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ソニー損保の自動車保険にはオプションとして弁護士特約(弁護士費用特約)が用意されています。
ソニー損保でウェブ見積もりすると、おすすめプランとして必ずこの弁護士特約が登場します。
そこでこの特約がどんな場面で必要になるのか、補償の中身や範囲は、使えない例としてどんなものがあるのか、補償が重複するとはどういうことか、詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
【記事丸わかり】
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ソニー損保:ウェブ見積もりで必ず出会うのが弁護士特約
ソニー損保の自動車保険の見積もりを取るためにソニー損保のホームページでウェブ見積もりをすると、おすすめプランが3種類提示されます。
そのおすすめプランの中に必ず登場するのがこのページのテーマである弁護士特約(弁護士費用特約)です。
したがって、ソニー損保の自動車保険にはいくつも特約がありますが、この弁護士特約のことはよく内容を理解していないとどのプランで申し込めばいいのか最終決定することができません。
そこで、まずは、なぜソニー損保のおすすめプランにはいの一番に弁護士特約が出てくるのか、その点について解説していきたいと思います。
ソニー損保:ダイレクト自動車保険には代理店がつかない⇒⇒もらい事故では契約者が孤立する・・・
ソニー損保は通販型自動車保険です。
ダイレクト自動車保険とも呼ばれます。
損保ジャパンや東京海上日動のように代理店が間に入りません。
その分保険料を安くすることができ、実際かなり安いです。
ところで、自動車事故には「もらい事故」とか「被害事故」と分類される事故形態があります。
自分には過失がなく100%相手側に過失が生じる自動車事故のことで、たとえば、
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といった事故のことです。
ソニー損保の実績では、事故報告を受けた事故の3件に1件がもらい事故(被害事故)と推測されるということです。
ところで、このように自分に過失が生じない事故にあった場合、被害を受けた側の保険会社は顧客に代わって相手と示談交渉することができません(弁護士法 第72条 非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)。
つまり、もらい事故や被害事故と分類される100%相手側に過失が生じる事故の被害者になった場合は、保険会社は相手と交渉してはくれないのです。
その際、一般的に次のような言葉が流布されているのはみなさんも御存知でしょう。
「代理店型の保険会社ならあいだに代理店が入るからもらい事故でも安心だよ」
と。
しかし、これは間違いです。
もらい事故で示談交渉ができないのは保険会社も代理店もまったく同じです。
できない理由もまったく同じ「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止」によるものです。
このように、もらい事故や被害事故にあった場合は被害者が加入している保険会社は示談交渉する権限を持たず、それは代理店型でも通販型でもまったく同じにもかかわらず、一般には、「代理店型なら代理店が入るから安心」という間違った認識が広まっている現状があります。
ソニー損保がウェブ見積もりのおすすめプランにいの一番に弁護士特約を提示する理由はまさにここにあります。
「ソニー損保は通販型だけれど弁護士特約を付ければもらい事故でも安心ですよ」
と代理店型からソニー損保への乗り換え予備軍であるサイト訪問者に対してアピールしているのです。
実際のところ、代理店型保険会社である損保ジャパンや東京海上日動では弁護士特約をこれほど前面に押し出してアピールすることはありません。
ソニー損保:弁護士特約【詳細説明】
ソニー損保の弁護士特約には2つのタイプがあります。
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「自動車事故のみ」のタイプでは自動車事故で被害者になり、相手方に法律上の損害賠償請求を行う際に負担した弁護士報酬や法律相談に要した費用が支払われます。
「自動車+日常事故」のタイプは、「自動車事故のみ」の補償に加えて、他人が飼っている犬にかまれるなど日常生活での事故の解決にかかる弁護士費用や法律相談費用なども支払われます。
ソニー損保の弁護士特約 | |
<補償の対象になる人>
※道路歩行中の自動車被害事故に関しては上記が対象になりますが、自動車搭乗中の事故については次の人も補償の対象となります ※記名被保険者が法人の契約では契約車両による自動車事故のみ補償の対象となります | |
「自動車事故のみ」 |
※原動機付自転車(バイク)による事故を含みます |
「自動車+日常事故」 |
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この特約により支払われる保険金は次の2つです。 <弁護士費用等保険金>
<法律相談費用保険金>
※「自動車+日常事故」においては、事故の種類(自動車事故、日常の偶然な事故)ごとにこの限度額を適用します | |
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ソニー損保:弁護士特約(重要事項説明書の補足事項5ページ)
ソニー損保でウェブ見積もりをすると、おすすめプランには「自動車事故のみ」と「自動車+日常事故」とがわずかな保険料の違いで提示されます。
当サイトの管理人であるわたしの意見を言わせていただくと、「自動車事故のみ」にしておいたほうがいいと思います。
というのは、そもそもこれは自動車保険の特約なので、「自動車+日常事故」を付けて日常生活の被害事故が対象になるといっても、契約したときは憶えていてもそのうち忘れる可能性が高いからです。
もう20年近く経つと思いますが、以前の自動車保険には自動車と関係ないゴルフ保険だの何とか保険だのと様々な特約があって、そういうものを追加したのはいいけれど、いざ対象となる事故が発生しても契約者は既に忘れてしまっていて、その結果、本来受け取れるはずの補償を受け取れずにいる事例が続出したのです。
「保険金不払い事件」として社会問題化し、その結果、自動車保険には自動車保険に関連した特約を、ということでいったん業界のコンセンサスが生まれたはずでした。
それが、このところまた崩れてきたその代表例が、この「自動車+日常事故」なのです。
加入するときは「あればあったで役に立ちそうだな」と誰もが思うでしょう。
しかし、問題は、後日この特約の対象になる事故が発生しても、たいていの人がそんな特約に入っていることを忘れてしまうのです。
なぜなら、自動車事故と関係ない補償内容だからです。
したがって、追加保険料はわずかとは言え、結局使わない可能性の高い補償はつけないほうがいいと思う次第です。
ソニー損保:弁護士特約を使えないケース「保険金をお支払いしない主な場合」
ソニー損保の弁護士特約では以下のケースでは弁護士特約を使えません。
<補償タイプ共通>
<「自動車+日常事故」のみ>
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ソニー損保:弁護士特約(重要事項説明書の補足事項5ページ)
ソニー損保:弁護士特約は必要か?
