パナソニックエナジー、EV電池増産で25年度までに5000人増員
パナソニックエナジーは、2025年度までに国内外で5000人を増員し、従業員数を22年度に比べ25%増の2万5千人体制にすると発表しました。
これは、電気自動車(EV)向け蓄電池の新工場を建設している北米で3000人増員するなど、電池の需要増に対応するためです。
パナソニックエナジーの従業員に占める海外比率は22年度で74%ですが、30年度には8割を超える見通しです。
米カンザス州に建設しているEV電池の新工場に関連する人員などが増えるためです。
日本でも中途採用を強化する方針で、このほど東京都内に新たな中核拠点も設置したとのことです。
パナソニックエナジーは積極採用に合わせて教育体制も整えるとのことです。
蓄電池の生産技術や関連知識を習得するため、4月から入社2年目までの社員を対象にした社内アカデミーを開設するとのことです。
また、ベテラン技術者からの技術伝承を進めるため、24年4月をメドに現在60歳の定年を65歳まで延長することを社員が選べる仕組みの導入も検討しています。
感想
EV電池の需要増に対応するための人員増加、特に北米での雇用の拡大は、EV市場の急速な拡大とその需要に対する確度の高い予測に基づいてのことだと思います。
いうまでもなく、アメリカのインフレ抑制法の影響が大きいと思います。
インフレ抑制法では、EV車を購入する際に最大7500ドルの税額控除を受けるためには、「米国製のバッテリーを積んだ米国製のEV車」でなければなりません。※7500ドル=約101万円(1ドル135円の場合)
また、社内アカカデミーの設立や定年延長などの教育体制の強化は、パナソニックエナジーが人材の育成とスキルアップに力を入れていることを示しています。
パナソニックエナジーのこれらの計画は、電気自動車とその他の電池駆動製品への移行が加速し、電池技術がますます重要になるという、現在の自動車産業のトレンドを反映していると思います。
EV電池の原料となるリチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトなどのレアメタルは有限です。
手軽に入手できて資源量も豊富な他の原料が見つからない限り、EV車の生産が単純に右肩上がりで増え続けることにはならないかもしれません。
ただ、ここで重要なのは、自動車メーカーも電池メーカーも、全ての自動車が100%電気自動車に置き換わるだろうとは予測していない点です。
いわば、「いけるところまで突っ走れ」状態が現状なのだと思います。
EV否定派の皆さんは、リチウムをはじめとしたレアメタルが有限であること、EV車が増えれば増えるほど充電するための電力が不足するリスクがあること、EV車は製造から廃棄までのトータルで考えた場合のCo2排出量は実はそんなにエコではない、などなどの意見をお持ちのようです。
ですが、そんなことはみんなハナから承知の上でやっていることだと思います。
動き出したら止まらない、流れに乗るしかない、<産業>にはこういう側面があると思います。
ご覧いただきありがとうございました。