【記事丸わかり】
⇒⇒【永久保存版】車両保険を入れても保険料を安くするテクニック |
自動車保険の特約である車両保険は、事故で自分の車の修理代などを補償する特約です。
車両保険を付ける場合、車の補償金額(車両保険金額)はどうやって決めるのかというと、車両価格表というデータブックに基づいて金額を設定します。
言ってみれば、この車両価格表の中に新車や中古車の「相場」が記載されています。
このページでは車両保険を付ける場合の車両価格表の役割について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
車両保険:車両価格表とは?
車両保険は自動車保険の特約の1つで、事故で自分の車が損傷した場合に、その修理費用のうちの自分の過失分に対して保険金が支払われます。
車両保険に加入するには、まず加入する車の補償金額を設定する必要があります。
これを車両保険金額と呼びます。
車両保険金額とは支払い限度額のことです。
車が「全損」の認定を受けた場合に支払われる金額のことです。※全損とは、修理費用が車両保険金額を超える場合、あるいは、修理不能なほど壊れている場合のことです
火災保険で言えば、家が全焼になった時に支払われる金額のことです。
車両保険金額は自分で勝手に好きな金額を設定することはできません。
代理店型でも通販型でも、車両保険に加入する際は、保険会社が提示した金額で車両保険金額を設定しなければなりません。
各保険会社が提示する車両保険金額は車両価格表という一種のデータブックに基づいています。
車両価格表は車価表あるいは自動車保険車両標準価格表とも呼ばれています。
車両価格表には日本国内で販売されている全ての車の現在価値(時価額)が記録されていて、発売間もない車には新車価格相当の金額が、発売から3年経過している車には3年落ちの中古車市場における金額が、発売から5年経過している車には5年落ちの中古車市場における金額が、それぞれ記載されています。
ただし、発売から7年~8年ほど経過すると、それ以後のデータは記録されていません。
そのため、通販型自動車保険の中には、7年落ち~8年落ちの中古車は車両保険に加入できないところもあります。
各保険会社は独自の車両価格表を持っていますが、会社によって多少の違いはあるものの、ほぼ同じ内容です。
車両保険:車両価格表の価格幅の中から選ぶ
損害保険会社には自動車保険車両標準価格表(車両価格表・車価表)というものが備え付けられています。※以下「車両価格表」とします
この車両価格表には、それぞれの車の現在価値が記載されていて、車両保険に加入する場合の車両保険金額の設定や、事故で全損になった車両に支払う賠償額を算出する資料として使用されます。
たとえばここに新車登録から3年目の日産ノート(型式DBA-NE12)があるとします。
この3年落ちの日産ノートに車両保険を付ける場合、車両保険金額をいくらに設定したらいいか?
まず、大前提として、わたしたちは車両保険金額を自由に設定することは出来ません。
新車から3年経過した車は、3年分の減価償却がありますから、当然、新車時よりも価値は落ちています。
そしてその価値の落ち方は、それぞれの車によって異なっていて、中古車市場の膨大な販売データ等を集計して算出する必要があります。
まさに、そのようにして算出されたものが車両価格表です。
したがって、3年落ちの日産ノートに車両保険を付ける場合は、車両価格表の日産ノート(型式DBA-NE12)のページを開き、新車登録から3年経過した時点の金額(現在価値)を調べます。※車両価格表は紙の本もありますが保険料計算する際は保険料計算アプリと車両価格表のデジタルデータが連動しています
すると、たとえば「120万~150万」と記載されていたとします。
わたしたちはこの価格幅の中から車両保険金額を設定することになります。
もしも車両価格表というものが存在しなくて、車両保険金額をわたしたちが自由に設定することが出来たら、たとえば、30万円で買った車に300万円の金額をつけて車両保険に加入できてしまいます。
そうなると、その車が事故で全損になった場合、わたしたちは300万円受け取ることになり、差し引き270万円の大儲けとなります。
こうなったら笑いが止まりませんから、不当に高い金額で車両保険をかけておいて、事故でなく故意に車を全損にさせる犯罪、いわゆる保険金詐欺が頻発するでしょう。
社会は大混乱です。
こうした事態を防止するためにも、車両価格表は大きな役割を果たしています。
先ほど、各保険会社の車両価格表の中身はほとんど同じだと書きましたが、上記の理由から、会社によって大きく異なっていたら困るわけです。
車両保険:車両保険金額の決め方:新車の場合
新車に車両保険を付ける場合も、車両価格表が活躍します。
代理店型で加入する場合も、通販型で加入する場合も、見積もりを作成する際には、担当者のパソコン画面には、あなたの車に設定すべき車両保険金額が、たとえば「205万~285万」というように表示されます。
これは、すでにあなたの新車の型式と登録年月日が入力されているので、そのデータから車両価格表の該当箇所が表示されるからです。
したがって、あなたはこの価格帯(205万~285万)の範囲内であれば、いくらであっても自由に選べます。
