目次
【記事丸わかり】
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【プチ調査】日野自動車が潰れる?やばい現状に今後どうなる?不正なぜバレた?リストラは?
日野自動車本社(画像:Wikipedia)
・日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは経営統合をすることで基本合意しました。
・日野と三菱ふそうは対等な立場で統合し、商用車の開発、調達、生産分野で協業する予定で、2024年中に統合完了を目指すとのこと。
・両社の親会社であるトヨタとダイムラートラックは水素などの先端技術開発で連携し、統合後の会社を支える計画です。
・日野自動車は、エンジン性能試験に関する不正が発覚し、その影響で2023年3月期の連結決算は最終利益が1,176億円の赤字となり、3期連続で赤字を計上しています。
「ヒノノニトン」のCMで有名な日野自動車。2022年に発覚した不正問題で、日野自動車のやばい現状に、「リストラはあるの?」「潰れるのでは?」と車業界のみならず、就活生や世間から不安の声があがっています。
今回は、
- 日野自動車がやばいと言われる理由
- 不正がなぜバレたのか?
- リストラや今後の展開予想
について、詳しく解説します。
日野自動車とは
日野自動車は、東京都日野市に本社を置く国内商用車製造大手の自動車メーカーです。設立は1942年、1966年にはトヨタ自動車の傘下に入り、2001年にトヨタが株式の過半数を取得して子会社化しました。
トヨタから取り入れた生産方式を導入し、トラックやバスをメインに商用車を製造。国内だけでなく世界各地で事業展開しています。
国内普通トラック販売シェアは40年連続No.1を誇り、国内バス販売シェアも6年連続でNo.1を達成しています。近年ではグローバル展開に注力し、アジアを中心に世界80の国や地域で販売。
総販売台数の約7割は海外向けとなるほど、海外市場でも実績を誇る企業です。
日野自動車がやばいと言われる理由
日野自動車に対して「やばい」「潰れる」「リストラ」といった言葉がネット上にあふれています。こちらの章では、日野自動車がやばいと言われる理由を解説します。
やばい理由①排出ガス性能試験における不正
2022年3月4日、日野自動車の社内調査により国内向けエンジンの不正が発覚しています。1つ目に発覚した不正は、「排出ガス性能試験における不正」。
【不正内容】
中型トラック「日野レンジャー」に搭載される中型エンジンの認定試験で不正が発覚。排出ガス浄化装置の劣化耐久試験において、排出ガスの後処理装置「第2のマフラー」を途中で不正に交換したことが判明した。 |
やばい理由②燃料試験の不正
第2の不正は、大型トラック「日野プロフィア」に搭載された大型エンジンの燃料試験の不正問題。
【不正内容】
燃費測定中にキャリブレーション(補正機能)を意図的に操作し、実際より良い燃費結果を表示して試験を実施した。 |
やばい理由③さらに小型エンジンの不正が発覚
同年8月22日には、小型トラックに搭載するエンジンの認証申請で不正があったと発表。不正対象の車両は、これまでに公表していた56万台から64万台に拡大し、次々に出てくる不正問題にネットでは「やばい」「潰れる」といった噂が後を絶たない状況となっています。
日野自動車の不正はなぜバレたのか?
次々と噴出する不正問題に、疑問や不信感が募ります。このような日野自動車の不正は、なぜバレたのでしょうか。
この章では、日野自動車の不正はなぜバレたのかを検証します。
内部調査による自己申告
日野自動車のひとつ目の「排出ガス性能試験による不正」は、なぜバレたのでしょうか?
それは、内部調査による自己申告です。この不正は、内部告発や外部調査でバレたわけではありません。
【不正発覚経緯】
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その後改ざんが見つかり、2022年3月の発表に至ったとされています。
国交省の指摘
2つ目の小型エンジンの不正がなぜバレたのかというと、日野自動車に立ち入り調査した国土交通省による指摘です。
8月2日の外部調査委員会による調査では、課題は発見できませんでした。その後、国交省の指摘で不正が判明しました。
不正がなぜバレたのかよりもやばい問題
一部の社員が異変に気付いたことが不正発覚の発端ですが、不正がなぜバレたのかということよりも、重大な問題があることが今回の調査で浮上しています。
20年以上データの改ざんが続いていた
日本では、2003年から産業車両に対する排出ガス規制が行われています。(※自動車排出ガス規制とは、一酸化炭素・窒素酸化物・炭化水素類・黒煙など、自動車から排出される大気汚染物質の削減対策のための規制です。)
日野自動車の認証不正問題を調査する特別調査委員会の報告によると、2003年から継続的に認証試験で不正が行われていたことが発覚。
不正がなぜバレたのかということより、長期にわたってデータ偽装や改ざんが行われ、形式指定を取得してきたことが問題視されています。
(※)「型式指定」とは、新製品を生産・販売する際に、同一型式の製品のすべてが所定の基準に適合することについて、あらかじめ国の審査を受け、認証を受けること。これにより個々の製品に対する審査が簡略化される。(Weblio)
相次ぐ自動車メーカーの不正
自動車メーカーの不正が次々と報告されていたにもかかわらず、日野自動車の不正が今頃発覚したことも大きな問題として取り上げられています。
ディーゼルゲート事件
記憶に新しいところでは、2015年に発覚した「ディーゼルゲート事件」。
【ディーゼルゲート事件】 2015年9月、フォルクスワーゲンの1,100万台に及ぶ全世界のディーゼル自動車に違法なソフトウェア「ディフィートデバイス」が搭載されていたことが発覚。環境基準値の40倍にもおよぶ有害物質が輩出されていることが確認された。 |
これを受けて事態を重く見た国交省は、日本で形式指定を取得する全自動車メーカーに対し、不正行為がないか実態調査と報告を命じます。
