【超丁寧解説】ASV割引=自動ブレーキ割引:対象車の型式・対象車種確認

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2018年1月から自動車保険の割引にASV割引自動ブレーキ割引)が適用されることになりました。

損害保険各社が続々と採用に踏み切っています。

登録車も軽自動車も割引率は同じで9%です。

ただ、この割引には対象車種や適用条件などでややわかりにくいところがあるので、このページではみなさんの疑問がすっきりクリアーになるよう詳しく解説したいと思います。

しばらくお付き合いいただけると幸いです。

ASV割引とは?そもそもASVとは?

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ASV割引のASVとはAdvanced Safety Vehicle(先進安全自動車)のことで、自動車の安全な走行のための先進技術を備えた車のことです。

代表的なものとして、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)、車線維持支援装置、定速走行・車間距離制御装置といったものがあります。

このページのテーマであるASV割引の対象になるのは衝突被害軽減ブレーキ(AEB)を装着した車です。※AEBとはAutonomous Emergency Brakingのこと

その他の車線維持支援装置や定速走行・車間距離制御装置などは割引とは関係ありません。

いわゆる自動ブレーキだけが割引の対象ということです。

ASV割引の条件
衝突被害軽減ブレーキ(AEB)が装着されていること

ASV割引の対象車・対象車種

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ASV割引の対象になる車種は乗用タイプの車で、次の3つです。

ASV割引の対象車種
自家用普通乗用車 プリウス・アウトランダーなど
自家用小型乗用車 フィット・デミオなど
自家用軽四輪乗用車 N-Box・ワゴンRなど

ASV割引の対象車・対象車種の見分け方

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ASV割引の対象になるのは衝突被害軽減ブレーキ(AEB)を装備した車です。

つまり自動ブレーキを装着した車です。

しかし、今では安全装備として「自動ブレーキ」だけを単独で装備している車は少数派です。

多くの車は、自動ブレーキはもちろん車線維持支援装置や車間距離制御装置など複数の安全装備をセットにしています。

たとえば、「Hondaセンシング」と名づけられた安全装備には、自動ブレーキ・車線維持支援装置・車間距離制御装置・標識認識機能・オートハイビーム・その他がセットになっています。

このように、自動車各社は独自の名称で安全装備をアピールしています。

下記の名称で呼ばれている安全装備は、すべてASV割引の対象となる衝突被害軽減ブレーキ(AEB)を備えています。

ダイハツ スマートアシスト
スズキ デュアルセンサーブレーキサポート
スバル アイサイト
マツダ レーダーブレーキサポート
ミツビシ 三菱e-Assist
ホンダ Hondaセンシング
日産 インテリジェントエマージェンシーブレーキ
トヨタ トヨタセーフティーセンス

では、こうした名称の安全装置を備えている車であればすべてASV割引の対象になるかというと、そうではありません。

ここがわかりにくいところで、ちょっと説明が必要になります。

発売から3年以内の「型式」であること

発売から3年以内の型式・ASV割引=自動ブレーキ割引:対象車の型式・対象車種確認

登録車と軽自動車で扱いが異なるので、まずは登録車(自家用普通乗用車・自家用小型乗用車)からご説明します。

自動車の車検証には必ず「型式かたしき」があります。

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ASV割引の対象になるのは、この型式が発売から3年以内のものに限られます。

ですから、たとえばスバルのアイサイトを搭載したレヴォーグは2014年の発売以来型式はずっと「DBA-VM4」です。

この記事を書いているのは2018年10月ですが、今現在もレヴォーグは「DBA-VM4」で販売されています。

すると、2018年10月に保険始期の契約を結んだ場合、レヴォーグはASV割引の対象外になります。

なぜなら、「発売から3年以内の型式」という条件から外れるからです。

なお、「発売から3年以内」というのは少し簡略化して表現しています。

割引適用期間に関する厳密な記述としては、各自動車保険会社の中でおとなの自動車保険の説明が一番わかりやすいので、ここに引用します(わかりやすいと言っても、比較的に、ですが)。

ASV割引の適用期間

型式の発売年月から約3年以内(※1)の自動車

(※1)型式が発売された年度(4月から翌年3月まで)に3を加算した年(暦年)の12月末までの期間をいいます。

例:2019年2月(2018年度)に発売された型式は、2021年12月まで割引が適用されます。

おとなの自動車保険

※なお、各保険会社のASV割引に関する説明は、日本損害保険協会のこのページをアレンジする形でなされています。各社表現は違っても内容は同一です

上の説明の中の「型式が発売された年度」という文言にも説明が必要です。

「車を購入した年度」とは違うのでご注意ください。

たとえば、購入したのが2018年10月でも、先ほどのレヴォーグのように、型式が発売されたのが3年以上前であれば、ASV割引の対象外になってしまいます。

このあたりはとても紛らわしいところだと思いますが、それにしても、なぜ「3年」なのでしょうか?

