わたしたちが自動車保険に加入する場合、運転者の範囲を限定することで保険料の節約ができます。
たとえば、運転者限定を「限定なし」で設定するより「家族限定」に設定した方が保険料は安くなります。
ではその差額はどのくらいでしょう?
実は、「限定なし」と「家族限定」の差額は1%程度です。
たいした割引率ではありません。
これが「本人限定」とか「本人・配偶者限定(夫婦限定)」となると6%~8%くらいになって保険料はけっこう安くなります。
【記事丸わかり】
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「限定なし」と「家族限定」の差額は1%程度です!
自動車保険の契約をする際、保険会社があらかじめ設定している年齢条件と運転者限定の区分を選択することで運転者の範囲を限定し、限定することで保険料を節約することができます。
年齢条件も運転者限定も保険会社によって選択できる区分は異なりますが、一般的に、運転者限定は以下の選択肢から選びます。
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上記の区分では、限定なしが最も保険料が高くなり、本人限定が最も安くなります。
限定なしを±0とすると、家族限定は1%程度の割引率です。
本人・配偶者限定(夫婦限定)と本人限定は6%~8%程度です。
※上記割引率は公表している保険会社のもので、全ての保険会社が割引率を公表しているわけではありません
つまり、このページのテーマである家族限定ですが、割引率を見ると「たいしたことはない」のです。
割引率が「たいしたことはない」だけでなく、家族限定を選択する保険契約者の割合も長期下落傾向にあります。
需要があまりない、ということです。
こうした事情から、2019年には主要な保険会社のうちの6社が家族限定の取り扱いを廃止しました。
6社とは、ソニー損保・アクサダイレクト・損保ジャパン・東京海上日動・三井住友海上・あいおいニッセイです。
以下の項目では、各保険会社の家族限定の扱いを直近のデータでご紹介しています。
参考になさってください。
【2019年版】運転者限定:保険会社比較一覧表
通販型・代理店型を含めた自動車保険各社の運転者限定の状況をまとめています。
すべての保険会社ではありませんがみなさんが耳にする機会が多い保険会社はほぼ網羅していると思います。
2019年8月1日時点のものです。
自動車保険各社の運転者限定を比較 | |||
家族限定 | 本人・配偶者限定 | 本人限定 | |
イーデザイン損保 | 〇 | ◯ | ◯ |
ソニー損保 | × | ◯ | × |
三井ダイレクト | 〇 | ◯ | ◯ |
アクサダイレクト | × | ◯ | × |
チューリッヒ | 〇 | ◯ | × |
そんぽ24 | 〇 | 〇 | × |
SBI損保 | 〇 | ◯ | ◯ |
セコム損保 | × | ◯ | ◯ |
楽天損保 | 〇 | ◯ | × |
東京海上日動 | × | ◯ | × |
損保ジャパン | × | ◯ | ◯ |
三井住友海上 | × | ◯ | ◯ |
あいおいニッセイ | × | ◯ | ◯ |
JA共済(農協) | 〇 | × | × |
全労済 | × | ◯ | × |
※上記一覧表におとなの自動車保険(セゾン損保)が入っていませんが、それはこの保険会社だけ独自の分類方法を採用しているからです。たとえば他社の「家族限定」に相当するものがおとなの自動車保険にはありません。
家族限定の需要は長期下落傾向
一般的に知られている運転者限定には次のようなものがあります。
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やや古い資料で恐縮ですが、次のグラフをご覧ください。
ご覧のように「限定なし」と「家族に限定」は長期下落傾向です。
いっぽうで「本人・配偶者に限定」は長期上昇傾向にあります。
このグラフには「本人限定」はありませんが、これも長期上昇傾向にあります。
つまり、自動車保険の運転者限定において「家族限定」の需要が落ち込んでいることがわかります。
日本社会全体の家族構成の変化が背景にあるのだと思います。
大手代理店型4社は2019年1月から家族限定を廃止
前の項目で「家族限定」を選択する保険ユーザーが減少していることを見ました。
これを受けて、損害保険大手4社(東京海上日動・損保ジャパン日本興亜・三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)は2019年1月の契約から、それまであった家族限定を廃止しています。
この家族限定廃止に伴い、他の限定にも改定が行われました。
それを一覧表にしてみます。
※スマホでうまく表示されない場合は横位置でご覧ください。
東京海上日動 | 損保ジャパン | 三井住友 | あいおい | |
家族限定 | 廃止 | 廃止 | 廃止 | 廃止 |
本人・配偶者限定 | 7%⇒6% | 7%⇒6% | 7%⇒6% | 7%⇒6% |
本人限定 | 採用せず | 8%(新設) | 7%(新設) | 9%⇒8% |
「家族限定」は大手4社そろって廃止です。※「家族限定」の割引率は4社共に1%でしたので、もともとあってもなくても保険料に大きな影響を与えていませんでした。しかし、この規定から外れる人が運転して事故を起こした場合は保険金を支払いませんでしたから、ある意味とんでもない規定であり、廃止して当然なのです
「本人・配偶者限定」も4社そろって7%から6%に割引率を縮小しています。
ここまでは4社そろい踏みですが、「本人限定」で対応が分かれています。
東京海上日動は今回の改定でも「本人限定」を採用しませんでした。
損保ジャパンと三井住友は「本人限定」を新設しました。
あいおいにはすでに「本人限定」がありましたが割引率を縮小しました。
今回の改定について一部には「結局どさくさに紛れて保険料全体では値上げになっているのでは」などと言われていますが、しかし、いままでよりシンプルになったことは評価できる点だと思います。
ソニー損保も家族限定を廃止:2019年4月から
通販型のソニー損保も同様の改定がありました。
ソニー損保では保険始期日が2019年4月1日以降の場合、運転者限定は下記の分類になります。
運転者限定(2019年4月1日以降保険始期日) | |
限定なし |
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本人・配偶者限定(割引率6%) |
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ソニー損保・自動車保険・約款・2019年4月版19ページから20ページ
※記名被保険者が法人の場合は「本人・配偶者限定」は設定できません。
アクサダイレクトも2019年1月から改定
通販型のアクサダイレクトもそれまであった「家族型」「夫婦型」「本人型」の3つの限定が、2019年1月の契約から「本人・配偶者型」の1つだけに改定されました。⇒アクサダイレクトのHP
なお、下記のページで家族限定の詳しい内容を解説しています。
参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。