結局のところ、ソニー損保で自動車保険に加入する場合弁護士特約は必要なのでしょうか?
はい、わたしは必要だと思います。
もしも弁護士特約に入っていなかったら、もらい事故の被害にあった場合に加害者側とのやりとりはすべて自分一人でやらなければなりません。
たとえ交渉がこじれていない場合であっても、細かなやり取りというのは精神的エネルギーを消耗するものです。
そうした連絡・手続き・交渉などを弁護士に丸投げできれば、普段どおりの生活を送ることができます。
また、示談交渉によって相手からの賠償額を決定するに際し、弁護士が入ったほうが賠償額が多くなるのが通例です。
なぜなら、交通事故の支払基準には3つあって、それぞれ次のような関係になっているからです。
自賠責基準 < 任意保険基準 < 弁護士基準(裁判基準) |
つまり、弁護士が入って交渉したほうが最終的な賠償額が高くなるケースが多いということです。
したがって、事故後のわずらわしさを避ける意味でも、また相手からの賠償額をより多く受け取るためにも、弁護士特約に入る意味はあると思います。
「自動車事故のみ」でいいので、ぜひ付けておくべき特約だと思います。
なお、弁護士特約に入った場合、もしももらい事故あるいは被害事故にあった場合は、事故の大小にかかわらず、また相手の対応の善し悪しにかかわらず、どんなケースであっても即座に弁護士特約を使うべきかどうか、これは意見が分かれるところです。
面白いことに・・・と言っては失礼ですが、保険会社の側は、小さな事故や、相手が支払いに応じてモメる要素がない事故であれば、わざわざ弁護士特約を使わなくてもいいですよね、といった傾向があります。
それに対して、弁護士さんのホームページを覗くと、事故の大小は関係ない、モメてるモメてないも関係ない、せっかく入っているのだから、即座に弁護士特約を使うべきだ、という傾向にあります。※もちろん使ったほうが有利である理由を提示した上の主張ですが。使ったほうが有利である理由とは、弁護士が入ったほうが賠償額が高くなること、相手との交渉を弁護士に丸投げすれば普段どおりの生活を送れること、などです
両者の言い分はそれぞれの立場を反映していてとてもわかり易いです。
わたしは中間的立場です。
モメる要素が少ない事故であれば、最短の方法を選ぶほうが楽だと思います。
意外とモメそうだと感じたら、そこから弁護士特約を使っても遅くはないはずです。
もらい事故にあった契約者のために、ソニー損保には「もらい事故相談サービス」という無料の窓口があります。※弁護士特約を付けていてもいなくても利用できるサービスです
まずはここで加害者側との対応の仕方についてアドバイスを受けてください。
多くのケースでは、ここでのアドバイスやサポートだけで事故が解決します。
これだけでは解決しない場合、解決しそうにない場合は、その時こそ弁護士特約を使う時です。
その際、必ずソニー損保に弁護士特約を使いたいと意思表示してください。
そうすればソニー損保が、あなたが指定する弁護士に依頼するか、ソニー損保が紹介する弁護士に依頼するか、いずれかを選ぶようにお伺いを立ててきます。
ソニー損保に連絡しないまま、あなたが勝手に弁護士に依頼し、あとから弁護士報酬等をソニー損保に請求しても、それでは支払いを拒否されます。
まずソニー損保に連絡することをお忘れなく。
ソニー損保:弁護士特約は「補償の重複」に注意
弁護士特約はソニー損保以外にもほとんどの保険会社が採用している特約です。
しかし、自動車保険の特約には自動ブレーキ割引(ASV割引)のように各社まったく同一内容の特約がある一方、細かに見ていくと会社によりかなり内容が異なる特約もあって、この弁護士特約はその代表例です。
ここでは弁護士特約の基本補償といえる「自動車事故のみ」でご説明します。
この特約の「補償を受けられる人」に関するご説明です。
「自動車事故のみ」の補償内容は自動車搭乗中と歩行中の自動車事故の2つに分かれます。
まずは自動車搭乗中に関する「補償を受けられる人」の範囲です。
結論を言いますと、ソニー損保の場合、一家に複数台車があるケースではそのうちの1台にだけ弁護士特約を付ければOKです。
他社、たとえば損保ジャパンの弁護士特約では、一家に複数台の場合、記名被保険者の家族に関しては1台だけ付けておけばOKですが、「友人・知人・他人」に関してはそれぞれの車に弁護士特約をつけなければ対象になりません。
損保ジャパンの場合、「友人・知人・他人」は弁護士特約を付けたまさにその契約車両に搭乗中でなければ補償の対象に含まれません。
しかしソニー損保では「友人・知人・他人」に関しても、複数台ある家族の車の中の1台にだけ弁護士特約を付ければ、それ以外の車に搭乗中も補償の対象に含まれます。