車両価格表による車両保険金額の範囲 |
205万~285万 |
※通販型でインターネット契約(Web契約)する場合は、契約画面に車両保険金額の選択ウインドウが表示されるので、その中から選びます
たとえば、あなたの新車が、値引きを考慮しない車両本体価格が210万円で、カーナビ等のオプション類が15万円、これらの消費税(8%で計算)が18万円であった場合、合計は210+15+18=243となります。
車両保険金額の算出式 |
車両本体価格+オプション類+消費税 |
243万円は車両価格表の205万~285万の範囲内にあるので、車両保険金額243万円で車両保険に加入できます。※車両保険金額は5万円刻みで設定するので実際の契約は240万か245万で設定することになります
車両保険金額として設定する金額 |
240万あるいは245万 |
その際に、実際にあなたが新車に支払う金額は243万なのですが、車両価格表では上限が285万になっていますから、あなたが望むのであれば285万円で車両保険金額を設定することも可能です。※その分保険料は高くなります
ただし、マークレビンソンなどの超高級カーオーディオをオプションとして付け、そのせいで総額が330万円になったとしても、車両保険金額は上限の285万円までしか設定できません。
超高級カーオーディオの補償は動産保険などその他の保険を別途手当てするしかありません。
逆に、何らかの事情で車両本体価格を超大幅に値引きしてもらい、実際にその新車に支払った総額が180万円であったとしても、車両保険金額はあくまでも車両価格表が提示する205万~285万の幅の範囲で選択しなければなりません。
こうした金額設定は不正でもなんでもなくて、車両価格表の範囲内の金額なので、ノープロブレムです。
ただし、保険料は車両保険金額によって変動します。
車種・等級・年齢条件などによって異なりますが、平均的には、車両保険金額が10万円上がると、年間保険料が300円~500円アップします。
少々上がってもかまわないのであれば、出来るだけ高い金額で設定したほうがいいと思います。
285万で設定し、その後全損事故にあった場合、ちゃんと285万受け取れますから。
もう一度整理します。
新車に車両保険を付ける場合は、「値引き前の車両本体価格+オプション代+これらの消費税」の合計金額を車両保険金額として設定するのが基本です。
ただし、たとえ実際の購入金額が車両価格表の範囲を上回っていても、逆に下回っていても、あくまでも車両価格表の範囲内で設定しなければなりません。
車両価格表の範囲内であれば、実際に購入した金額がいくらであっても、それとは関係なく自由に車両保険金額を設定できます。
車両保険:車両保険金額の決め方:中古車の場合
中古車の場合も、新車に車両保険を付ける場合と同じです。
車両価格表の金額に基づいて車両保険金額を決めることになります。
ここでも、わたしたちが自由に価格設定できるわけではありません。
あくまでも車両価格表が示す範囲内で設定します。※つまり保険会社が提示する金額の範囲内で設定します
代理店で加入する場合も、通販社で加入する場合も、見積もりを作成する際には、担当者のパソコン画面には、あなたの車の設定すべき車両保険金額が「150万~185万」というように表示されます。
これは、すでにあなたの中古車の型式と登録年月日が入力されているので、そのデータから車両価格表の該当箇所が表示されるからです。
したがって、あなたはこの価格帯(150万~185万)の範囲内であれば、いくらであっても自由に選べます。
※通販型自動車保険でインターネット契約(Web契約)する場合は、契約画面に車両保険金額の選択ウインドウが表示されるので、その中から選びます
※初度登録から7年あるいは8年ほど経過すると車両価格表の記載から削除されるのが普通です。ただし、そういった年式が古い車でも、代理店型の自動車保険なら、20万~25万くらいの車両保険金額で車両保険に加入できる可能性があります。担当者にご相談ください
※通販型自動車保険の場合、新車登録から7年から8年以上経過した車は車両保険不可というところが多いです
あなたの中古車が、値引きを考慮しない車両本体価格が153万で、オプション類が6万円、これらの消費税(8%で計算)が13万※端数は繰り上げていますであった場合、153+6+13=172となり、車両価格表の150万~185万の範囲内にあるので、車両保険金額172万円で車両保険に加入できます。※車両保険金額は5万円刻みなので実際の契約は170万か175万で設定します
そして、ここでも新車のケースと同様に、実際にあなたが中古車に支払う金額は172万なのですが、車両価格表では上限が185万になっていますから、あなたが望むのであれば185万円で車両保険金額を設定することが可能です。
また、超大幅な値引きによって支払い総額が120万円であったとしても、車両保険金額は車両価格表の範囲内(150万~185万)で設定しなければなりません。
これらは不正でもなんでもなくて、車両価格表の範囲内の金額なので、ノープロブレムです。
ただし、設定する車両保険金額によって保険料は上下します。
少々上がってもかまわないのであれば、出来るだけ高い金額で設定したほうがいいと思います。
旧車・クラシックカーは車両保険に入れない?
