【記事丸わかり】
⇒⇒事故時に困らない車両保険金額の見直し方 |
新車や中古車を購入し、自動車保険に加入する場合、車両保険にも入っておきたいものです。
その際、車両価格の決め方ですが、何を目安に設定すればいいのでしょう?
新車の場合と中古車の場合では金額の決め方に違いがあるのでしょうか?
このページでは車両保険にはいくらかけると安心か、具体的な金額の決め方について解説しています。
しばらくお付き合いいただきたいと思います。
「車価表」から算出⇒提示された価格幅の中から選ぶ
※このページの説明は登録車・軽自動車のいずれにも該当する内容です
損害保険会社には自動車保険車両標準価格表(車両価格表・車価表)というものが備え付けられています。※以下「車価表」とします
この車価表には、それぞれの車の現在価値が記載されていて、車両保険に加入する場合の金額設定や、事故で全損になった車両に支払う賠償額の算出などに使用されます。
たとえばここに新車登録から3年目の日産ノート(型式DBA-NE12)があるとします。
この3年落ちの日産ノートに車両保険を付ける場合、車両価格をいくらに設定したらいいか?
まず、大前提として、わたしたちは車両価格を自由に設定することは出来ません。
新車から3年経過した車は、3年分の減価償却がありますから、当然、新車時よりも価値は落ちています。
そしてその価値の落ち方は、それぞれの車によって異なっていて、中古車市場の膨大な販売データ等を集計して算出する必要があります。
まさに、そのようにして算出されたものが車価表なのです。
したがって、3年落ちの日産ノートに車両保険を付ける場合は、車価表の日産ノート(型式DBA-NE12)のページを開き、新車登録から3年経過した時点の金額(現在価値)を調べます。
すると、たとえば「120万~150万」と記載されていたとします。
わたしたちはこの価格幅の中から車両価格を設定することになります。
もしも車価表というものが存在しなくて、車両価格をわたしたちが自由に設定することが出来たら、たとえば、30万円で買った車に300万円の金額をつけて車両保険に加入できてしまいます。
そうなると、その車が事故で全損になった場合、わたしたちは300万円受け取ることになり、差し引き270万円の大儲けとなります。
こうなったら笑いが止まりませんから、不当に高い金額で車両保険をかけておいて、事故でなく故意に車を全損にさせる犯罪、いわゆる保険金詐欺が頻発するでしょう。
社会は大混乱です。
こうした事態を防止するためにも、車価表は大きな役割を果たしています。
車両金額の決め方:新車の場合
新車に車両保険を付ける場合も、車価表が活躍します。
代理店で加入する場合も、通販社で加入する場合も、見積もりを作成する際には、担当者のパソコン画面には、あなたの車の設定すべき車両価格が「205万~285万」というように表示されます。
これは、すでにあなたの新車の型式と登録年月日が入力されているので、そのデータから車価表の該当箇所が表示されるからです。
したがって、あなたはこの価格帯(205万~285万)の範囲内であれば、いくらであっても自由に選べます。
たとえば、あなたの新車が、値引きを考慮しない車両本体価格が210万円で、オプション類が15万円、これらの消費税が18万円であった場合、210+15+18=243となり、車価表の205万~285万の範囲内にあるので、車両価格243万円で車両保険に加入できます。
その際に、実際にあなたが新車に支払う金額は243万なのですが、車価表では上限が285万になっていますから、あなたが望むのであれば285万円で車両価格を設定することも可能です。
これは不正でもなんでもなくて、車価表の範囲内の金額なので、ノープロブレムです。
ただし、保険料は上がります。
車種・等級・年齢条件などによって異なりますが、平均的には、車両価格が10万円上がると、年間保険料が300円~500円アップします。
少々上がってもかまわないのであれば、出来るだけ高い金額で設定したほうがいいと思います。
285万で設定し、その後全損事故にあった場合、ちゃんと285万受け取れますから。
もう一度整理します。
新車に車両保険を付ける場合は、「値引き前の車両本体価格+オプション代+これらの消費税」の合計金額を車両補償額として設定するのが基本です。
ただし、車価表の範囲内であれば、たとえ実際の購入金額を上回っていても、上限の金額で加入することも可能です。
上限の金額で加入する場合は、保険料もその分高くなりますが、許容できる金額であれば、出来るだけ高い価格で加入したほうがいいです。
なお、実際の購入金額より低い金額で加入することも可能です。
