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ノンフリート等級には「S」と「F」が付く等級が2つあります。
6等級と7等級です。
この2つ以外に「S」と「F」が付く等級はありません。
「S」は新規契約の記号です。
「F」は既契約の記号です。
たとえば同じ6等級でも、新規で契約した際の6等級と、9等級から事故で3等級ダウンした6等級とでは、割引率が異なります。
同様に、同じ7等級でも、セカンドカー割引により7等級で新規契約したものと、10等級から事故で3等級ダウンした7等級とでは、割引率が異なります。
このページではノンフリート等級の「S」と「F」のアルファベットについて詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
【記事丸わかり】
⇒⇒【ゼロから学ぶ自動車保険】自動車保険の等級制度 |
「新規契約」には等級の後ろに「S」がつく
自動車保険のノンフリート等級は1等級~20等級までありますが、新規で契約を結ぶ場合は6等級か7等級になります。
基本は6等級スタートですが、家族がすでに車を保有していてその車が11等級以上であれば新規でも7等級からスタートできます(複数所有新規orセカンドカー割引)。
いずれにしても、新規は6等級か7等級のいずれかです。
この2つの等級以外で新規契約することは有り得ません(注1)。
そして、新規契約の場合は、保険証券の「等級」の欄には、
「等級:6S」あるいは「等級:7S」
と表示されます。
このように「新規契約」であることがわかるように表示するのはすべての保険会社共通のルールです。
なぜこのルールがあるかというと、たとえば新規契約したその年度の途中に、何らかの理由で他社に乗り換えることになった場合、ただ単に「6等級」あるいは「7等級」の表示では、乗り換え先の保険会社では保険料を計算できなくなるからです。
詳細は後ほど解説しますが、ノンフリート等級制度では、6等級と7等級の2つの等級に限り、新規契約と既契約では異なる割引率を採用しています。
そのため、6等級と7等級に限っては、それが新規契約か既契約か区別できるように表示しなければ困るのです。
だから共通のルールを設けています。
※新規契約は「等級:6S」あるいは「等級:7S」と表示されると書きましたが、より厳密には「等級:6S(事故有0年)」あるいは「等級:7S(事故有0年)」と表示されます。新規契約でも事故有年数は必ず表示されます。事故有年数に関しては後の項目で解説しています
(注1)A社に10等級で加入していた人が満期をもってB社に乗り換えた場合、B社では11等級からスタートすることになり、またその契約はB社にとって「新規」となりますが、ただし、互いに等級の相互引継ぎが可能な保険会社・共済のグループ全体からすると、決して新規契約ではなく既契約に過ぎません。
このような契約を自動車保険業界では「継続新規」あるいは「他社新規」と呼んでいます。
このページで扱っている新規契約は、初めて自動車保険に加入する契約という意味で「純新規」と呼びます。
「純新規」には、文字通り初めて自動車保険に加入する契約だけでなく、いったん等級を切らしてしまい再度加入する契約も含みます。
なお、7S等級で加入する契約は「複数所有新規」と呼びます。
「新規契約」は年齢条件別に割引率が異なる
新規で契約をする場合は6S等級か7S等級のいずれかになります。
その際、いずれの等級でも年齢条件により割引率が変わってきます。
6S等級では次のようになります。
年齢条件 | 全年齢 | 21歳以上 | 26歳以上 | 30歳以上 |
6S等級 | 6A | 6B | 6C | 6E |
割増引率% | +28 | +3 | -9 | -9 |
アクサダイレクト「重要事項説明書の補足事項(P9)」
7S等級では次のようになります。
年齢条件 | 全年齢 | 21歳以上 | 26歳以上 | 30歳以上 |
7S等級 | 7A | 7B | 7C | 7E |
割増引率% | +11 | -11 | -40 | -40 |
アクサダイレクト「重要事項説明書の補足事項(P9)」
上記のように、6S等級でも7S等級でも年齢条件によって割引率(割増率)が違うことがおわかりかと思います。
なお、数字の後のアルファベットは、これも各社共通で、
- 全年齢⇒A
- 21歳以上⇒B
- 26歳以上⇒C
- 30歳以上⇒E
となっています。
35歳以上を扱っている保険会社もあり、その場合は
- 35歳以上⇒G
となります。
また、貨物車等で年齢条件を適用しない場合は、
