級(7等級)スタートになります。
自動車保険の6等級(7等級)というのは、新規で契約する場合の等級です。
つまり、「1等級~5等級」という悪い等級も、13ヶ月を超えるとリセットされるということです。
言葉は悪いですが、わかりやすく言うと「無罪放免」となります。※悪い等級の方、ゴメンナサイ
満期切れになった時点の等級 | 満期日から13ヶ月を越えた日以降に契約する等級 |
1等級~5等級 | 6等級※条件により7等級(リセットされる) |
ここまでの説明では、満期日で更新できずに契約を切らしてしまった場合に、元の等級を引き継ぐにはいつまでに契約を復活させればいいか、という観点で話を進めてきましたが、1等級とか2等級といった「悪い等級」のなかでもひときわ悪い等級の人は、等級を引き継ぎたいどころか、むしろ、どうやってその等級から逃れられるかを考えるはずです。
その答えが13ヶ月です。
実際のところ、1等級とか2等級だとほとんどの保険会社から「引き受け拒否」されるはずです。
その場合は、1等級あるいは2等級の保険の解約日または満期日から13ヶ月間経過するまで無保険でいるしかありません。
他の車を買ってその車に保険をつけるのであれば6等級(7等級)からスタートできますが、1等級あるいは2等級になった車に乗り続けたい場合は、13ヶ月間待たなければなりません。
いずれにしても、ここまで見てきたように、20等級は7日でリセットされてしまいますが、1等級は13ヶ月経たないとリセットされません。
「いい等級はすぐ消えるが、悪い等級はなかなか消えない」(保険業界の格言?)
ということです。
他社に乗り換えても任意保険の等級は引継ぎできます
代理店型、通販型を問わず、損害保険各社と、JA共済(農協)、全労済は、わたしたちの任意保険の契約内容を共有しています。
同じデータベースに必要に応じてアクセスすることができるシステムになっています。
公益性の観点から個人情報保護法の除外項目に入っているようです。
したがって、任意保険を他社に乗り換えても、それまでの等級はちゃんと引継ぎされることになります。
任意保険は他社に乗り換えても等級は引継ぎされる |
当然、事故で等級がダウンし、事故有期間がついた履歴も、そのまま引継ぎされます。
わたしたち契約者にとっても、保険会社を自由に乗り換えできなかったら、一昔前の携帯電話のように、同じ会社にずっと縛られ続けることになってしまいます。
また、保険会社にとっても、営業努力によって他社の顧客を正当に奪うことができなくなりますし、常時事故を起こし他の多くの契約者の足を引っ張っている一部の契約者にペナルティーを課したり、引き受けを制限したりする措置が取れなくなります。
したがって、任意保険に関しては、わたしたちの情報は各保険会社から見て「丸裸」の状態になっていることを忘れないでいただきたいと思います。
さまざまな事情により他社に乗り換える際、等級その他の情報を偽って申告しても、いったんは契約が成立しますが、1ヶ月か2ヵ月経つと、乗り換え先の保険会社にあなたの契約履歴が開示されるので、そこでジ・エンドとなります。
つまり、引き受け拒否の措置が取られたり、契約履歴が開示されるまでのあいだに発生した事故に対して保険金が支払われないこともあります。
繰り返しますが、わたしたちの任意保険の契約内容は、「すべて」の内容が保険会社同士で必要に応じて閲覧可能なシステムになっています。
等級だけでなく、氏名、住所、車の車台番号(車体番号)、登録番号(ナンバープレートの番号)もすべて閲覧可能です。
このことは憶えておいて頂きたいと思います。
なお、JA共済(農協)と全労済以外の共済には、たとえば全自共(全国自動車共済協同組合連合会)、日火連(全日本火災共済協同組合連合会)、教職員共済、町村職員共済、都市職員共済、自治労共済、トラック共済などがあります。
多くの保険会社で等級の引継ぎが可能なのは、JA共済(農協)と全労済で、他の共済は保険会社によって対応が異なっています。
ホームページで明示している会社もありますが、特に記載がない会社もあるので、個別にお問い合わせください。
ちなみに、このページで「保険会社」と呼んでいるのは、「一般社団法人 日本損害保険協会」に加盟している26社(2018年7月2日現在)のことです。
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日本損害保険協会(50音順)
ご覧いただきありがとうございました。