【記事丸わかり】
⇒⇒他車運転特約、6つの注意点【後藤陽子の自動車保険教室】 |
わたしたちがマイカーに自動車保険を付けた場合、その自動車保険には他車運転特約が自動付帯されます。
追加保険料を別途支払わなくても自動セットされています。
通常は保険証券にも記載はありませんが、約款にはちゃんと項目があって詳しい内容が記述されています。
他車運転特約とは、「他人の車」を借りて「臨時に」運転して事故を起こした場合に自分の車につけている自動車保険が使える、というものです。
車を修理中に借りた代車やレンタカーで事故を起こしたり、友人の車を借りて事故を起こした場合に使えます。
損保ジャパン・あいおいニッセイ・東京海上日動・三井住友海上のいずれの保険会社も採用している特約です。
さらに詳しい内容を解説しているのでしばらくお付き合いいただけると幸いです。
他車運転特約は大手代理店型も通販型も自動セットの特約
他車運転特約とは、「他人の車」を借りて「臨時に」運転していて事故を起こした際、自分の車につけている自動車保険を使うことができる特約です。
どちらの保険を使うかは選択できます。
他車運転特約は、通常、保険の契約を結ぶ際に代理店さんから説明を受けることもまずありませんし、通販型でWEB契約する場合も契約画面には出てきません。
また保険証券にも記載がないのが普通です。
しかし、損保ジャパン・あいおいニッセイ・東京海上日動・三井住友海上といった大手代理店型をはじめソニー損保・おとなの自動車保険・アクサダイレクト・チューリッヒなどの通販型でも、約款にはしっかり記載されています。
他車運転特約:保険会社一覧表 | |
会社名 | 名称 |
ソニー損保 | 他車運転危険補償特約(約款33ページ) |
おとなの自動車保険(セゾン) | 他車運転特約(約款153ページ) |
アクサダイレクト | 他車運転危険補償特約(約款153ページ) |
チューリッヒ | 他車運転危険補償特約(約款59ページ)※ネット専用自動車保険 他車運転危険補償特約(約款69ページ)※スーパー自動車保険 |
イーデザイン損保 | 他車運転危険補償保険(約款21ページ) |
三井ダイレクト | 他車運転危険補償特約(約款51ページ) |
SBI損保 | 他の自動車運転危険補償特約(約款39ページ) |
セコム損保 | 他車運転特約(約款73ページ) |
損保ジャパン日本興亜 | 他車運転特約(約款141ページ) |
東京海上日動 | 他車運転危険補償特約(約款156ページ) |
三井住友海上 | 他車運転特約(約款197ページ) |
あいおいニッセイ | 他車運転補償特約(約款185ページ) |
楽天損保 | 他車運転危険補償特約(約款144ページ) |
全労済 | 他車運転危険補償(ご契約のしおり72ページ) |
JA共済(農協) | 他車運転特則(ご契約のしおり26ページ) |
他車運転特約は自家用8車種に分類される車で自動車保険に加入した場合、すべての契約に自動セットされます。
自家用8車種とは以下の車です。
自家用8車種 |
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わたしたちがマイカーとして運転する車は、そのほとんどが1・2・3だと思います。
他車運転特約の詳細内容
他車運転特約は保険会社によって補償内容が微妙に異なる点があります。
ここでは各社の共通点を抽出してご案内していきます。
各保険会社の詳細な内容については前の項目でご案内した各社の約款をご覧ください。
他車運転特約の概要 |
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他車運転特約の被保険者(補償の対象になる人)は以下のとおりです。
他車運転特約の被保険者 |
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たとえば、父・母・娘が同居する家族で、父の車に自動車保険が付いている場合、父と母と娘のいずれかが臨時に他人の車を借りて事故を起こした場合に他車運転特約が使えます。
その際、大学生の息子が別居中で、その息子が他人の車を臨時に借りて事故を起こした場合もこの特約が使えます。
また、父が個人商店を経営していて、Aという使用人がいた場合、このAさんが他人の車を臨時に借りて事故を起こした場合もこの特約が使えます。
このページで度々登場してきた「他人の車」の定義をいよいよする時です。
「他人の車」とは次の自家用8車種である必要があります。