- 年齢条件対象外⇒D
となり、これも各社共通です。
なお、これらA、B、C、E、G、Dのアルファベットに関しては、会社によって保険証券に表記するところと表記しないところがあります。
保険証券に表記しない会社でも、その会社の約款あるいは重要事項説明書を見れば、年齢条件によって割引率(割増率)を区別していることが明記してあります。
いずれにしても、重要なのは「その6等級あるいは7等級が新規契約であるか否か」がわかればいい事であって、その他のA、B、C・・・などのアルファベットはあってもなくてもどうでもいいものです。
なぜなら新規契約であることさえわかれば、あとは年齢条件に応じて保険料を算出できるからです。
A、B、Cなどの表記は不必要です。
重要なのは「S」(新規契約)の表記です。
以上、新規契約の場合は6等級の場合も7等級の場合も既契約とは割引率が異なることをご説明しました。
そこで、既契約の6等級あるいは7等級の割引率を下記にご紹介します。
ノンフリート等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7 | 20%割引 | 30%割引 |
6 | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
7等級は「事故有」と「無事故」の2系統の割引率に分かれていますが、これに関しては後ほど解説しています。
ここで見ていただきたいのは、たとえば、前年の5等級から無事故で1つアップして6等級になった場合は19%割引になることです。
また、前年の10等級から事故で3つダウンして7等級になり、「事故有」の割引が適用された場合は20%割引になることです。
いずれのケースも、新規契約で6等級あるいは7等級になった場合と割引率(割増率)が異なるということです。
等級の後に付くFは「既契約」の意味
ここまで6S等級と7S等級の話をしてきましたが、この項目では6F等級と7F等級の話です。
「F」に関する話です。
「F」は「既契約」あるいは「前契約あり」を意味します。
「F」のことを保険業界では「フラット」と呼びます。
何がフラットかと言うと、年齢条件による区別をつけずにどの年齢条件でも割引率がフラット(横一線)である、という意味です。
たとえば、前年5等級だった人が無事故で満期を迎えると翌年は6等級になりますが、この6等級は新規契約ではないので当然6S等級ではありません。
この6等級は、「既契約」あるいは「前契約有り」の6等級なので、6s等級と区別する意味で6F等級と呼びます。
あるいは、前年10等級だった人が3等級ダウン事故を起こした場合、翌年の等級は7等級になります。
しかし、この7等級は当然7S等級(複数所有新規)とは異なり、「既契約」あるいは「前契約有り」の7等級です。
そこで7S等級と区別する意味で7F等級と呼びます。
6等級と7等級以外の等級には新規契約というものがないので、前の項目で解説した年齢条件別の割引率はもともと存在しません。
もともと存在しないので、等級の後にFあるいはSをつけて新規契約と既契約を区別する必要がありません。
けれども6等級と7等級だけは新規契約と既契約を区別しないと保険料の計算ができなくなります。
下記の一覧表はノンフリート等級の1等級~20等級ですが、6と7に表示されている割引率はF(フラット)の割引率です。
ノンフリート等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7F | 20%割引 | 30%割引 |
6F | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
等級には「事故有」と「無事故」の2系統ある
等級は1等級~20等級まであり、そのうち7等級~20等級は2系統に分かれています。
その理由をお話します。
たとえば、現在等級が13等級のAさんが3等級ダウン事故を起こして保険を使った場合、翌年度の等級は10等級になります。
そこで次の表をご覧ください。
事故有 | 無事故 | |
10等級 | 23%割引 | 45%割引 |
同じ10等級なのですが、「事故有」は23%引き、「無事故」は45%引きとなっています。
今回10等級になったAさんには「事故有」23%割引が適用されます。
事故が有ったので「事故有」が適用されます。
割引になる数字が小さいということはより高い保険料になるということです。
このように事故で保険を使った契約に適用される割引率のことを「事故有係数」と呼びます。
いっぽう、無事故を続けている契約に適用される割引率のことを「無事故係数」と呼びます。
