画像:損保ジャパン
(このページで解説する損保ジャパン日本興亜のドライブレコーダー特約は、損保ジャパン日本興亜の自動車保険の加入者(新規あるいは継続契約)だけがつけられる特約です。ドライブレコーダー特約を単独で契約することはできません。)
損保ジャパンの自動車保険には特約としてドライブレコーダー特約(ドラレコ特約)を付けることができます。
正式名称は「ドライブレコーダーによる事故発生時の通知等に関する特約」といい、愛称は「DRIVING!(ドライビング)」と言います。
通常の自動車保険の保険料とは別に、特約保険料として月額850円(年払9,720円)が必要です。
この特約を付けて申し込むと、損保ジャパンから専用のドライブレコーダーが送られてきます。
前1カメラ(前方のみ記録)のドライブレコーダーです。
このドライブレコーダーと市販のドライブレコーダーとの相違点は通信機能の有無です。
市販のドライブレコーダーは映像を記録することだけで機能は完結しますが、この特約で貸与されるドライブレコーダーは、事故が発生すると自動的に事故発生が損保ジャパンに送信されます(自動通報)。
また、その際に事故の前後10数秒の画像も自動送信され、事故の状況把握や後々の過失割合の交渉等に役立てられます。
事故で通報を受けた損保ジャパンは、状況に応じて警察や救急車などに出動依頼します。
つまり、事故でドライバーが気を失ったり、パニック状態で何から手を付けていいかわからずオロオロしているケースでも機械が自動で事故報告をしてくれるということです。
また必要があれば、全国2,400の拠点からALSOKのガードマンが24時間いつでも現場へ急行し、安全確保や救急車の手配、事故の相手からのヒアリングなど、事故時に必要な初期対応をやってくれます。
もちろん、自動通報だけでなく手動でオペレーターと通話することができ、適切なアドヴァイスを受けることが可能です(手動通報)。
さて、損保ジャパンから送られてくるこのドライブレコーダーは、原則として、自分で車に取り付けます。
ドライブレコーダーの役割は、事故時の自動通報・手動通報を含めて3つの機能を有しています。
事故時の通報以外の残り2機能ですが、まず走行距離・走行時間・ヒヤリハットが発生した場所等の走行データを常時記録し、記録したデータを常時クラウドサーバーに送信して、毎月1回更新される運転診断レポートで見える化します。
また、運転を常時監視しているので、たとえば、前方の車との車間距離が危険な距離にまで詰まってしまった場合は警告音で注意を促します。
このように損保ジャパンのドライブレコーダー特約で貸与されるドライブレコーダーは、市販のドライブレコーダーの「映像を記録する」機能だけでなく、様々なサービスを複合的に提供するのが特徴です。
ただし、です。
市販のドライブレコーダーでは前後2カメラや360度カメラなどが主流になりつつありますが、この特約で貸与されるのは前1カメラなので、あおり運転などを一部始終撮影してこれを「証拠映像」として警察に提出する、といった用途にはやや役不足です。
大きなメリットがある一方で一部デメリットもある点は指摘しておきたいと思います。
前1カメラが360度カメラに進化すれば、ほぼ満点の特約と言えると思いますので、その点が残念です。
(※)損保ジャパンでは、あおり運転対応として、あおり運転に遭遇した場合、ドライブレコーダーのボタンを押すことであらかじめ登録している連絡先(家族など)に前後計15秒の映像と位置情報が送信され、これを受信した家族などが状況に応じて警察へ連絡できる、というサービスを追加しています。
紹介動画(4:55)
主要な3機能
損保ジャパンのドライブレコーダー特約「DRIVING!(ドライビング)」で貸与されるドライブレコーダーは主に3つの機能があります。
<1>事故発生時の自動通報と手動通報
- 一定の衝撃を上回る事故が発生したら、ドライバーが何もしなくても自動的に事故連絡が損保ジャパンに送信されます(自動通報)。
- その際、事故時の映像(衝撃検知の前後10秒程度)も同時に送信されます。
- 事故連絡は損保ジャパンだけでなく、あらかじめ登録してある家族にも送信されます。
