「軽車両」は場面によって区分が異なることがあり、どうもハッキリしないところがあります。
道路交通法と道路運送車両法でも微妙に定義が異なっています。
こうしたこともあって、軽車両とは何かを超厳密に議論していくとかえって頭が混乱するばかりです。
けれども、わたしたちが「軽車両」という文字に出会う場面場面によって話を整理していけば、なんとか理解できるものとなるはずです。
このページではそうした実用的な区分について解説していきます。
ズバット車買取比較 |
標識による区分
たとえば道路走行中に下記の標識に出会ったとします。
さて、この場合の「軽車両」とはどんな車両のことでしょう?
その答えは下記のとおりです。
- 自転車(電動アシスト自転車を含む)
- 荷車(リヤカー・大八車・手押しの台車・猫車)
- 人力車(馬そり・牛そり・犬そりも含む)
- 山車(車輪を備えた祭りの山車)
- 動物に牽引される車両(馬車・牛車など)
つまり、上記の標識に出会ったら、原付バイクや自動二輪や軽自動車や普通自動車などは標識の矢印にある2方向にしか進めないものの、軽車両は左折を含めてどの方角にも進めるという意味になります。
続いて、次の標識に出会ったとします。
この標識はどういう意味でしょう?
その答えは、
自転車は通行禁止。ただし、自転車以外の軽車両は通行可。
という意味になります。
続いて、次の標識に出会ったとします。
この標識の意味は下記のとおりです。
自転車以外の軽車両のみ通行できません。ただし、自転車は通行可能です。
免許証による区分
そもそも軽車両は原動機を持たない車両の総称であり、運転免許は不要です。
通行に関する規則
軽車両が従わなければならない通行規則は下記のとおりです。
- 右折の際は2段階右折をすること。原付バイクは条件によっては2段階でなくてもいいケースがあるが、軽車両は必ず2段階右折をしなければならない
- 車道の左端を走行すること。複数の車道がある場合は最も左側の車道(第一通行帯)を走行すること
- 追い越し時を除いて並んで走行してはならない
- 前照灯・尾灯を備えなければならない(尾灯は反射器材でもOK)
- 歩道は走行不可。ただし自転車は認められるケースもある
交通違反(違反キップ・赤キップ)
飲酒・二人乗りなどで警察官に取り締まられた場合には、違反キップを切られることもあります。
軽車両は免許が不要な乗り物ですが、悪質なルール違反に対しては、バイクや自動車と同様に違反キップが切られ罰金を支払わなければなりません。
多くの場面で警察官の裁量に委ねられています。
軽車両・歩行者・遊具の区別
たとえば自転車は軽車両に分類されますが、それはペダルをこいで走行している場合であり、自転車から降りて引いている状態では「歩行者」とみなされます。
これと同様あるいは類似のケースがいくつかあり、「軽車両」「歩行者」「遊具」というようにその都度定義が変わることがあります。
定義が変わると、事故が発生した際の過失割合・賠償額等に影響が出てきます。
以下、こうした例をいくつか列挙します。
- 未就学児童(6歳未満)が乗る小さな自転車は「歩行者」とみなされる※軽車両とみなす判例もある
- 高齢者が使う手押し車・(電動)車椅子・電動シニアカー・ショッピングカート・キャリーカートなどは「歩行者」とみなされる※軽車両とみなす判例もある
- 一輪車・ローラースケート・スケートボード・キックボードなどは「遊具」とみなされ、交通の頻繁な道路での使用が禁止されています。違反すると5万円の罰金
有料道路の「軽車両等」の表示
高速道路や自動車専用道路では特に迷うことはないのですが、同じ有料道路でも一般国道・都道府県道・市町村道などにおける有料道路の場合には、入口に「軽車両等」の料金が表示されていることが多いのですが、実は、道路によって「軽車両等」の定義が異なっています。
バラバラです。
以下、ホームページで確認した内容です。
長野県道路公社が管理する三才山・新和田トンネル有料道路の場合
「軽車両等:50円」⇒⇒自転車は通行可。他の軽車両は通行不可。
山梨県道路公社が管理する国道140号雁坂トンネルの場合
「軽車両等:70円」⇒⇒自転車をはじめとする軽車両は通行不可。
埼玉県道路公社が管理する狭山環状有料道路の場合
「軽車両等:20円」⇒⇒自転車をはじめとした軽車両は通行可。
いかがでしょう?
この見事なバラバラ感には恐れ入りますね。
「軽車両等」の「等」によって区分・定義は何とでもなるということでしょうか。
制限速度
軽車両には道路交通法上の制限速度は指定されていません。
上限速度、最高速度の規定はないと言うことになります。
ただし、明らかに危険な速度で走行していた場合には、道路交通法70条「人に危害を及ぽさないような速度と方法で運転しなければならない」の規定、あるいはその他の関連条項を引き合いにして刑事罰が課される場合があります。
警察の裁量次第というところです。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。