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オールペンはピンキリであることをまずご認識ください
お葬式のテレビCMで、「同じお葬式なのにA社は40万円、B社は100万円、こんなのおかしいですよね」というのがあります。
厳密に言えば全く同じお葬式でそれだけ金額差が出るとは思えませんが、ただ言わんとすることはだいたいわかります。
確かに、お葬式の場合は「ほぼ」同じ内容なのに金額に大きな差がつくことは確かです。
でも、車のオールペン(オールペイント、全塗装)は違います。
オールペンで仕上げた車をちょっと離れたところで眺めれば、支払総額20万円の車も80万円の車も、どちらもきれいに見えると思います。
でも、車に近づいて塗装面をよく見ると、これはプロでなくても違いは明白に識別できるでしょう。
ひどい塗装の場合なら、塗装面が均一でなく、表面にぶつぶつや塗料のたれがあったり(いわゆる「みかん肌」「ゆず肌」など)するでしょう。
また、格安のオールペンの場合は、ドアを開いたときに露出する内側の塗装面、またリアゲートの内側塗装面などはまったく塗り直されていないひどい状態でしょう。
さらに、バンパーなどと接する部分の仕上げがひどいはずです。これはバンパーを取り外さずにマスキング処理だけで塗装しているからです。
それから、そもそもオールペンをしようという車両なら、小さな凹みとか傷はボディーのあちこちに点在しているのが普通ですし、ボディー下部などには錆や腐食があっても不思議ではないのですが、丁寧なオールペンの場合はこうした部分をまず補修してから塗装作業に入るところを、格安のオールペンではこれらの作業をすっ飛ばして行います。
その結果は当然ひどいことになります。
至近距離で見れば一目瞭然です。
隠しようがありません。
結局のところ、お葬式の価格差は「根拠」のない理由でついているケースが多い一方で、車のオールペンの価格差には必ず「根拠」があるということです。
ネットで調べると、オールペンの価格は、格安店は20万円くらいからありますが、丁寧なお店では50万円~100万円くらいが相場です。
仕上がり結果がひどい内容であることを承知の上なら、20万円くらいのオールペンでも問題ないでしょうが、誰もゆず肌やみかん肌の塗装など喜ぶはずがないですよね。
私のような損害保険代理店(元)がお客さんの事故車両を車両保険でみる場合に、たとえば運転席のドア1枚の板金塗装をするだけでも、少なくとも5万円前後かかるのが普通でした。
車全体のオールペンとなれば、数十万円かかることは誰でもわかることだと思います。
「いや、オールペンは車全体なので、ドア1枚とは違って、作業効率がずっと良くなるはずで、値段はそれなりに割安になるのが当たり前では?」
というご意見もあるでしょうが、確かに、それは格安オールペンの場合はその通りです。
格安オールペンは車の各部で脱着可能な部分があっても、それをいちいち取り外したりはせず、マスキングだけしてシューシュー塗料を吹き付けるだけです。
でも、丁寧なオールペンの場合は、1枚のドアを仕上げる作業とほぼ同じ工程を他のドア、ボンネット、ルーフ、リアゲートなどにも適用しますし、脱着可能部分はすべて取り外し、おのおの下地作業から塗装作業、そして仕上げ作業を行ってから、また元通りに組付けていきます。
だから、ごく普通に考えて50万円を下回るケースはむしろ稀だと思います。
オールペンの内容がひどいものにならない、そんな格安オールペンは存在しないと思います。
必然的にひどい内容にならざるを得ないと思います。
あるオールペンの事例
トヨタの新旧スープラやホンダのS2000やマツダのRX-7や日産のGT-Rなど、日本が誇る世界の名車は今でも大人気ですし、むしろ日本より海外で異様な人気を博しています。中古相場も吊り上がっています。
こうした名車のオーナーさんがオールペンした見積もりがネットに紹介されていますが、だいたい50万円前後~100万円前後になるのが普通です。※100万円超も珍しくない
ただし、ここではトータルの金額ではなく、その内訳に注目したいのですが、下記がその内訳を割合で示したものです。
(事例1)トヨタスープラ(旧型)のオールペン費用
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(事例2)日産GT-R(R32)のオールペン費用
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上記事例でお分かりのように、塗装ガンで塗料を吹き付ける作業そのものは総額のほんの一部であり、オールペン費用の7割前後は、塗装前と塗装後の作業代になっています。
具体的には、
(塗装前の下処理作業)
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(塗装後の仕上げ作業)
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といった内容です。
つまり、ここで言いたいことは、オールペン費用全体の70%前後を占める、いわゆる「塗装」以外の作業代を省略すれば、トータルの費用はいくらでも安くできるという点です。
格安のオールペンは、仮に「塗装」の作業そのものが全く同一であったとしても、仕上げに大きな影響を与える「下処理作業」と「仕上げ作業」を大幅に簡略化していることは明白です。
オールペンをする目的をはっきりさせてください
そもそもどんな目的でオールペンをしたいのでしょう?
- 長く乗り続けてきた車のボディが劣化したのでリフレッシュして今後も乗り続けたい
- 色に飽きたのでまったく別の色に塗り替えたい
- 中古で希少なRX-8を入手したけれど、さすがに塗装がくたびれていたので、オールペンでよみがえらせたい
- 今度車を手放すことになったが、現状のボディ状態では高く売れそうにないので、オールペンして高値で売り抜こうと思う
上記①②③が目的の場合なら、業者さんと話し合って、どこまでお金をつぎ込めば満足できそうか、事前に十分話し合ってください。
オールペンは、車の状態次第でやるべき作業の幅が大きく変わってくるので、どこまできれいに仕上げたいかをお財布と相談しながら話し合うのが一番だと思います。
④の売却目的に関しては次の項目をご覧ください。
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「オールペンで車の価値を上げて売り抜こう」は不可能です
今まで乗ってきた車をディーラーに下取りに出したり買取店に売却したりする際、もしも傷や凹みがあったら、まず修理してから査定してもらうのがいいか、それとも修理しないでそのまま査定してもらったほうが得か、悩むところでしょう。
一般的には、修理しないで査定に出す方がお得です。
オールペンにもこれと同様のことが言えます。
ここまでご案内してきたように、車のオールペンは、格安店でも20万円はしますし、本格的なオールペンなら50万円以上するのはごく普通のことです。
では、それだけのお金をかけて車を査定にかけた場合、オールペンしなかった場合の査定額にオールペンにかけた費用を上乗せした額、その合計額以上の金額が出るでしょうか?
トントンではオールペンした意味がありません。あくまでもオールペンにかけた費用を加えた額より大きい査定額が出ないと困ります。
でも、まず上回ることはないと思います。
やめたほうがいいです。
車を買い取る側は車のもっと基本的な部分を評価していますし、場合によっては査定にマイナスの影響を与えるケースもあります。
希少車でなく一般的な乗用車などでは、純正のボディーカラーと大きくかけ離れた色でオールペンされた車両は、中古車市場では敬遠される傾向があるようです。
ただし、希少車中の希少車で、その車両があるだけでありがたいというような車の場合は、オールペンの仕上げ内容が良ければ、そこがちゃんと評価されて、高い査定額を勝ち取れるケースもごくまれにあるようです。
このあたりのことは、業者さんに相談するのが一番だと思います。
でも、ほとんどのケースで言えることは、「オールペンで車の価値を上げて売り抜こう」という考えは失敗に終わるということです。
これからもずっと乗り続けたいからオールペンする。
これ一択だと思います。
ご覧いただきありがとうございました。