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【記事丸わかり】
⇒⇒【鬼キャン過ぎて滑っちゃうセルシオ】 |
車を正面から見た場合にタイヤが「ハ」の字に傾いていることをネガティブキャンバーと言います。
コーナリング性能を上げるためにわずかに傾けている車はごく普通にありますが、明白に「ハ」の字型に傾き、タイヤの下半分が大きく車体からはみ出している車もあって、これは明らかにドレスアップ目的です。
このような極端なネガティブキャンバーを取ることを、極端なネガティブキャンバー⇒鬼のようなネガキャン⇒鬼キャンと呼びます。
鬼キャンの車を見かけると、多くの人が「ガ、ハ、ハ、ハ」あるいは「ブ、ホ、ホ、ホ」といった類の笑いを思わず漏らしてしまいます。
鬼キャンで走るドライバーはこの反応を期待しているものと思われます。
鬼キャンの意味
タイヤにキャンバー角を付けるのはごく普通のチューニング法です。
たとえばコーナリング性能を高めるために、あるいはドリフト走行をしやすくするために、意図的にネガティブキャンバーとします。
ところが、ある時こうしたチューニングを施した車のタイヤ部分に注目した人がいるのでしょう。
車を真正面から見たとき、タイヤがハの字型に傾いている。
「これをもっと極端に傾けたら目立つだろうな」
と、とんでもなく傾いたタイヤで公道を走るマイカーの姿を思い描いてほくそ笑んだに違いありません。
おそらくこれが極端なネガティブキャンバー⇒⇒⇒鬼キャンが生まれた瞬間なのです!
「ダサい」とか「かっこいい」を超越した存在
目立ちたいのです。
とにかく注目を浴びたい一身でタイヤをとんでもなく傾けているのですから、こういう車に対して「ダサい」とか「かっこいい」とか評価するのは的外れです。
そうした言葉を投げかける時点で、すでに鬼キャンのオーナーの目的は果たされているというべきです。
だって、じゅうぶん目立っているのですから。
車検は通るのか?
これは多くの人が身をのけぞらせて驚くことと思いますが、鬼キャンであっても基準をクリアーしていれば車検は通ります。
鬼キャンのようなタイヤのはみ出しに関しては、道路運送車両法の保安基準第18条(車体及び車枠)の規定で判断します。
上の図にあるように、タイヤの中心からまっすぐ垂直方向に線を引き、最上部から進行方向に30度、後ろ側に50度の部分がフェンダー面から外に出ているかどうか、これを検査することになります。
ここで重要なのは、はみ出しが問題になるのはタイヤの上部である点です。
フェンダーのすぐ下の辺りのタイヤやホイールのはみ出しが問題であり、タイヤ中心から下の部分は計測しません。
だから、極端なキャンバー角の付いた鬼キャンなどでも、タイヤ上部が車検基準をクリアーしていればOKです。
鬼キャンが車検を通るにはフェンダー付近ではタイヤが「ツラウチ」になっていなければ通らないことになります。
フェンダー付近が「ツライチ」だと、そのちょっと下の部分からは大幅にはみ出してしまい、基準をクリアーしないからです。
車検基準に満たない鬼キャンの罰則は?
鬼キャンでも基準を満たせば車検は通ります。
では、基準を満たさない鬼キャンで公道を走行中に警察に捕まったらどうなるのでしょう?
その答えは、
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法99条の2 不正改造等の禁止)
となります。
なお、不正改造と認められた場合は、改造を施した業者や整備工場も検挙の対象になります。
鬼キャンは事故を起こしやすいのか?
タイヤの下部が大きく車体からはみ出している鬼キャンは、自転車やバイク、歩行者を巻き込みやすいのは確かです。
また、下記に述べるように走行性能に様々なデメリットがあるため、運転が難しく、結果的に事故を起こしやすい車両であると言えます。
メリットとデメリット
【鬼キャンのメリット】
- とにかく目立つので自己顕示欲が満たされる
【鬼キャンのデメリット】
- これは一目瞭然であるが、タイヤの偏磨耗が激しい
- ナックル・ハブベアリング等に負荷がかかり走行中に破損するリスクがある
- 最低地上高が低くなるためしょっちゅうバンパーやマフラーを擦るので傷みが早まる
- ホイールアライメントが狂いハンドル操作が難しくなる
- ショックアブソーバーやサスペンションが本来の働きをしないので乗り心地が極端に悪化する
要するに、ろくでもないことのオンパレードということです。
にもかかわらず鬼キャンをするのは、目立ちたいから、この一点であると思われます。
タイヤ関連の下記記事も参考にしていただけると幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。