「他人の車」~その①~ |
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「他人の車」は上記8車種である必要がありますが、自分の契約車両も上記8車種でなければなりません。
「他人の車」にはさらに次のような制限が付きます。
「他人の車」~その②~ |
次の人が所有したり主に使用したりする車ではないこと。
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たとえば、父・母・娘が同居している場合、父または母が娘の車を借りて事故を起こしても他車運転特約の対象外になるということです。
また、娘が父または母の車を借りて事故を起こした場合も対象外になります。
しかし、父または母が別居中の息子の車を借りて事故を起こした場合は他車運転特約の対象となります。
ここまでのご説明ですでに他車運転特約で保険金支払いの対象外になる事例をいくつかご案内していますが、その他「保険金をお支払いできない主な場合」は以下のとおりです。
保険金をお支払いできない主な場合 |
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他車運転特約を使えるケース使えないケース
他車運転特約を使えるケース使えないケースを具体例でまとめてみます。
他車運転特約を使えるケース |
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他車運転特約を使えないケース |
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あくまでも「他人の車」を「臨時に」運転中の事故です!
3年とか5年といったスパンで過去を振り返ってみると、わたしたちはけっこうマイカー以外の車を運転しているものです。
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上の数例は、いずれも「他人の車」を「臨時に」運転する事例です。
上記いずれのケースも他車運転特約を使えます。
つまり自分の車に付けている任意保険を使うことができます。
ですが、より実際的な解決法について見ていきたいと思います。
まず、ディーラーや整備工場の車、あるいはレンタカーなどの場合なら、そうした業者の了解を取った上で、その車に付けている任意保険を使えばいいと思います。
もっとも、最近は、
「もし事故を起こしたら、お客さんの保険が使えますから」
と事前に説明するディーラーや整備工場さんもいるようです。
ここで業者さんが言う「お客さんの保険」とは、まさにこのページのテーマである他車運転特約のことです。
しかしレンタカーの場合は、レンタカー会社は自動車保険への加入が義務付けられているので、通常、その保険を使うのが一般的です。
ただし、レンタカー会社が加入している自動車保険では補償内容が充分でない場合もあり、そういうケースでは自分の保険(他車運転特約)を使わざるを得ないケースもあるかもしれません。
また、トヨタなどが参入している月々定額で車借り放題というサブスクリプションの場合は、任意保険の料金が含まれているのが一般的なので、事故の際はその保険から支払われます。
次に、友達の車を運転して事故を起こした場合ですが、当然友達も自動車保険に入っているでしょうから、まずは友達の保険を使うという方法が考えられます。
けれども、そのような選択をすると、その後の友達との人間関係は100%必ず絶対的に悪化するでしょう。※例外なく
友達の保険を使うと友達の保険は翌年度3等級ダウンし事故有期間3年が付き保険料が跳ね上がります。
仮に跳ね上がった分の保険料をこちらが負担したとしても、3つ落ちた等級と事故有期間3年はそのまま残るので、もしもその後に友達自身が事故で保険を使ったら、すでに3つ落ちている等級からさらに3つ下の等級に落ち、事故有期間もすでに3年が付いているところへさらに3年が加算されて6年になります。
つまり、上がった保険料分を負担しても問題は解決しないのです。
だから絶対的に100%例外なく必ず友達との関係は悪化します。
したがって、友達の車で事故を起こした場合に友達の保険を使うという選択肢は実質的に有り得ないものとなります。
自分の車の他車運転特約を使う以外に方法はありません。
以上が他車運転特約の内容です。
「他人の車」を「臨時に」運転して事故を起こした場合に自分の車の自動車保険が使える、これが他車運転特約です。
ご覧いただきありがとうございました。