三角マークの付いたハザードランプは非常点滅表示灯と呼ばれますが、合流地点で割り込みをさせてもらった際にお礼として数回点滅させることをサンキューハザードと呼びます。
これは違法ではなく、車社会の慣習として定着しているものです。
いつからサンキューハザードが使われるようになったかは諸説ありますが、1980年代に高速道路上のトラックドライバー同士が合言葉やあいさつの代わりに使ったのがその後一般化したともいわれています。
教習所でもサンキューハザードについて解説しているところがあります。
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違法ではない
サンキューハザードはハザードランプ(非常点滅表示灯)の本来の使用目的から外れた用法ですが、すでに車社会に定着しているもので、過度な使用でない限り、違法ではありません。
警察も取り締まりの対象にはしていません。
ハザードランプの本来の使用法
そもそもハザードランプの本来の使用法に関しては、道路交通法施行令に2か所記述があります。
第18条(道路にある場合の灯火)
自動車は、夜間、道路の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。
第26条の3(通学通園バス)
通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない。
このように、ハザードランプの本来の使用法は非常に限定的です。
しかしながら、「お礼のあいさつ」としてのサンキューハザードが道路交通に有害なケースはまず考えられないことで、過度なものでない限り、一つの文化としてすでに認知されているものです。
いつから
諸説ありますが、有力な説として、1980年代に高速道路上のトラックドライバー同士が合言葉やあいさつの代わりに使っていたものが、その後、一般のドライバーにまねされるようになったという説があり、これが最有力です。
回数
一般的には、2,3度の点滅が適切な回数だと思います。なかなか合流できなかったところ、やっと譲ってくれる人が現れたような場合に、嬉しくて5回も6回も点滅させるケースもあるでしょうが、これはこれでいいことではないでしょうか。
世の中には、サンキューハザードをすべきかすべきでないかということだけでなく、するとしたら何回がいいのか、ということまできっちりルール化しないと気が済まない人がいるようです。
しかし、人間社会には「その時その場で最適解を見つけ出すしかない」ということがたくさんあります。
知り合いが亡くなったとき、果たして香典を届けるべきか、届けるとしたらいくら包むか、といったことも正解があるわけではなく、その都度自分で判断して最適解を出すしかありません。
サンキューハザードをするかしないか、するとしたら何回の点滅か、ということも、他の人のやり方を参考に、つまり、自分がされた時に受けた感じを参考にして、最適解を瞬時にはじき出すしかない問題だと思います。
とはいうものの、迷うのは最初のうちだけで、習慣化すればほぼ自動運動であって、勝手に手が動き、何も考えずに適度な時間だけボタンを押しています。
「自分がサンキューハザードを受けた時にどう感じたか」が一番重要な判断材料であり、あとは状況によります。
教習所でも教えている
すべての教習所ではありませんが、サンキューハザードの意味と役割を教えている教習所もあります。
たとえ道路交通法に記載がない事柄でも、実際の車社会で慣習化され定着している事柄なので、これから公道を走ることになる教習生たちにも説明すべきだろう、という判断によるものでしょう。
サンキューハザードはいついかなる道路状況でもすべきこととは思いませんが、余裕がある状況であれば、大切なコミュニケーションの一手段であり、無用なストレスを解消する意味のある行為だと思います。
パッシングとの違い
パッシングとは、ヘッドライトを点滅させる行為をいいますが、サンキューハザードとはちょっと役割が異なると思います。
パッシングが使われるのは、主に、狭い道や信号機のない交差点などで対向車にパッシングすることで、「お先にどうぞ」と道を譲る場合です。
あるいは、サンキューハザードとの関係でいうと、合流地点で合流させてもらった側が出すサインがサンキューハザードで、合流を許す側が出すサインがパッシングです。
なお、サンキューハザードに比べてパッシングは他にも様々なケースで使われています。しかも、あまり好ましくない使い方が多いと思います。
サンキューハザードもパッシングも無暗にやるとあおり運転と間違われることもあるので気を付けてください。
また、一種の免罪符としてサンキューハザードを使う人もいます。たとえば、強引な割り込みをしておきながら、即座にサンキューハザードを出し「おっと、悪いね」という感じの人。
こういう使い方はしないでください。
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