- 自動通報で事故発生と事故時の映像を受け取った損保ジャパンでは、状況に応じて、警察への連絡、救急車の出動依頼を行い、また事故時の映像は相手方と過失割合等の示談交渉する際の重要な証拠映像として活用されます。
- さらに、要請があればALSOKのガードマンが30分以内に事故現場に駆けつけ、安全確保や救急車の手配、事故の相手からのヒアリングなど、事故時に必要な初期対応を代わりにやってくれます。
- 自動通報は上記のように一定の衝撃をドライブレコーダーが検知した際に行われますが、そうした衝撃に満たない事故が発生した場合は、ドライブレコーダーの赤ボタン(緊急連絡ボタン)を押すことでオペレーターと手動で通話ができるので、そこで通常の事故連絡ができます(手動通報)。
<2>運転中の車間距離アラート機能
- 運転中に前方の車両との車間距離が一定以下に詰まると、ドライブレコーダーが衝突の危険を感知して警告音を鳴らしドライバーに注意喚起します。
<3>月1回の運転診断レポートでドライバーの癖を「見える化」
- ドライブレコーダーは事故時の映像だけでなく、走行経路・走行距離・走行時間・運転時のブレーキのタイミング・ハンドル操作などを常時記録し、そのデータが常時クラウドサーバーに送信され続けます。
- こうしたデータからドライバーの運転の癖を分析し、月に1回Rodecoと呼ばれる運転診断レポートにまとめます。
- これをドライバーページで閲覧(パソコン・スマホ)することで、自分の運転を客観的に見つめなおすことができ、その後の運転に生かされます。
- また事故多発地点・逆走多発地点マップも提供されます。
高齢ドライバー・事故時の対応が不安な人には福音となるはず
損保ジャパンから貸与されるドライブレコーダーが前1カメラで車の前方しか撮影できない点は、確かに残念なところではあります。
しかしながら、その一方で、現状の前1カメラであっても、事故の際は自動通報されたり、アルソックが事故現場に駆けつけてくれたり、イザという時に大いに助かるサービスであることも間違いないところです。
とりわけ、高齢で運転にやや不安があるけれど生活に車は欠かせない、といった人は日本全国に数多くいらっしゃいます。
あるいは、事故が発生した際、どうしても平静でいられず、どこにどう連絡すればいいのか、何から手を付けていいのか、こういうことを冷静に行う自信がないという人、こういう人も数多くいらっしゃると思います。
こうした方々にとって、損保ジャパンのドライブレコーダー特約が提供するサービスは、掛け値なしに役立つサービスだと思います。
まして、事故で意識を失うケースもあります。
押しつぶされたボディーに挟まれて身動きが取れないケースもあります。
こうした重大事故の際、ドライブレコーダーが自動で事故連絡をしてくれ、警察に通報し、救急車の出動も依頼してくれたら、まさに「命の恩人」となりうるサービスです。
なかには、自分には当面必要ないかもしれないけれど、高齢の親の運転が心配なので、親の自動車保険にはぜひこの特約を付けてもらいたい、と考える方もいらっしゃるでしょう。
また、事故現場での自動通報などに比べて、地味で、ちょっと「付け足し感」のあるその他のサービスですが、これがけっこう役に立つことも付け加えておきます。
ドライブレコーダーが記録する様々な走行データは常時クラウドサーバーに蓄積されています。
こうしたデータは月に一度グラフなどで「見える化」されてドライバーにフィードバックされます。
ドライバーはパソコンかスマホで閲覧できます。
そこで閲覧するデータは、「一般的な」運転データではなく「自分の」運転データです。
自分の運転の傾向を客観的に見つめ直すきっかけになり、その後の安全運転に生かされるのです。
みなさんも車のメーターパネルなどに、急ブレーキや急ハンドルで赤ランプが点灯したり、穏やかにアクセルを踏んだ際に緑のランプが点灯したりすると、けっこう自分の運転操作を意識するようになる、といった経験がおありではありませんか?
あるいは、平均燃費計の数字がいつもより増えていたりすると、数字がもっと低くなるように運転を修正した経験もきっとあるはずです?
