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目次
国税専門官の転勤事情:勤務地、頻度、引っ越し費用と手続きなど
転勤がある理由
国税専門官は転勤が当たり前と言われていますが、その理由は癒着を防ぐためです。
国税専門官は納税者に対して正しく税金を徴収することが仕事ですが、同じ地域や人と長く関わると、不正や甘い対応をしてしまう可能性があります。
そのようなことを防ぐために、定期的に異動することで新鮮な目で仕事に取り組むことができます。
国税専門官と納税者との癒着例
国税専門官と納税者の間において、癒着や不正な取引が行われることは、極めて遺憾なことですが、過去にいくつかの実例が報告されています。
産業廃棄物処理業者への不適正な指導:
ある国税専門官が、産業廃棄物処理業者から金品授受や接待を受け、その業者に対して納税を免れる不適切な指導を行っていたことが発覚しました。
建築業者への不正な取引:
ある国税専門官が、建築業者から金品を受け取り、不正な税務指導や納税処理を行っていたことが発覚しました。
税務相談業者との癒着:
ある国税専門官が、税務相談業者と金品授受などの癒着関係を持ち、税務調査や納税指導に際して、業者に有利な対応を行っていたことが発覚しました。
以上のように、国税専門官と納税者等の間で癒着が生じる場合は、ほとんどが金品の授受、接待供応です。
こうした不正が時折発覚するのが実情であり、このような癒着を未然に防止すたための一環として、国税専門官が同じ勤務地に長く勤務しないよう「転勤」が実質的に制度化されているのです。
勤務地と転勤先の関係
国税専門官は、国税専門官採用試験に合格したのち、全国にある11の国税局・1つの国税事務所に採用され、その局の管轄内の税務署に配属となります。
たとえば、東京国税局に採用された場合、管轄となるのは東京都、千葉県、神奈川県、山梨県の4都県です。この4都県内にある税務署の数は合計で84箇所で、転勤があるとしたら、基本的にこの84の税務署の間を異動することになります。
ごくまれに、東京国税局から広島国税局に転勤となったり、札幌国税局から高松国税局に転勤になったりすることはあるようですが、本当にそれは稀な事例のようです。
勤務地はある程度希望が取り入れられる
国税専門官の勤務地は、研修や面接で本人の希望を聞き取り、ある程度は希望が受け入れられるものの、最終的には国税局の命令に従わなければなりません。
というのも、各地の税務署や税務局が募集している人員の数にはバラつきがあるので、柔軟な人員配置が求められるためです。
転勤の頻度
国税専門官の転勤の頻度については、国税庁の公式ウェブサイトによると、転勤のサイクルは2~3年で異動しているケースが多いとされています。
また、別のウェブサイトでは、国税専門官は1~5年に1度転勤があるとも言われています。(元公務員のブログ)
海外勤務も
本人に意欲や適性があれば、海外勤務のチャンスもあります。
これまでにも、数は少ないものの、国税専門官がイギリス、フランス、オーストラリア、中国、アメリカ、シンガポールなどに赴任しています。
仕事の内容は、海外税務情報の収集、領事館や国際機関での仕事、日本からの出張者の案内や日本企業の取引内容の資料収集などがあります。
海外での仕事に興味がある人は、早いうちから意欲があることを積極的にアピールしていくべきです。
引っ越しを伴う転勤
たとえば、東京国税局を勤務地として採用された国税専門官が、最初の任地である石神井税務署から井の頭税務署に転勤を命じられた場合、引っ越しは不要だと思います。
しかし、同じ東京国税局管内で、山梨県の甲府税務署に転勤を命じられた場合は、家族で引っ越しをするか単身赴任をするか、いずれかを選択する必要があるでしょう。
子供がいる場合いない場合、いる場合は子供の年齢等によって、様々な選択と決断が迫られる場面です。
引っ越し費用・諸手続き
国税専門官の転勤で引っ越しが伴う場合、引っ越し費用は公務員の引越し手当として支給されます。現状では、定額支給(距離数にあわせた段階制)と実費支給(引越し業者の見積もりの中で、最も安価な金額)の2つの支給方法があります。
時代の流れは、定額支給から実費支給になりつつあります。
また、国税専門官が転勤で引っ越しをする際には、以下のような諸手続きが必要となります。
- 転居届の提出:住所に変更がある場合は、転居届を提出します。国税専門官は国家公務員としての立場から、正確に住所変更の手続きを行うことが求められます。
- 運転免許の更新:引っ越し先の住所にあわせて、運転免許証の住所変更手続きを行います。引っ越し先の住所地を管轄する陸運支局または免許センターで行うことができます。
- 郵便物の転送:引っ越し先の住所に郵便物が届くように、今まで住んでいた住所地をテリトリーとする郵便局に新住所地への転送届けを出します。1年間、旧住所あての郵便物を新住所に無料で転送してくれます。
- 水道・電気・ガス・インターネットなどの手続き:引っ越し先での水道・電気・ガス・インターネットなどの手続きも必要です。
以上のように、国税専門官が転勤で引っ越しをする際には、住所変更や免許証、郵便物の転送、水道・ガス・インターネットなど様々な手続きが必要です。
転勤回数が増えてくると、必要事項を一覧表にして、それはもう「手慣れたもの」になり、様々な手続きを短期間で一気にやってしまうようです。
国税専門官に限らず、世の「転勤族」の皆さん、手続きで苦労するのは最初だけのようです。
転勤のメリット・デメリット
国税専門官は転勤が多い仕事ですが、一般的に、転勤には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 幅広い業務経験ができる:異なる職場や地域での業務を経験することができます。
- 人脈の拡大:転勤することで、新しい職場や地域で多くの人と出会うことができます。その中から、業務上のパートナーや友人を得ることができ、人脈の拡大につながることがあります。
- キャリアアップの機会:転勤により、業務経験や能力が評価され、昇進や管理職への昇格の機会が得られることがあります。
デメリット
- 家族の生活の不安定化:転勤によって、家族の生活が不安定になることがあります。引っ越しや転校、就職など、家族にとって多くのストレス要因となることがあります。
- 住居環境の変化:転勤により、住居環境が大きく変化することがあります。転勤先での住居探しや新しい生活環境への適応に時間を要することがあります。
- 職場での人間関係の構築:新しい職場で、人間関係を構築することが難しい場合があります。また、転勤先での業務に馴染むまでに時間を要することがあります。
以上のように、国税専門官が転勤することには、メリットとデメリットがあります。転勤に伴うストレスを最小限にするためには、家族とのコミュニケーションや、転勤先での社交活動などが大切になってきます。
ご覧いただきありがとうございました。
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