初代レパードがソアラに負けた理由|販売台数は互角なのにイメージで惨敗した1980年代パーソナルクーペ対決

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1980年代の高級パーソナルクーペ市場で激突した二台の名車。

日産レパードトヨタソアラ

販売台数はほぼ互角だったにもかかわらず、ブランドイメージでは天と地ほどの差がついた。

そして、その差は2代目で圧倒的な販売台数の格差として表面化することになる。

なぜここまで明暗が分かれたのか、開発コンセプトからエンジン仕様まで徹底的に見ていきたい。


発売時期と販売実績|数字で見ればほぼ互角だった

まず、両車のリリース時期と最終的な販売台数を確認しておきたい。

日産レパード1980年9月発売

対するトヨタソアラ1981年2月発売

レパードのほうが約5ヶ月早くデビューしていた。

項目日産レパードトヨタソアラ
発売時期1980年9月1981年2月
累計生産台数70,887台87,973台
ボディタイプ2ドア・4ドア2ドアクーペのみ

販売台数を見れば、その差は約1万7000台。

決して「圧勝」と呼べるほどの差ではない。

一般的には「初代からソアラが圧勝した」と語られることが多いが、数字だけを見ればほぼ互角の戦いだったというのが実情だ。

しかし、「イメージ」という観点で見ると、すでにこの時点で勝負はついていた。


開発コンセプトの違い|目指したゴールがそもそも違った

両車の運命を分けた最大の要因は、開発スタート時点のコンセプトの違いにあった。

ソアラは世界基準のGTカーを目指した

ソアラの開発は、発売5年前の1976年からスタートしていた。

目標は明確そのもの。

メルセデス・ベンツSLクラスBMW6シリーズといった世界レベルで通用する高級GTカーだった。

社内には「トヨタ2000GTのような新しいイメージリーダーが欲しい」という声があり、それに応える形で開発されたモデルだった。

レパードはラインナップの一角という位置づけ

一方のレパードは、910型ブルーバードの上級グレードの後継という位置づけ。

スカイライン、ローレルに続く上級車ラインナップの一角を担うモデルとして開発された。

当初は北米輸出向けだったが、完成時には北米市場が落ち込んでいたため、急遽国内専用車として方針転換された経緯がある。

比較項目レパードソアラ
開発開始比較的短期1976年(5年前から)
目標上級車ラインの一角世界基準の高級GT
ベンチマーク国内上級車ベンツSL、BMW6シリーズ
当初計画北米輸出北米輸出
最終的な位置づけ国内専用国内専用

興味深いことに、両車とも当初は輸出モデルとして計画されながら、結果的に国内専用車になった点は共通していた。

しかし、開発に込められた志の高さが決定的に違っていたのだ。


エンジン仕様の決定的な差|旧型流用のレパード vs 新規開発のソアラ

最も致命的な差が出たのが、エンジンスペックだった。

レパードは旧型エンジンの使い回しだった

発売当初のレパードのエンジンラインナップを見てみよう。

  • 直列4気筒1.8リッター:Z18型
  • 直列6気筒2.0リッター:L20E型
  • 直列6気筒2.8リッター:L28E型

すべてSOHCの旧型エンジン

最高出力は2.8リッターでさえ145馬力にとどまった。

AT仕様も3速オートマチックという、旧態依然としたスペックだった。

ソアラは新規開発のDOHCを投入

対するソアラは、発売当初からトップグレードに気合の入った新型エンジンを搭載していた。

直列6気筒2.8リッター:5M-GEU型DOHC170馬力

DOHCヘッドは新規開発されたものだった。

しかも全グレードが直列6気筒エンジン搭載で、AT仕様は4速オートマチック

さらにオーバードライブ時にロックアップクラッチが作動する2ウェイオーバードライブ機構まで搭載していた。

エンジン項目初代レパード初代ソアラ
最上級エンジンL28E型 SOHC5M-GEU型 DOHC
最高出力145馬力170馬力
AT変速段数3速4速(2ウェイOD付)
エンジン素性旧型流用新規開発

ソアラは1985年には3.0リッターの6M-GEU型を投入し、190馬力・26.5kgmのトルクを発揮するようになる。

レパードの反撃は遅すぎた

レパードが反撃に出たのは1984年。

V型6気筒ターボVG30ET型230馬力を投入した。

このスペックは翌年のソアラ6M-GEUを上回ってはいたものの、市場の評価はすでに大きくソアラに傾いた後だった。

タイミングを完全に逸してしまっていたのだ。


先進装備の差|ソアラはハイテクの塊だった

エンジンだけでなく、装備面でもソアラは圧倒的にリードしていた。

ソアラに搭載された先進技術の数々を見ていこう。

  • TCCS:エンジン統合制御
  • ECT:電子制御トランスミッション
  • TEMS:電子制御サスペンション
  • エレクトロマルチビジョン:小型ブラウン管にテレビやメーター表示

これらは当時としては最先端の技術だった。

特にエレクトロマルチビジョンは、未来感あふれる装備として大きな話題を呼んだ。

先進装備レパードソアラ
エンジン統合制御×○(TCCS)
電子制御AT×○(ECT)
電子制御サス×○(TEMS)
ブラウン管モニター×○(エレクトロマルチビジョン)

結果として、ソアラは日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

高級パーソナルクーペとしてのブランドイメージを完全に確立した。

レパードは販売台数こそ互角に近かったものの、イメージ面では大きく水をあけられた形となった。


2代目で表面化した圧倒的な差

初代で開けられたイメージの差は、2代目の販売台数に容赦なく反映された。

モデル2代目販売台数
2代目ソアラ142,247台
2代目レパード38,543台

その差はおよそ3.7倍

完全にカテゴリーリーダーとしての地位を奪われた格好だ。

2代目レパードは、ドラマ「あぶない刑事」で注目を集めたものの、それが販売台数の挽回には繋がらなかった。

ただし、その分、後に中古車市場では存在感を発揮することになる。

「あぶ刑事レパード」として、現在も根強いファンに支持されている。


まとめ|初代の差が運命を決めた

敗因のポイント内容
開発コンセプト上級車ラインの一角に過ぎなかった
エンジン旧型SOHCの使い回し
変速機3速ATで時代遅れ
先進装備ハイテク装備でソアラに大差
反撃のタイミング遅すぎて挽回できず

初代の時点で販売台数こそ互角に近かったものの、ブランドイメージで決定的な差がついてしまった。

その差が2代目で3.7倍の販売台数差となって表面化したのは、ある意味必然だったと言える。

新規開発に踏み切れなかった日産と、5年がかりで世界基準を目指したトヨタ。

この開発思想の違いこそが、両車の明暗を分けた最大の要因だったのではないだろうか。