このように、自分の運転データというのは、地味なのですが、けっこうわたしたちのその後の運転操作に影響を与えるものです。
ドライブレコーダー特約から貸与されるドライブレコーダーにはこうした機能も付いているので、この点は市販品に比べて大きなアドバンテージなっていると思います。
確かに、理想を言えば、前後2カメラか360度カメラにして欲しいのですが、現状の前1カメラでも特約保険料を支払うだけの価値は充分あると思います。
自動車保険の特約:月額850円・年払9,720円
損保ジャパンのドライブレコーダー特約「DRIVING!(ドライビング)」は自動車保険の特約です。
通常の自動車保険の契約に追加する形で契約します。
追加となる特約保険料は、月額で850円。
年一括払いでは9,720円です。
月額の850円×12ヶ月だと10,200円になり、数字が合いませんが、これは月額の850円が割増料金を含んでいるからです。
つまり、年一括払いの9,720円に1.05(5%)を掛け、その数字を12で割ると、約850円です。
ところで、ドライブレコーダー特約を付けた損保ジャパンの自動車保険に3年間加入した場合、特約保険料は合計で30,600円になります(月額で計算)。
5年間だと、51,000円です。
オートバックス等で市販のドライブレコーダーを購入する場合、現在主流になりつつある前後2カメラや360度カメラは20,000円から40,000円ほどで購入できます(2019年9月の相場)。
こうなると、わたしたちには迷いが生じると思います。
ドライブレコーダー特約で貸与されるドライブレコーダーを付けるか、それとも、市販のドライブレコーダーを購入するか、という迷いです。
貸与されるドライブレコーダーは、ただ映像を記録するだけでなく、事故時の自動通報や走行データをもとにしたドライバーの癖などを見える化するサービス、アルソックのガードマンによる事故現場駆けつけサービスなど、心強い部分がたくさんあります。
ただし、あおり運転の被害にあった場合などは、貸与される前1カメラだけでは「証拠映像」としてやや心細い感じがします。
2019年の夏に常磐自動車道で発生して大ニュースになったあおり運転殴打事件の場合、被害者が360度カメラを付けていたからこそ、その映像が逮捕・立件の有力な「証拠映像」となったことは記憶に新しいところです。
どうすればいいのでしょう?
スマホ2台持ち、スマホ1台ガラケー1台、といった人も一定数いますが、これと同じように、ドライブレコーダーも、保険会社の貸与で1台、市販の360度カメラを1台、というように2台搭載すれば問題解決するのですが、それではお金がかかりすぎます。
困った話だと思います。
ドラレコ特約の申込みは始期日の2~3週間前に
損保ジャパンでドラレコ特約を付けた自動車保険の契約をする際、新規契約であれ継続契約であれ、契約してからドライブレコーダーが送付されるまでに2週間~3週間の時間がかかります。
そのため、契約日は保険の始期日より2週間~3週間前が望ましいことになります。
始期日直前に契約しても、もちろんドライブレコーダーは送られてきますが、その場合は、送られてくる日にはすでに保険が開始されていることになり、その期間はムダになるので、余裕を持って契約すべきです。
車両入替した場合はドライブレコーダーを付け替えます(自分で)
ドライブレコーダー特約を結んでいる自動車保険の保険期間中に車を入替した場合は、古い車から新しい車にドライブレコーダーを付け替えます(自分で)。
自動車保険の解約・ドライブレコーダー特約の解約の際は返却する必要があります
ドライブレコーダー特約を付けた自動車保険契約を解約したり、自動車保険契約そのものは続けるけれどドラレコ特約のみを解約した場合は、ドライブレコーダー本体を返却する必要があります。
その際、解約日から1ヶ月後程度で返却キットが損保ジャパンから送られてくるので、それにドライブレコーダー本体とSDカードを入れて送り返します。
返却期限は、返却キットが送付された日が属する月の翌月末日です。
この日までに返却されなかった場合は違約金(ドライブレコーダー本体30,000円、SDカード5,000円)が発生します。
シガーソケットまたはアクセサリーソケットが必要