その場合も、車価表の範囲で加入することになり、上の例では205万が最低金額になります。
車両金額の決め方:中古車の場合
中古車の場合も、新車に車両保険を付ける場合と同じです。
車価表の金額に基づいて車両補償額を決めることになります。
ここでも、わたしたちが自由に価格設定できるわけではありません。
あくまでも車価表が示す範囲内で設定します。
代理店で加入する場合も、通販社で加入する場合も、見積もりを作成する際には、担当者のパソコン画面には、あなたの車の設定すべき車両価格が「150万~185万」というように表示されます。
これは、すでにあなたの中古車の型式と登録年月日が入力されているので、そのデータから車価表の該当箇所が表示されるからです。
したがって、あなたはこの価格帯(150万~185万)の範囲内であれば、いくらであっても自由に選べます。
※初度登録から7年あるいは8年ほど経過すると車価表の記載から削除されるのが普通です。ただし、そういった年式が古い車でも、代理店型の自動車保険なら、20万~25万くらいの金額で車両保険に入れることが多いです。担当者にご相談ください
※通販型自動車保険の場合、新車登録から7年から8年以上経過した車は車両保険不可というところが多いです
あなたの中古車が、値引きを考慮しない車両本体価格が153万で、オプション類が6万円、これらの消費税が13万であった場合、153+6+13=172となり、車価表の150万~185万の範囲内にあるので、車両価格172万円で車両保険に加入できます。
そして、ここでも新車のケースと同様に、実際にあなたが中古車に支払う金額は172万なのですが、車価表では上限が185万になっていますから、あなたが望むのであれば185万円で車両価格を設定することも可能です。
これは不正でもなんでもなくて、車価表の範囲内の金額なので、ノープロブレムです。
ただし、保険料は上がります。
少々上がってもかまわないのであれば、出来るだけ高い金額で設定したほうがいいと思います。
旧車・クラシックカーは車両保険に入れない?
これまで見てきましたように、損害保険各社は、車両保険の申し込みを受ける際、車価表に基づいて車両価格を決めます。
そして、新車登録から7年~8年経過した車は車価表から削除されます。
したがって、30年前、40年前、それ以前・・・といった旧車・クラシックカーと呼ばれる車は、原則として車両保険には加入できません。
「引き受け不可」の扱いになります。
ちょっと調べてみたのですが、チャブ保険(CHUBB保険)という保険会社にクラシックカー保険という商品があります。
チャブ保険はスイス資本の損害保険会社で、2016年まではエース保険会社という社名でした。
このクラシックカー保険なら、一定の条件はありますが、旧車・クラシックカーでも車両保険に加入できます。※ホームページを覗いてみましたが、驚くほど保険料が高いということはないです
ただし、車両保険単独の加入ではなく、対人・対物などの基本的な補償とセットで加入することが条件です。
ちなみに、旧車やクラシックカーほど古くなくて、10年とか20年といった「ただ単に古い車」なら、たとえ車価表に記載されていなくても、代理店型の損害保険会社なら、20万~25万ていどの車両金額になりますが、加入することは可能です。
代理店さんにご相談ください。
旧車・クラシックカーの話が出たので、ついでにお話しておきます。
信号待ちのクラシックカーに追突してしまい、クラシックカーを全損の状態にまで破壊してしまった場合、損害額はいくらになるのでしょう?
そのクラシックカーは、いわゆる「フルレストア」されていて、総額250万ほどかけて外装も機関もピッカピカの車でした。
追突してしまった車の保険会社からはいくら支払われるのでしょう?
この場合も、車価表が登場します。
車価表を見ても、そのクラシックカーは当然記載されていません。
聞くと、1962年式だそうです。
こうなったら、時価額評価で5万とか10万でしょう。
ただし、ある程度は事情を汲んで(温情で)上乗せはあるでしょうが、精一杯がんばってもプラス10万程度でしょう。
こんな事態になったらクラシックカーのオーナーさんは気の毒です。
気の毒ですが、保険の対物賠償でも車価表の記載が基本なので、こうした結果になってしまいます。
そういうわけで、旧車やクラシックカーにお乗りのオーナーさんは、上記クラシックカー保険に加入するか、あるいは、できるだけ公道を走らないようにしたほうがいいかもしれません。
公道を走るにしても、交通量が少ない道を走ってください。
スーパーで買い物する際も、広い駐車場の、車がまったく駐車されていないエリアに駐める習慣を身に付けてください。
ご覧いただきありがとうございました。