これに関しても説明が必要だと思います。

3年経過したら「型式別料率クラス」に組み込まれる

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なぜ「3年」なのか、について。

自家用普通乗用車と自家用小型乗用車(白地に分類番号5・7・3のナンバー)の自動車保険料は、車の型式ごとに決められた「型式別料率クラス」によって計算されます。※軽自動車は対象外

料率クラスは、対人、対物、傷害、車両それぞれで9つのクラスに分けられます。

この型式別料率クラスは、過去3年分の保険金支払い実績が反映されるしくみになっていて、毎年1月1日に見直されます。

つまり、「3年」経過すれば、その型式を持つ車の事故率やそれに伴う保険金支払い実績のデータが得られるので、得られたデータを元に料率クラスを更新すればいいわけです。

ASV割引というのは、いわば「経過措置」として導入されている割引です。

改良された自動ブレーキによる事故率などはまだデータが得られていないので、データが集約されるまでの3年間は一律9%で暫定的に割引しておき、3年経過したら料率クラスに反映させ、割引もそこで終了ということになります。

前の項目で2014年発売のレヴォーグにはASV割引が適用されないと書きましたが、適用されないのは、すでに発売から3年経過しているので型式別料率クラスに事故率・保険金支払い実績等のデータが反映されているからです。

ちなみに2018年度のレヴォーグ(DBA-VM4)の型式別料率クラスは以下の通りです。

対人 対物 傷害 車両
4 3 4 4

※レヴォーグに装備されたアイサイトによる事故率低下のデータが組み込まれた料率クラスです(だからASV割引はない)

※型式別料率クラスは毎年更新されます

この型式別料率クラスは、現在のところ自家用軽四輪乗用車には採用されていません。

しかし、2020年1月1日までに導入される予定です。

けれども、2018年現在は採用していないので、ASV割引に関して自家用普通乗用車などとは扱いが異なります。

軽自動車のASV割引に年数制限はない

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自家用軽四輪乗用車の場合は、ごく単純に、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)が付いてさえいればASV割引が適用されます。

自家用軽四輪乗用車のASV割引適用期間
型式の年数制限なし(古い型式でも自動ブレーキが付いていれば割引が適用される)

ただし、2020年には型式別料率クラスが導入される予定なので、それ以後の扱いは自家用小型乗用車や自家用普通乗用車と同じ扱いになると思います。

ASV割引を採用している保険会社一覧(通販型・代理店型)

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ASV割引を採用している保険会社一覧です。

まず通販型自動車保険(ダイレクト自動車保険)を見てみます。

ASV割引を採用している保険会社(ダイレクト自動車保険)
ソニー損保 〇(2018年4月~)
おとなの自動車保険(セゾン) 〇(2018年7月~)
アクサダイレクト 〇(2018年10月~)
チューリッヒ ◯(2019年1月~)
三井ダイレクト 〇(2018年7月~)
イーデザイン損保 〇(2018年7月~)
SBI損保 〇(2018年1月~)

次に代理店型自動車保険です。

ASV割引を採用している保険会社(代理店型自動車保険)
損保ジャパン日本興亜 〇(2018年1月~)
三井住友海上 〇(2018年1月~)
あいおいニッセイ同和 〇(2018年1月~)
東京海上日動 〇(2018年1月~)

※JA共済(農協)もASV割引を採用しています。こくみん共済coop(全労済)は2019年1月1日から採用⇒名称「AEB割引」

あなたの車がASV割引の対象車種(型式)かどうか検索する方法

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損害保険料率算出機構の「型式別料率クラス検索」を利用します。型式別料率クラス検索・ASV割引・自動ブレーキ割引・車種・対象車・型式・対象車種

メーカー・車名」からでも「型式」からでも検索できます。

「型式」を入力する際に注意していただきたいのは、たとえばスバル・レヴォーグの場合、車検証の型式欄には「DBA-VM4」とありますが、入力するのはハイフンの右側の「VM4」だけです。

ダイレクト自動車保険でASV割引の適用を受ける方法

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前の項目の「型式別料率クラス検索」であなたの車がASV割引対象車かどうかがわかればいいのですが、それでも明確にわからない場合は、ダイレクト自動車保険で見積もりを出してもらうか、保険料一括比較サイトを利用すると、対象車種かどうかわかります。

保険会社では、「型式欄」に打ち込まれた型式データからその型式の発売日がわかるので、自動的にASV割引の対象かどうかの結果が出ます。

ただし、なかには微妙なケースもあるようです。

つまり、型式の発売日は約3年以内で問題ないけれど、その型式の車には自動ブレーキが付いているものと付いていないものがある、といったケースです。

そのためか、アクサダイレクトのHPにはこんな説明があります。

ご契約のお車のAEB装着の有無はお客様にご申告いただきますが、あわせて当社から「一般財団法人自動車検査登録情報協会」内に設置された「ASV情報データベース」等へ照会しAEBが装着されている事実を確認させていただきます。

