1960年代後半――
日産とプリンス自動車の合併は、
単なる企業統合では終わりませんでした。
その裏では、
技術者同士のプライドが激しく衝突していたのです。
その象徴が
S20型エンジンでした。
S20型エンジンとは何か
S20型エンジンは、
当時としては異例の高性能ユニットです。
レーシングカー由来の技術が投入されていました。
S20エンジン主要スペック
このエンジンは
まさに「公道を走るレーシングエンジン」でした。
スカイラインGT-Rでの成功
1969年、
スカイラインGT-R(PGC10)に搭載。
この組み合わせは、
モータースポーツで圧倒的な強さを発揮します。
連勝記録を重ね、
GT-R神話を築き上げました。
フェアレディZ432での問題点
同じS20を搭載した
フェアレディZ432。
しかし結果は対照的でした。
現場評価は
「扱いづらい」「完成度が低い」
と厳しいもの。
その原因は複合的です。
Z432での主な問題
つまり、
車体側がS20に適していなかったのです。
配分問題というもう一つの真実
さらに根深い問題がありました。
それが
エンジンの配分問題です。
旧プリンス系の技術者たちは
品質の良いS20エンジンを
優先的に
スカイラインGT-Rへ回していたとされています。
そして
フェアレディZには二番手の個体が回されていたのです。
エンジン配分の実態
この背景には
合併後も消えなかった
プリンス vs 日産の確執がありました。
皮肉な結末:L型エンジンの成功
Zの運命を変えたのは
L24型エンジン(SOHC)でした。
プリンス側からは
「トラックのエンジン」と揶揄された存在です。
しかし――
L24エンジンの成果
結果的にZは
S20ではなく
L型エンジンで成功を収めます。
S20エンジンの終焉
名機と呼ばれたS20も、
1973年3月――
排出ガス規制に適合できず生産終了。
短い期間でその歴史を閉じました。
技術ではなく「人」が左右した名機
S20は確かに
当時最高峰のエンジンでした。
しかし
車体との適合問題
組織内の対立
エンジン配分の偏り
これらが重なり、
その真価はすべての車種で発揮されたわけではありませんでした。
だからこそ
GT-Rでは伝説となり
Z432では賛否の残る存在となったのです。


