【2分記事】ブローバイガスが多い原因|オイル粘度やピストンリングは適正?

ブローバイガスが多い原因

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そもそもブローバイガスとは

<※>「ブローバイガス」とは日本工業規格(JIS)で正式に認定されている用語です(D0108)。

エンジンが理論通りに作動するとしたら、燃焼室内で燃焼したガスは「すべて」が排気バルブに排出されるはずです。

というのも、ピストンにはピストンリングという可動性の輪っかがついていて、ピストンとシリンダーの間に隙間が生じないような造りになっているからです。

したがって、ピントンリングに不具合がなく、絶対に隙間を生じさせないのであれば、燃焼室のガスがクランクケースに漏れ出すことは有り得ないということになります。

けれども、実際のエンジンは理論通りにはいきません。

ピストンリングが固着してしまっていて常時シリンダーの壁と密着状態を保てない場合もあれば、ピストンリングに問題がなく正常に働いている場合でも、動きの中でわずかに生じてしまう隙間によって、燃焼室からガスがクランクに漏れ出してしまうのはある種の宿命です。

この宿命のガスが「ブローバイガス」です。

以前は、ブローバイガスはすべて大気中に放出していました。

ブローバイガスはオイル成分や金属の粉末などを含んでいるので、実際には「放出」というより「垂れ流し」というべき状態でした。

そこで法律が改正されました。

1970年(昭和45年)のブローバイガス規制です。

この法律改正によって、以後はクランク内に漏れ出したブローバイガスをブローバイホースによってもう一度燃焼行程に戻し、再度燃焼する仕組みの設置が義務づけられています。

現在の市販車にはすべてこのブローバイガスの再循環機構が標準装備されています。

ブローバイガスが多い原因

このようにブローバイガスはエンジン機構にとって宿命のガス、多い少ないは別にして、必ず発生するガスです。

でも、中には明らかに通常より多く発生するケースがあります。

通常よりブローバイガスが多く発生する原因にはいろんな要因が考えられますが、まとめると以下のような原因が考えられます。

  1. ピストンリングが固着している:本来ピストンリングは外側へ外側へと広がる性質を持っていて、これによりシリンダー壁との間に隙間を生じさせない働きをしているのですが、劣化してくるとピストンにくっついたまま離れなくなることがあります。こうなるとブローバイガスの発生量が通常より多くなる原因となります。
  2. エンジンオイルの粘度が低すぎる:推奨される粘度より低いエンジンオイルを使用した場合や、エンジンオイルが劣化してしまっている場合など、必要とされる粘度がなくなり、ブローバイガスの漏れ出し量が多くなる原因となるケースがあります。
  3. エンジンオイルの量が多すぎる:オイルの量が規定より多すぎる場合もブローバイガスの漏れ出しが多くなる原因となります。
  4. 空冷エンジンの特性(バイクなど):一般的に空冷エンジンは水冷エンジンに比べてピストンとシリンダーとの隙間(クリアランス)が多めに取られることが多く、ブローバイガスの発生量が多くなる原因となります。
  5. レース仕様に改造している:モータースポーツではエンジン各部のフリクション(摩擦)を極限まで低減するために各パーツ間に意図的に空間を作る傾向があります。その結果、レース車両は市販車よりブローバイガスがより多く発生するのが普通です。
  6. 洗浄性の高いエンジンオイルに交換した:燃焼室内の各部に蓄積していたスラッジ(燃えカス)が結果的にブローバイガスの漏れ出しをせきとめていることがありますが、新しくて洗浄性が高いエンジンオイルに交換したばっかりに、オイルがスラッジを洗い流してしまい、ブローバイガスの漏れ出し量が増えてしまうことがあります。私も部屋の掃除をするときはできるだけ家具を動かさないようにしています。下手に動かすとゴミの塊が出現するからです(笑)。
  7. エンジンが古くなり各パーツ間のスペースが広くなっている:エンジンオイルが常に金属と金属の摩擦を最小化しているとはいえ、走行距離が増えるにつれて摩耗は必然的に進行していきます。金属が摩耗すれば当然間に隙間が生じます。隙間は漏れ出すブローバイガスの量を増やす原因となります。エンジンのオーバーホールで改善しますが、手間とお金がかかるので、オイルの粘度を変えるなどして対処するのが現実的かもしれません。

下記の記事も参考になさってください。

⇒⇒ブローバイガスとは|普通の排気ガスとどこがどう違う?:ブローバイガスとは、エンジンの燃焼室内で発生した排気ガスが、マフラーから排出されるのではなく、クランクケース内に漏れ出してしまったガスのことです。

⇒⇒ブローバイガスは大気開放していいのですか?違法?車検は?:ブローバイガスは、ただでさえ不完全燃焼で環境によくない成分を含んでいるいるのですが、そこにクランクケース内のエンジンオイルが混ざります。それはもう、オイルまみれの汚いガスになってしまいます。

⇒⇒ブローバイホースとは|材質|別名ブリーザーホースとは何?:ブローバイホースとは、クランクケース内に溜まったブローバイガスをエアクリーナーボックスまで運んで、再度吸気工程に戻す役割を果たしています。別名ブリーザーホースとも呼ばれます。

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