引用:アクサダイレクト「ASV割引」

いずれにしても、ASV割引の割引率は9%もあるので、保険会社としても間違うと大きな損失になりますから、保険料を算出する際はきっちりと確認します。

ところで、ここにASV割引に関して恐らく最も数の多いトラブルと思われる事例があります。

このページのこれまでのご説明の「まとめ」の意味も込めてご紹介させていただきます。

<Q>継続手続きをしました。今回新車に変更し自動ブレ-キ付の車になりましたが、マイナ-チェンジで型式は変更となっていないためASV割引(自動ブレ-キ割引)が受けられないとのことでした。実際自動ブレ-キが付けば事故は減るのに不公平感が残りました。

<A>ASV割引(自動ブレーキ割引)についてご説明申し上げます。

この割引は、保険始期日時点で発売から約3年以内の型式であることが適用条件のひとつとなっております。

これは、発売から約3年以内の型式の場合には保険実績が不足しており、型式別料率クラスに十分にリスク実態が反映されていないことから、ASV割引(自動ブレーキ割引)を設定することで自動ブレーキの効果を保険料に反映させることにしているためです。
なお、型式別の保険実績を反映できないことから、型式によらず一律の割引となっております。
発売から約3年以上経過している型式につきましては、型式別に集計された保険実績が蓄積されて、型式別料率クラスに自動ブレーキの効果を含めたリスク実態が既に反映されています。
そのため、ASV割引(自動ブレーキ割引)は適用対象外となっております。
ASV割引(自動ブレーキ割引)適用の仕組みがわかりにくく誠に申し訳ございません。ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

引用:ソニー損保「コエキク質問箱」

上の回答を要約すると、あなたの車の型式は発売から3年以上経過しているのですでに自動ブレーキによる事故の軽減率を反映した保険料になっています。つまり割引後の金額になっています。だからあなたは何もソンはしていません。ASV割引を組み入れた保険料になっているからです、ということになります。

それにしてもソニー損保の回答者の方はとても丁寧でちょっと感動的です。

自動ブレーキ付きの車は本当に事故率が低いか?

自動ブレーキ付きの車は本当に事故率が低いか・ASV割引=自動ブレーキ割引:対象車の型式・対象車種確認

最後に、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)が付いた車の事故率の統計数字を見ておきたいと思います。

ボルボが公表した事故率

2009〜2015年度に新規登録されたボルボのオートブレーキ・システム搭載車は、非搭載車に比べて日本における事故発生率が69.0%減、追突事故発生率が76.5%減少、対人事故発生率が58.6%減少

スバルが公表した事故率

2010年~2014年において、アイサイト(ver2)搭載車と非搭載車の比較で、事故総件数61%減、対歩行者49%減、対車両その他62%減(うち追突84%減)。

公益財団法人交通事故総合分析センター

2018年9月3日公表資料。

衝突被害軽減ブレーキ(AEB装置)の対四輪車追突事故低減効果の分析結果です。

衝突被害軽減ブレーキ(AEB装置)を搭載した自家用乗用車(普通・小型・軽)と未搭載車を比べると、登録・届出車数10万台当たりの対四輪車追突死傷事故件数は、AEB 未搭載車:208.9件、AEB 搭
載車:98.4件と、AEB 搭載車は110.5件少なく、事故率は52.9%低くなっています。

ボルボとスバルの統計はやや古く、またメーカー自身が公表している数字なのである程度の「上乗せ」はあると見るべきですが、交通事故総合分析センターの事故率は一応信頼していいのではないでしょうか。

事故がおよそ半分と言うことですから、かなりすごい数字だと思います。

それと、実際に自動ブレーキの事故を見た場合、最終的に止まりきれずに衝突した場合は、もちろん1件としてカウントされるのですが、しかし、自動ブレーキによって減速しつつ衝突した場合の衝撃と、減速なしに衝突した場合の衝撃とは、まったく異なる結果になります。

つまり、自動ブレーキ付の車で事故件数としてカウントされた中には、自動ブレーキが付いていなかったらさらにもっと重篤なケガ・物の損傷になっていたであろう事故が含まれていると思います。

そうした事情も考慮すると、やはり自動ブレーキの効果はかなり出ているのだと思います。

その一方で、みなさんもご存知かと思いますが、一口に「自動ブレーキ」と言っても、性能にはかなりの開きがあるのが実態です。

20km以下では作動しない自動ブレーキもあれば、人を感知しない自動ブレーキもあります。

また、再現性が乏しいもの、つまり、同じ条件なのにあるときは作動しあるときは作動しないといったバラつきが多い自動ブレーキもあります。

今後、性能が向上し、すべての自動ブレーキが最低限のレベルをクリアーするのを願うばかりです。

自動ブレーキ・義務化・2021年・いつから・対象車種

【超丁寧解説】自動ブレーキ義務化|新車は2021年から|基準も厳格化

2019年11月28日

ご覧いただきありがとうございました。