ドライブレコーダー特約により貸与されるドライブレコーダーは、シガーソケットやアクセサリーソケットから電源を供給します。
したがって、これらが装備されていない車には取り付けできません。
貸与されるドライブレコーダーの仕様
ドライブレコーダー特約・DRIVING!で損保ジャパンから貸与されるドライブレコーダーは、SDカードに約10時間の映像を記録できます。
10時間経過したら順次上書きされていきます。
特約を申し込むと、
本体、 ケーブルクリップ、 取扱説明書、 本体取り付け用両面テープ(1枚)、 専用SDカード(1枚)、 サービスマニュアル
が送られてきます。
以下は、ドライブレコーダーの仕様です。
- (画質)動画: 最大HD(1280×720ピクセル) / 静止画:約92万画素
- (動画音声)なし
- (動画フレームレート)10コマ/秒
- (加速度センサー) あり(検知範囲 -8G ~ +8G)
- (ジャイロ(角速度)センサー)あり(検知範囲 -2000°~ +2000°/s)
- (位置情報センサー)あり(GPS、GLONASS衛星 受信サポート)
- (レンズの画角:前方1カメラ) 対角:170º (水平:139.5º、垂直:71.5º ±5%)
自家用・営業用いずれも契約可能
損保ジャパンのドライブレコーダー特約・DRIVING!の契約対象となるのは次のいずれかの用途車種に該当する自動車です(ただし、登録番号のない構内専用車は除きます)。
① 自家用普通乗用車
② 自家用小型乗用車
③ 自家用軽四輪乗用車
④ 自家用小型貨物車
⑤ 自家用軽四輪貨物車
⑥ 自家用普通貨物車
⑦ 営業用乗用車
⑧ 営業用小型貨物車
⑨ 営業用軽四輪貨物車
⑩ 営業用普通貨物車
⑪ キャンピングカー
すべてノンフリート契約である必要があり、保険期間が3年以内の契約に限ります。
ドライブレコーダーの設置方法
ドライブレコーダー特約付きの契約を申し込むと、損保ジャパンから宅配便で専用ドライブレコーダーが送られてきます。
以下のものが同梱されています。
本体、 ケーブルクリップ、 取扱説明書、 本体取り付け用両面テープ(1枚)、 専用SDカード(1枚)、 サービスマニュアル
車に取り付けるには、まず車にシガーソケットかアクセサリーソケットが装備されている必要があります。
取り付け方法は、
- フロントガラスにドライブレコーダー本体を貼り付ける
- シガーソケットに電源コードを差し込む
- これで終了
と損保ジャパンのパンフレットに書いてありますが、実際は、見栄えがいいようにコードを隠したりする細かな作業もあって、それなりに手間はかかります。
しかし、自分でできるのは間違いないところです。
うまくできそうにない場合はオートバックスなどでやってもらうことも可能です(有償)。
大手代理店型4社のドラレコ特約の保険料を比較
大手代理店型保険会社(損保ジャパン・東京海上日動・三井住友海上・あいおいニッセイ)の4社はそれぞれドライブレコーダー特約を採用しています。
この4社の名称と保険料は以下のとおりです。
大手代理店型保険会社ドライブレコーダー特約保険料比較 | ||
月払い | 年払い | |
東京海上日動 ドライブエージェントパーソナル | 650円 | 7,480円 |
損保ジャパン日本興亜 DRIVING! | 850円 | 9,720円 |
三井住友海上 GK 見守る車の保険(ドラレコ型) | 850円 | 9,700円 |
あいおいニッセイ タフ 見守る車の保険(ドラレコ型) | 850円 | 9,700円 |
※いずれも、通常の自動車保険の保険料とは別枠で上記保険料が追加徴収されることになります。
個別に解説:4社のドライブレコーダー付き自動車保険 | |
東京海上日動 ドライブエージェントパーソナル | 詳細内容はこちらのページ |
損保ジャパン DRIVING! | 詳細内容はこちらのページ |
三井住友海上 GK・見守るクルマの保険(ドラレコ型) | 詳細内容はこちらのページ |
あいおいニッセイ タフ・見守るクルマの保険(ドラレコ型) | 詳細内容はこちらのページ |
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