国内メーカーでも次々と不正が発覚
2016年4月:三菱自動車の不正
走行試験で得た走行抵抗値のうち、小さい数字を意図的に使用して国交省に提出。これによりカタログ燃費が5~10%水増しされた。
2016年5月:スズキ自動車の燃料不正
走行抵抗を測る設備が立地上海風の影響を受けやすいことから、計測結果にばらつきが多く、理論上の数値で燃費を計測していた事実が発覚。
このように国内外の各メーカーによる相次ぐ不正問題が発覚していた中、日野自動車は、「不正を含めた問題はない」と国交省に報告しています。
つまり、2016年に同省が全自動車メーカーに要請した一斉調査に対する「虚偽報告」があったのでは、と疑問が生じています。
企業風土に重大な原因
特別調査委員会によると、日野自動車の企業風土が不正の温床となっていることも指摘されています。
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このような企業風土の中、試験設備の不足や法令順守部門などによるチェック機能の欠如も重なり、苦境に立たされた部署が不正を行ってしまったと見られています。
歴代の経営陣にも疑問符が
一連の不正行為は、日野自動車内の一つの部署のみで行われていたことも長年不正が明るみに出なかった要因のひとつ。
経営層や他部署が、エンジン性能が未達であるという事実を把握しておらず、部署間での連携不足も問題です。
そのため、このような不正を20年以上見過ごしていた経営陣の責任も重いとされています。
CJPTの退会
CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)とは、トヨタ自動車・日野自動車・いすゞ自動車・スズキ・ダイハツ工業が共同出資する商用車の技術企画会社です。
CJPTは、日野自動車の認定試験不正を踏まえ、同社を除名処分すると発表しました。
CJPTは2021年に自動運転などの先進技術の共同開発や、カーボンニュートラルの実現を目的として設立されました。配送トラックの電動化など物流の効率化に向けて開発を進めていく矢先に、商用車大手である日野自動車が除名になったことも大きな痛手です。
親会社であるトヨタにも原因が?
今回の不正を受けて、日野自動車は、2003年以降に代表取締役を務めた歴代の社長や会長、計11人の元役員に当時の報酬の一部返納を求めています。
また、生え抜きの取締役3人と専務役員1人の辞任をはじめ、役員を一新して経営の立て直しを図る計画です。
2001年にトヨタの子会社となった日野自動車は、子会社化後に就任した6代の歴代社長のうち5人がトヨタ出身者を起用しています。
親会社であるトヨタが、日野自動車の企業体制を正しく構築できなかったことも、今後のトヨタにマイナスの影響が及ぶと考えられます。
日野自動車の今後【リストラは?潰れる?】
不正だけではなく、社内風土や親会社のトヨタまで批判を浴びる状況の中、今後の日野自動車はどうなるのでしょうか?
リストラは?
ネット上では、以下のような心配の声が多く見受けられています。
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このように、日野自動車がリストラをするのでは?と憶測が飛び交っています。現時点では、不正行為によるリストラの情報はありません。
小木曽社長は、不正に直接かかわった現場社員の処分について「より慎重に検討して決めていく」としています。
今後はどうなる?潰れるの?
ここまで来ると、「今後どうなる?潰れるの?」とSNSでもさまざまな意見が飛び交っています。
日野自動車は2022年9月、国交省より排出ガス性能基準が適合している車種の出荷再開が認められました。そのため、2022年10月から一部車種については順次生産を再開しています。
日野自動車では、生産再開にあたり「生産計画や体制が現場のリソースに対して無理がないか、人材育成に十分な時間を割けるものになっているかなどを改めて精査し、再開前に自社工場の全職場において、これらの確保ができているかを総点検する」としています。
日野自動車は日本の物流に欠かせない企業
ネット通販拡大を背景に、商用トラックの需要は今後も高まる傾向にあります。そのため、日野自動車は、日本の物流にとって欠かせない存在です。
排出ガスや燃費性能の再試験に通過するには、かなりの時間を要します。日野自動車は国内生産の約6割の出荷停止を発表しており、信頼回復にも恐らく相当な年月がかかるでしょう。
日野のトラックは馬力があり、低振動で耐久性が高く、長距離ドライバーからも高評価を得ています。アジア各国ではトップシェアを誇り、第一線で活躍してきた自動車メーカーであることは間違いありません。
今回の不正を受けてダカールラリーへの参加が危ぶまれていました。しかし、「ダカールラリー2023年大会」への参戦を表明しています。
過酷なクロスカントリーラリーとして知られるダカールラリー、日野自動車は31回連続完走記録を持っています。ダカールラリーへの挑戦は日野自動車の今後の復活や回復を望む人にとって、勇気を与えるかもしれません。
まとめ
「日野自動車が潰れる?やばい現状に今後どうなる?不正なぜバレた?リストラは?」について解説しました。
次々と自動車メーカーの不正が見つかり、日本を誇る商用車大手の日野自動車が追い打ちをかけたことで、社会全体が国内の自動車メーカーに対する不信感を募らせています。
不正がなぜバレたのか、その理由は社員による「気付き」だったことは事実です。その事態が発表されるまで多くの年月を要し、企業風土の問題点も明るみに出ました。
日野自動車は、「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」という企業理念を掲げています。働きやすい環境はもちろん、社員のみなさんが未来を目指して働ける組織改革が進められることを願っています。
ご覧いただきありがとうございます。
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