これまで見てきましたように、損害保険各社は、車両保険の申し込みを受ける際、車両価格表に基づいて車両保険金額を決めます。
そして、新車登録から7年~8年経過した車は車両価格表から削除されます。
したがって、30年前、40年前、それ以前・・・といった旧車・クラシックカーと呼ばれる車は、原則として車両保険には加入できません。
「引き受け不可」の扱いになります。
ちょっと調べてみたのですが、チャブ保険(CHUBB保険)という保険会社にクラシックカー保険という商品があります。
チャブ保険はスイス資本の損害保険会社で、2016年まではエース保険会社という社名でした。
このクラシックカー保険なら、一定の条件はありますが、旧車・クラシックカーでも車両保険に加入できます。※ホームページを覗いてみましたが、驚くほど保険料が高いということはないです
ただし、車両保険単独の加入ではなく、対人・対物などの基本的な補償とセットで加入することが条件です。
ちなみに、旧車やクラシックカーほど古くなくて、10年とか20年といった「ただ単に古い車」なら、たとえ車両価格表に記載されていなくても、代理店型の損害保険会社なら、20万~25万ていどの車両保険金額になるものの、加入することは可能です。
代理店さんにご相談ください。
旧車・クラシックカーの話が出たので、ついでにお話しておきます。
信号待ちのクラシックカーに追突してしまい、クラシックカーを全損の状態にまで破壊してしまった場合、賠償額(弁償しなければいけない額)はいくらになるのでしょう?
そのクラシックカーは、いわゆる「フルレストア」されていて、総額250万ほどかけて外装も機関もピッカピカの車でした。
追突してしまった車の保険会社からはいくら支払われるのでしょう?
この場合も、車両価格表が登場します。
車両価格表を見ても、そのクラシックカーは当然記載されていません。
聞くと、1962年式だそうです。
こうなったら、時価額評価で5万とか10万でしょう。
ただし、ある程度は事情を汲んで(温情で)上乗せはあるでしょうが、精一杯がんばってもプラス10万程度でしょう。
こんな事態になったらクラシックカーのオーナーさんは気の毒です。
気の毒ですが、保険の対物賠償でも車両価格表の記載が基本なので、こうした結果になってしまいます。
そういうわけで、旧車やクラシックカーにお乗りのオーナーさんは、上記クラシックカー保険に加入するか、あるいは、できるだけ公道を走らないようにしたほうがいいかもしれません。
公道を走るにしても、交通量が少ない道を走ってください。
スーパーで買い物する際も、広い駐車場の、車がまったく駐車されていないエリアに駐める習慣を身に付けてください。
自動車保険には対物全損時修理差額費用特約(会社によって名称が異なる)というオプションがあります。
⇒対物全損時修理差額費用特約:損保ジャパン日本興亜
これは対物賠償保険に追加で付ける特約で、上の例で言えば、追突した側が加入していると役に立つこともある特約です。
上記クラシックカーの場合、この対物全損時修理差額費用特約が使えますが、この特約から支払われるのは最大で50万円です。
10年落ちや15年落ちの車であれば充分な金額になるかもしれませんが、250万円でフルレストアしたクラシックカーには焼け石に水です。
したがって、旧車やクラシックカーを所有する方は、やはりクラシックカー保険に入るなり、事故に遭わないために細心の注意を払うといった自衛手段が必要です。
ご覧いただきありがとうございました。