この件は、ちょっと不安だったので、ソニー損保に電話してスタッフの方に確認をとったのですが、それが上記の内容です。
以上のことから、ソニー損保の弁護士特約に関しては、一家に複数台車がある場合でも、そのうちの1台にだけ付ければ「補償の重複」は避けられます。
損保ジャパンをはじめ他の保険会社の弁護士特約の場合は、家族に関しては1台に特約をつければOKですが、「友人・知人・他人」にも補償をつけたい場合はそれぞれの車に弁護士特約を付ける必要があります。
これは「補償の重複」というより「補償の範囲」についてですが、そもそも弁護士特約の対象になる「家族」は次の人たちです。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
ここで注意が必要なのは、一番最後の「別居の未婚の子」です。
たとえば、父親あるいは母親が記名被保険者になった場合、「家族」のなかには当然「別居の未婚の子」が含まれます。
しかし、息子や娘が記名被保険者になった場合は、「家族」の範囲は同居の親族に限定されてしまいます。
父親あるいは母親にとって「別居の未婚の子」にあたる人は、息子や娘にとっては「別居の親族」ではあっても「別居の未婚の子」には該当しません。
以上のことから、一家に複数台車があり、そのうちの1台にだけ弁護士特約を付ける場合には、記名被保険者が誰の車につけるかを考える必要があります。
※「別居の未婚の子」とは婚姻歴のない子の意味で、現在は独身でも過去に婚姻歴がある人は含まれません。
つぎに、弁護士特約の「自動車事故のみ」の補償で、歩行中の自動車事故に関する「補償を受けられる人」の範囲です。
これはソニー損保も他社も同じ扱いです。
一家に車が複数台あったら、そのうちの1台だけに特約を付ければ下記の人たちがすべて補償されます。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
※ここでも「別居の未婚の子」が含まれるか含まれないかは誰を記名被保険者にするかによって変わります。
このページではソニー損保に関する解説をしているので、つい盲点になりやすいのですが、一家に車が複数台ある場合、自動車保険をすべて別々の保険会社に加入していることもあるはずです。
- Aはソニー損保
- Bは損保ジャパン
- Cはあいおいニッセイ
ということもあるでしょう。
たとえばAの車にソニー損保の自動車保険が付いていて、弁護士特約にも加入している場合、この場合も上記で説明したことが当てはまります。
つまり、BとCに弁護士特約が付いていなくても、Aの弁護士特約がBにもCにも及ぶので、BやCに搭乗中に被害事故にあった場合もソニー損保の弁護士特約が使えます。
その際、AだけでなくBとCに搭乗中の「友人・知人・他人」も補償の対象に含まれます。※ソニー損保の弁護士特約だからこその補償で、他社の特約では対象外になります
別のケースを考えてみます。
上記A・B・Cのうち、Bの損保ジャパンにだけ弁護士特約が付いていて、他には付いていないケースです。
この場合も、記名被保険者の家族に関してはA・B・Cいずれの車に搭乗中も補償の対象に含まれます。
しかし、「友人・知人・他人」に関してはBの損保ジャパンの弁護士特約が付いている車に搭乗中しか補償されず、AとCに搭乗中は対象外になります。
家族以外を車に乗せる機会が多い人は注意しなければいけない点だと思います。
弁護士特約の「補償の重複」に関して、最後にもう1点。
最後は補償額に関してです。
ソニー損保の場合、
- 弁護士費用等保険金:300万円限度
- 法律相談費用保険金:10万円限度
となっています。
もしも1家に3台ある車それぞれにソニー損保の弁護士特約を付けた場合、「補償の対象になる人」に関してはここまでのご説明のように完全に重複してしまいますが、補償限度額に関しては重複することなく、積み上げられます。
つまり、
- 弁護士費用等保険金:900万円(300万円×3)限度
- 法律相談費用保険金:30万円(10万円×3)限度
となります。
相手から受け取る賠償金の額が高額になるほど弁護士費用も吊り上がるので、限度額は高いに越したことはなく、その意味で一家の車に各々弁護士特約を付けることにまったく意味がないわけではありません。
とは言え、300万円と10万円でほとんどのケースでまかなえることがこれまでの使用例からわかっているので、やはりモッタイナイ掛け方であることは確かです。
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ご覧いただきありがとうございました。