実は2012年10月まではこのように同じ等級に2つの割引率が並存するようなことはありませんでした。
しかし、現在のノンフリート等級制度では、事故で保険を使った結果として10等級になった人と、無事故で1つずつ等級の階段を昇ってきた結果として10等級になった人とを、同じ扱いにしては不公平だという理由から、このように割引率に差を付けています。
10等級の場合は、実に22ポイントも割引率に差が付いています。
事故で保険を使うと等級がダウンして保険料が高くなること自体は、2012年10月以前も以後もまったく同じです。
しかし、2012年10月以降は保険料の上がり方が極端になり、小損害の事故では保険を使いづらくなっています。
「事故有」の等級には必ず「事故有期間」がつきまとう
前の項目の例を続けます。
ノンフリート等級が13等級だったAさんが、3等級ダウン事故で保険を使ったために翌年の保険が10等級にダウンした場合、事故有期間(事故有係数適用期間)が3年付きます。
3等級ダウン事故では「3年」、1等級ダウン事故では「1年」が付きます。
保険証券にも下記のように記載されます。
上の画像では事故有期間は「0年」になっていますが、3等級ダウン事故で保険を使った場合の翌年の保険証券には「3年」と表示されます。※1等級ダウン事故なら「1年」と表示
この事故有期間というのは、「事故有係数による割引率を適用する期間」という意味です。
つまり、事故で保険を使うと2系統ある割引率のうちのより割引率の低い事故有係数を適用するけれど、永遠にそこに留まるのではなく、定められた期間を過ぎたら、また無事故係数に復帰できる、というわけです。
事故有期間 | |
3等級ダウン事故 | 3年 |
1等級ダウン事故 | 1年 |
もしも同じ年度に2度、3度と事故を起こして保険を使ったら、その分は事故有期間が加算されるのですが、事故有期間は最長6年で打ち止めになります。
たとえば3等級ダウン事故で3回保険の支払いを受けた場合、事故有期間は9年ではなく6年になるということです。
※もっとも3等級ダウン事故を同じ年度に3回起こしたら、翌年度は「引き受け拒絶」の扱いになる可能性大です
話を整理します。
ノンフリート等級が13等級だった人が3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年の保険は10等級になります。
この10等級は、無事故で等級の階段を昇ってきた人の10等級とは割引率が異なり、より割引率の低い事故有係数が適用されます。
同時に、事故有期間が3年付きます。
3年間は事故有の割引によってより高い保険料を支払うことになりますが、3年間無事故で過ごせば、4年目にはまた13等級に戻ります。
戻った13等級は、事故有期間の3年がリセットされているので、無事故係数による割引率が適用されます。
3等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば4年後に元の保険料レベルに戻る |
1等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば2年後に元の保険料レベルに戻る |
現在の自分の等級がわからない場合の調べ方
現在自分が加入している自動車保険のノンフリート等級を知りたい場合は、次の3つの方法が考えられます。
- 保険証券を確認する
- 代理店・保険会社に電話して聞く
- 保険会社の「マイページ(契約者ページ)」で確認する
①の保険証券ですが、下記のように等級と事故有期間が記載されています。
②は代理店あるいは保険会社に電話で問い合わせるケースですが、氏名・生年月日・ナンバープレートの番号などを伝え、契約者本人であることの確認が取れれば、その場で教えてくれます。
③はほとんどの保険会社で利用できます。通常、メールアドレスとパスワードでログイン可能で、等級を始め契約内容全般を確認できます。
なお、等級を確認する際、事故有期間(事故有係数適用期間)も必ずチェックしてください。
もしも他社に乗り換える場合、単に等級だけでは保険料の見積もりができません。
事故有期間が「0年」なのか、「3年」とか「2年」とか「1年」が付いているのか、それによって保険料が変わってきます。
必ず「等級」と「事故有期間」はセットで確認してください。
また、このページのテーマであるSあるいはFが付いているかいないかもお忘れなく。
ただ単に「6等級」あるいは「7等級」では保険料計算ができません。
Sのついた新規契約なのか、Fのついた既契約なのか、明確に区別しなければなりません。
ご覧いただきありがとうございました。